夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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ブエノス・アイレス(Buenos Aires)→プエルト・イグアス(Puerto Iguazu)
2006.02.06-07(夜行バス)
アルゼンチン国内移動

移動内容
2/6
17:00-17:10
ブエノス・アイレスの宿からレティーロ地区のバスターミナルまでタクシーで移動。
タクシー運賃 A$10(=US$3.12) by 現金
2/6
19:00-
2/7
12:10
ブエノス・アイレスからプエルト・イグアスまでバスで移動。
バス運賃 A$150(=US$46.73)/人 by 現金
2/7
12:30-12:40
プエルト・イグアスのバスターミナルから宿まで徒歩で移動。
※2006.02現在、US$1= A$3.21(アルゼンチンペソ)で計算しています。
※アルゼンチンは通常$と表記されますが区別のためA$と表記しました。

 ブエノス・アイレスからプエルト・イグアスまではかなりの距離がある。これまで出会った日本人長期旅行者は、当たり前のようにバスでイグアスに向うと行っていたが、宿のホセに相談したら、あなた方のような遠い国の日本から来ていて、バスで時間を使ったらもったいないでしょう。という助言のもの、やはりここは飛行機で行く距離だよなぁと、1月27日、コロン劇場の近くの日系旅行代理店を訪れた。

 2月6日発のイグアス行きの飛行機は、アルゼンチン航空で朝7時50分から夕方4時20分まで6本もあり、所要時間は1時間45分、どの便も空き席は十分にあるということだった。1時間45分かぁ。だいたい飛行機1時間はバス10時間に相当するので、1時間45分ということはバスだと18時間くらいかかることになる。やはり飛行機だよね。で、値段は?と聞くと「A$596(=US$185.67)でございます」。・・・・・・思考停止。高すぎる。ウシュアイアからブエノス・アイレスまで4時間の飛行でUS$100くらいだったので、US$100は下回るだろうと思っていたのだ。

 イグアスの滝といえば、世界中から人が集まる観光名所で、当然ブエノス・アイレスからも多くの人が飛行機を利用しているはずだ。現に日に6本も飛ばしているのがそれを証明している。飛行機の価格の常識としては、飛行頻度が多い路線ほど低価格になる。しかし、それは他社との競合がある場合だけで、今回のようにアルゼンチン航空の寡占状態になっている場合には、値段は下がらないということなのだろう。それにしても、高すぎる。旅行代理店への回答は保留にして、バスの価格を調べてからもう一度考えることにした。

 翌日の28日は、レティーロ地区のバスターミナルへ向った。この付近は治安があまり良くないといわれている(まぁ、大抵バスターミナルっていうのは治安が良くないことになっているが)。確かに、開いている店や歩いている人たちが、かなり下町の雰囲気で、バッタ物の時計や売れ残りの今年の手帳などを路上で売る人もいて、いわゆる治安が悪いといわれる地域にありがちな風景だった。しかし、昼間ということもあり、バスターミナルの手前の鉄道ターミナルなどは、ヨーロッパ風な駅舎で旅情が感じられるいい雰囲気を出していた。その先のバスターミナルはとても近代的な大きな建物で、この国の主要交通手段が明らかに鉄道でなくバスであることを物語っていた。

 バスターミナル内のインフォメーションでイグアス行きのバスチケットを買えるブースを聞いてみると、緑色の代理店ですという答えだった。バスターミナルは細長い建物で、ずらりとバスの発着所が1列に並んでいる。その上の階が全てバス会社のチケット販売ブースになっている。100くらいはあるだろうが、ブエノス・アイレスから見た方角別に色分けされており、オレンジやら黄色やら赤やらがブースの上の部分に塗られていて、同じ色ごとに固まっているので、緑色のコーナーに行くとイグアスに行くバスが見つかるのだった。といっても全ての緑色のブースがイグアス行きを出しているわけではないので、そのコーナーで更にイグアスという文字を見つけては訪ねることになる。

 ガイドブック「地球の歩き方」にイグアス行きのバスを出しているバス会社名が3社記載されていたので、それらを周って調べてみた。

 1社目のExpreso Singerはカマクラスとカマトータルクラスがあり、値段はA$127とA$137という説明だった(実はカマトータルはA$150だったのだが、この時点では誤って説明をされていた)。カマトータルはシャンパンや飲み物と夕食、朝食付きで、シートが180度に倒れるフラットシートだということだった。おおお、フラットシートだ。もう、乗る機会はないと思っていたフラットシートにめぐり合えて、むらむらとフラットシートへの憧れが再燃してしてきた。

 2社目はBia Baliroche。こちらはセミカマA$115、カマA$132ということでカマは160度まで倒れる。うう、おしい。160度くらいはすでに体験済みなので、はやり180度の魅力には勝てないなぁ。差額も大したことないし。

 そして3社目。Expreso Tige IGUAZUとガイドブックにはなかったもう1社のRio URUGAYに聞くも、カマでA$125くらいの値段だった。

 飛行機と比べると、バスは最高級にしても4分の1くらいでおさまる。しかもフラットシートの出現で、私は俄然バスで行きたくなったのだった。そうと決まったら、もう買ってしまおう。ということで、Singerのブースに戻って、最高級バスのチケットを2枚購入することにした。

 先ほど対応してくれたか細い白人の若い女性が「来ましたね!」とニッコリ迎えてくれたのはよかったのだが、この女性、お客さんに便利なようにバスのクラスと料金を手書きのメモにして何枚も作っては、問い合わせに来た客に配っていたのだが、その金額が間違っていたようなのだ。確かにもらったメモには最高級のイグアス行きはA$137とかかれており、ブースのガラスに張ってある料金表の金額A$150とは異なる。我々もこの時点までA$137だと思っていた。我々の手続きをしている時に、同じ年くらいの色の浅黒い気の強そうな女性が入ってきて、物凄い勢いで白人の女性に何かを言い始めた。「そのメモが間違っていることが、会社にとってどんなに損失を与えているのかわかっているのか!」ということだと思う。とうとう白人の女性は泣き出し始めてしまって、泣きながら我々のチケットを発券して、潤んだ目で「出発の30分前には集合してください」と説明する側から、色黒の女性が私たちに「料金は1人A$150ですから」と早口で付け加えた。我々がA$137だろうとゴネてくるのをけん制するかのようなど迫力で、我々まで叱られているような気分だった。この迫力でケンケンと言われ続けたら我々も泣き出してしまったかもしれない。

 それにしても、バスの座席を選ぶ時に見せられた座席表が、フラットシートの割りには椅子がたくさんあったのが気になった。上の階は満席になっているので、下の階になったのだが、あの椅子の詰め方ではフラットシートではないのではないか?微妙に不安がよぎったものの、あの険悪な状態の事務所に戻って「これフラットシートですよね」と確認して、もし違っていたら、白人の女性は今度は生きたまま

 こうしてバスのチケットも事前に入手して、いよいよ6日の夕方、宿からタクシーでバスターミナルに向うことになった。タクシーの運転手さんは、「いやー、私、日本人大好きですよ。日本は素晴らしい。Buenos Diasって日本語でどういうのですか?」などと超親日ぶりを発揮し、バスターミナルに到着するまでに、「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」を習得してしまった。普段はチップなどは極力払いたくないという夫までもが大盤振る舞いしてしまうほど、人の心を捉えるのが上手な運転手さんだった。

 バスターミナルまではあっという間に到着してしまったので、出発までは2時間弱もある。夕食が貧弱だった場合のことを考えて、とりあえずケーキとコーヒーで軽めの夕食を済ませることにした。こういう事については意見が合いやすい夫婦なのである。

 プラットフォームは100番近くまであるのだが、我々のバスは43番から53番までの間に出ることは知らされていたので、その辺りで待った。

 バスがプラットフォームに入る5分くらい前に待合室の電光掲示板に何番フォームなのかが表示されるようになっている。

 建物の内側の電光掲示板がある所にも、ずらっとバスの並ぶ外のプラットフォームにも人があふれかえっていて、バスは到着するやどんどん荷物とお客を詰め込んで、あっという間に出発してしまう。

 この分だと、チケットを持っているお客さんが乗り遅れたとしても確認もしないだろう。自分の乗るバスを見逃さないようにしなければいけないのだ。

 やがて我々のバスのプラットフォームが電光掲示板に表示され、ほぼ同時にバスがプラットフォームに入ってきた。午後6時、7時のこのあたりのプラットフォームからはプエルト・イグアスへのバスが何台も出て、どんどん観光客がイグアスに押し寄せているという印象だった。到着してから宿が見つかるのだろうか?と少し不安になるくらいに、イグアス行きは盛況のようだった。

 荷物を預けてバス内に入る。2階建てバスの1階には初めて乗る。チケットを購入した時、本当にフラットなのか心配だったが、1階には6席しかなく、このスペースのとり方ならフラットだろうと直感した。倒してみると本当に背もたれがペッタリと床と平行になるまで倒れる。うわぉー!憧れのフラットシートにやっと乗ることができたのだ。通常セミカマ以上のクラスになると、前の座席側から足のせ台も倒れるものだが、カマトータルの場合は、この足のせ台も座席と同じ高さに持ち上がるようになっているのだ。つまり背もたれ、座席、足載せ台が全て平らになって本当にベッドのようになるのがカマトータルなのだ。


 これならば20時間近い距離でも、夜をはさんで何の苦もなく移動できるだろう。バス移動大国のアルゼンチンならではのバスなのだ。

 因みに2階はどうなっているのだろうと覗いてみた。チケット売り場で見せられた座席表通り、かなり椅子の間隔が狭い。これでフラットになるのだろうか、と空いている席を倒してみたが、はやりフラットにはならなかった。つまりこのバスは、2階はカマ、1階だけがカマトータルになっているのだった。

 椅子を限界まで倒すだけ倒してもフラットにならないことを確認して、下にもどることにした。「一体、この東洋人は何やってるんだ?」とブラジル人にいぶかしげに見られてしまったが、確認したかったので仕方ない。

 恐らく運賃は、2階はA$137で、1階がA$150なのだろう。そうするとあの泣かされた白人女性の書いたメモはあながち間違いではなかったのだ。基本的にA$137の席のバスなのだが、1階だけがフラットシートでそちらの値段はA$150だという説明をせずに、全部がフラットシートだという説明をしていたおが間違いだったのだ。仕事なので間違っていたらそれは悪いことなのだ、それでも泣くまで言わなくってもいいのになぁと、またあの場面を思い出してしまった。

 定刻どおり午後7時に出発して30分したら、ウィスキーの水割りとコーヒーを載せたトレーを持ってバス助手がやってきた。シャンパンが出るという話だったが、今日はウィスキーらしい。"えぐぜくてぃぶ"な気分で、普段はあまり飲まないウィスキーの水割りを頂くことにした。夫はウィスキーを取ったものの、それよりもお腹が空いているとかで、空腹を紛らわすためにウトウトと眠り始めたので、それならばと夫の分のウィスキーも飲んで早くも酔っ払い加減になってきた。

 アルゼンチン人の夕食時間は遅い。午後9時になってようやく夕食が配られた。今までのバス内の食事に比べると量も多いし、何と赤ワインも好きなだけ振舞われた。

 暮れ行くアルゼンチンをイグアス目指してバスはひた走り、快適な陸の旅が始まった。

 ウィスキー2杯、ワイン2杯を飲んだ私は、10時半くらいにはもうフラットシート体勢に入り、そのまま朝まで意識不明になってしまったが、食事前に軽く寝て、お腹も満足した夫は車内で流された映画を楽しんだと後で聞いた。バスの中の映画というと、聞いたことのないアメリカの3流コメディーだったりするのだが、今回はユアン・マクレガーの「クローン」だったそうだ。それなら私も見たかったのになぁ。この路線に乗る人、飲みすぎで面白い映画を見逃さないように注意ですね。

 というわけで、目が覚めたら朝になっていた。暑すぎず、寒すぎず、体のどこかが筋肉痛にもならずに、まことに快適な目覚めだった。窓の外を見ると、真っ赤な土に緑の草原が広がり、ところどころに勢いのある大きな木の生えた森が見える。アマゾン地帯の影響がある、亜熱帯な感じのイグアスに近づいているという感じがした。

 7時半に朝食が出されて、8時に大きな道を降りて小さな町に入っていった。もう到着? 時間よりも随分早いなぁと思っていたら、そこはプエルト・イグアスとは同じ州なのだが、まだ大分手前の町で、このバス会社Experso Singerの本社のある所だった。ここに立ち寄って、積荷を降ろしたり、ガソリンを補給するようだったので、その間、丁度いいのでビルのトイレで歯を磨いたり顔を洗ったりする時間があって、丁度良かった。

 本社ビルといっても3階建てくらいの建物で、駐車場の角には、この会社が発足したころ走っていたバスのナンバープレートなのか、古びたナンバープレートを盾にして、バスの部品などで作られた中世の騎士のようなオブジェが飾られていた。そういえば、バスの中で流されていた会社紹介ビデオも結構時間が長く、会社の歴史から現在に至るサービスまでの物語になっていて、エンディングテーマには「エスプレッソォー(Expreso)、シンハーァー(Singer)」と女性コーラスが歌う会社のオリジナルソングが流れていた。なかなか遊び心がある会社だ。

 ここから北に向って更に3時間半、12時にプエルト・イグアスに到着した。先ほど降りた時は朝早くてあまり感じなかったが、クーラーの効いたバスの中から降りると、まったりと肌にまとわりつくような湿度と熱い空気がムッと押し寄せ、かなりの距離を移動したきた事を体で感じた。

 この後、ブエノス・アイレスで知り合った人がプエルト・イグアスに追いついてきてちょっと話をしたのだが、この人は、何とA$33でここまでやってきたというのだ。そのスーパー破格なチケットは、毎週木曜日に1本だけ出ている、パラグアイのシウダー・デル・エステ行きのバスでA$30なのだそうだ。シウダー・デル・エステからはブラジルを経由して(全く下車しないので、ブラジルビザは必要なし)プエルト・イグアスに来るローカルバスでA$3くらいで簡単にこられる。このスーパーな情報は、日本旅館というブエノス・アイレスにある日本人宿の情報ノートに書かれていたということなのだ。詳しい情報については、日本旅館に行くしかないのであるが、この情報が正しいということは、この人によって証明された。


 
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