夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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アカバ(Aquaba)→ダハブ(Dahab)
2006.11.30
ヨルダン→エジプト

移動内容
08:05-08:12 アカバの宿からフェリー乗り場までタクシーで移動。
タクシー運賃 JD3(=US$4.23) by 現金
08:13-11:13 ヌエバまでのフェリーのチケット購入、ヨルダン出国手続きを終了して待つ。
フェリー運賃 JD33(=US$46.48)/人 by 現金
ヨルダン出国税 JD5(=US$7.04)/人 by 現金
※フェリー運賃はUSドルで支払うとUS$40でお得。私たちはドルを持っていなかったのでJDで支払った。逆にヌエバからアカバに来るフェリーではUSドルしか受け付けないし、値段ももっと高いそうだ。
11:14-11:30 フェリーのオフィスがある場所から港までバスで移動開始。乗車している時間は5分ほど。
※バスは無料
11:30-13:00 フェリーに乗り込み、船内でエジプト入国手続き。船はまだ動かない。
エジプトビザ代金 US$15/人 by 現金
※1ヶ月有効
13:00-14:34 アカバ港からヌエバまでフェリーで移動。
14:35-15:00 船が港に到着してから30分船内で待機し、ようやく下船開始。
15:12 私たちの荷物が誤ってローカルのトラックに積まれる。追いかけて行き、怒号の中でスーツケースを奪取。
15:15-15:30 銀行で手持ちのJDをエジプシャン・ポンドに換金、裏手のイミグレでエジプトビザ発行、港の出口で手荷物のX線検査を経て、ようやく港の外に出られた。
15:30-15:45 強烈な客引きを全部無視して、バス停まで徒歩で移動。
16:19 ダハブ行きのバスが来たのを確認してからバスチケットを購入。
16:30-19:00 ヌエバのバスターミナルからダハブのバスターミナルまでバスで移動。
バス運賃 EGP11(=US$1.91)/人 by 現金
※途中でパスポートに問題のある人のチェックで1時間くらい停車
19:00-19:05 ダハブのバスターミナルから安宿の集まるマシュラバビーチにある宿ビシュビシまでピックアップトラックタクシーで移動。
タクシー運賃 EGP5(=US$0.87/人 by 現金
※2006.11.27現在、US$1= JD0.71 = EGP5.76で計算。JDはヨルダンディナール、EGPはエジプシャン・ポンド。

 今回の移動は本当に疲れた。移動時間が長かったこと、国境越えの手続きが入ったこと、荷物の扱いに手違いがあったこと、初めてエジプト人客引きの洗礼を受けたこと。これらの要素でくったくたになった。おかげでどこの国に入るよりも鮮明に「エジプトに入った!」という思い出に残る移動となった。

 昨日、港に下見に来た時、町中で港までのタクシーをつかまえた。宿のスタッフから港までのタクシー料金は通常JD2ないしJD3だと聞いていた。ところが一人目はJD15(=US$21.13)、二人目はJD10(=US$14.08)、それから数人に聞いて交渉して、やっと若い兄ちゃんがJD3で行ってくれることになった。

 私たちとしては港でチケットの値段の確認、ディナール支払いができるかどうかの確認、フェリーの時間の確認、港に来るべき時間の確認が済んだらすぐに戻る予定だったので、港に到着した時に若い兄ちゃんに港で待っていてくれるように頼んだ。ところが兄ちゃんは、そういう条件ならJD10はもらわないと話が合わねぇなぁとごね始めた。因みに兄ちゃんは英語がよくわからないので、港の公安の警察官に通訳してもらいながら話をしていた。

 既に暗くなった港にはタクシーの陰も見当たらず、もうこうなったらこの兄ちゃんに支払うしかないか、と思ったその時、警察官と雑談していたおっさんが、「俺、タクシーの運転手なんだよねー。俺がJD3で町まで送ってあげるから、問題ないよ」と会話に参入してきた。おお、それはありがたい。ということで、昨日はこのおっちゃんのタクシーで帰ってきた。おっちゃんは「で、明日は港から出発だろ?明日迎えに来てあげようか?料金はJD3でどうだい?」と帰りのタクシーの中で言ってくる。そりゃぁ願ったりだ。

 というわけで30日の朝8時に宿の前まで迎えに来てもらうことになった。漁夫の利とはちょっと違うのだが、おっちゃんは警察官と雑談して時間をつぶしながら、昨日の港から町までと今日の町から港までの合計JD6をさくっと稼ぐことができたのである。若い兄ちゃんはアホや。もう少し頭を働かせれば、楽にもうJD6も稼ぐことができたのに。目先の大きな魚ばかり追って貧乏をくらっている。

 30日の朝8時。ああは言ったもののドライバーは来るのだろうか?とやや不安になってはいたが、約束5分過ぎにおっちゃんはちゃんと現れた。

 まだエジプト人っぽい顔に慣れていなくて、どのタクシー運転手も昨日のおっちゃんに見えるので、どうしようかと思っていたが、「ほら、昨日港まで行った俺だよ」と言ってくれたのでわかった。というわけで、港までは値段交渉に労することもなく、快適に到着できた。

 昨日、タクシーのおっちゃんはフェリーの出発時間は12時だから11時に来ればいいなんて言っていたが、私たちは断固として8時半までに行きたいといった。8時半はちょっと早すぎたが、色々と手続きにかかるので、最悪10時半、余裕を見て10時には来ていた方がいいだろう。

 手続きとしては、
・港のオフィスの1階右手にある税金ルームで出国税を支払う。
・そのレシートを持って2階(税金カウンターの奥から2階に上がると近い)のイミグレカウンターに行き、
・ヨルダン出国のスタンプをパスポートに押印してもらう。
・イミグレカウンターを左手にして立つと、2階の右手奥でフェリーのチケットを販売しているので、チケットを購入する。(US$でもJDでも支払い可能。現金のみ。US$の方が割安で買える)
・イミグレカウンターと同じ左手のイミグレカウンターの先にチケットと出国スタンプの押されたパスポートを提出すると、フェリーのチケットに乗船許可のスタンプを押してくれる。

 ってな具合だ。ヨルダンからエジプトに渡る商人も多く乗る船なので、こういう業者に混じって手続きをしなければならない。日によっては混雑する場合もあるだろうから、早めに行って手続きをした方がいいと思われた。

 建物はこんな具合に細長い。最初の税金の手続きは1階と2階の間に海に船が浮かぶ写真が掲げられた、建物の真ん中よりやや右寄りの所。


 上の建物の左端にある外付けの螺旋階段を入った所から撮影した写真が左。

 建物は奥に長く伸びてい、真ん中辺りにブルーのしきりがある。仕切りの手前の右手が、最後にパスポートとフェリーチケットを見せてチケットに確認印をもらう所。ヨルダン出国のスタンプは、このブルーのしきりを超えた右手のカウンターで行う。チケットを買うのは、この写真を撮影している立ち位置から見て左手になる。

 これが終了すると、建物の前に設置された屋根のかかったベンチで、港に向かうバスが出るのをひたすら待つ。

 ここで待っている人はエジプト人が多いのだろうか、今まで出会った人とはちょっと違って浅黒い肌の人達だった。「日本人か?そうかウェルカム」「フェリーのチケットにちゃんと最後のスタンプ押してもらってるか?」「税金支払って出国手続きしたか?」「エジプトは初めてか?」・・・。ひっきりなしに話しかけてきたり、ちょっと目が合うとウィンクしてきたり。

 おお、エジプトが近づいている。今まで出会った日本人旅行者の誰もが口を揃えて言う「ウザイ双璧の一つ、エジプト」。因みにもう一つはインドだそうだ。

 「良しにしろ悪しきにしろ、エジプト人はかまってくるよー」という雰囲気がヨルダンにいるアカバからジワジワと感じられてきた。「人懐っこいという言い方もできるねぇ。」ここではまだそんな程度の感想だった。

 バス出発の11時近くになると、行商の荷物積み込みが始まった。

 何を焦ってそんなにめちゃくちゃに詰め込むのかわからないが、とにかく積み込むというよりは投げ入れているという表現に近い。もっと整然と積み込めば、より多くの荷物を積み込めるし、引き出す時も楽だろうに、誰もそうせずに毎日毎回こうやっているんだろうなぁ。

 中には泣きそうな顔でヒステリックに怒鳴っているばあちゃんもいて、戦争の引き上げの映像でも見ているような騒然とした風景だった。辺りにはスーツケースのタイヤがバラバラと転がっている。投げ込まれた衝撃で取れてしまったのだろう。これを見て、絶対に預けてはならないと確信した。

 11時にバス乗り込み開始。このバスには荷物を入れる所もあるので、荷物を入れてからバスの入り口に向かった。ここも先ほどの荷物積み込みと同じくウワーッとばかりに人が群がり、乗せろ、乗せろの大混雑。

 一体どうやってこの群集に入り込もうかと思案していたら、外国人は優先的に乗せてくれた。一応気は使っているようである。

 バスを降りて、フェリーの後ろ側がわっくりと開いている所から乗船。1階は駐車場と両脇が荷物置き場になっている。

 私たちも他の旅行者と同じ所にスーツケースを置いていくことになった。本当は柱にワイヤーで縛りつけようとしていたのだが、警官に「それはやめてくれ」と言われ、普通にそこに荷物を置いておいた。今から思えば、ここで警官の言う事を素直に聞いたのが間違いだった。


 この後、2階の客席へ。長蛇の列ができていたのだが、ここでも外国人旅行者は優先的に先に客席にあげてもらえた。行商の人々と同じ空間にはいるものの、少しだけ優先させてもらえる。それがこのフェリーのようだ。

 客席に入るとすぐにエジプト入国の手続きに入るように言われた。客席の中でラウンジ風になった所が仮設のイミグレ。

 私たちはエジプトのビザを取得していなかったので、その場でパスポートを預けさせられた。船がヌエバというエジプト側に到着したら、銀行でビザ代金を支払い、そのレシートを持ってイミグレに行くとパスポートを受け取れるという話だった。

 船は客を積み込んで1時間程停泊していたが、13時に出発。1時間半もすると対岸のヌエバが見えてきた。飲み物やサンドイッチの販売も回ってきて、乗り込むまでの騒然とした雰囲気が嘘のような船内の様子だった。

 ヌエバに到着して船は進行を止めているものの、またもやながーい停泊。ビザを取得し、パスポートにハンコを押してもらわなきゃいけないし、次の乗り継ぎのバスの時間も気になる。係員に事情を説明すると、ビザが必要な客は優先的に降ろすことになっているからと、別室に案内された。出入り口に近い別室には、足の悪い老人、乳幼児連れ、そしてビザ取得が必要な外国人観光客などがいた。停泊して30分近くたってから、ようやく下船が始まった。

 まっさきに荷物に駆けつけようとしたら、あら?荷物がそっくりない。2人とものスーツケースが忽然と消えてしまっていたのだ!

 エジプト入国にして、ついにスーツケースごと盗まれる羽目になったのか!!!と体中の血がサーっとひいていった。しかし次の瞬間、傍らの荷物をどんどんと鉄格子の柵に投げ入れている作業員に気づいた。

 ま、ま、まさか、この中に放り込まれているのではないか?確かに通常の先進国のバックパッカーが持っているリュックではない私たちのスーツケースは、行商人が多様しているソフトスーツケースにそっくりだ。投げ入れている奴らがサムソナイトのマークに気を使っているとは到底考えられない。船に乗り込む前に荷物積み込み現場で見た、散乱するスーツケースのタイヤが頭をよぎり、今度は別の意味で再び血の気が引く。柵の中はもう色んな方向を向いた大きな荷物がめちゃくちゃに入っている。その中に、私たちのカワイソウなスーツケースも他の荷物に押しつぶされながら入っているのが見つかった。「私たちのスーツケースが入ってしまったから、作業やめてー。ストップ、ストップ」と頼んでも、叫んでも作業は止まらない。

 やがて荷物は積み込みを終え、車に引かれて船から出て行った。追いかけなければいけない。と、トラックを追いかけて行こうとすると、警察に「いや、ここで待っていなければいけない」と止めるではないか。

 「だいたいお前がワイヤーでくくるなっつーから、こんな事になっとんじゃー」とアドレナリンが噴出してきた。「あんたねー、アタシのスーツケースがあそこに入ってんのよ。あれが壊れたりどこかにいっちゃったら、あんたが責任取ってくれるんでしょーねー!ええ?」と人差し指を警官の胸に突きつけんばかりに指して言うと、「だったら、この若い警官に護衛してもらって行きなさい」と若い警官に仕事を振った。若い警官は若い警官でやるべき事があるらしく、それは困るなどと言っている。知るか!

 というわけで、2人の警官を振り切って車を追いかけて外に出た。幸いにも50mくらい離れた所で車は停車。荷物の積み下ろしが始まった。

 私たちは自分のスーツケースを指差し、放り投げないで!丁寧に扱って!と懇願し、ようやく取り戻すことができた。エビ反りになってしまった私のスーツケースは、収納されている引き出す取っ手の部分がやや曲がって、これ以降、引き出す度にこすれるようになってしまった。やれやれ。でもまぁ本質的な機能は損なわれていないから誰にも文句は言えない。というか、このカオスの中で文句を言っても埒があかないだろう。エジプトに入国してまだビザも手にしていないのに、早くもエジプトのカオスの洗礼を受けてしまったのだった。

 荷物を持って船の方に引き返そうとすると、先ほどの若い警官が他の外国人旅行者も連れて現れた。丁度皆を銀行に案内する所だった。彼についていくと、まず銀行でビザ代金の支払い。ドルでなければ受け付けられないというのでドルで支払った。同時に残ったヨルダン・ディナールをエジプシャン・ポンドに換金。近辺の換金レートで言うと、船の中が一番悪く、次がアカバの町中、そしてエジプト側の港にある銀行が一番良かった。波乱の移動の中で数少ない良かった事の一つである。

 銀行の領収書を手に、今度は銀行を左手から回りこんだ裏側にあるイミグレにぞろぞろ移動。ここで国名や名前を呼ばれてパスポートを受け取ったら入国手続き完了だ。因みに私たちは、「おい、そこのジャパニ」と呼ばれた。

 これまで得た情報によると、ここからダハブ行きのバス停までは800mくらい。港のエリアを出て左に進むと、たちの悪いタクシー運転手が客引きしてくる悪魔地帯を抜け、右折してずーっと歩いた左手にバス停がある。

 港の建物を出る前には一応X線手荷物検査なども行っていて、ここでも行列ができている。行列の理由は、2つの検査窓口があるものの、1つのベルトコンベアーが壊れているので、2つの検査の荷物が1つのベルトコンベアーにどんどんと乗せられてしまうのだ。問題のある荷物が、一体どちらの検査窓口の誰の物かわからず、検査員が探そうとする度に作業がストップしているという有様なのだ。しかも、ベルトコンベアーに乗せられた荷物は、周りの人が勝手に回りに投げ散らしている。こんな所に大事なリュックは絶対に載せられない。

 私はリュックの係員側の肩かけをはずし、リュックを背負っていないように見せかけて検査をすり抜けた。大成功。夫も同じ方法ですり抜けようとしたのだが、見つかってX線コンベヤーに乗せる事になったが、私が最後で待ち受けていたので、投げられることなく荷物を拾うことができた。

 こうして荷物検査を終えて外に出るや、悪魔地帯に潜入である。「ダハブへ行くの?タクシーはどう?」「今日のバスはもう終わってしまったよ」「バスのチケットと同じ金額で行ってあげるから」「バスよりも安く行くから」と嘘八百三昧の客引きが声をかけてくる。悪魔地帯とは言え、少しでも耳を傾けると危ないだけであって、まるで無視して通り過ぎれば腕を引くなど体に接触してくる程ではないので、まだましだったかもしれない。

 悪魔地帯は噂ほどでもなく通過。埃っぽいだだっ広い道を歩いていると「本当にバス停なんかあるんかいな?」と不安になってくるのだが、あるのだ。以前にイスタンブールで知り合って船で再会したアキコさんがバス停で迎え出てくれた。時刻は午後4時近く。4時のバスだと聞いていたのだが、バスはそれから15分してからやってきて、出発したのは4時半になってからだった。

 しかし良かった。このバスにさえ乗ればダハブまではたどり着ける。ヌエバからダハブまではほんの1時間だ。

 ・・・と思いきや、ダハブ近くのパスポートコントロールで停車。ダハブで最近テロ爆破事件が起こったことを受けて、警戒が厳しくなっているのは聞いていたが、こんなにも時間がかかるとは。どうやら私たちのバスに乗っていたいずれかの人がチェックにひっかかってしまったらしいのだ。30分、40分。まだ出発しない。考えてみたら、朝ごはんを食べたっきりで、船の中ではお菓子を食べただけ。うわーん、腹減ったよー。そう思うと、どんどんお腹が空いてくる。

 こういう時、常識的な大人の態度としてはどうすべきなのか?私は迷わず運転手さんに向かって、「ねぇねぇ、とーちゃーん、おらぁもう腹減って、腹減って。いつになったら出発するんすかねぇ?」と日本語とジェスチャーで訴えてみた。


エジプトで初めて食べるアエーシはフカフカした薄いパン。

一つ5ポンドもらわなきゃなぁと出し渋っていた運転手助手も
日本人旅行者と写真に写るとなるとニッコリ。あはは。
日本人女性はアキコさん。

運転手さんと旦那。
 するとどうだろう。運転手は自分用に用意していただろう、アエーシ(エジプト特有のパン)にタヒーナ(ゴマでできた白いペースト)を塗り、ファラフェル(ソラマメをつぶして作ったコロッケ)とピリ辛のナスの煮物を詰めて、「ほら、サンドイッチだ」と振舞ってくれたのである!

 感激だ!

 作ってくれた運転手の爪が真っ黒に汚れているからって、ここで断ることができようか? 恐る恐る食べてみると、これがむちゃくちゃ旨い。

 料理の一番のスパイスは空腹だという言葉もあるが、それを差し引いても、今までシリアとヨルダンで食べたファラフェルに比べて断然エジプトのがおいしいのだ。

 サンドイッチを食べて撮影会なぞして和やかに待っていると、停車して1時間後やっと出発することができた。

 2時間半かかって、午後7時にダハブ着。バスを降りようとすると、ダハブの安宿が集まるマシュラバビーチまでの客を争奪しようと、タクシー運転手がガガガーッとバスの出口に群がっているのがバスの中から見えた。運転手さんの人柄にホッとしたのも束の間だったなぁ。私たちは又、魑魅魍魎のエジプト人客引きの中に放り出されることになった。

 ダハブのバスターミナルからマシュラバビーチまでの適正価格はタクシー1台でEGP5(約100円)のはず。ところが、群がってくる運転手は口々に一人EGP5だと行ってくる。その中に、私たちが向かおうとしていた宿、ビシュビシからの宿の客引きの兄ちゃんがいて、彼を連れてきた運転手だけが「よし、3人でEGP5でいったる!」と言ってくれたのだった。

 他の客引きが「この裏切り者ー!」「地獄に落ちろー!」と言っているかどうかは定かではないが、私たちのドライバーに悪態を浴びせていたのは確かである。私たちは逃げるようにドライバーについて駐車してある車に向かった。

 ピックアップトラックの荷台に大きな荷物3つと人間が3人が詰め込まれ、宿の客引きの兄ちゃんだけが助手席でのうのう座っている。タクシーじゃないじゃないかと思ったが、仕方ない。他の客引きの手が迫っているのでそのまま出発することになった。

 マシュラバビーチまではほんの5分程度。宿の前で降りる時になって、ドライバーは「本当は一人EGP5だが、今日は特別に3人でEGP10にしてやる」などといい始めた。

 「はぁ?何言っちゃってんのぉ?」フェリーから降りてから、つまりエジプトに入ってからの無茶苦茶ぶりにいい加減うんざりしていた私は、この最後の最後になっての運転手の暴言にぶち切れた。

 「あんたが5だっていうから、乗ったんじゃない。この宿の兄ちゃんも聞いていたはず。兄ちゃん、聞いていたよね?ねぇねぇ、聞いていたよね?」と宿の兄ちゃんも巻き添えにして確認。宿の兄ちゃんはアラブ人らしく、人の商売を邪魔したくない。困惑気味で、イエスともノーとも言えない表情をしている。そんな奴にも腹が立った。「とにかく、5だって言ったら5だの。これ受け取ってトットとお帰り!!」と金を渡してお引取り願った。ちょっとブーたれて悲しそうな表情をするドライバーにますますムカついた。私がいじめているみたいじゃない!

 こうして波乱のエジプト入りが終わった。いやー、聞きしに勝る混沌の国は、シナイ半島に至るまでずずずいーっとカオスになっているようだ。。恐るべし、うざい大国エジプト。これからのエジプトが楽しみやら、怖いやら。


 
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