夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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スペイン/マドリッド
2006.04.12 マドリッド
マノロくん

マドリッドで宿泊したホステルのフロント係りをしていたマノロくん。私たちが宿を探して彼に話しかけると、いきなり「日本人ですか?」と日本語で話しかけてきた。

 丁度その時、フロント付近にいた岡山大学に留学中のアフリカ人の男性もいて、4人で日本語でおおいに盛り上がった。

 この宿に宿泊して毎日顔を合わせるうちに、彼が高校生の17歳の時に山口県の田舎に交換留学生として1年間滞在していたことを聞いた。

 日本というと、ハイテクの国、ピカピカの大都会を想像していたマノロくんは、この現実を見て、「超オドロイタヨ」という感想を持ったそうだ。しかし、ホームステイしたお家で、稲を植える手伝いをさせてもらったり、つきたてのお餅を自家製の小豆で作ったおしるこで食べさせてもらったり、知人からいただいたという天然のうなぎで蒲焼を食べたりという経験を通じて、日本の自然の美しさ、人の温かさを知って、なまじ都会にホームステイするよりもよかったと今では思っているそうだ。

 私たちは彼の話を聞いて、「よかった」なんてレベルじゃなくって、日本人から見ても、それはかなり貴重なうらやましい体験だったのだと彼に言った。今時の日本人で、そんな豊かな食生活を体験している人が何人いるだろうか。ああ、何とうらやましい。

 そういうと、彼は更に、白子の踊り食いのエピソードも話してくれた。ある日、おばあちゃんが「マノロくん、日本ではね、こういう食べ物もあるのよ」と生きたままの白子にちょっと醤油をかけて食べる、白子の踊り食いをご馳走してくれたというのだった。「どうだい?おいしいかい?」と聞かれて、「そう言われても噛まずにゴクッと飲み込んだだけだから、醤油の味しかしなかったんですねぇ」と言うマノロくんに、私は口角泡を飛ばしながら、東京のコ洒落た居酒屋だと、生きていない生白魚は1000円くらいで1口しか出てこないんだからね、私なんて踊り食いしたことないんだからね、と興奮気味に言った。そんな私を不思議そうに見ながら、マノロ君は「でも、醤油の味しかしなかったですよねぇ」と再度ゆっくりと言った。

 また、日本での滞在中、結局日本語は完璧にはわからなかったが、おじいちゃんやおばあちゃんが何を言わんとしているかは、表情やゼスチャーからわかったと言う。このことから、コミュニケーションというのは、言葉だけではないという経験ができたのも貴重だったという意見に、我々も深くうなづいた。腰が90度に曲がったおばあちゃんが、「マノロ君、だめ、だめ、それは違うのよ」と手を大きくばってんにクロスさせながら言うという物真似は、私たちのお気に入りのエピソードで、何回聞いても大爆笑だった。

 そう、これがマノロ君。何だかゆったりとしているけれど、仕事は各国の旅行者を相手に、スペイン語と英語を駆使してテキパキとこなしている。メキシコの食べ物に精通していると思ったら、ベネズエラで生まれて、メキシコにも暮らしたことがあるということだった。てっきりスペイン人かと思った。かつては、豊かな生活を求めて、多くのスペイン人が中南米に移住したが、今はその逆で、先進国での高い給与を求めて、多くの中南米人がスペインに移住をしてきているということだった。

 そういえば、南米で出会った日系人からも同じような話を聞いたことがある。祖父たちが祖国を出ずにスペインにずっといたらよかったと思ったことはあるのだろうか。この質問を投げかける程には深く話さなかったが、マノロ君を見る限り、そんな考えは持ち合わせていないようで、かえって色々な国で過ごした経験を誇りに思っている発言を他の人にしていた。そんな根底があって、かれの余裕のある人柄が作り出されているのかもしれない。

 またいつか、マノロ君のおばあちゃんの物真似が見てみたい。


2006.04.13 マドリッド
栗城昌代さん

宿のラウンジでネットをしていたら、フロントの方からマノロ君と日本人女性が日本語で話しているのが聞こえた。

 お、初めてここで日本人宿泊者に出会うのか?と思っていたら、マノロ君が「そうそう、日本人宿泊者がいるんですよ」と彼女を私たちに紹介してくれた。

 昌代さんは、この宿に宿泊しているのではなく、この宿の上の階のアパートに住んでいる人だった。同じ建物内にはスペイン語の語学学校があり、生徒用に5部屋だけ賃貸のアパートがあって、彼女はその1室を借りているということだった。

 スカーフを洗濯して、ベランダから干そうとしたら手がすべって我々の階のベランダに落ちてしまったので、取りに来たのだということだった。偶然いあわせたので知り合うことができたが、そうでなければ同じ建物に滞在していても知らずにいる所だった。こんな偶然もあるんですねぇと、話は盛り上がり、数日後、彼女をホステルのキッチンにご招待。ささやかな夕食でおしゃべりを楽しむことになった。

 南米で出会った日本人旅行者と比べると、おしゃれなお洋服でメイクもちゃんとしているし、ヨーロッパにいる人はタイプが違いますねぇと言うと、昌代さんは「いえ、私もバックパッカーで放浪していたこともあるんですよ」と話してくれた。

 これまでに行った国はタイ、モンゴルなどヨーロッパ以外の所。モンゴルでは、偶然知り合った現地の女の子のお誘いで、彼女と家族が住むゲルに招待され、そこでホームステイしたこともあるそうだ。こうして仕事の合間の休みを使っては旅行をしていたが、タイでタイ式マッサージを習得し、転職して、今回日本を出る前までタイ式マッサージ師をやっていたということだった。

 で、今回なぜスペイン?と聞くと、「スペインが呼んでいる気がしたので」という答えが返ってきた。ここでスペイン語を習得して、できれば日本人相手にマッサージの仕事ができればいいなぁと思っているのだそうだ。以前、グアテマラで知り合ったマッサージ師の男性も、カナダでマッサージ治療院を開いて数年開業し、旅をしたくなったからたたんできたという話を聞いた。いやぁ、何だか自由だなぁ。自分の人生を自分の思い描いたように決断して、路線を変更していく。この当たり前のようなことがなかなかできない人が大半だと思う。さらっとやってのけている昌代さんのこれからが楽しみだ。


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