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トルコ/カッパドキア |
2006.11.09
イスタンブール、カッパドキア
自称アレックス(本名ムハンマド)
イスタンブールのTree of Lifeという宿の情報ノートで見つけた宿アンドロメダのオーナー。
顔はいかついし、物の言い方も渋いのだが、よくよく話をしてみると結構子供っぽく意地をはったり、いじけたりする可愛い性格の持ち主だった。
我々が宿泊して3日目くらいから、精神的に落ち込んでいるように見えた。
4日目の朝、いつものように朝8時頃にロビーのソファーで朝食を食べていると、向かいのソファーに夜勤ついでに眠っているアレックスがうすーく目を開けて、横になりながら話しかけてきた。「いつも、決まった時間にそうやって朝食を食べるのかい?そして昼食も、夕食も決まった時間に食べるのかい?」。
そうだと答えると、しきりに我々を羨ましがり、宿の商売はいつ何時客が出入りするかわからないので、忙しすぎて決まった時間に食事を摂ることができない、この商売は自分には向いていないのではないかと嘆いた。私が知る限り、この時期の宿はとても暇で、食事をする時間などはたっぷりあるはず。おかしな事を言うもんだと思っていた。
後で出会った日本人で、我々の前にアンドロメダに宿泊していた人から聞いたのだが、彼らがいた時は男ばかりで皆で料理してアレックスにもご馳走したりしていたらしい。彼は元料理人なので、「この野菜の切り方は素人だなぁ」などとプロの意見を飛ばしながらも楽しい食生活を送っていたらしい。ところが、我々が宿泊していた時は、皆それぞれに食事を作ってそれぞれに食べていたので、恐らく彼は寂しくなってしまったのではないだろうか。
ところが5日目になって、急に彼が活気付き始めた。タイに在住する知り合いからタイでトルコ料理のシェフを募集しているので、1年間の契約を結んできたのだという。ええ?もう宿はやめちゃうの?そういえば、昨日、この宿を見に来ていたトルコ人がいた。宿もどうやら売りにかけているようだ。
アレックスは、今までにも韓国で2年間トルコ料理のシェフをしていて、その後は日本にも1年シェフとして働いた経験があると語った。料理の自慢話になると、にわかに彼の目は輝き、自分がどんなに清潔に気を使っているか、自分の料理が韓国の料理博覧会で一番人気で賞金をもらった話とか、ついでに一緒に話を聞いていた大学院生にお前の野菜の切り方は全くなっていない、などと余計な意見まで述べつつ、とにかく快活にしゃべり続けた。
安いがアレックスが丹念に掃除してくれているお陰で、結構快適だった宿アンドロメダがなくなってしまうというのはとても残念なことだが、今度タイでこの男に出会うというのも面白いじゃぁないか。将来の再会を約束してメール交換などをした。
こういうオーナーと出会えるのは安宿ならではである。中級以上の宿ではなかなかオーナーや従業員の素顔は見えないものであり、また見せないのがプロだろう。しかし、安宿では皆素顔のまんまで働いている。特にアレックスは、思いっきり自分丸出しでやっているので、とても楽しかった。
最後に宿からすぐ近くのバスターミナルまで、いいっちゅうのに車で送ってくれた彼に、「今度はバンコクで会うことになるかな?」と訪ねると「メイビー」と渋く答えた。いや、そこはメイビーじゃなくてシュアーと言ってほしかった。あんなに熱く語っていたのに、メイビーって不確かなのかーーー?
最後まで渋く決めるポイントが間違っているのがアレックスらしかったなぁ。
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2006.11.09
カッパドキア
チエコさんとIZZETイーゼットさん
カッパドキアで、密かに日本人自由旅行者の憩いの場になっているのが、街の真ん中辺にあるケーキ屋さん。その理由は、ここが周囲とは違ってちょっと洒落たカフェだというのの他に、奥さんが日本人だってことがある。
私たちも雪が降ったり寒かったりして1日中宿にこもりっぱなしの日でも、夜になるとここに出てきて、チエコさんや他の日本人旅行者との話に花を咲かせていた。
このケーキ屋さんでイスタンブールで一度出会った青年に再会して喜んでいたら、その青年いわく、「いやー、もっと珍しい再会があったんですよねー」。
聞いてみたら、この青年とチエコさんはかつてオーストラリアの同じ語学学校のクラスメートだったのだそうだ。かれこれ3年以上の話。
語学学校終了後、チエコさんは世界一周旅行の途中でカッパドキアを訪れ、今の旦那さんであるイーゼットさんに出会った。それから3年間の交際を経て、今年の9月に結婚式を挙げたのだそうだ。
イーゼットさんのお父さんは畑なども持ちつつ、街中では八百屋さんを営んでいる。この八百屋さんの担当がチエコさんになるはずだったが、オープンな店なので、冬は寒いだろうし・・・とイーゼットさんが考え、八百屋さんの向かいに売りに出ていたケーキ屋さんを買ったらどうかとチエコさんに持ちかけた。
チエコさんは、このケーキ屋さんのカフェでお茶を飲みながら、客層はどうか、単価はどれくらいか、何がよく出ているのか、など市場調査も行い、二人で購入に踏み切ったのだそうだ。なかなかしっかりしていらっしゃる。
このお店には、トルコ特有のライスプディングやクッキーなどから、カッパドキアの他ではみない西洋風のケーキやエクレアなどを置いている。それ故か、白人のお客様も多く、店の内装とお客さんの雰囲気が相まって洒落た店になっている。
「ここのタイルをもっとこんな風にしたいんだけど」とか「和食メニュー出したらいけるかなぁ」とチエコさんもやる気に満ちていて、日本人旅行者に色々なテーマを投げかけてくれるので、長い夜も飽きることなくケーキ屋発展会議を楽しむことができた。私たちがいた時の提案としては、夏の暑い時期にカキ氷を出したらどうか、ということ。できれば、氷はカッパドキアのキノコ岩の形を3本立ててほしい、など色々な意見が出た。
今度訪れる時にカキ氷が出ているかどうか、今から楽しみである。
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