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モザンビーク/ヴィランクーロ |
2007.07.04 ヴィランクーロ
Shauna Fitzmahanさん(中)、
James Michelさん(右)
ヴィランクーロの同じ宿に宿泊していたこの二人はアメリカ人で、インターナショナル・バカロレアの先生をやっているのだそうだ。
インターナショナル・バカロレアというのは、世界各国にちらばる英語教育の高校で、生徒はその国に駐在する外国人の子女やその国でも富裕層に属する人々の子供達なのだそうだ。
シャウナさんとジェームズさんは、現在共にエストニアの学校に勤務中で、2ヶ月の休暇を使ってアフリカ旅行をしている最中なのだった。任期は2年間。もしその国が気に入って引き続き滞在したい場合は、更新のための試験を受けることになるそうだ。また、任期満了とともに他の国に行きたい場合は募集が出ている国の試験を受けて合格すれば、他の国に移動できるというシステムだそうだ。
こういう職業に就いている二人だからなのか、宿にいる様々な国の人とのコミュニケーションのとり方にも長けていて、彼らと話をしている誰もが心を開いてうちとけているように見えた。
私がそう言うと、シャウナさんは「いえ、それでも私は短気で、人と言い合いになってしまう事があるんだけど、ジェームズは時間をかけて相手を納得させる力があるので本当に素晴らしいと思うわ。ほら、あの時だってねぇ・・・」と最近起こった出来事を話してくれた。
それは私達もよく遭遇するミニバスの料金の話だった。ミニバスに乗り込んだ時に車掌が言っていた料金が、降りる時には違う金額になっていたのだそうだ。最初はシャウナさんが交渉したのだが、相手の対応にだんだんイライラして声を荒げ始めた。そこでジェームズさんが登場して、車に乗る時の場面から事細かに説明をし始めたのだった。
「ほら、あの時、君が僕のカバンを車の中に入れながらこうやって振り返って料金の話をしたよね?覚えてるかい?」
、相手に、バスに乗り込んだ時の状況をビジュアルに思い出させることで、車掌は自分が言った金額を思い出し、正しい金額を請求しただけでなくジェームズさんをマイフレンドと呼び、固い握手をして別れたのだそうだ。
そう言われれば、私達との会話でもジェームズさんはあまり口をはさまずに、ニコニコしながら聞いていることが多いのだが、会話がふと途切れたりすると気の利いた話題を提供してくれていることに気づいた。そういう人なんだ、彼は。
で、そんな彼の魅力を高く評価しているシャウナさんがいる。
いやぁ、美しいカップルだなぁとここでも私は感動した。うちなんてねぇ、ののしりあい、けなしあいのバトルが多いものだから、この正面切って敬いあっている二人の美しさが輝いて見える。はぁ、うちではあり得ないねぇ。
英語が世界の共通語として認識されているからこそ、英語が母国語の人々はこうした職業に就くこともできる。教師という技術をひっさげて、世界中のあちこちに滞在しながら動き回れるし、それと共に自身も大きく成長して教師という技術に磨きがかかる。いい循環のシステムだと思う。
シャウナさんのお母さんは仕事の関係で日本に滞在していたこともあり、彼女は子供の頃から話を聞いていた日本でも、いつか教えてみたいと語った。こんな素敵な先生なら日本でも人気が出るだろうなぁ。
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モザンビーク/トーフ |
2007.07.08 トーフ
マッサージ師マサシさん
7月7日にオーシャンサファリに参加しようとダイバーズショップに行くと、海に張り出したテラスの下で、妙に丁寧なストレッチ運動を行っているアジア人男性がいた。すごい真剣モード。もしかしてスタッフなのかしら?とその時は思っていた。
サファリへの登録と支払いを済ませて出発を待っていた時、レセプションカウンターで参加者名簿を見ていたさっきのアジア人が「おお、アキコさんではないですかぁ」と言ってくるではないか。その顔を見て私も「おお、マサシさん!こんな所で再会とは!」と見覚えのある顔に思わず大きな声を出してしまった。
こういうのが一番うれしい。予期せぬ再会だ。しかも約2年ぶりに!
マサシさんと始めて出会ったのは2005年の8月、中米のグアテマラ、アンティグアという町にある日本人宿「ペンション田代」でだった。マッサージ師であるマサシさんは、カナダで得た収入を使って中南米を旅行中している最中だったのだ。
それから2年。私達は中南米、ヨーロッパ、中東を周ってアフリカのモザンビークに入ってきたわけだが、マサシさんはフランスのパリに滞在してマッサージ修行を行っていたのだった。良い縁があって、パリでは上流階級にコネクションができて順調にマッサージの修行が進み、少し休憩も兼ねてアフリカ旅行に乗り出した所でバッタリと再会したというわけだった。
久しぶりに出会ったマサシさんは、パリの影響かグアテマラで出会った時よりも垢抜けて見えた。グアテマラでは多くの日本人に囲まれていて、なかなかじっくりと話す機会もなかったのだが、今回はゆっくりと話をすることができた。
普通に日本の大学に通って、普通に就職して、決められたレールの上を歩く人生でいいのか。大学生の時にそういう疑問を持ったマサシさんは、大学を辞めて人生修行の道に入った。以来、ほとんどの期間を外国で過ごしている。修行の期間は10年間と思って出てきたのだが、既に8年を経過しており、南米で師と思える人との出会いもあった。次なる10年はこの師について、更なるマッサージの奥義の習得に励むことになりそうだと新しい豊富を語ってくれた。
マサシさんは旅に出るにあたって、いくつか自分にルールを課している。
現地の文化には首をつっこんで習得しようと努力すること、出発前に日本で買った衣類を10年間保たせること、毎朝必ず1時間体を鍛える運動をすること、などなど。まさに修行の体制である。
文化を習得するという点については、そもそも合気道をやっているので、ブラジルのカポエラなど武道系が取り組みやすいようだ。ケニアでマサイと戦ってみたいという野望もちらつかせていた。
記念撮影をしようというと、8年間もたせてきた「制服」で撮影したいからと着替えてきてくれた。常にこの格好で色々な写真に写っているのだそうだ。そうそう、確かグアテマラで出会った時もこの格好だった。洗濯は手洗い、洗剤は使うがやさしく押し洗いするのだそうだ。又、上着の肩口、ズボンの股など破れやすい部分はあらかじめ補強縫いを自分で施してあるというから凄い。本当に10年間もたせる意気込みが感じられた。
今まで出会った人とのエピソードの中で印象的だったのは、タイでお金持ちと出会った時の話。日本人で若くして事業に成功して巨万の富をどうしていいのかわからずに暮らしているという人に出会ったのだそうだ。その人は毎日が退屈でたまらない。ザラザラとお金を使っているのに退屈。一方のマサシさんは予算2万円くらいでタイの国中を旅して、ハラハラドキドキあり、人情話ありのエピソード満載の充実した体験をしてきたばっかりだった。日本人のお金持ちはマサシさんに「君は少ししかお金を使っていないのに、どうしてそんなに楽しそうなのか」と真顔で尋ねたという。
うーん、象徴的なエピソードだ。旅の面白さは予算と比例しない場合がある。もっと言えば、人生の充足感はお金では買えない所にある。そして苦労のない所に充足感はない。ってことでしょうか。お金持ちになった人だって、事業に取り組んでいる時は大変だっただろうに、そういう事を人間はすぐに忘れてしまうのだなぁと深く考えさせられた。
他にもパリの上流階級の人の話など、私達が見たことのない世界の話も面白かったし、「制服」でパリコレも見に行っちゃったって話も笑えた。
とにかくマサシさんとの再会は実り多い話で満ちていて、本当に楽しかった。次回も酒を酌み交わしながら多いに話をしたい。
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