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2007.02.08 Vol.1
スーツケースの修理
ケニア:ナイロビ |
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サファリから戻ってきて、やらなければならないことが2つあった。これからモーリシャスとマダガスカルに行く航空券の手配と、エジプトからの移動中に壊れてしまったスーツケースの修理だ。
6日は旅行代理店巡りを行い、7日の午前中は回った中から一番いい値段を出してくれたアフロスペースで航空券の購入を行った。そして、7日の午後からスーツケースの中身を全部出して、エジプト航空のオフィスに向かった。
私たちの宿泊しているプラネットのオフィスがあるMoi Avenueはダウンタウンとの境目にある。そこからヒルトンホテルのアーケードにあるエジプト航空のオフィスまでは徒歩10分。ダウンタウンには入らないとはいえ、辺境なので大きなスーツケースを徒歩で運んでいて強奪されるのではないかという不安があった。
そこで夫は短パンにベルトを締め、ベルトとスーツケースに自転車のワイヤーを通して鍵を付けた。この奇妙ないでたちにプラネットの女性マネージャーは「何してるの?」と興味津々。事情を話すと、上を向いて「かっかっか」と笑い、「もし強盗に襲われたら抗うと生命の危険があるので、旦那さんはそのまま強盗と一緒についていくしかない。奥さんは1人で帰ってくることになるわね。ま、そうしたら新しいケニア人の旦那を紹介してあげるから、ハクナ・マタタ(スワヒリ語で「問題ない」の意味)だ」とストーリーを披露してまた笑った。他のスタッフも大笑い。唯一、渋面を作っているのはうちの旦那だった。
そんな冗談を後にして、、エジプト航空の事務所には無事に到着。ところが担当者がつい今しがた帰ってしまったので明日出直してくれということになってしまった。スーツケースは置いていくことにして、預り証をもらって宿に戻った。
そして今日8日。朝9時にエジプト航空のオフィスを訪ねると空港で出会った女性に会う事ができた。スーツケースの状況を点検し、やはりUS$25をもらって話をクローズすることで意見が一致。ただし、彼女の上司がお昼にならないと来ないので12時にもう一度来てくれと言われた。
一度オフィスを出たものの、昨日の午前中、午後、そして今朝と3回もオフィスを訪ね、12時にもう一度行くというのが面倒だった。そういえば、空港で彼女と話をした時、彼女の上司は空港でのクレーム処理を終えて午前10時にはナイロビ市内のオフィスに戻るのが常なので、10時過ぎに来てくれと言っていたことを思い出した。12時というのは上司が来て、確実に書類にサインし終える時間を余裕をみて言っているのだろう。だったら、今からオフィスで待っていれば、上司が来てすぐに手続きを終わらせることができるんじゃないだろうか。
そこで踵を返してオフィスに戻ると、案の定、上司が空港から戻ってきているということだった。上司のオフィスに行く。再びスーツケースの状況を見てもらい、KSH2000(=US$28.33)ならすぐに出せるのでそれで自分で修理するか、あるいはエジプト航空側で修理するがどちらがよいかと聞かれた。ただしエジプト航空が修理する場合は、今日はそういう雑用をする人が休暇なので、明日修理に出すことになる。明日またオフィスに来てもらうことになる。という話だった。
私たちはサファリ旅行代理店のドミトリーにいて、こうしている間にもベッドに広げた荷物が盗まれる可能性は刻一刻と高まっていること、旅行中なので、何回もここを訪れる時間がもったいないので、自分達で修理をして今日中に用事を済ませてしまいたかった。昨日の7日は、旅行代理店を訪ねながらもスーツケース屋を見ては店内に入り、店主にどこでスーツケースの修理ができるのかも合わせて聞いて目処はついていた。修理できるのは、ナイロビの郊外にある場所のMPPCという場所らしかった。
そこでWestlandにあるMPPCで修理することを告げ、そうなると修理代金の他にタクシー費用もかかるので、もっと修理代金をもらえないか交渉したが、KSH2100(=US$29.75)までで、これ以上は無理だと言われたのでそれで手を打った。
エジプト航空の対応は丁寧だったし、保障の金額もスーツケースの壊れ具合から妥当だと思った。
さっそく現金を受け取り、スーツケースを体に縛り付けて宿に戻る。宿でWestlandまでのタクシーを手配してもらった。往復のタクシー代金と待ち時間込みでKSH1000。保障でもらった金額の半分が交通費でふっとんでしまった。あらら、足りるかしら?MPPCは郊外のショッピングモールの中に見つかった。タクシーのドライバーも一緒についてきてくれたのだが、ここは携帯電話の修理と販売でスーツケースの修理ならアマニプラザというモールに入っている別の店舗になると言われた。
そこでタクシーを走らせてアマニプラザを探し出して訪ねると、「ALARMS &
LOCKS」と入り口に書かれた小さな店が見つかった。スーツケースの修理という文字も見える。
アマニプラザの隣にはダイアモンド・モールというショッピングモールもあるが、いずれもあまり大きな規模のモールではなく、小さな店やレストランが1階だけに入っている雑居ビルだった。
これらのモールの周囲は大きな屋敷が並ぶ住宅街で、モールで歩いている人は、車で訪れた裕福そうなインド人ばかりだった。どうやらこの一帯は、裕福なインド人が住む地域のようだ。それならばスーツケースの修理という需要があるのもわかるし、修理の質も悪くないだろう。住宅街で商売をしていくには信用が大切だ。いい仕事をしないと商売を続けていくのは難しいだろう。そういう推測から、ここでの修理をお願いすることにした。
店の主人は、様子を見て午後4時までには修理をしておくのでその頃取りにきてくれと言った。私たちはタクシーでここを訪れていて、タクシーを待たせるのですぐにやって欲しいというと、1時間でやってくれることになった。そのかわり、チャックを全て取り替えるのではなく、今あるチャックをうまく直すという修理方法。これだと再び壊れる可能性はあるのだが、この部分にあまり時間とお金をかけても仕方ないという判断で、簡単に修理してもらうことにした。
1時間後に店に戻るという話しと同時に、ドライバーは姿を消した。昼飯を食べに行ったのだろう。私たちもダイヤモンド・プラザにあるインド料理レストランを紹介してもらった昼食。ナイロビ市内では見つからなかったストラップ付きのサンダルも、ここでは種類豊富に売っている店があったので、私のサンダルも購入した。
こうして1時間後に店を訪ねてみると、チャックは引っ張られて緩んでしまった形跡は少し残っているものの、見事に元通りに修理されていた。で、お値段はKSH300(=US$4.25)とリーズナブルな値段だった。修理代金にもっとかかると思っていたので、拍子抜けするほど安いと思ったが、考えてみたらチャックの合わせを直しただけだしこんなものだろう。
タクシーの運転手は予定外にもう1軒の店を回ったし、拘束時間も予想よりも長かったので、「もうちょっと料金を頂けないか」と言ってきた。まぁそれもそうだなと、KSH200(=US$2.83)を上乗せしたら喜んでいた。こちらもエジプト航空からもらった金額内で納まったのでホッとした。
エジプト航空の担当者の最後の提案は、エジプト航空側で修理して今回の故障の償いとしてKSH2100(=US$29.75)をまるまる私たちに渡すという内容だった。US$30近くがエジプト航空から私たちに対する償いとして手に入ることになるのだが、今日中に終わらせてしまいたかったし、結果として、ナイロビ市内のダウンタウンにある適当な店で修理されるよりは、自分たちの納得の行く店で修理できたのでよかった。
ナイロビ郊外の観光では行くことのない町にも行けた。後から聞くとWestlandにはアメリカ合衆国の大使館があって、その近くでアメリカ人少女を二人乗せた乗用車が爆破された事件が最近あったそうだ。郊外だから治安がいいかというとそうでもないのがナイロビの怖ろしい所だ。しかし、そんな話が嘘のように平和な住宅街だった。
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