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2007.02.14
シェラビーチと世界遺産の旧市街
ケニア:ラム |
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ラム滞在3日目の今日は、旧市街から3km南にあるシェラビーチに行ってみることにした。3kmというと徒歩で45分の見当になる。この炎天下の45分が歩けるかどうかが不安だったが、やってみることにした。
旧市街からシェラビーチへ行くには、とにかく海沿いの道をひたすら歩いていくということだった。
朝9時。旧市街から海辺を左手に見る道をずっと歩く。
旧市街を歩いている時には、ロバの勧誘や海側からは船でいかないかという勧誘がたくさんあった。そうそう、昨日の船長のグループも今日はツアーはないらしく船の掃除をしていて、私たちの姿を目ざとくみつけるとシェラビーチへ行かないかと誘ってきた。しかし5分も歩くと店も船もなくなり、田舎の海沿いの道のようになった。
日陰がなく、直射日光をまともに浴びながら歩くことになる。地元の人は帽子も被らずにひょいひょい歩いているからすごい。
15分くらい経ったころから瀟洒な別荘のような家やホテルがちらほらと見えてきた。
中には丸ごと売りに出ている別荘アパートもあったりする。昨日のラムの海を見る限り、ここに物件を購入するのは疑問だ。旧市街の中はずっと生活排水を流すドブが張り巡らされているのだが、このドブの水はそのまま海に流されているようなのだ。浄化しないで海に流しているから、旧市街付近の海は既にかなり濁った水になってしまっている。
いずれはこの汚染が付近にも蔓延してしまうだろう。そうなるとラムの海の価値は今以上には上がらない。旧市街のちょっとした様子を見ただけでも、今後のこの地域の観光としての価値は危ぶまれるのだった。
50分後、いかにも観光客的な白人女性が寝そべっている姿が出現。もうシェラビーチに来たといってもいいのだろうか。
移動の記録でも書いたが、ナイロビからラムに来るのに何も私たちのようにモンバサ、マリンディ経由でバスで来る必要はなく、ラム島の隣のマンダ島まで飛行機が飛んでいる。ヨーロッパからナイロビまで飛行機で来て、小型機でマサイ・マラ国立公園内の瀟洒なロッジに宿泊してサファリでゲーム・ドライブを行い、飛行機でマンダ島まできて直接シェラビーチの高級ホテルに入ってしまえば、何の苦労もなく豪華なケニア旅行が楽しめるようになっているのだ。
白人女性が寝そべっている所から右に大きく孤を描いて続くビーチ、それがシェラビーチのようだった。右に曲がっていくに従って、右手の奥の方が砂丘になっていて、その砂丘からサーっとすべるようにベージュの砂浜に続いて、その砂浜が透明な水に消える。水は深みを増すごとにエメラルドグリーンから紺碧にグラデーションする。そしてその先はまたベージュの砂の広がる砂州になっている。という風景が広がる場所に出た。おお、こここそがシェラビーチに違いない。この人気のなさ、開放感はすごい。
朝のこの時間は満潮に向かっているのか、見えている砂州はどんどんと海に隠れていっている。それでも腕に自信のある白人男性は、ぐんぐんと泳いで砂州に上陸したりしている。もっと早い時間にくれば、もしかしたら歩いて砂州まで渡れるのだろうか。
一昨日、昨日とあまりラムの海は良いとは思えなかったが、このシェラビーチはなかなかいい。さすが高級リゾートホテルが目をつけるだけのことはある。朝に夕に移り行くシェラビーチの表情を観察できるシェラに滞在するのならラムの滞在はいいのかもしれない。旧市街からでは、いかんせん遠すぎる。
せっかく美しい浜辺にきたので、ビーチライフを楽しもうと思ったのだが水は案外冷たく、自ら出ると灼熱の太陽が体を射抜く。思い切って体を焼くという目的がない限り、長居するのは難しい。
最大限の防御態勢で読書を試みたが熱過ぎてギブアップ。潮も満ちてきているし、1時間歩いて帰らなきゃならないしで11時過ぎに退散することにした。
来る時はあまり人も出ていなかったが、帰りはビーチに人が出ていた。近くのホテルに宿泊している人たちだろう。このビーチに近いのは意味がある滞在だ。
お、目の前をマサイ族の衣装の男性が歩いている。マサイ族ってのはこんな所にも住んでいるんだろうか。彼らはビーチで寝転ぶ人にアクセサリーの販売などをしているのだ。
耳を見るとピアスの穴がない。じゃぁインテリマサイか?いやマサイ族のコスチュームを着ているだけの販売員かもしれない。いずれにしても海岸にいる海岸マサイはちょっと疑わしかった。
海沿いに立つレストランの隣を通りかかると、船にのってラムの旧市街に行かないかと勧誘。そうか、ここに滞在している人は帰るんじゃなくて旧市街い行くってことになるのか。
「片道でいいんだけどいくら?」と聞くと2人でKSH500(=US$6.8)と言ってくる。そりゃ、高いじゃないか。「無理無理」と手を振って断ると、今、1人の女性を待っている。彼女もKSH500払うはずだったが彼女と同じ船に乗れば一組KSH300(=US$4.07)でいいと値段が下がった。よく考えれば疲れているし乗ってもよかったんだけど、マリンディからラムまでバスに4時間半乗ってKSH400だったという乗り物の金銭感覚だったものだから、どうしても乗る気がしなくて、断って歩き始めた。シェラビーチ界隈は旧市街に宿泊している人とはかなり金銭感覚が違うみたいだ。
帰りはバテバテ。木陰で休み休み歩いて帰ったから1時間半もかかってしまった。やっぱり船に乗ったほうが良かったなぁ。
アイスを食べて、お昼ご飯を食べると、ようやく正気が戻ってきた。
ラムの旧市街はユネスコの世界遺産に登録されているそうだ。街中には車は走っていない。というか、メインロードでさえ人三人が並んで通るのは難しいくらいの幅で、このメインロードに接続している迷路のようなわき道に至っては人一人分プラスアルファの幅しかない。車が通るのは無理なのだ。
それでも、道幅目一杯の荷馬車を引いたロバは頻繁に往来している。ロバ様が通る度に、人間は両脇の店に身を寄せて通り過ぎるのを待つことになる。
狭い通り、布を頭から被った女性。ふと中東のスークにいるような感覚にもなる不思議な世界だ。
こうした通りにはラム特有の彫刻を施した扉がいくつも見られる。この彫刻を活かした家具なども作っているのを他で見せてもらった。
メインストリートはせいぜい700mくらいしかない。メインロードの真ん中辺りは開けて広場のようになっている所がある。ここにはかつて砦として、その後は刑務所として、現在はラム砦環境博物館となっている建物とその隣に市場がある。
博物館の前には大きな樹木があり、この木陰には常に大勢の地元民が座っておしゃべりを楽しんでいて、なんとものんびりとした風景である。博物館の左奥にある市場をのぞいてみたが、あまり豊富な品揃えでなく島の生活はそれなりに大変なんだろうなぁと思われた。
旧市街のエリアでも海沿いに並ぶレストランは観光客向けが多いと言える。
ナイロビを出てからというものまともなコーヒーを飲んでいない夫は、ネスカフェではないコーヒーに飢えていた。
散策途中で昨日のツアーで一緒だったアメリカ人とイギリス人に出会ったので、ちゃんとしたコーヒーが飲める所がないのか聞いてみると、海沿いのレストランでウィスパー・ガーデンレストランというのがあり、そこのコーヒーはちゃんとしていると教えてくれた。
言ってみると、塀に囲まれた中庭の広い素敵なレストランで、昼下がりでお客さんは誰もいなかった。コーヒーを注文するとネスカフェではない本物のコーヒー。「あー、旨。あー、旨」と一口ごとに感動しながら飲む夫。よかったねぇ。値段もKSH100(=US$1.36)とそんなに高くない。頑張って歩いて帰ってきたから船代も浮いたしね。
この晩は、別の海沿いのレストランで食事。ウィスパーガーデンに来る前に偶然にも再会した日本人のノリさんとカナダ人のデイヴのカップルと夕食を一緒にする約束をしたのだ。この二人とはマサイ・マラ国立保護区で会ったのが最初だった。
ラム滞在最後の日は、美しいビーチ、旧市街を堪能し、友と夕食という充実した一日になった。
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