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2007.03.13
ポート・ルイス観光
モーリシャス:トゥル・オ・ビッシュ |
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トゥル・オ・ビッシュに引っ越してきたのが6日。そこから毎日のようにトゥル・オ・ビッシュのビーチに通って、美しい海を楽しんでいたら、あっという間に一週間が経ってしまった。
そろそろ観光でもしようか。
ということで、手始めに首都のポート・ルイスを訪れることにした。トゥル・オ・ビッシュからポート・ルイスまではバスで一本。警察署の前のバス停から出たバスは、あちこちに停車しながら45分かけてポート・ルイスの北バスターミナルに到着する。82番というバスはいわば各駅停車のバスで、他にはExpressというのがある。こっちに乗ると、途中から高速道路を通って30分でポート・ルイスに到着するのだが、Expressが15分来なかったりするもんだから、結局普通に乗っても同じなのかもねー。
因みに空港からポート・ルイスまでもバスが通じているから、そこで乗り換えればグラン・ベ周辺にまで空港からバスで来ることも可能だ。タクシーは5000円以上かかるのに比べるとバスは200円くらいで済むだろうから(荷物代金を取られるかどうかは不明だが)、驚くほどコストダウンになる。
しかし、とても時間がかかることと、バスに乗るには高くて狭いステップを3段のぼり狭い車内に大きな荷物を入れなければならない。おまけにポート・ルイスでは空港からは南ターミナルに到着し、グラン・ベへはそこから500m離れた北ターミナルに行かなくてはならない。バックパックならともかく、大きなスーツケースではストレスが大きすぎる移動になる。
ポートルイスは東側に湾を擁する街。私たちが到着したのは北端にあるバスターミナル。ここから南端にあるバスターミナルまでの海側には郵便博物館とCAUDANという新しいショッピングモールがある。
山側にはフランス人の航海者で、ポート・ルイス建設の指揮者だったラ・ブルドンネー総督の銅像のあるプラス・ダルム広場、その奥に自然歴史博物館、広場のずっと左手、北バスターミナルの手前に中央マーケット、北バスターミナルのもっと山側に中華街、中華街の奥に丘を登ってアデレード砦がある。
まず名所として目の前に現れたのが郵便博物館だった。
ここには切手コレクター垂涎の切手のレプリカが飾られているらしいが、私たちには猫に小判。ま、いつか行くかもしれない。
ショッピングモールはこの郵便局の左斜め裏手になる。
海に面したショッピングモールで、ショップが入った建物がいくつか集まった格好になっている。衣料品店が多いがモーリシャスの写真集や料理レシピの本などもある書店や、モーリシャスの民芸品店を集めたクラフトマーケットのエリアは土産物にぴったりの品物もたくさん売られている。レストランやバー、フードコートもある。
新しくて大きいモールの海側でないパート。 |
新しくて大きいモールの山側からブリッジで
海側に入ったパート。 |
一番大きくて新しいショッピングモールの建物は2階建てで、山側と海側が2階のブリッジでつながっている。山側は真ん中が吹き抜けになって回廊式に店がとりまくアメリカ型のショッピングモール、海側はもう少し各ショップが凝った作りになったモールとやや区分けされている。
湾に向かって立った時に、広場をはさんで右側に他の建物とは離れて立っている2階建てのショッピングモールがある。こちらは2階にファクトリーアウトレットショップと称する店が入っていて、バーバーリーやTod'sなどがあった。カシミヤも扱っているが、後日訪ねたカシミヤの専門ショップに比べると高い。カシミヤを買うなら専門ショップに行くのがいい(ShibaniとかFlorealなど)。
CAUDANはいかにもウォーターフロントとして美しく開発された場所ではあるが、その土地の雰囲気というものは感じられず、いわゆるどこにでもあるショッピングモールである。
しかし、ここの所こうした先進国風なショッピングモールにご無沙汰していた私たちとしては、久しぶりにピカピカな場所に来てウッキウキ。何を買うというわけでもないが、モーリシャス特産のアロエの葉を使った買い物籠を物色したり、貝殻を埋め込んだ地球儀で日本の位置がめちゃくちゃなのを発見して笑ったりと、ひやかし三昧でモールを闊歩した。
もし日本から来たのならモーリシャスブランドの洋服が可愛くて安いということで、やはり魅力的に感じるだろう。Rockというブランドでビーチで水着の上に着たらぴったりの、裏地のついていないサマードレスがあった。現地価格Rs897(=US$27.52)。他にも凝った刺繍入りのコットンのキャミソールも魅力的だったなぁ(2000円くらい)。モーリシャスは衣料品の下請工場が多いが、下地にはそうした工場で培ったノウハウがある。デザインはフレンチテイストのポップな感じに南国の華やかな色を加えた感じ。技術とデザインが合体しているから可愛くて良質の衣料品になっているのだ。こういうのを見ると、自分のシンプルすぎる洋服と全部取り替えたくなる。
CAUDANのショッピングゾーンから離れて内陸に向かって歩く。ラ・ブルドンネー総督の銅像のあるプラス・ダルム広場を左手に見ると、右手には政府庁舎がある。
実は昨日3月12日はモーリシャスの独立37周年記念日だった。それだからだろうか、政府庁舎は布の垂れ幕で飾られて華やかな雰囲気になっていた。右手の階段には赤い絨毯が敷かれて、今日もどこかの来賓を向かえる準備をしていた。
政府庁舎を左手に見た道を真っ直ぐに進むと、やがて中庭に巨大なバオバブの木のある建物が見えてくる。
この建物こそ、実は私たちが本日のポート・ルイス観光の目玉と思っていた自然歴史博物館なのだ。
入り口は、敷地の先を左に回りこんだ所にある。入場料を買いたいと係の人に言うと、無料だという。いやっほー!
中は大きな部屋が3つくらいあって、モーリシャス界隈に生息する魚、鳥、カメ、植物などが展示されている。
ここねぇ。こんな博物館って見たことない。ぱっと見た目は薄暗くて、古臭い展示品ばかりでやる気が感じられない。だけど、最初にこれを作ったコンセプトがすごい。展示品は小さな魚から巨大うなぎにいたるまでを剥製にして壁に貼り付けたり、天井から吊るしたりしていて、超リアル。鳥の剥製、動物の剥製ってのは見たことがあるけれど、魚の剥製っていうのは珍しいのではないだろうか。水族館みたいなんだけれど、動かないからジーっと見ることができる。
展示室の一番奥の部屋なんて、一歩入るなり全員が一瞬たじろぐ迫力だ。というのも、部屋の真ん中に大人の腰ほどの広い台があり、そこには浦島太郎が乗ったサイズの大きな多種類のカメが10匹くらいかなぁ、全員同じ方向を向いて展示されているのだ。ひえ〜〜〜〜。
館内が撮影禁止なので何一つ見せられるものがないのだが、かつてこの島に生息していたという巨大な鳥ドードーDodoの骨から作った剥製は入り口から入ったすぐの部屋にある。特に大きな文字で「撮影禁止」と書かれている。絶滅したとはいえ、いまだにモーリシャスのシンボル的存在の鳥で、様々なパンフレット、お土産品、レストランの名前にまでも使われているので、知名度ナンバーワンなのだ。
ドードーは入植してきたオランダ人だったかなぁ?の食料にされたり、新しく持ち込まれた植物や動物についてきた菌がもとで絶滅してしまった種だそうだ。博物館のドードーは三白眼で意地悪そうに見える。絶滅させられてしまった恨みを表現しているのか、博物館を訪れる人に「こんな意地悪な鳥は絶滅させられても当然さ」というイメージを与えたかったのか、学芸員の意図はわからない。
入り口の部屋の左の部屋は準備中でクローズされていたが、通路を閉じたベニヤ板の上の隙間から、天井からくじらが吊るされているのが見えた。く、くじらが宙を舞っている。いやー、これも本当は見たかった。
いやはや。なんというか、見たことがない展示方法だったというのが面白さのポイント。あとは驚くような海の生物の数々を見られたのもよかった。やっぱり、ここは予想通り面白い所だった。
ここからチャイナタウンの手前の中央マーケットに向かった。
中央マーケットは通りをはさんで山側の建物が野菜と果物のコーナー、海側の建物が2つあって牛肉と豚肉の建物と鶏肉と魚の建物に分かれている。
野菜と果物のコーナーは2階になっているが、2階は土産物屋である。
モーリシャスはインド、中国の文化が色濃い。市場では青梗菜、空芯菜、パクチーなどの中華系野菜、チリ、ほうれん草などインド系野菜と双方が入り混じって売られていた。トマトもたくさん出ていたが、ここのトマトは良くない。ジューシーじゃないんだよねぇ、高い割には。果物はブドウが出頃で3種類くらい売られていた。南国なんだけど島のせいか果物も思ったよりは種類が少ない。
野菜の種類の豊富さもさることながら、平日の昼間だというのにスゴイ人、人、人。観光客ばかりでなく地元の人もかなり混じっている。昼飯の準備の買い物なのだろうか。まさにここはモーリシャスの台所という表現がぴったりな所だった。
後日、肉魚コーナーの建物も訪れたのだが、野菜の盛況ぶりが嘘のようにいつ行っても静かな感じである。まぁ、賑やかなのは鶏コーナーだけかな。豚肉のコーナーに至っては、イスラム教徒もいるお国柄のせいか、牛肉コーナーとは壁で隔離された狭い場所で細々と営業していた。牛肉のフィレだと言われてここで買った肉は、確かに安かった(1kg1200円くらい)が固くて、ひっぱ叩いて薄いカツにしてようやく楽しめたという代物。市場だから安くていい物がある、というのは牛肉に関しては疑問だ。スーパーUの肉コーナーの方が良い品質の肉が出ている。
中央マーケットから少し北上して通りを一本山側に行った所が「唐人街」、つまりチャイナタウンである。
活気のあるチャイナタウンを期待していったのだが、シャッターを下ろしている店が多く、なぜか閑散としている。火曜日なのになんでなんだろう。もう街として機能していないのだろうか、などと思いながら歩いて、一軒だけ開いていて満席の中華料理で少し待ってから着席して昼食を摂った。この後3月24日にテレビで中国の旧正月の催しが放映されていて、もしかしたら13日のこの時点から既に旧正月の休みに入っていた可能性はある。レストランはそれでも営業している所が多かったが、全ての客をこの広東レストランが取ってしまっているかのように、他のレストランはガラガラで、このレストランだけが大盛況だった。私たちは麺類を注文したが、汁のない麺がとてもおいしかった。他のお客さんの大半はイカやエビの入ったつやつやした八宝菜を注文する人が多く、人気メニューらしかった。
チャイナタウンが不発に終わったので、チャイナタウンの裏手にあるファブリックエリアと地図に書かれた場所に言って見る。安くて可愛い洋服に出会えるかもしれないと期待して行ったのだ。
店舗が並んでいると思いきや、そこは通りの両脇に出した露天商の集まりだった。扱っているのが洋服ばかりなので、確かにファブリックエリア。センスのいい、可愛い洋服ではなく、本当に日常の洋服ばかり。それでも安いのだろう、昼休みらしい制服姿のOLさんが必死に物色していた。
ここから山側にグーッと上る坂の上にアデレード砦がある。
ファブリックエリアから山側に一本入った通り沿いは、庶民的なインド系の衣料品店や雑貨屋があるエリア。観光客の土産物としても喜ばれているアロエの籠や帽子もたくさん売られている。比べてはいないがウォーターフロントにあるCAUDANのクラフトマーケットよりも安そうだ。
ここまで歩いてくると、時刻はもう午後3時になろうとしていた。
疲れた。途中から晴れて灼熱の太陽も照り付けている。これから砦への坂道をのぼる勇気がわかなくなってしまったので、今日はここまで。もう一度市場に寄って、空芯菜を買って帰ることにした。
市場まで歩いただけで、ヘトヘトしてきた。入り口付近の縁石に座って休んでいると、さっきも日本語で話しかけてきたインド系のおっさんがまたもややってきた。疲れて動けないので逃げられん。おっさんはさっきもとても親切に市場内を案内してくれようとしたのだが、その意図がわからなくておそろしいので逃げたのだった。またつかまっちゃった。
今回は座っているので、ゆっくりと話ができると思ったのか、おっさんはどうして日本語を話せるのかを語りだした。おっさんは日本人の漁船に6年も乗っていたのだそうだ。モーリシャス近海ばかりでなく、日本も海伝いに九州からずっと訪ねている。ことによると私たちよりも日本の様々な沿岸部に行っている。今は船を降りてここで暮らしているのだということだった。ちゃんと勉強したわけじゃないけど、四六時中日本人といたので、日本語はだいぶ理解できるし、話せるようになったんだそうだ。
だからおっさんの日本語は、学校で習った外国人日本語とはちょっと違って、妙にこなれたイントネーションなのだ。「ああー、あづいから、ちかれちゃったねぇー」って、本当に日本人のおっさんに言われているみたいで妙におかしい。おっさんは、日本人の漁船に乗って日本人にとても良くしてもらってので、日本は大好きだと言っていた。時々何を言っているのかわからない言葉があり、中でもおっさんが多用する「・・・でもって、そういうことになると、みーんなもうカンチョウなんだよう」というそのカンチョウってのが一番わからない。でも日本が大好きだって言ってくれているし、あまり追求してもしょーがないので、「そうかぁ、カンチョウなんだぁ」と相槌を打つと、「そーなんだ、カンチョウなんだぁ」ととても嬉しそうに言っていた。最後にちょっとバニラティーに興味はあるかい?と売りたそうにしていたが、ごめん、疲れているから帰るというと、あっさりと引き下がってくれた。久しぶりの日本人と話がしたかったんだろうなぁ。
空芯菜や他の野菜を購入して、バスに乗ってトゥル・オ・ビッシュに戻った。午後3時半という時間帯は高校生の下校時間と重なっていて、混んでいるは、やかましいわ、乗り降り激しいわで、帰りは1時間半近くかかってしまった。こういう時は待ってエクスプレスに乗るべきだろう。
ポート・ルイスの観光は1日でほぼ制覇。残った砦はまた後日行くことにした。
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