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2007.03.16
ドマン・レ・パイとアデレード砦観光
モーリシャス:トゥル・オ・ビッシュ |
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ポート・ルイス郊外にあるドマン・レ・パイDomaine les Paillesは1992年にオープンした植民地時代のテーマパーク。砂糖精製所やラム蒸留所、スパイスガーデン、アロエの籠作り実演、セガダンスが見られ、山にのぼるサファリ・ツアーやハイキングも楽しめて1日いても飽きないと書かれていた。面白そうではないか。
まず、トゥル・オ・ビッシュからポート・ルイスにバスで行った。トゥル・オ・ビッシュを出てしばらくはサトウキビ畑の続くのどかな風景だ。先日のポート・ルイス行きの時とは違って、青空に雲が浮かぶ美しい晴天が緑に映えて美しい。遠くには先の尖った変わった形の山々が黒くシルエットを浮かべている。
北バスターミナルに到着する(バス代金Rs19=US$0.58、2007年3月12日の換算レートUS$1
= Rs32.62を使用)と、バス会社の刺繍が胸に入ったシャツを着た男性をつかまえて、「ドマン・レ・パイ」に行きたいのだが、どのバスに乗るのかと聞くと、「パイPailles行きのバスに乗ればいい」と乗り場まで連れて行ってくれた。パイ行きのバスは毎時1本しかないそうなのだが、20分ほど待ったらバスが来た。10時20分ポート・ルイス発。
パイはポート・ルイスの左手にそびえる岩山を越えた向こうにある村だ。M2という幹線高速道路から降りてすぐに村に入ると、小さな工場などもありあとは住宅街という町並み。バスはパイの村に入ってから住宅街の道をクネクネと走り回って、細かくお客さんを乗せたり降ろしたりしていたが、やがて再びM2の方向に向きを変えて進みだした。おやー?ドマン・レ・パイはどこなんだろう。不安になって運転手さんに聞いたら、心配ない、教えるからと言われた。10時49分に何の変哲もないバス停で下ろされ、この先左手の道をまっすぐ行けば到着すると教えられた。
バス停のすぐ先で左折する道には、確かにドマン・レ・パイの看板が立っているが、良く見ると「ENTREE
de SERVICE」って書いてあるじゃないか。つまり、サービス運搬車両用の入り口ってことだ。従業員通用門ってことじゃないかー。運転手め、私たちのことをドマン・レ・パイの中華料理レストランの求人に応募したモーリシャス人だとでも思っているのだろうか。
この道を歩いて行くと、T字路にぶつかる。このぶつかった壁の向こう側がドマン・レ・パイらしい。T字路の右手に管理小屋があったので、中の人にドマン・レ・パイの入り口はどこか聞くと、右にしばらく歩いて左手に入り口があると言われた。右手に歩いて行くと、レストランの裏手になっていて、料理人が休憩していたり、ビールの空き瓶が山積みされていて、なるほどここはサービス用の車の搬入口だったということがわかる。
しかし裏口経由とはいえ、バス停から正面玄関までは徒歩10分くらいだったろうか。
「地球の歩き方」では南バスターミナルからキュールピップ行きで途中下車して徒歩30分と書かれているが、北バスターミナルからパイ行きに乗った方がよっぽども近くまでいってくれる。
園内の人に聞きながら黒い丸で囲まれたインフォメーションに到着。ここには全体を描いたパネルがあったので撮影させてもらった。
赤丸で囲んだところがレストランになっている。とても素敵なレストランばかりで、それぞれインド、中国、モーリシャス(クレオール)、フランス料理などを出すらしい。
また、アトラクションとしては左下青丸で囲んだ砂糖精製所とラム蒸留所を見学して、セガダンスも見るというのがRs95(=US$2.91)。その他、園内を巡る機関車に乗る、プールで泳ぐ、乗馬するなどがあった。
レストランの予約やアトラクションのチケット購入は全てこのインフォメーションで行うことになっていた。
東京ディズニーランドを想像してはいけない。もっともっと狭くて、「せっかく来たのにこれだけかい?」とつっこみを入れたくなるような所だった。そりぁー、馬に乗ったりハイキングしたりプールに浸かっていれば1日は過ぎていくだろうが、こうしたアクティブな活動をしないで、「植民地時代の」という部分ばかりをクローズアップしていくと期待はずれである。私たちのようにアクティブなアトラクションはしない、レストランで食事もしない、ってことになると、選択肢は「砂糖精製所とラム蒸留所を見学して、セガダンスも見る」というのだけになった。
チケットを購入して、地図左下の青丸で囲まれた所へと戻った。
そうそう、途中でモーリシャスに生息する色鮮やかなヤモリに遭遇。体長20cmくらいの小さなヤモリで、エメラルドグリーンに赤い斑点、首の辺りが美しいマリンブルーになっている。観光局の出しているパンフレットに掲載されていたが、本物を見られるとは思わなかった。
砂糖精製所とラム蒸留所には案内のお姉さんがいて、グループでガイド付きのツアーは12時に開始ですが、ご自分達でガイドなしでまわりたいならガイドなしになりますが、今すぐ見学できます、ということだった。時刻は11時半。それならと自分達で周ることにした。
赤い屋根と高くそびえる煙突が特徴的なのは砂糖精製所だ。砂糖はモーリシャスの代表的な特産物の一つだ。私たちもここに来るまでにサトウキビ畑の中を通ってきた。本当は、右から左に向けて精製の過程になっているのだが、私たちは左から入ったので精製過程を逆向きでみることになった。ま、たいした問題ではない。
説明のために順番どおりに写真を並べなおすとこうなる。
畑で収穫されたサトウキビをここに運び込む
そのサトウキビを圧搾するのだが、真ん中にサトウキビを1〜2本入れる穴のある圧搾機があり、牛がその周りを歩くとサトウキビが圧搾されて、その汁が隣の釜に流れ込むようになっている。1〜2本のサトウキビを圧搾するのに広大な空間を使っているのが、なんとものんびりしている。
流れ出た汁は樋を伝って釜に入る。ここでぐつぐつと煮詰められるのだ。
最後の工程は、煮詰めた汁を素焼きの下がすぼまった器に入れて置く。すると器の下から砂糖が染み出してくるので、それを縦割りの竹の樋で受けて集める。
いやー、のんびりとしていてモーリシャスの雰囲気に似合っている。特に最後の工程は土器の並びといい、全体がアートみたいに可愛らしくまとまっている。
10分くらいで見終わってしまうと、先ほどの女性が、右手にラム蒸留所があると案内してくれた。蒸留所に至っては1部屋のみ。
サトウキビを発酵させてアルコールの出たものを蒸留して、その蒸気を冷やしたのがラム酒。です。
釜を見て、壁にある蒸留の過程をふーむと見ていると、先ほどの女性が「ラム酒の試飲をしますか?」と言ってくる。お、いいですねぇ。
透明のラム酒を小さなグラスに注いでもらって、クッと一口含んで喉に流し込むと、ラム酒の通った所がカーッと焼けていくような気分だ。でも、口には甘くていい香りの風味が残る。普段はこういうスピリッツの味が一つもわからないのだが、今日はおいしいと感じた。なぜだろうか。
砂糖精製所とラム蒸留所の見学は以上で終了。あれ?セガダンスは?おそらく12時からのグループツアーがあればセガダンスをやるようだった。私たちは個人でまわってしまったので、ダンスは見られないみたい。
ラム酒が食前酒になっていい気持ち。ここには丁度良い東屋もある。持ってきたサンドイッチでお昼にしましょう。
日の当たる所では相当暑いのだが、こうやって日陰に入るとスッと涼しいのがモーリシャスの気候。湿度が高くないのだ。
お昼を食べ終わって休憩していたら、陽気なドイツ人のグループが入って来た。そろそろ12時だからグループツアーが始まるのだろう。すると、グループツアーに先立って、ここでセガダンスの発表を行いますと先ほどの女性がアナウンスしにやってきた。私たちもいるので気を使ってくれたようなのが嬉しい。モーリシャス名物のセガダンスを見ることができる。
セガダンスはモーリシャスに連れてこられた黒人奴隷たちが、厳しい作業が終わった一日の締めくくりの楽しみとして歌い踊ったのがそもそもの始まりだそうだ。
だから音楽はケニアで見たような打楽器が中心で音階を奏でるのは声、人の歌声である。演奏は男性、踊り手は女性という構成で、フラメンコの衣装のようにドレープがたっぷり取ってあるスカートのすそを持って華やかに踊るのが特徴だ。音楽は非常に素朴で、そもそもの始まりの頃からあまり変わっていないだろうと思われる、日常的な感じがよかった。
砂糖精製所を見た後くらいは、「えー、これで400円の見学料金を取るなんて高いなぁ」とぶちぶち言っていたが、ラム酒ごちそうになって、セガダンスみたら、「いやー、価値ある400円だよねぇ」という感想に変わった。
セガダンスは10分くらいで終了。他の人たちも精製所の見学に行って、東屋にはまた静寂が戻って来た。私たちは、レストランの向こうにあるスパイスガーデンの見学に行くことにした。
スパイスガーデン。確かにスパイスが植わっているのだが、タイムは看板が倒れかけ、あきらかに枯れている。
もうシーズンオフなのかなぁ。観光客も少ないし、今ひとつやる気がないテーマパークだ。
この先にコーヒーを煎る実演をしていたであろう小屋があったが、人はいなかった。その右手にも小屋があり、こちらには人がいる。「何をしているんですか?」と聞くと、特産のアロエのカゴ作りの実演だという。
きれいなお姉さんはニッコリと微笑んでくれたが、実はとても退屈に違いない。
スパイスガーデンの先にあるアメリカ南部の豪邸のような建物もまた、植民地時代の邸宅を模したレストラン。
こんな所で食事をするなら、スカーレット・オハラみたいなドレスを着て食べたいものです。
この邸宅から右手に目を移すと、体育館のような近代建築のような大きな建物が見える。なんじゃろう。
近寄ると、国際コンベンションセンターと書いてある。背景にはモーリシャスの山と青い空。パンフレットの写真にしたら見栄えのするコンベンションセンターだった。
これでドマン・レ・パイにある設備はだいたい全て見尽くした。最初はどうかなぁと思った場所だったが、思ったよりは楽しい時間を過ごせた。でも、あの植民地時代の邸宅で食事するんじゃない限り、旅行代理店の口車に乗って高いタクシー代金を支払ってわざわざ来るほどの所じゃないなぁ。バスならポート・ルイスからパイまでRs14(=US$0.43)なので、許せる。
帰りも降りたのと同じバス停からバスに乗る。この辺りは循環コースになっているので、同じバス停から乗ってポート・ルイスまで戻れるのだ。
バスは1時間に1本だそうだが、幸いにもバス停に待っている人がいるので、そろそろ来るようだ。
バス停付近からは面白い形の山も見えて、バス停の目の前にはすぐに冷たいコーラを売ってくれる商店もあるし、バスを待つのに不自由することはなかった。
12時45分にバスが到着。ここに来た時も45分とかそんな時間帯だったと思う。
ポート・ルイスには午後1時20分頃に到着した。さて、まだ時間がある。
今日は天気もいいし、ついでに先日見残したアデレード砦に行ってしまおう。北バスターミナルから山側に入って行き、坂を上ったらアデレード砦だ。
坂は途中からヘアピンカーブになっていった。このヘアピンカーブが始まる前に、左手に上っていく急斜面の階段があったんだよなぁ。きっとあれが徒歩で行く人用の道だろう。あっちから行けばよかったなぁ。
ヘアピンカーブを2回ほど曲がってあとは直線距離。だんだんと目の下にポート・ルイスの全貌が見えてくるのを励みに上った。この間、白人旅行客を満載したトヨタハイエースに2回ばかり追い抜かれた。そうか、市内観光コースで来れば楽だったのか。。。
砦に到着した時は、汗ダラダラでヒーヒーと息があがっている二人であった。門の所に元気な中年女性が立っていて、入場料Rs50(=US$1.53)を徴収。この女性に「す、すみません。何か飲むものを買える所はありますか?」と聞くと、敷地内にある小さな博物館のようなところに案内して、そこに大きな紙コップいっぱいの冷たい水を運んできてくれた。助かった!
砦の内部は中庭を挟んで回廊式の建物になっていた。私たちが水を飲ませてもらった一角は、モーリシャスで絶滅した巨大鳥ドードーをモチーフにした絵画が飾られていた。砦とはあまり関係ない。
砦の建物の上にあがることができ、そこから海側のポート・ルイスや反対側の山の風景を楽しめる。無料の展望台も置いてあった。
先日一日ポート・ルイスを歩いてみて、一国の首都としてはそんなに大きくない街だという印象を持った。サイズは大きくないが、近代的なビルもいくつかあり、ただいま発展中という感じである。
砦から見下ろすポート・ルイスは、先日歩いた感想をそのまま映像にした形で目の下に写った。
それにしても首都のど真ん中の海の色がこんなに美しいなんて!東京湾のお台場の前がこんな色だったら、どんなに素晴らしいことだろう。
海に向かった方のテラスにある望遠鏡をのぞいてみると、美しい海の色、遠くに浮かぶ貨物船などが良く見える、良く見える。
望遠鏡からカメラ撮影、というのは焦点があわなくてなかなか難しいが、いくつか成功した中から1枚紹介する。こんな感じに見える。
裏手には競馬場やその先の山々が美しい。前には海、後ろには山と、砦からは美しいモーリシャスの景観が楽しめ、ちょっとしたイベントになる。
展望台から降りると、先ほどの女性が手招きをしている。近づくと、もう一箇所案内したい所があるから、と別の女性を案内につけてくれた。
砦の敷地内、一番海側は地下に降りる階段になっている。以前はこの砦から港まで秘密の地下通路が通っていたのだそうだ。海水があがってきて危険なので封鎖されてしまっているという。また、ある一室は入れないようになっているのだが、常に一定の高さまで地下水があがってきている場所があった。ちょっとミステリアスなこともある砦なのだった。
いやー、それにしても最後の砦の坂道でぐっと疲れた。暑かったしね。時刻は午後2時半。今日はもう引き上げよう。入る時に親切だった女性に、中央市場の近くで大型スーパーはないかと聞いた所、彼女はここに住んでいないのでわからないが、ポート・ルイスに住んでいる人がいるから聞いてあげましょうと言う。
普段はお客さんと直接会話をしない機械関係の男性は、もうそれこそ必死で説明してくれた。
「ええっとぉ、中央マーケットの左の道をこう」と左手をまっすぐに伸ばして、「そして左にこう曲がった所に」と左手は今手のひらだけ直角に外に曲がっている。「中華系のスーパーがあります」。行ってみたんだけど、中央マーケットは2面が道路に面していて、どちらから見て左なんだかわからず、スーパーは見つからなかった。それにしても、モーリシャスの人は親切だ。
スーパーは見つからないものの、市場で夕食の買い物をしてバスで帰宅した。
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