夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2007.04.18
アンタナナリヴ散策

マダガスカル:アンタナナリヴ

 マダガスカルの首都であるアンタナナリヴは駅から続く独立大通りというのがある。銀行や商店やレストランが並び、通りの最後にマーケット(市場)がある。

 マーケットの両側から左右に階段を上がるようになっていて、両側を丘にはさまれたすり鉢状の所が町の中心という地形になっている。私たちは、マーケットから右手の階段を上がった所、地図でいうと独立大通りの南側のイソラカという場所に宿をとっていた。

 今日はこのイソラカから中心部に降りて、市場を見物し、反対側の階段をあがってみよう、という散策だ。

 まずは観光案内所をめざす。フランス大使館のそばにある観光案内所は、私たちのいる場所からすでに坂をかなり降りた場所にあるようだった。

 アンタナナリヴの道はどれ一つとしてまっすぐではなく、自分がどこを歩いているのかすぐにわからなくなってしまう。坂を降りきったらもうわからなくなっていた。

 すると通りがかりのマダガスカル人の男性と女性が「どこに行きたいのですか?」と声をかけてきてくれた。フランス大使館と答えると、途中まで一緒に来て案内してくれた。マダガスカルの人は一説によるとインドネシアからアウトリガーに乗ってやってきたそうな。案内してくれた男性も、華奢ではにかんだ笑顔が「ここはアジアだっけ?」と思わせる親近感を持たせてくれた。

 「隠れ家的レストラン」というのはよく聞くが、「隠れ家的観光案内所」というのはあまり聞かない。マダガスカルの案内所は、通りにひそやかに看板を出して隠れ家的に存在していた。

 ちゃんと見ていないとうっかり見過ごす所だった。塀をくり抜いたような控えめな入り口から階段を上がると、中はこざっぱりとした観光案内所で、郊外にある洒落た英会話学校のフロントみたいだった。

 とても小柄な中華系の若い女性が対応してくれた。この人もニコニコと感じが良い。しかも英語が話せる。

 ここではマダガスカルの全体地図やアンタナナリヴの詳細地図を有料で入手することができる。全体地図Ar3000(=US$1.54、2007年4月16日の換算レートUS$1=Ar1953を使用)を購入。地図の裏にマダガスカルの見所や一般情報がコンパクトにまとめられていて見てみたかったのだ。それから、これから訪れるアンタナナリヴ郊外のレミュール・パークとチンバザザ動植物園への行き方を丁寧に教えてもらった。

 フロントの隣には会議室があり旅の研究ができるように机と椅子が用意されている。この部屋で買った地図を見ながらちょっと研究しようと入ると、壁に貼ってあるポスターが目に飛びこんできた。


 左から、バオバブの木が立ち並ぶバオバブ街道、北部にある美しい島ノシベを始め美しいビーチ。ここまではマダガスカルの基本情報として知っていた。次からの2枚はツィンギー・デ・ベマラハTsingy de Bemaraha国立公園の写真だった。このような切り立った岩山のある場所だとは知っていたが、まだ国立公園として開発途上で道が悪いために非常に行きにくいし、故にコストもかかるということで、今回は見合わせようと思っていた場所だった。

 しかし、大きなポスターで詳細に見せられたその風景に、私たちは二人とも心を奪われてしまった。こんな場所に行かないでどうするのだ!

 フロントに戻って案内所の女性に確認すると、ここへのツアーは首都のアンタナナリヴかバオバブ並木のあるムロンダヴァが拠点になっているそうだ。私たちはツィンギーへの3泊4日のツアーを計画に入れることを考え始めた。

 この案内所には無料でもらえるパンフレットは少なく、何も意図なく行く人にとって得られる情報は少ないだろうが、何かを知りたい、何かを見たいという明確な質問がある人にとっては、さまざまな答えが返ってくる所だ。案内所を訪ねる前に下調べをしておくと、とても有効に使える。

 場所は隠れ家的だが、目の前の家が水色に黄色枠の窓というわかりやすい家なので、これを目印にするといいだろう。

 案内所から出て右に行くとすぐに、フランス大使館のある通りにぶつかる。この道の向こう側から階段で下に降りていける道があり、ここを降りきったら、独立大通りの終点、市場の近くに出る。

 階段の上から見ると、もう向こうの方には別の丘に立つ家々や教会の塔が見え、アンタナナリヴがそんなに大きな町ではないことがわかる。

 独立大通りを歩いてみた。中央に緑地帯のある車道、車道をはさむようにしてある駐車場、その外側にずらりと同じような高さの建物が並んでいて、整然としてはいるが、あまり都会的な感じではない。ひなびたヨーロッパの田舎のような感じだ。

 大通りの終わりにある駅舎もまたヨーロッパ風な感じで、統治時代をしのばせていた。

 このように建物は古いヨーロッパを思わせる物が多いのだが、歩いている人は褐色の肌の人が多く、東南アジアの系列とアフリカの系列に大別されるようだ。

 中国系の人は全く見かけない。だからというわけではないだろうが、私たちは久しぶりに観光客だと思われて、様々な物売りの攻撃にあった。モーリシャスではモーリシャス人だと思われて、あまりにも誰も寄ってこなかったので、たまにはこういう旅人気分もいい。マダガスカルは世界一のバニラ生産国だそうで、お土産物として売ってくるのもバニラビーンズが一番多い。寄ってくるだけで、バニラの濃厚な甘い香りが鼻をくすぐる。

 駅から独立大通りを折り返して市場まで戻ってきたが、平日というのにぶらぶらとしている男性が多い。所在無くあちこちにたたずんだり、おしゃべりしたりしている。

 私たちが宿泊している場所でも路上に寝ている人もいるし、お風呂に入っていないような子供たちがかけまわっていたりする。

 失業率が高い、貧富の差が激しい。これが、ここまで歩いてきて持ったアンタナナリヴの印象だった。しかし、私の思いとは裏腹に人々の顔は穏やかであまり悲壮感も漂っていないのは、生来のマダガスカル人の性格から来ているのだろうか、それとも南回帰線よりも赤道側にあるという強い太陽の光線のせいなのか。私が日本で働いている時の顔の方が、よっぽども悲壮感が漂っていたことだろう。

 市場は黄色い壁に朱の窓枠に瓦屋根というとっぴな建物。この建物が密集して、異常に細い通路の両側にみっちりと店が並んでいる。生鮮食料品から始まり、雑貨、衣類と様々な生活用品が売られている場所で、お土産品が主体の市場ではなく、本当の市場である。

 野菜はキャッサバの葉、青梗菜、白菜、キャベツ、ナスなど南国、中国、西洋の野菜が入っていて、肉も鶏、豚、牛と揃っている。

 果物はと見ると、これが赤くて熟しきったパチンと皮が切れるとジュルーッとジュースが出そうな柿が大量に販売されているのが驚きだった。

 中庭のような所まで到達すると、屋外に店を広げて人がたくさん。観光客は全くと言っていいほど見かけなかったが、町として活況を呈している市場を見学するのは、いつも楽しいことだ。

 食料品の通りから中庭に出て、今度は雑貨の通りを歩いてみる。ここには買い物籠やザルなど、生活用品があるが仔細に見れば、お土産品になるものもあるかもしれない。ここなら生活者の値段で買えるので、みやげ物屋よりも安く買えそうだ。

 ここから左手の階段が近くに見えてくる。階段沿いにも露天の店が多く並んで、カニ、海老、川魚、なんとウナギ。そういえば、さっき路上で近づいてきた男は、生きたカニを目の前に差し出してきた。真っ赤な泥土にまみれたカニは海のカニではなく、陸に生息しているカニのようだった。どんな味がするのだろうか。

 階段は両脇にずーっとパラソルが並んでいて、露天が並んでいる。

 魚屋、果物屋、野菜屋、時計のベルト修理屋、古着屋などいろいろな店がある。夫の時計のベルトがモーリシャスで壊れてしまっていたので、ちょうど交換してもらおうと思って見てもらうと、ベルトそのものの交換ではなく、ベルトの一部修理が可能だと小さなピンを探し出した。すごい、マニアックな修理だ。あいにく、壊れた部品は宿に置いてきてしまったので、修理はまた別の機会に行うことにした。

 ここでもし修理したら、時計は日本、ベルトはハルガダ(エジプト)、そしてベルトのある部品はマダガスカルってことになる。じみーにワールドワイドな時計になるのだ。

 階段をあがりきった先はあまり賑やかでなかったし、何より坂を下ろうとする道だったので、危ない、危ないと引き返し、階段の上の食堂で昼食。

 ここから店をひやかしながら階段を下り、市場を通って、反対側の階段をのぼって宿まで戻ってきた。

 朝出会って道案内をしてくれた男性、観光案内所の女性、時計修理屋のおっちゃん、昼飯の食堂の店員さん。今日出会ったの人と町の雰囲気から、私の中で徐々にマダガスカルという国のイメージが出来上がってきた。

 地図の上ではアフリカに寄っている大きな島。漠然と自然がたくさんあるという国というくらいのイメージしかなかった所に人、物、空気、匂いが入り込んで記憶が多彩になっていく。新しい場所に移動してくると、まず居心地の良かった前の場所の印象が強くて、新しい場所は好きになれない。しかし1日、2日と滞在するうちに、新しい国の新しい記憶が形作られてきて、だんだん楽しくなるのが常だ。今回も、今日1日歩いただけでだんだんと楽しくなってきている自分を感じる。

 これからの旅行、さてどうなるのか、楽しみになってきたぞ!


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