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2007.05.03 Vol.2
アンタイムル紙工房 Papier Antaimoro
マダガスカル:アンバラヴァウ |
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本来なら来る予定ではなかったアンバラヴァウに来る羽目になってしまった。
大して見所のある村でもないのだが、数少ない見所の一つがアンタイムル族に伝わる紙漉き技術を紹介している工房。これが宿泊している宿の敷地内にあるので、夕方までの時間に見学することにしたのだった。
工房は宿泊施設の裏手の中庭を囲むようにして作られたコの字型の建物。
小さく区切られた小部屋ごとに各工程が見られるようになっていた。
最初の工程は材料の木の皮を煮出して繊維にしたものをたたいて粘土状にするところ。
私たちが訪ねて行くと、今まで虚空を見つめていた女性が、トントントントンと木槌を打って模範演技を始めてくれた。
彼女の作業に敬意を表して、私たちも「ほほー、これが材料ねぇ。で、ほほー、こんな風になるもんなのねー、お父さん」みたいに観光客らしく観光して写真を撮ったりしてみた。
えーとー。相手にしてくれたのは、この木槌の女性だけだった。
あとは訪ねていっても、同僚同士のおしゃべりに花が咲いていて、ちらっとこちらを見るものの、すぐにおしゃべりに戻ってしまう人ばかり。
通常はガイド付きで白人が来て、「おお、ビューティフル!」とか言いながら観光するからやる気がするのだろうが、問題を抱えてやや憂鬱そうなアジア人がガイドもつけずにフラーッと入ってきても誰も相手にしてくれないようだ。そりゃそうだ。ここの見学は無料。「見学した後でショップでお土産を買ってね」という趣向の工房なのだ。買いそうもない客に愛想を振りまいてもしょうがないという判断は正しい。やるな、マダガスカル人。
次の工程は材料を溶いた溶液を漉き台に流し込んで台紙を作る所。出来上がった台紙に、目にも鮮やかな草花を置いていき、その上からまた溶液をかけた物を天日に干してできあがり。
できあがり直後は草花の色が鮮やかなまま。これもいいのだが、展示してあるのは時間が経ってやや退色しているのも味があっていい。もっと経つと完全に退色して全体に茶色系統になっていくのだろうが、それも良さそうだ。
こんなに色鮮やかな草花を織り込んでいるとは予想だにしていなかったので、へーっと驚いた。
この工房では、他にも織物の実演や刺繍の実演などもしていて、そうした実演で見たものはショップで購入できるようになっていた。ショップで販売しているものは、配色のセンスが良く思わずフランス人も2つ、3つと手にとって買ってしまうようなものが多い。
一般の土産物屋よりはちょっと心を動かされる所だった。
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