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2007.05.05 Vol.2
イサルトレッキング〜ナチュラル・プール
マダガスカル:ラヌヒラ |
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午前11時にラヌヒラ村に車で戻ってきた。ガイドのアルバートとドライバーは村で飲み物や昼ごはんを調達。私たちは朝から準備しているので、特に買うべきものはなかった。
これからはBのように車で行って、そこから赤い線のトレッキングコースでナチュラル・プール、それから黒いナチュラル・プールと青いナチュラル・プールを見てCの駐車場まで戻り、車で村まで戻ってくる。
村のはずれに行くと「ナチュラル・プールへ行くトレッキングの入り口まで3km」というたて看板が立っている。上の地図でいうところのBの駐車場までだ。
徒歩だと40分くらいかかるだろうが、車だと12〜13分。こちらも悪路、途中で浅い川も車ごと渡ったりするので案外時間がかかる。時間はかかるが体は楽だ。
駐車場には案内図と見所が説明された石碑のようなものがあった。案内図は雰囲気としてこんな所を通っていくのだということを示していて、見所の説明板にはポイント場所が書かれていた。
アルバートからも説明があったが、ここから岩山を登って岩壁を越えて向こう側に行く。
岩壁の向こうはまた少し低くなった台地のようになっているので、そこを横切ってから、更に岩壁を越えて降りていくとナチュラルプールにたどり着くようだった。
途中にはバーラ族の墓や様々な形をした岩があるらしいことが下の解説でわかるようになっているらしい。うーむ、あまりわかりやすい説明には見えない。もっとも、マダガスカルの国立公園は必ずガイドを雇わなくてはいけないことになっているので、その都度説明してもらえるから、あまり不安はないのだが。じゃぁ、この看板、何のためにあるのだろうか?
ま、とりあえず、出発前の記念撮影。
うちのドライバーさんは「写真を撮るよー」というととても嬉しそうにする。仲間みたいな意識が嬉しいのかもしれない。ということで、今回はいつもよりもこうした記念撮影的写真が多くなった。
道はまず岩壁の途切れた部分へと向かう。途切れた部分の坂道を登りながら向こう側へ抜けるのだ。
岩壁の切れ目になっているとはいえ、ぐんぐんと上がっている坂道なので多少は息が切れる。
しばらく登ってから後ろを振り返ると、イサル国立公園の外側のサバンナの景色が広がって見えた。
登っている岩壁には不思議な植物も生えていて、右はネバネバする糸を出して小さな虫を捕まえて養分にする植物。
こういうのもアルバートが見つけて説明してくれなければ、見落としてしまうものだった。
イサルの岩壁は近くで見ると侵食されて中から違う色の岩肌が見えていたりする。
この岩壁が実はもろく、ロッククライミングなどには不向きな場所なのだそうだ。
それでも特別に登れるルートがありバーラ族はそうした秘密のルートを登って岩壁の高い所に先祖を祭る墓を作っているのだそうだ。
ここでバーラ族の埋葬についての説明。バーラ族では親族が亡くなるとリーダーの家に2〜3日安置する。その間、ゼブ牛を殺して村人にふるまったりして葬式が行われる。その後、遺体を山に持ってきて石で囲って4〜5年埋葬する。その後、骨を拾って村に持ち帰り川で骨を洗って乾かして、リーダーの家に置いた後、再び山の別の高い場所に埋葬するのだそうだ。何年もかけて死者を弔うというバーラ族のこの埋葬方法はファーマディエナと呼ばれているのだそうだ。なるほどねぇ。岸壁の高い所、一体どうやって行くんだろうというような場所に石が積んであるのが見えた。
上がりきった所は台地になっていて、かなり歩きやすい道ができていた。
大量の小石が積んであるのはタタウという風習だそうで、初めて訪れる場所でこうした石山に石を積み加えるとその日一日ラッキー・デーになるのだそうだ。
私たちも無事にトレッキングが楽しめるように、石山に石を加えた。
素朴な疑問としては、最初の数個は石山ではないので、誰がどうやって始めたのかなぁ?ということ。あまりガイドを困らせる質問をしても悪いので、この質問は控えた。
台地を歩いていくと、また別の岩壁が目の前に見えてきた。
今まで見ていたのとはちょっと違って、高さの異なる小さな山がもこもこと積み重なったような形をしている。
さーて、あの向こうはどうなっているのだろうか。
岩に近づいていくと、アルバートがいたずらっこのような目をして、「さて問題です。この先にある岩は何に見えるでしょうか?」とクイズを出してきた。
前方の岩は蛇、あるいはワニが右を向いている頭部に見える。
「あたり!」この岩はワニの岩と呼ばれているそうだ。
近づくと、その歯の部分までよくできていて、それらしく見える。アンドリンギチャ国立公園にはカメレオンと呼ばれる山があり、頂上にカメレオンに見える岩があったが、ここのもなかなかの出来だった。
ワニの岩を右手に見ながら岩壁沿いに歩いていく。
やがて岩壁の切れ目から向こう側に入れる場所があり、登っていくと向こう側全体が見渡せる展望ポイントに出た。
イサル国立公園は東側に高い岩壁があり、その内部は台地、そして岩壁、また台地、そして岩壁というように東西を上下とするレイヤーになっているようなのだ。
この展望台で一息入れて、ここから左方向に岩壁を下って台地を突っ切って、向こう側の岩壁を越えた先にナチュラルプールがあるのだそうだ。
その後、私たちは今目の前の眼下に見えている台地を右方向にずーっと歩いて行く。そこから黒いナチュラルプールと青いナチュラルプールへのトレッキングコースへ入っていくのだそうだ。先は長いぞ。
岩壁の前を緩やかに下っていく道沿いには、面白い生き物がいた。
これもアルバートに言われなかったら全く気づくことなく通り過ぎていたに違いない生き物だった。
夫の指の先に本来の木の枝よりはちょっと白っぽい枝が見える。実はこれ、昆虫なのだ。「ばれてないよねー」って感じてじーっとしているのが面白い。ちょっと指の先で突くと「あ、見つかっちゃったー」とものすごい慌てぶりでソソクサと逃げていく姿がユニークだった。こういうのが、フツーに生息しているのが見られる、それがイサル国立公園の魅力。
道すがら、岩の向こうからシャレコウベが除いているような所があったり、ワニがのけぞっているような岩があったりと、この辺りは緩やかに下りながら天然の岩の造詣博物館を楽しめる所だ。
この下りの中で私が一番美しいと感じたのは、下りも終盤に近づいた時に右手に見えてくる岩群だった。
そこだけは他の岩とはやや異なるオレンジがかった岩肌を見せて、上の部分だけは炭化したかのように真っ黒になっている。
形状は縦に巻き込んだようになっていて、オレンジ色で黒の縁取りを持つバラの花を鉄などを使ったモダンアートで表現したらこんな風になるんじゃぁないかと思われた。これを白い大理石でシンプルにまとめた都会のホテルのロビーに置いたら、そりぁ迫力があってカッコいいだろうなぁ。
この場所を過ぎて台地を突っ切った所にはキャンプ場がある。驚くことに水洗トイレまであるのだった。イサル国立公園は1960年代に既に国立公園に指定されている歴史のある公園なのだが、それだけに設備も他の国立公園に比べると進んでいるように思われた。
ここで見かけたびっくりは、蛇がトカゲを丸呑みする図。双方そんなに大きなサイズではないのだが、それでも皆が思わず見入ってしまう迫力の食卓の図だった。
そうそう、キャンプ場にはキャンプしている観光客とガイドが数組いて、その中にはアンドリンギチャで一緒だったフランス人カップルもいて、偶然の再会を喜び合うという場面もあったのだった。
蛇に話を戻すが、このくらいのトカゲを飲み込むと1ヶ月は食事をしなくてもいいのだそうだ。しかし、一ヵ月後にまた同じサイズのトカゲが見つからなかったら腹が減って死にそうになるじゃないか。そんな不安と隣り合わせにいつも生きているのが蛇なのか。蛇の人生もなかなか難儀な事になっているんじゃないかと、人事ながら心配になってきたのだった。
このキャンプ場から10分強歩くとナチュラルプールに到着。
ナチュラルプールの手前には小川とそれに続いて小さな滝があり、その滝つぼにあたる部分にプール状に水が溜まっている所をナチュラルプールと呼んでいるのだった。
トレッキングしてきて火照った体には丁度いい冷たさのプールだが、火照りがとれたらちょっと寒いんじゃないかというくらいの気温だった。
ナチュラルプールのほとりに降りきる手前から
ナチュラルプールとその上段の小川をのぞむ。 |
しかし、プールの上の部分にある小川の横の温まった岩の上には、水着の中年白人の男女が5〜6人、プールに入った後の日光浴を楽しんでいる風だった。もしかしたらキャンパーで、入浴代わりの水浴なのかもしれない。もう少し気温が高ければ躊躇なく入っただろうが、私にはちょっと寒い。
下のナチュラルプールに降りた所で軽く昼食休憩とすることにした。
近寄って見ると、遠くから見ていたよりも水は案外澄んできれいだった。
夫はサンダルを脱いで早速水に入って顔や手を洗う。「うわー、冷たくって気持ちいい!」
先ほどキャンプ場で出会って、先にここに到着していたフランス人カップルのムッシュー・オーブリァはもっと先を行っていた。さっさとズボンとシャツを脱いで、おそらくあれは水着ではない、かっこいいパンツ一丁になってジャッボーンと水に飛び込んだのだ。
ナチュラルプールの底は砂地になっているので、それも気持ちが良さそうだった。私はオーブリァ氏の彼女にアンドリンギチャ国立公園訪問後、どうやってここまでたどり着いたかの顛末、予約したタクシー・ブルースとの対決を興奮して話しているうちに水に入りそびれてしまった。オーブリァ氏の彼女は、私の話に大きな目を開いてうなずいき、「そうよ、そうよ。正義は正すべきよ。私でも同じことをしたと思うわ」と、ここ数日、私の中でもやもやしていたものを一気に解消してくれたのだった。
ということで、再会を祝して記念撮影。
我々のガイドのアルバートは、6月に18人の日本人の団体客のガイドを努めるという話が決まっており、ナチュラルプールに到着したらミニミニ日本語レッスンをしてほしいと言っていたのに、私たちがオーブリァ氏たちとの再会で盛り上がってしまって、ちょっとつまらなそうだった。ごめんね。
ということで、ここで40分ほど水浴びとお昼休憩をした後、オーブリァ氏一行に別れを告げて、私たちは次の目的地である黒いナチュラルプールと青いナチュラルプールに向けて再び歩き始めたのだった。
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