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2007.05.07
イファティの海岸の風景
マダガスカル:イファティ |
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ラヌヒラの宿を出てから9時間後にたどり着いたイファティ。
ガイドブックには「海のすばらしさは世界でもトップクラス」というのを「海の美しさは世界でもトップクラス」と読み違えていた私たちは、その浜辺に立つや愕然とした。
違う、私たちの期待していた海の色ではない・・・。
白い砂浜、輝くような透明の水、そこから始まるグラデーションで遠くに行くほど濃くなっていく水色の層。そんなモーリシャスの海がまだ記憶に新しい私たちに、この海は生活排水で海水が黄色く汚されてしまった悲しい海にしか見えなかった。
がっかり。
水は入りたくないほど汚いわけではないが、身を浴したいと心躍るほど美しくもなかった。
美しい水への期待があまりに高かったために、しばし愕然として部屋で休んでいたが、もう一度海辺に出てみた。長い海岸線に松ややしの木が生えていて、アンタナナリヴからの長いタクシー・ブルースの果てにたどり着いたモザンビーク海峡ではないかと思いなおせば、水のクォリティーは悪いにせよ、のんびりとした所ではある。まぁ、ゆっくりしましょう。
何日か過ごしているうちに、日中で一番美しく見えるのは朝だということに気づいた。西に向いているこの浜辺は、朝のうちに波が満ちていて海草の生えた部分が覆い隠されているのできれいに見えるし、斜めにあたる朝日が海面を美しく見せるのだ。
具合によっちゃぁ、エメラルドグリーンに見える場合すらある。
朝はピローグという丸木をくり貫いて作った船に乗った漁師さんが波打ち際をフーッと横切る風景も見られて、それはそれでこの土地らしい景色だ。
朝9時半頃の海はまだ水温も冷たく、あまり長くは入っていられないが、それでもすがすがしい気持ちになる。浜辺に座っていると、強い太陽の日差しで体はすぐに温まってくるのだった。これで良しとしよう。
イファティのビーチで寛いでいると、必ずやってくるのが、地元の女性。腰に巻いたりしている布売り、髪の毛の編みこみ、貝殻のアクセサリー。これらは少女や女性が売り子だ。そして男性は1日エクスカーションの誘いにやってくる。
少女たちは数人の集団でやってきて、口々に「ほら、見て。私のヘアースタイル可愛いでしょ?こんな風にあなたもやってみない?」とか「旦那さん、奥さんに素敵なアクセサリーはいかが?」とか「こんな柄の布も、あんな柄の布もあるのよ」と次々に商品を広げて見せる。
私は、いらない、いらない、いらない、いらない。と呪文のように唱えて次々に売り子を撃退。最後まで粘っていた編みこみの少女には、日本語で「いや、編みこみやらないの。だって頭はげちゃうからね」と言った。
この少女はとても耳が良くて「アタマ、ハゲチャウ?」とたちまちこのフレーズを覚えてしまった。「そう、頭はげちゃう」と言うと、周囲の少女も集まってきて、皆で「アタマ、ハゲチャウ、アタマ、ハゲチャウ」と繰り返す。皆、耳がいいなぁと思いつつも、この状況に私は大うけ。少女たちも意味はわからないのだが、私が大笑いしているので、「アタマ、ハゲチャウ、アタマ、ハゲチャウ」と繰り返す。年長の少女たちは、一生懸命にどういう意味なのかを探ろうとしていたが、とうとう諦めて去っていった。
翌日から、売り込みには来ないものの、遠くから私をみかけると「「アタマ、ハゲチャウーーーー」と大きな声で呼びかけて手を振ってくるのが、毎日の楽しみになった。
男性の1日エクスカーションのお誘いの内容は、ピローグで行くシュノーケリングツアーだ。
イファティーは沖合いにサンゴ礁があり、少し船で海に繰り出すだけでシュノーケリングのポイントになっている。
このサンゴ礁が防波堤になって、イファティーの海岸は波がなくてとても穏やかであるのは、ここのビーチのいい所だ。
さて、エクスカーションに話を戻すが、私たちはケニアのラム島を訪れた時に、ダウ船と呼ばれる、やはり昔ながらの帆船を使ったエクスカーションでシュノーケリングを行った。一度海の中に入ったはいいものの、船に上がる時にはしごのような物が何もなく、自分の腕で船によじ登らなければならなくて、これがとても大変だった。というか自力では上がることができなかったのだ。ダウ船よりも更に幅の狭いピローグで人に引き上げてもらったりしていて、バランスをくずして船が倒れてしまったらどうするんだろうという不安もあった。
また、こうした船を持っている地元民のシュノーケリングでは、シュノーケリングギアが悪い。豊富に種類を持っているわけではないしマスクのゴムが切れかかったりしている。特に白人客の多い地域では顔の小さいサイズのマスクしか用意されていなくて、私のように顔が大きい人には不向きだということもある。
こんな理由からピローグでのシュノーケリングは完全却下。
中にはピローグで行くシュノーケリングをもっと拡大して、シュノーケリングをして、近くの浜辺でロブスターのBBQもつけちゃうというのをやっている人もいた。
で、もっと拡大したツアーだと、ピローグでシュノーケリングしてロブスターのBBQを食べたら、今度は牛車に乗って大きなバオバブを見に行く1日ツアー。お、よく考えたねぇ。イファティーの魅力を1日で体験できるツアーだ。夫が浜辺に一人でいる時に話を聞いたのだが、このツアーになると一人US$40くらいの値段を言ってきたらしい。現地通貨のアリアリにするとAr80000くらいになる。大きく出たねぇ。この近くでモーターボートを所有してシュノーケリングやダイビングを行っている南アフリカ人のリチャードがやっているシュノーケリングが1〜2時間で一人Ar35000なのを基準に値段を出しているようだ。
この話を夫から聞いて、私は最後の「牛車で行くバオバブ見学」に興味を持った。その部分だけならやってもいいかもね。
イファティの海は日長一日こんな風だ。
派手なビーチアクティビティーもないし、物売りも多くはないし、食べ物売りの常設の店もない(浜辺沿いのホテルには大抵レストランがあるが)。非常に静かで、ひたすらのんびりとしたビーチだ。あら、こうやって書いてみると案外いい所じゃない。そう、何度も言って申し訳ないが、水のクォリティーは良くないものの、適当な木陰もあるしビーチとしては静かでいいのだ。排水を流して汚してしまっているのが、本当に惜しまれる所だ。
そうそう、あとこのビーチは西に向いているので、毎日の夕焼けが素晴らしかった。それは後でまとめて紹介したい。
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