夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2007.05.18 Vol.1
大ツィンギートレッキング

マダガスカル:ベクーパカ

 おととい村で唯一車を持っている家族を紹介してもらって、今日の大ツィンギーまでの往復送迎をお願いしておいた。

 この一家の親戚であり今日のドライバーであるムッシュー・ドネー氏は約束より15分遅れの6時45分に登場。

 この宿からANGAPのオフィスまでは車なら15分で到達してしまう。オフィスが開くのは午前7時半だから、15分遅れでも全然間に合うのだった。

 大ツィンギーは村から川とは逆方向にそれた道に17km入り込んだ所にある。普通の旅行者ならば初日に国立公園の入園料と1日目と2日目のトレッキングのガイド料金をANGAPオフィスで支払ってしまい、2日目はAGNAPオフィスに立ち寄らずにさっさと大ツィンギーに向かうようだ。

 しかし、サンダルのサイズが合わないためにトレッキングでくるぶしを擦りむいている私は、1日目のトレッキングの結果によってコースを短くしなくてはならない状況にあった。しかも、昨日、明日の帰りの足を探すことができなかったので、ANGAPオフィスに行って別の旅行者を探さなくてはいけないという理由もあった。いずれにせよ、私たちは2日目もANGAPオフィスに行かなくてはならなかったのだった。

 午前7時にANGAPのオフィスに到着。他の旅行者はまだ誰1人来ていない。よしよし。ここで昨日のガイドのラヌヴェローさんと落ち合う約束をしていた。午前7時半になるとANGAPのオフィサーが自転車で出勤してきて、それに合わせて他の旅行者も次々と来るまで乗り付けた。

 今日も明日帰る旅行者を探すことから始まった。一組目は今日帰ってしまうという老夫婦。空き席はあるのに残念ねぇ。そして二組目、若い白人男性二人と白人女性一人という3人組。彼らは「明後日帰る予定だが、ピックアップトラックの後ろだったら、自分達はオッケーだよ!」と言ってくれた。彼らのドライバーのジョンさんに許可を求めると、ジョンさんは「そうか、そういうことなら、ほら、あそこのキャンプサイトの横の食堂があるだろ、あそこがドライバーのたまり場になっているか、今夜俺が他のドライバーに聞いて、夜見つかったかどうか君たちの宿に知らせに行ってあげるよ。もし見つからなかったら、俺の車で帰ればいいさ。こういうことってよくあることなんだ」と非常に親切かつ頼りがいのある人。うわーい、やっと見つかった。何とか帰れそうな目処が立ってきた。非常に喜ばしいことだった。

 ジョンさんが他のドライバーに聞いてくれることを頼みに、他に旅行客も現れないので大ツィンギーに向けて出発することにした。

 川沿いのANGAPオフィスから村に向かう途中に右折し、もう一つのANGAPオフィスに立ち寄る。ラヌヴェローさんは、ここで本日使用する安全帯を3組取ってきた。そう、今日は高さ50mから100mもある大ツィンギーを見下ろす展望台まで上る。途中では高い場所に作られた橋も渡る。その時にこの安全帯を橋のロープにつけたりするのだそうだ。しょっぱなから冒険あふれる話ではないか。

 村からの17kmも未舗装の道で、乾いていてもデコボコと轍の深い所が多い。まだ雨季の雨が乾ききっていなくてハンドルを取られそうになるぬかるみや、川の中を渡らなきゃならない所が何箇所かあり、運転テクニックを要する所だった。

 どんなに奥地にはいっても道端をローカルの人が歩いているのには驚く。こんな林の中の一体どこに家や畑があるのだろうか。

 たった17kmだがたっぷり1時間かかって大ツィンギーに到着。私たちは2時間の散策コースなのでこちらの入り口だが、もっと長いコースの場合は途中から左折する道路標識が出ていた。

 サンダルで擦りむいた左足のくるぶしが既に痛み出しているが、2時間くらいなら耐えられそうだ。

 9時10分、トレッキング開始。

 各々自分の安全帯を渡されて出発することになった。入り口で第一生き物発見。くわがただ。



 トレッキングに際して、ラヌヴェローさんから今日のコースの説明があった。こういう点はこの人は非常にきちっと説明してくれるのが気持ちいい。今日は森の中を歩いて、そこから岩を登りながら展望台に向かいます。そして、展望台から戻る時に空中に吊るされた橋などを渡って戻ってきます。所要時間は2時間です。

 森の中はひんやりしていて朝の散策は気持ちがいい。

 ラヌヴェローさんは森の中でカサッという音がするとするどいまなざしを森の中に向ける。歩きながら動物を探しているらしかった。

 ツィンギーにもベローシファカという白いキツネザルがいるのだそうだが、なかなか見ることは難しいと最初に言われていた。シファカはもうかなり見たし、私たちはそんなに期待していないからと言っていたのだが、森を歩き始めて10分後に、ラヌヴェローさんが指差す先にベローシファカを見た時はやっぱり嬉しかった。

 2匹いるうちの1匹は私たちにはおかまいなしに木の葉をむしりとってはむしゃむしゃと食べている。朝から旺盛な食欲だ。もう1匹は好奇心が強いらしく、股の間から興味深げにじーっとこちらを見ている。なんちゅう格好だろう。しかし、耳と顔の部分だけ黒くてあとは全身真っ白のベローシファカは今まで見た中でも一番かわいい。中国の野生のパンダなどを映像でみると、案外白い部分が茶色く汚れていたりするものだが、シファカは木から木に飛び移って生活しているせいか、真っ白な毛皮が汚れていない。嘘のようにぬいぐるみ的に美しいのだ。

 お次はとてもいい声で鳴く鳥。名前は忘れてしまったが、しばらく木に止まって鳴いていたがパーッと飛んでいってしまった。鳥や蝶というのは本当にカメラに捉えるのが難しい生き物だ。


 それにしても、今日のトレッキングで森の生物に出会えるとは期待していなかったので、嬉しい驚きだった。朝早い時間帯に来たからだろうか。

 「森の中を通ってから岩を登って行きます」という説明だったが、森の中もそれなりにアップダウンのある道で、私たちは結構「大変だねぇ」とか言いながら歩いていたのだが、ラヌヴェローさんにとってこういう道は平坦に等しいらしかった。

 森が終了すると、岩壁からドサドサと石が転がり落ちて散乱しているような場所に出る。

 この岩の隙間を乗り越えながら散乱している岩の中に入り込んで行くと、目の前の岩壁を向こう側に抜けられる洞穴があるのだ。

 洞窟の中は暗く、懐中電灯なしには足元が見えないくらいだった。だから、この日も懐中電灯が必要だ。

 しかし、そんなに奥行きがあるわけではなく、すぐに外の明かりの漏れる向こう側の出口にたどりついた。

 洞窟から抜けた所でいよいよ安全帯の装着だ。両太ももとウエストにベルトを絡める。ウエストのベルトからは鉄の輪のついたヒモが2本さがっているので、ちょっとだけ質量を感じるベルトだ。

 ちなみに、この洞窟から抜けた所が一番藪蚊が多かった。私たちは蚊除けクリームを塗っていなかったので足先などを刺されそうになったのだった。

 ここからやや岩を登った所からツィンギーの特徴であるとがった岩があちこちに見られるようになった。

 さすが大ツィンギー。昨日よりも大きなサイズの岩が多い。

 と思いながら、ふとある岩に目をやると岩陰から何かがこちらを見ている。

 またベローシファカだ。

 私たちよりも高い位置にいるから安心しているのか、上から興味深げにこちらを見ているのだった。



 別の木にももう一匹。そして別の岩の上にももう一匹。シファカは一匹見つかると必ず他に数匹見つかる。群れをなして生活しているようだ。

 いずれも好奇心が旺盛でこちらを見ているシファカは最低一匹はいるので撮影するのが楽しい動物だった。

 この辺りは通路が狭く、左手が抜けてきた森で右手がツィンギーの内部になっているという、ツィンギーのすぐ外側と思われる場所だ。






 ガイドのラヌヴェローさんの頭上にはツィンギーのこれまた特徴的な下がすっぱりと水平になった縦筋の岩が見られた。このサイズも昨日の小ツィンギーに比べると大きい。

 縦に入った縞模様が細かくて美しかった。










 さて、この外側の通路の岩の切れ目からいよいよ大ツィンギーの内部に潜入する。

 安全のために階段やはしごの手すりに腰につけている安全帯の鉄の輪っかを二つつけて上るようにラヌヴェローさんから指示があった。なるほどねぇ、こうやって使うのね。そんなに危険に思えない場所だが、万が一足を踏み外した時にこれが役に立つってわけだ。


 ぐんぐんと岩を登ると眼下に上ってきた岩やはしごが見えてくる。あっという間に高い位置にきてしまった。






 目を上げると遠くに大ツィンギーの姿が見えてみる。こんなに離れているのにあんなに大きく見える大ツィンギーはやはり昨日の小ツィンギーに比べるとかなりの規模、大きさなのだろう。




 この辺りでよく見かける植物の花は、グレー一色の石灰石の中で唯一色のある世界で目を引いた。

 歩き始めて1時間15分で展望台に到着した。安全帯をつけてからここまでの道のりは上りも多く、平坦な場所も突起した岩があって歩きにくい場所が多かった。
 展望台に到着したのはいいが、日差しの強さと1時間の運動で頭がくらくらして、私は展望台の下の日陰に潜り込んで休憩せざるを得なかった。


 展望台の足場は屹立する岩に取り囲まれている。そこからの眺めは同じく屹立する岩がずーーっとどこまでも続いており、その先に下が水平なった岩を乗っけた尖岩が横並びになっているという景色が広がっていた。


 この展望台から見る景色は360度、どこを向いてもこうした尖った岩だらけ。これが延々と見渡す限り続いているのだった。

 こんな不思議な光景はやはり世界広しといえども、他にはないんだろうなぁ。

 ここで10分間、景色を楽しんでから、岩を降りて戻ることになった。






 といっても、来た道を戻るわけではない。この尖塔のどこに下りていく道があるのかと思うのだが、細く人が通れる道があるのだ。

 ラヌヴェローさんについてそろそろと下に下りていくと、そこには大ツィンギー名物の尖った岩にかかるつり橋が見えてきた。一番有名なつり橋は今日の短いコースではなく、長いコースの方だろう。

 私たちが宿泊している宿タナンクアイTanankoayの女主人から許可を得て、長いコースのつり橋の風景を撮影した写真を私たちのデジカメで撮影させてもらった。

 このつり橋がマダガスカル観光局のポスターで見た写真だった。

 尚、マダガスカル観光局のポスターで一番印象的なのは、大きな岩がおっとっとという風にバランス良くそーっと別の岩に乗っかっている写真だ。

 このポスターを見ると、私の勝手な想像で、非常に巨大な岩がバランスをとって乗っかっているように見える。この景色こそが今回のベマラハ国立公園行きを決定したといっても過言ではない。

 だから、宿で写真を見せられた時に、最初に「え?案外小さい」という感想を持ったのもしかたない。

 女主人の写真を見ても、このポスターにある景色の写真がなかった。この景色は一体どこでみられるのだろうか。

 思っていたよりも岩が小さいこと、ポスターにある景色が一般的に見られる角度から撮影したものではないのだろうということがわかって、がっかりしたのだった。

 しかも今日は、長いコースでさえない。つり橋があると言っても、そんなに期待感は高まっていなかった。

 だから、いざつり橋を渡ろうと足元を見ると、真下に尖った岩の切っ先がこちらを向いて突き刺さるように見え、そのずっと下に森林の樹木が見えた時は、「お、案外迫力があるじゃぁないか」と楽しむことができた。楽しめるっていうのは期待感との相対バランス。期待していないと楽しめる場合もあるのだ。

 渡り終わってから、後ろから来る夫を撮影。うん、こちらからの景色もなかなかよろしい。


 ここがこのコースのハイライトだった。ここからは一気に岩山を下山していく。その急角度たるや、すごい。本当に岩の上に無理やり階段を設置したという感じなのだ。

 この時ばかりは安全帯があって良かったなぁと少しだけ思った。

 つり橋から30分で出発地点に到着。そこからムッシュー・ドネーの運転で宿まで1時間で戻ってきた。

 朝8時に村を離れてから、戻ってきたのは12時半。2時間のトレッキングだが、なんやかんやで村を出てから帰るまでは4時間半かかるのだった。ムッシュー・ドネーは助手の男性も連れてきているなど、なかなかちゃんとしていて、もし私たちと同じように行くのなら、大ツィンギーに行く場合に頼りになる。お金を支払ってみんなニコニコとなった所で、最後の記念撮影。はい、お疲れ様でした。


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