|
|
|
|
2007.06.02
キリマンジャロの麓で・・・
タンザニア:モシ |
|
モシといえばキリマンジャロの麓にある町。ここでは何が楽しめるのだろうか?
バスターミナルから宿に向かおうとする途中から既に、何人かのガイドと称する男がついていて、モシの見所ツアーの話を歩きながらしていった。いずれの男も同じ内容。つまるところ、キリマンジャロ登山をのぞくモシからのツアーはこの一つしかないということがわかってしまった。
そのツアーとは、モシの町から公共のバスで1時間ほどキリマンジャロ山方面に上っていった村を訪ねるツアーだ。村にはバナナプランテーションとコーヒー農園があり、村ではバナナで作ったビールを試飲する。帰りには、村の近くの滝を見て帰ってくるというコースだそうだ。時間は大抵半日コースで、一人US$20〜が相場のようだった。
上記のコースにプラスして近隣の森林を訪ねて動物(モンキーだったかな?)を見るコースもあり、こちらは1日かかる。値段ももっとアップすることだろう。
この話を聞いて、もし上の方の村からキリマンジャロがよりよく見えるのなら行く価値があると思った。私たちは登山はしないが、せっかくモシまで来たのだから、できるだけ楽な方法でよりよくキリマンジャロを見る方法があるなら喜んで試したいと思っていたのだ。最終的に二人残ったガイドの一人に、そのツアーに参加するとキリマンジャロがよりよく見られるのか聞いてみると、「もちろんさぁ!」と答えた。
しかし、そのそばからティンティンツアーという「地球の歩き方」にも紹介されているツアー会社のガイドが、今の時期はまだ雨季が完全に明けきっていないために、ツアーに行っている日中は曇ってでキリマンジャロは見えない確立が高いと言い出した。おそらくこちらが本当の事を言っているのだろう。先に「もちろん」と答えた男は、そう言ったことも忘れたかのように「でも、夕方なら見えるよ、夕方6時近くにモシの町の高いビルからならキリマンジャロが見える可能性が高いよ」と言い出した。これにはティンティンツアーの男性も賛成し、先の男は自分の威信を取り返したように満足した。やはりガイドブックに紹介されているティンティンツアーの方が信用がおけるみたいだなぁ。
この時期、ツアーに参加してもキリマンジャロがよりよく見られるわけではないことは判明。ということで、モシでは街中から夕刻にキリマンジャロを見ること、キリマンジャロコーヒーを楽しむこと、この2つが目的になった。
2日の午前中にチェックインして、明後日の交通機関の調査かたがたバスターミナルをめざす。
私たちが乗ってきたような大型のバス会社はバスターミナルではなく、自分の会社の事務所の前にバスが停車するようになっているので、バスターミナルにいるのはトヨタハイエースを改造したミニバスと、大型バスなのだが座席がもっと居心地の悪い近距離バスだけ。私たちが次に目指そうとしているのはルショトという幹線道路からはずれた村なので、そこに行くバスに乗ろうとするとこうした大型バスしか選択肢がないことがわかった。
バスターミナルにいる人間は、いつものように「売り込まんがな」の焦りを客に突き刺すように向ける人種で他の町と大差なかった。しかし、その道すがらの商店やレストランや道行く人の様子は、アルーシャと比べるとのんびりとしてひなびた緩やかさが漂っており、天気がいいということもあって(キリマンジャロ頂上付近だけ曇っている)、アルーシャよりもずっと居心地が良かった。
昼食に手ごろな価格の食堂はイスラム教徒の主人が会計カウンターにいて、メニューを英語で丁寧に説明してくれた。気軽な食堂なので相席になるのだが、しばらくして私たちの目の前に座ったマダムは、黄色と黒の柄のスカーフを頭に巻き、お揃いの布で作ったツーピースを着て、私のイメージのアフリカンマダムそのもの。その彼女がとてもきれいな英語で、「スワヒリ語ではジャンボという挨拶は友達同士のもの、目上の人に対してはシカモというのよ」などとペラペラとスワヒリ語講座を始めてくれるのも面白い。
話は飛ぶが、夜はちょっと高めのインド料理店に行った。宿からすぐ近くなのだが、インド人居留区なのか道行く人にインドサリーの女性をちょいちょい見かける。アラブ系イスラム教徒、ブラック・アフリカン、インド人。そんな人がローカルとして混在し、キリマンジャロを目指して世界中から登山者や旅行者が集まっている。規模が小さな町の割には、非常に国際的な顔ぶれなのだ。そんなこともあって、人々は開けた対応に慣れていて、私たちのような旅行者の居心地の良さにつながっているのかもしれない。
さて、昼食が済んだら食後にお楽しみのキリマンジャロコーヒー。モシには政府経営のキボ・コーヒー・ハウスというのがある。ガイドブックでは「改装中」となっていたのだが、行ってみると改装中なのか倒産なのか看板はあれども閉まったままだった。ということで、バスターミナルの反対側にあるThe
Cofee Shopに行く。
コーヒーは、キリマンジャロらしい酸味の効いた味でなかなかおいしくて濃い味だった。これで、一つの目的達成だ。
私たちの宿「キリマンジャロ・バックパッカーズ・ホテル(旧ダ・コスタ)」からバスターミナル、いやその先のキボ・ハウスまで歩いてしまうと、ほぼ町を見回したことになってしまう。宿にぶらぶらと戻りながら、ふと目を上げると、おおおおおーーーーー、今まで雲って見えていなかったキリマンジャロの頂上が雲から出てきているではないか。風が吹いているために、このままどんどんと見えてくるような気がした。
急げ、ホテル・キンドロコへ。我々の宿のちょっと先にあるホテル・キンドロコは5階に屋上カフェがある。そこからならもっと良く見えるだろう。キンドロコの屋上まで階段を駆け上がると、午後3時ちょっと前。
雲の中から、わずかに写真で見たことのあるキリマンジャロの雪を被った頂上が見え始めてきているのだった。
バーテンダーが近寄ってきて、「今週はずっと雲って見えていなかったのにラッキーですね」と声をかけてきた。
ほほー、そうなんだぁ。このバーテンダーの言葉に気をよくしたわけではないが、キリマンジャロビールを一つ注文。
ここからビール一本で午後5時半までの2時間、キリマンジャロ観察に費やしたのだった。途中で、オランダ人の女子学生テクラさんも仲間に入れて、おしゃべりを楽しみながらだったので、そんなに長居したとは思っていなかったが、ふと周囲を見るとガラガラだった席には4組くらい人が来ている。みんなキリマンジャロ目当てらしかった。
午後4時半に一回、午後5時過ぎに一回、2時間半の間に山頂の雪を被っている部分が全部見えたのは2回。
この普通のアフリカの町並みの後ろに、巨大に雪を頂いたキリマンジャロがそびえているというのは、何か現実感がないとうか、嘘のような光景だった。富士山の近くに住んでいる人ならば、こういう光景は見慣れているのかもしれないが、そういう経験がない私にとっては町と山がこんな風に一つの視界に入ってくるのが不思議でならなかった。
これに似た光景は、南米ボリビアの首都ラ・パスでも見たっけ。あの町は町自体が富士山よりも高い所にあり、周囲には6000m級の山がいくつか見えている。町のゴミゴミトした道路や塗装のはがれた汚いビルの背景に、太陽に青く光輝く山が整然として存在している。とても不思議な光景だった。モシの町は私にそれを思い出させた。
こうして初日にして、街中を見学して、コーヒーを飲んで、キリマンジャロも見てしまったので、翌日は別のコーヒーショップを楽しんでからサイト更新作業にいそしんだのだった。
ホテル・キンドロコの1階レストランの片隅にテナントで入っているネットカフェは持ち込みPCも接続させてくれて、1時間Ts1000(=US$0.78、2007年5月28日の換算レートUS$1=Ts1287を使用)。スピードは速いとは言えないが、サイトで使用している一番大きなサイズの写真があがらない程遅くはなかった。
様々な人種が行き来して、規模の割りには国際的に開けた町、それがモシの印象だ。
|
|
|
|