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2007.06.14 Vol.2
新鮮なイカを探して・・・
タンザニア:ヌングイ |
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一昨日のシュノーケリングツアーの帰り途、船のスタッフが「俺の今晩の夕食だ!」と見せてくれたイカの素晴らしさが目に焼きついてしまった私たちは、どうにかしてイカを買ってきて自分たちでイカ入りトマトスパゲッティーを作りたくなった。
まずはキッチンの手配だ。宿の担当者のアリさんに、恐る恐る朝食用のキッチンをちょぴっと使わせてもらえないだろうかと相談してみた。すると、アリさんは「そんな事はお安い御用。キッチンのコンロは灯油式なので自分で灯油を買ってきてくれれば、いつでも使って結構ですよ!」というではないか。ああ、なぜもっと早く言い出さなかったのだろうかと悔しがる私たちを見て、「だから、リクエストや質問があったらどんどんしてくれって言ったじゃないですかぁ」とアリさん。そうだったのかぁ。キッチン使わせてってのは微妙な質問だから控えていたのだが、言ってみればよかったなぁ。
とにかくキッチンは使えることになったので、こんどは材料の仕入れだ。村の商店に冷凍庫があるのだが、大きな魚しか冷凍されていなくて、海老やイカは売らないということだった。アリさんに聞くと、ヌングアビーチを時計回りに歩いて行くと20分ほどで村の魚市場に到着するので、そこで買えばいいと教えてくれた。村の商店でイタリア製のスパゲッティーとトマトと玉葱を買えることはわかっている。
よしっ!イカ・トマト・スパゲッティーへのゴールが見えてきた。
市場は朝6時と午後2時頃に開催される。朝はカツオやマグロなどの大物、午後はもっと小さな魚やイカや海老が出るだろうといわれたので午後2時を目指して市場に向かって歩き出した。
ホテルが途切れて、漁船の並ぶ場所を通り過ぎると、村が見えてきて人々が木陰でまったりしている場所に到着。一人の男が足早に近づいてきて「魚が欲しいのかい?」と英語で話しかけてきた。早速、仲介役を買ってマージンを取ろうとする人だと、とっさに無視。男はそれでもついてきて、「午後2時頃になったら船がぼちぼち戻ってくるから」と話していた。
あなたは一体何者ですか?と聞くと、男は片腕を上げて「5000、6000、7000」といい始めた。夫は「こいつは頭がおかしい浮浪者に違いない、危ない、危ない」と無視を決め込み、私も危ない人だなぁと無言を保っていた。男はやがて諦めたように去っていき、二人で危ない所だったねぇと一息ついたのだった。
村人と一緒に木陰で待っていると、2時過ぎに例の男が再び近寄ってきて「船が戻ってきた」という。しつこいなぁ。それでも男が船に向かうので私たちも仕方なく付いてく。船というよりは舟。小さな舟が一艘、海から戻ってきて魚を積み下ろした。小さな魚が20匹くらいと、とても大きな5kgはありそうな魚が一匹。
すると私たちが頭のおかしい浮浪者だと断定した男が、村人の輪の中に入っていって、「はい、この魚、いくらで買うか?」と競りを始めたではないか。村人は「300」「400」と値段を言う。男は「はい、400、それ以上はいないか?」と競る。おおっと、この男性は競り人だったのだ。それで、さっきの「5000、6000、7000」も納得がいった。あらあら、一番大切な人をないがしろにしてしまった。急に態度を和らげた私たちに向かって、男は冷ややかな一瞥をくらわせながらも競りを行っていた。
しかし、本当に市場じゃないか。まさか自分がザンジバル島の競りに参加することになるとは思わなかった。イカが来る前に競りの概要を押さえておかなければ。色々な人に説明して「ミヤタトゥ」は300、「ミヤタノ」は500ということを知った。大抵はミヤタトゥかミヤタノで商品が落とされていった。
大きな魚はTs10500(=US$8.17)で白人の男性が落としていった。こんなに大きな魚でこの値段は安い。
しかし、待てど暮らせどイカはやってこない。舟はその後も2艘、3艘と戻ってきたが、大抵は小さな魚ばかりだった。大きな魚を持って帰っていった男性が、今度は奥さんを連れて戻ってきた。奥さんは周りの村人に「カラマリが欲しいのよね、カラマリは入ってこないのかしら?」と訪ねている。おお、カラマリとはイカ。つまりライバル登場だ。ますます競りへの情熱が高まっていくではないか。
しかし、午後3時近くになってもイカはあがってこなかった。結局、白人夫妻と私たちはイカを諦めて戻ることにしたのだった。それにしても、なぜイカが来なかったのか。周囲の人に尋ねたら、競りに来ていて英語が話せる男性が、今の時間帯はイカを捕獲するには潮が引きすぎているのだと教えてくれた。ザンジバル島で食べたい物を入手するには、潮の満ち引きの具合と何が捕獲できるかを知っておかないと難しいらしい。何てこった。
ということで、私たちのイカ・トマト・スパゲッティーへの夢はあえなく費えたのだった。もっと早くからキッチンが使えることを確認していれば、市場研究もできただろうが、もう遅い。オイルサーディンを買ってスパゲッティーを作って満足することにしたのだった。
そうそう、一つ良かったのは、ヌングイビーチのホテルが途切れるぎりぎりの場所、高級そうなホテルの目の前のビーチがこれまた素敵な色合いなことを発見したことだった。
狭いビーチといわれているヌングイだが、歩いてみると光線の加減によって場所ごとにことなるチャーミングなポイントが見つかるのだった。
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