夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2007.06.23
ムズズの街

マラウィ:ムズズ

 タンザニアのムベヤという街から1日かけてムズズに夕方到着し、翌日の昼にはンカタ・ベイという小さな村に来てしまった。

 ンカタ・ベイには銀行が1つしかなく、VISAカードは使えない。

 だからンカタ・ベイに向かう日、必要な金額を計算してムズズの銀行で現金を引き出してきたはずだった。

 しかーし。

 物事はそう順調には運ばない。ンカタ・ベイからイララILALAというフェリーに乗ってマラウィ湖を南下して2泊後にモンキー・ベイに行く予定だった我々は、ンカタ・ベイのフェリー事務所で話を聞いて、自分達の見積もり違いに気づいたのだった。

 私たちはファースト・クラスで計算していたのだが、フェリーのファースト・クラスというのは部分的に屋根もある甲板のことで、つまり屋外で勝手に寝ろってことになる。「テントを持っている人は、甲板にテントを張っても結構です」ってフェリーの人は説明してくれたが、テントなしの私たちは屋外で寝袋一つで寝る羽目になる。夏ならともかく、南半球は現在冬。朝晩は冷え込むので、テントなしでファーストクラスは40代には厳しかろう。

 ということで、予定変更してちゃんとした部屋の形態になっているキャビンを予約することにしたのだった。クラスを上げたので、どう計算しても予算が足りなくなり、もう一度ムズズに行ってお金を引き出すことになったのだった。

 ンカタ・ベイとムズズの間には頻繁に、といっても1時間に1本くらいの割合でミニバスが走っている。料金はMK240(=US$1.68、2007年6月25日の換算レートUS$1=MK143を使用)と1時間くらい乗る割りには安い。

 乗る時間は1時間強なのだが、バス発着所に到着して人が集まるまで40分くらい待つのはマダガスカルを含めた東アフリカのミニバスに共通のことだ。

 9時半から待って10時15分に満席になり出発。ここに来る時に利用したミニバスは、運転席の列を含めて3列しかなく、3つシートには3人が腰掛けるという尋常なバスだったので、マラウィのレベルはてっきりこんなものだと思っていたのだが、今日のミニバスでマラウィのミニバスのレベルはタンザニアやマダガスカルとさして変わらないことがわかった。運転席を含めて4列、1列にシートが3つの場合は4人が腰掛けることになっている。はー、ギュウギュウだ。

 ムズズの街は、ンカタ・ベイに来る21日の午前中に歩き回ったので、大分勝手がわかっている。ンカタ・ベイから来ると、まずは銀行のある町の中心地を通り抜けて終点がバスターミナルということになるので、私たちはまず銀行の目の前でミニバスを降りて、現金を引き出すことにした。

 銀行は道の片側に2軒ずつ4軒も集まっている。VISAカードが使えるのはそのうちの2軒だ。

 ここからバスターミナルまで向かう1.5kmくらいの道のりには、スーパーマーケット2軒、インターネットカフェ数軒、レストランが2軒くらいが点在していて、周辺の他の街に比べるとこれでも明らかに都会なのである。

 でも、私たちが期待する都会としての通信機能にははなはだ疑問が残った。

 23日にインターネットをしたくて、片っ端からインターネットカフェを回ったが、「ちょっと今はコンピュータが故障している」「プロバイダーが落ちていて回線がつながらない」などの理由で3軒くらいは使えなかった。やっとたどりついた一軒は詳しくは忘れてしまったが15分US$1くらいと先進国の4倍の値段がかかるのにスピードは恐ろしく遅く、次の宿についてGoogleで検索しようとして、検索結果が出るまでに果てしなく時間がかかりそうなので途中で断念した。

 仕方がないので電話をしようとした。ここでは電話をするにはプリペイドカードを買わなければならないのだが、そこがよくしたもので、人間公衆電話屋さんがあちこちにある。用は電話回線と電話と係員がいて、係員に電話番号を告げると電話をかけてくれてプリペイドカードなしで電話がかけられるのだ。要は係員がプリペイドカードを買っていて、彼女あるいは彼のプリペイドカードを使って電話をかけることになるのだ。支払いはプリペイドカードの残点数によって計算され、使った点数に従って客は料金を支払えばよい。プリペイドカードを自分で買うよりはもちろん割高に支払わされているのだが、使いもしないカードを買って余らせるよりはいい。


最後に試した電話屋の女性が一番粘り強く
何回も挑戦しようと説得された。
 人間公衆電話屋さんから宿に電話すると、話中なのか受話器が上がったままなのか、一向につながらない。1時間後にかけても同じ状態だった。

 人間公衆電話屋さんは、言ってみれば完全歩合制だ。お客さんが電話してくれなければ設けは全く出ない。

 もうちょっと試させてくれ、もう一回だけかけてみようと、なかなか解放してくれなかった。結局、最後まで電話は通じなかった。それが電話のせいなのか宿の電話のせいなのかはわからず仕舞いである。おそらく宿の電話のせいだと思うが。

 スーパーマーケットは、街中に1軒、バスターミナル付近に1軒あるが、生鮮食料品はバスターミナル横の市場に任せてあるようでスーパーでは売られていない。食料品はパスタや缶詰が売られていて、トイレットペーパーやシャンプーなどの雑貨も豊富にあり、一般的な旅行者の消耗品は事足りる。

 バスターミナル横の市場は、新鮮な野菜類と干し魚の店が多く、肉屋は見たかなぁ?あまり記憶にない。魚はもちろんマラウィ湖から獲れたものだろうから、淡水魚だ。

 こうしてムズズの町を探索して、バスターミナルにたどり着きンカタ・ベイに帰ることにした。食料品については、ンカタ・ベイにも規模は小さいながら新鮮な野菜を売る市場があり、酒もトイレットペーパーもおいしいパンもシャンプーも石鹸も売っている店がある。ムズズが必要なのは、現金引き出しくらいだ。

 帰りは運良く、なのか運悪くなのか、既に一杯に近いミニバスを発見。

 運転席の列の後ろに、2列目の人と膝を付き合わせながら後ろ向きに座るように指示された。

 出発するまでに時間が短かったのは良かったのだが、この車は途中でブレーキパッドが焼き焦げて走行中に割れて落下するという事故になった。

 乗客はこんな事態には慣れっこのようで、文句を言わずに降りて修理を待っていた。

 誰も焦っていない風に見えたのだが、後ろから追いついてきたミニバスが停車すると半数くらいがそちらに乗り換えようと、別のミニバスに乗りかけたのだった。やはり早く帰りたい気持ちはあるのだ。

 ここで活躍するのが、コンダクターだ。コンダクターと呼ばれる人は、運転手と組んで、乗客集め、集金を行う人なのだが、今回のように途中で脱落する客が出るような突発事故にも対処しなければならない。

 彼は、ムズズからンカタ・ベイまでMK240の運賃の所、ここで脱落する人に対してはMK180を要求することにしたようだった。まだ行程の半分も来ていないのに、半分以上の料金を請求された多くの乗客は、文句を言いながらも諦めてこちらのバスに戻ってきた。

 仕事でミニバスを利用していた作業服の男たちは、どうしても早くンカタ・ベイに向かいたいらしくいつまでも私たちのコンダクターと交渉している。後ろから来たミニバスは、「俺には関係のないことだ」とうちのコンダクターと4人の作業服の男を乗せて、サッサと車を走らせ始めてしまった。

 かなり時間が経過してから、うちのコンダクターは4人の男から金を徴収したらしく、満足気な表情で徒歩で戻ってきた。40代、非常に小柄なコンダクターはこの仕事を真面目に責任感を持ってこなしているように見えて、家庭でもいいお父さんなんだろうなぁという感じが見える。


立って飲む時は、手が腰にいく。
これは人間の本能か?
 こういう一幕もありながら、運転手は運転手でモクモクと修理を行っていた。乗客は、のんびりとジュースを飲んだりパンを食べたり、草薮で用を足したりと、「こうなったらゆっくり休む」と腹をくくって楽しんでいるように見えた。

 日本だったら、イライライライラ、時計をひっきりなしに見て、運転手にあとどのくらいかかるのかと頻繁に訪ねて、しかめっ面の人が多いことだろう。

 時間通りに物事がきっちりと運ばないと気がすまないという国の人は、多くの発展を享受しているかわりに失ってしまったものもある。

 40分後、修理完了。再び車に乗り込んで出発だ。

 マラウィのミニバスの中は和やかな空気が漂っている。特にムズズからンカタ・ベイの間は、同じ種族という気安さからか見知らぬ同士でもバナナやみかんを分け合い、冗談を言って大笑いして、修学旅行の楽しげなバスのようで、意味はわからないけどこちらも楽しくなってくる。

 そんな中でも、コンダクターは運賃をちゃんともらうことに専念している。運賃をちゃんともらうことが、ここでは意外に大変そうなのだ。かなりの頻度でおばちゃんは安く支払おうとするし、今回のバスで極めつけだったのは、携帯電話に入っているプリペイドカードの残点数をバスの運賃代わりに使おうとするティーンエージャーがいたことだ。

 最後部に座っている彼女は、コンダクターが運賃を請求すると自分の携帯を渡した。理由もわからず受け取ったコンダクターは、彼女の支払い方法を聞いて「そんなこと受け付けられるか、現金をよこせ!」とどなって携帯とつっかえした。ティーンエージャーの彼女は「やっぱり、だめかぁ」とニヤニヤしている。なかなか神経の太い女性だ。こういう人からも、ちゃんと料金をもらわなければならないし、コンダクターって大変だなぁ。

 ンカタ・ベイからムズズの銀行に行くだけの用事なのだが、町の様子、そしてミニバスの人間模様と、これだけでも十分に異文化体験になるのだった。


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