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2007.07.13
日帰りでムカヤ・ゲームリザーブMkhaya GRへ
スワジランド:マツァファ |
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スワジランドの宿に到着してすぐに、ムカヤ・ゲームリザーブへの手配を始めた。宿の台所係りのドゥー・ドゥーというニックネームの女性に聞くと、ムカヤGRでは日帰りサファリパッケージというのを行っているということだった。
いわく、ムカヤGRから4km程離れた幹線道路まで四駆の車で迎えに来てくれて、そこから午前中にゲームリザーブ内をサファリ。内部で豪華な昼食を摂った後、午後から短めのゲームリザーブをもう一回。夕方、幹線道路まで車で送ってくれるという内容だった。
朝10時にピックアップしてくれて、午後4時に同じ場所に連れ帰ってくれる送迎と、午前と午後の2回のゲームドライブと、昼食付きで一人R390(=US$55.63)だった。まぁ、悪くない値段だ。
宿からGRが拾ってくれる幹線道路の場所までは、ミニバスをマンジニで乗り継いで行けば行けるということだった。
ドゥー・ドゥーに頼んで、ムカヤGRに電話してもらって予約をしてもらった。ツアーは毎日行われているので、希望の日にち、人数、参加者氏名、支払いに使うクレジット番号、カードの有効期限を伝えたら予約完了。一回目の電話では、先方のコンピュータがダウンしていて予約が受けられないので、電話を翌日かけ直してくれという話になった。
水曜日にスワジランドに入っていたにもかかわらず、ムカヤGR行きが金曜日になったのにはそういう理由があった。
それにしても・・・。
日本だったら、自分達の都合でコンピュータがダウンしたのなら、そちらからお客さんに電話をかけ直すのに、どうして私達がかけ直さなくてはならないのか?ドゥー・ドゥーも電話口で、先方にかけ直すように要求したのに、先方が頑として受け付けずドゥー・ドゥーにかけ直しを要求してきた事に
腹を立てていた。「これがスワジランドの悪い所よね!ふんっ!」
ドゥー・ドゥーの感覚はまともだった。
翌日の木曜日に電話をかけ直してもらって、金曜日の予約が成立。ドゥー・ドゥーは自分のテレフォンカードを使って電話をしてくれて、使った分だけ私たちに請求してくれた。ちょっとチップも交えて渡すととても嬉しそうだった。基本的に人に喜ばれるのが大好きな性質らしい。
サービスだといわんばかりに、ムカヤGRの素晴らしい昼食ビュッフェの様子を手振り身振りを交えて話してくれた。
「ビュッフェのテーブルは、こう大理石でL字型になっているのよ。フカフカのおいしいパンやサラダは既に並べられているから、お客さんは暖炉の近くで飲み物を飲んで待っていてもいいし、フカフカのパンにこうやってバターをたっぷりと塗って(ここで腰を落としてパンの両側にバターを塗りたくるしぐさ)、一口食べると、ああ、もうそのおいしさにビックリするってわけ(ここで目をつぶり、そのおいしさを回想するシーン)。
そうやってパンを楽しんでいるとね、奥からジュージュー焼きたてのビーフやらチキンが運ばれてきて、そりゃもう好きなだけ食べていいのよねぇ。
それでもう、お腹一杯って終わりにしちゃだめ。あそこのデザートっていったら・・・」
聞くところによるとドゥー・ドゥーはムカヤの厨房で働いていたのだそうだ。残念ながら、ムカヤGRは夢のようなビュッフェのシステムはなくなっていて、一人ずつ決められた食事を出す方式に変わっていたのだが、ドゥー・ドゥーの話しっぷりを聞いていると、ムカヤにはお昼ご飯を食べに行くかのような錯覚に陥るくらい、ものすごい話しっぷり。ドゥー・ドゥーは立派な腰周りの女性で、彼女が豊かな全身をプリプリと揺すりながら情熱たっぷりに語るパフォーマンスを見られただけでも十分だった。
さて、13日の当日は10時までにピックアップ場所に到着しなければならなかった。ここからマンジニ、マンジニからはBig
Bend行きのバスに乗ってムカヤGR前のPhuzumoyaで下ろしてもらうのだが、朝の時間帯で渋滞も考えられるかもしれないからと、3時間前の午前7時に宿を出た。非常に順調にバスがつかまってしまって、集合場所には8時半過ぎには到着してしまった。しかし、1本のミニバスの遅れがすぐに1時間の遅れにつながることを考えると、これくらいで丁度良かったのかもしれない。
集合場所は幹線道路沿いで不安になるくらい何もない場所だが、ムカヤGRの看板が立っているのと、ドゥー・ドゥーが教えてくれた動物の絵が壁一面に描かれた商店があったので、ここが正しい場所だと信じて待った。
10時近くになると、自家用車で二人組みの白人が登場。彼らもここで待ち合わせということだった。
10時4分前にムカヤGRからのお迎えの車が登場した。
私達にとっては、ケニアのマサイマラ国立公園のサファリに続いて2回目のサファリだ。
マサイマラではトヨタハイエースの天井が上に上がるように改造した車が一般的に使用されていて、サファリをする人は車の中で立ち上がって上がった天井の隙間から野生動物を観察するようになっていた。
それに比べると、こちらはオープンな車になっていて、座席が後ろにいくごとに高くなっているので、どの席にいても立ち上がらずに動物を観察できる車だった。なんだか、こっちの車の方が優雅なサファリというイメージだ。
残りのメンバーを待ったのだが20分しても来ないので、とにかく先に進むことになった。来ている一組のカップルは自分達の車で、私達はサファリカーに乗って進む。
ムカヤGRは電気の通ったゲートをいくつか設けている。
野生の動物が人間の住むエリアに逃げ出さないようにという配慮もあるが、実はここに生息するサイの角を狙う外部からの密猟者を退ける意味もあるのだそうだ。
ムカヤGRはマサイマラの広々とした平原の風景とは全く違って、潅木が密生するブッシュの中の道を行く。だから、潅木の葉が散る冬の時期の方が、動物を発見しやすいのでサファリに適しているのだという説明があった。つまり、私達はサファリに適した時期にやってきたことになる。
いくつかのゲートを入ると、いきなり草食動物に遭遇した。セーブル・アンテロープだった。ガイドの話によれば絶滅寸前の種だそうだ。
くっきりと茶色と白に分かれたボディー、フサフサと生えているタテガミ、優しいまなざし、大きくて横に飛び出した流線型の耳、そして上に高く伸びる角。かっこいいデザインの動物だ。
ここではオスの角を保護するために、特に喧嘩盛りのオスの角にはゴムの保護サックを被せていた。
この後、ゲーム・ドライブを始める前に登録を行った休憩所では、後ろから車でついてきた南ア人の旦那さんが「セーブル・アンテロープが見られるなんて、今日は何てラッキーなんだ!」と興奮気味になるくらい、見ることが難しい動物なのだそうだ。
一発目に貴重な種の草食動物を見てから到着したのは、保護区の端にあるレストハウス。
ここでグァバのジュースで喉を潤しながら、今日の参加者の登録と支払い、そしてサファリの諸注意(車から降りないように、大きな声を出さないようになど)を受けた。
この保護区で見られる様々な動物の写真も壁に貼り出されていて、今日のサファリを期待させてくれた。
11時。残りのメンバーも追いついてきて全7名が揃った所で本日のサファリが始まった。
ブッシュの中をインパラ、ツェーツェービースト(と聞こえたが定かな名称は不明、草食動物の一種)がカサカサッと通り過ぎるのが見える。
彼らは一様に警戒心が強く、このブッシュではとても近い距離で遭遇するので、近くで見られる率は高いのだが、すぐに身を翻して立ち去ってしまう。なかなか撮影は難しかった。
保護区内にいくつもある水飲み場に向かうと、丁度対岸にイボイノシシの親子が水を飲みに来ているのが見えた。距離は遠いが、その分じっくりと観察することができた。
この池にはナイルクロコダイルの姿も見られた。剥製のように動かない保護色のクロコダイルを遠目から見つけられるガイドさんの視力は、いったいいくつなのだろうか。
池を離れてサファリロードに戻る。
雷鳥がちょこまかと道を通り過ぎたりするが、まだまだ大物は見られない。
すると道を横切るシマウマの群れに遭遇。全員がこちらを見て警戒している中、そろそろと車を進めて近づいた。
シマウマの中には白黒だけでなく、茶色い色合いも入っているのがいるし、子供のシマウマもいてバラエティーに富んだグループだった。
シマウマは他の草食動物よりは人間慣れしているように見えて、かなり接近することができたのだった。
途中にキリンを発見。角が開き気味なのでメス。オスは閉じているのだそうだ。
そして、縦に白いシマの入ったニャラの集団がいる。ニャラはインパラにも似ている感じの草食動物で、オスは色が黒っぽくて角があり、ヒゲもたてがみもワサワサとしていかにもオスらしい。メスは明るい茶色のボディーだ。
サファリを始めて48分。「象とかレオパードとかビッグファイブいないのかなぁ?」と皆が思い始めた頃だった。それは、突如として親子で道にヌーッと現れ、私達の度肝を抜いたのだった。車からの距離10mくらいだろうか。サイだ。
私達は唾を飲み込む音にさえも気を使いつつ、そろそろと車で5mくらいまで近寄った。
サイ。
マサイマラでも見ていないので、始めて野生のサイをアフリカで見たことになる。鎧を被ったようなその頑強な皮、何者をも恐れない重量感、つきあがる様に生えた角。それにそぐわない小さな目。私にとってサイはライオンよりもインパクトのある動物に思えた。
母サイの方は、一度はこちらに向かって警戒するように歩を進めようとしたのだが、私達がじっと動かないでいると警戒を解いたのか、辺りの草を食べたり、うろうろと動き回り、最終的には私達に尻を向けて巨大なウンチをする所まで見せてくれて、堂々と立ち去っていった。
時間にして10分。このサイとの至近距離の出会いは、今日一番の出来事だった。
次に現れたのは再びキリン。今度は右手に大きなキリンが1頭、左手に小さめのキリンが2頭だ。大きなキリンと小さめのキリンは模様が異なっているように見えた。大きなキリンがアミメキリンで、小さめがマサイキリンなんじゃないだろうか。なぜ、ここにマサイキリンが?それともアミメキリンの子供なのだろうか、ガイドに聞きそびれてしまったので不明だ。
午前中、最後に立ち寄った水飲み場にはカバが生息していた。
車が停車した場所の対岸近くにカバが10頭ばかり、水中から背中を出して寛いでいる。
カバは一日の大半を水の中で過ごすのだそうで、12時半頃のこれから暑くなろうとする昼間はじっと動かずに水の中にいるのだそうだ。
時々、ブシューっと水を鼻から噴出す音が聞こえて、大あくびをする姿も見られた。
午後1時に保護区内にあるロッジで昼食。
草葺屋根の建物が並んでいる敷地の中庭に、テーブルと椅子がしつらえられていて、オープンカフェのレストランになっていた。
食事はドゥー・ドゥーが興奮して話してくれたビュッフェスタイルではなく、一人ずつ皿に盛られてくるタイプになっていたが、それでも量はたっぷりしているし、デザートのフルーツポンチも素敵だった。
この昼食の場所には、ゲネファーと呼ばれる雷鳥のような鳥がたくさん徘徊しているし、ニャラもすぐ近くまで寄ってくる。
ニャラはここに来て始めて見た草食動物。
午前中のサファリで見るよりも近くで観察できるのが、この場所の面白さだ。大きな耳で目がクリクリッとしてとても可愛らしい。かなり近くに寄れるが、臆病なので音を立てるとサッと逃げてしまった。
この場所には、角を密猟されたサイの悲惨な写真なども掲載されていて、こうした行為に対して一般の人にも認識を広めようという活動も行っているようだった。
サイの首筋に弾痕があって血がどくどくと流れた後が黒く固まっている。そして、鼻の部分からはザックリと角が削り取られて赤い肉を痛々しく見せている。そんな写真だった。あの小さな目の大きな生き物を見たばかりだし、何と酷いことをするんだという怒りがこみ上げてきた。現場でのこういう学習は、遠く離れた国で教科書で行われるよりも何倍ものインパクトを持っていることを身を持って体験したのだった。
また、ここだけではなくスワジランドではちょっとした場所に王様と女王様の写真が飾られている。まぁ何と親しみやすい方達だろうかというのが、第一印象。このロイヤルファミリーの写真も、観光客にとって心地よいスワジランドのイメージ作りに役立っているに違いない。
こうして午後1時から2時15分までの昼食休憩の後は、再びサファリカーに乗って午後のサファリに出発した。
7名のうち、3名は昼食を摂ったロッジに宿泊するので、午後のサファリはもっと夕方になってから行うということで、車は私達と南アのカップルの4人だけになった。
午後の一発目はまたもやサイに遭遇。今度は大人2頭と子供1頭のグループだった。
今回もかなり近い距離から観察することができた。3頭は右に行っては草を食み、左にいっては草を食みと、私達を全く意識することなく自由に普通の生活を楽しんでいるようだった。
特に子供を連れていない大人のもう1頭はオスで、ガイドさんの話によるとこの保護区内でも一番角が立派な個体なのだそうだ。
確かに際立って大きな角をはやしていた。
この後はガイドさんは私達に象を見せようと必死で車を走らせたのだが、今日は象運はなかったようだった。
ガイドさんは時間を延長しても象を探しそうな勢いだったのだが、南アのカップルが、私達のバスの時間を心配してくれてガイドに詳しくバスのタイムスケジュールを聞いた結果、午後4時に集合場所まで戻らないと宿に戻るのが暗くなってからになってしまうことが判明した。
スワジランドは割合治安がいいと言われているものの、日没後にミニバスで行動したくないと思っていた私達にとって、この南アカップルの気遣いは非常に嬉しかった。
旦那さんはきっぱりと、「象が見られなかったのは運。これもサファリだからね。今日はもう十分見られたし、この日本人がちゃんとバスで帰れることをプライオリティーに置いて、もうサファリを終わりにしましょう!」と宣言してくれたのだった。うわー、カッコいい!南ア人、いいぞ!
ということで、午後3時半にサファリを終了して帰途に向かったのだった。
最初にレジスターした場所に戻って、南アカップルは自分の車に乗り変え、私達はそのままサファリカーに乗って最初のピックアップ場所に向かった。
途中には再び律儀なセーブル・アンテロープがお見送りしてくれた。
ピックアップ場所到着は午後3時56分。まさに予定通りの行動だった。
このピックアップ場所には午後4時にピックアップされる予定の、おそらく今夜はあのロッジに宿泊する観光客が到着していて、ガイドの到来を待っていた。
ムカヤでは、夕方からの訪問で宿泊する場合の観光客のピックアップサービスも行っているようだ。
南アのカップルと記念撮影して、午後4時ぴったり。
ガイドさんの話では、1時間に1本は大型バスがムカヤGRの前のバス停留所を通過してマンジニに向かっているはずだということだった。午後4時ぴったりから15分くらいの間に来るはずだった。
私達もバス停で待っていたのだが、バス停に向かってきた少年4人が振り向き様にヒッチハイクを行い、ピックアップトラックを止めた。聞くと、ここから5kmくらいマンジニ寄りのSiphofaneniまで乗せてもらうのだという。そこまで行くと、マンジニ行きのミニバスが頻発しているのだそうだ。ということで、私達もお願いしてピックアップトラックに乗せてもらうことにしたのだった。Siphofaneniまではほんの数分。少年達と共に運転手に運賃を支払おうとすると「そんなのいいから、いいから」と誰からも料金を受け取らなかった。ありがとうございました。
Siphofaneniは話の通りマンジニ行きのミニバスがたくさんあったのだが、乗客が数台の車に分散してしまっていて客が集まらない。そうこうするうちに、大型バスが予定より少し遅れて到着すると、みんなゾロゾロとミニバスを降りて大型バスに移動を始めたので、私達も結局、大型バスに乗り込むことにした。途中まではギュウギュウの立ち席だったが、途中から座れて、午後5時過ぎにマンジニに到着した。
陽が傾きかけて、辺りは急速に暗くなりつつある。急げ、急げ。
Sundawners Lodgeに向かうミニバスを探して乗り込み、午後5時40分に宿の目の前に到着。
もう少しで辺りは真っ暗になる所だった。ふー、危ない、危ない。
こうして、朝早くから日没まで、たっぷり1日かけて日帰りのムカヤGRへの旅を終了したのだった。
ムカヤGRはマサイ・マラの広大な土地を走り回るサファリに比べると、見通しのきかないブッシュの中の小道を走り回る感じで、ダイナミックさには欠けるものの、あんなに近くにサイをたくさん見られたのはとてもよかった。また、サファリカーの仕様がシャレているし、昼食も高級な感じで、1日US$60弱という値段から考えるとコストパフォーマンスの高いサファリだった。
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