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2007.07.18 Vol.2
ビーチピクニック
南アフリカ:セント・ルシア |
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セント・ルシアは南アフリカの東側に位置する町で、インド洋に接した浜辺の町でもある。
ガイドブックを見るとセント・ルシアの項目には海から少し入った部分の大湿地帯ばかりが記述されて、ここが海沿いの町であることは忘れそうになるのだが、セント・ルシアの私たちが宿泊した宿では、毎日午前11時になるとビーチへの送迎車を出してくれて、希望があれば午後2時にはビーチに迎えに来てくれる無料サービスを行っていた。
私たちは、この無料サービスを使ってビーチに行き、浜辺でお弁当を食べて、浜辺沿いに散策し、湿地帯を歩いて宿に徒歩で戻ってくるという計画を立てた。午後2時からは、宿からほど近いボート乗り場から出発する、湿地帯のボートツアーを組んであるから、午後1時半には宿に戻りたい。所要時間2時間半のミニピクニックだ。
まずはお弁当を作らなくっちゃ。
午前10時からお弁当作り開始。遅く起きた白人の若者パッカーが朝食作っているのに混じって、こっちは昼食作りだ。10時半にお弁当が完成。今日は手持ちの深鉢にご飯を敷き詰めて、レタスを乗せ、スクランブルエッグとソーセージと野菜炒めを乗せた丼だ。ラップをしたら準備完了。あとは出発を待つばかりとなった。
11時、昨日、街中を案内してくれた椅子付きのトラックが故障したので、今日はピックアップトラックだそうだ。
途中、スーパーで昼食を買ったり、前の宿で水着を盗まれちゃって水着を買っていた人々を積み込んで、トラックは人間満載で浜辺に向かうことになった。
宿から浜までは車で10分。あっという間に到着だ。とはいえ、途中で人を拾ったりしていたので、時刻は11時半。
車を降りると、トラックに乗って来た旅行者はそれぞれの目的によって三々五々散っていった。
水着を買ったチームは、ボディーボードを宿から借りてきていて、今日はここでボディーボードをして遊ぶようだ。オランダ人カップルは私たちと同じように、浜辺でお昼ご飯を食べて散策して歩いて宿まで戻るそうだ。
浜辺は非常に広々して、海の色は南国のリゾート程は美しくないにせよ、かなり青く美しかった。
南半球のここは真冬。フリースを着て丁度いいくらいの気候なので海水浴客は誰もいない。
浜辺を歩いて右方向にずーっと行くと釣竿を浜辺に立てている人々が多くなってきた。
白人のおじいちゃんに話しかけてみると、釣れる時には大きな魚もかかるそうだ。しかし「今日はさっぱりだめだねぇ、今日はだめだ」と独り言のように繰り返して言っていた。いつから、ここに住んでいるのだろうか。こうして晩年は静かにインド洋に釣り糸を垂れることを、彼はいつ決めたのだろうか。
あまりに人気がないのも寂しいので、こうした釣り人の姿が見える場所でお昼ご飯にすることにした。
かもめが上を旋回しながら弁当を狙っている中、のんびりとお昼ご飯。別に何があるというわけでもないが、広々としたインド洋を見ながら、潮風に吹かれて弁当を食べると妙に旨い。
あまりゆっくりとしていられないので、12時半にはまた腰を上げて歩き出すことにした。
この浜辺をずっと先までいくと、やがて右手に池が見えてくる。昨日、車でまわって説明してもらったカバとワニのいる池のはずだ。池が見えてくる辺りの右手に池沿いに右方向に曲がって行く遊歩道があることを周囲の人に教えてもらって、進んだ。
左手に池、その向こうに浜辺があり、もっと先にインド洋の波頭が白く見えている。手前が真水で向こうが海水。こんなに近く接しているのに交わっていない、これがセント・ルシア大湿地帯なのだ。不思議な地形だ。
この遊歩道を進んでいくと、「カバ・ワニ危険」みたいな立て札のある向こうにカバが日向ぼっこをしている場所が見えてきた。昨日もここにいたなぁ。
海があって、突然、真水の池があり、そこに普通にカバが生息している。ここから町までは徒歩30分くらいの距離しか離れていないのに・・・。
昨日の町案内の時の解説によると、この辺りのカバがメインストリートのスーパーマーケットの前を歩いていたとか、近所の家の庭にカバが寝ていたとか、とにかく人間の住む区域にもカバは時々出現することがあるらしい。
やがて道は舗装道路になり池も見えなくなった頃、左手の敷地に黒っぽい小動物が集団でカサカサカサと移動しているのが目の端に写った。な、何だ?見ると、小動物は敷地内のゴミ捨て場に食べ物をあさりに来ているようだった。
何匹かは注意深くこちらを監視している。私たちが近づいていこうとすると、一斉にカサカサカサと集団で逃げていってしまった。
あとから知ったのだが、これはマングースだそうだ。セント・ルシアはマングースが生ゴミをあさる町なのだ。
しばらく歩くと、こんどは道端に猿。
人にも慣れているのか、静かに近づいていくとあまり逃げるそぶりも見せなかった。かといって、こちらが持っている食べ物の匂いのする袋を狙う様子もなく、道端の木の実のようなものを拾い上げては口に運んでいた。
近づいてみると、顔が黒くて額が一文字に白く、全体はグレーがかった美しいフサフサした毛の尻尾の長い猿だった。ちょこなんと座っている姿が何とも可愛らしい。
この先辺りからは街中に入っていくので、こうした動物を見かけることもなくなり、予定通り午後1時半過ぎに宿に到着した。
午前11時から午後1時半まで、海を見て野性の動物を3種類も見られて、なかなか実りの多い散策で、私たちはすっかり満足してしまった。セント・ルシアは歩いているだけで、こんな動物達に出会える場所なのだった。
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