夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2007.07.23
4時間のポニートレッキング

レソト:マレアレア

 ここではポニートレッキングはとても気軽にできる。

 日帰りなら、やりたいなぁと思った日の20分くらい前に「ポニー乗りたいんですけど」と申し出れば用意してくれるそうだ。

 私たちも前日に申し込んだのだが、「明日、やりたくなった時間に来てください」と言われていた。朝9時にレセプションに行きポニートレッキング開始を希望して、宿の門の近くの馬寄席で待っていると15分後にポニー2頭がやってきた。

 ポニーは馬に比べると小さいという知識はあったが、馬にも乗ったことがないので、実際に近くでみると大きく見える。

 台の上からまたがってアブミを調節してもらったら準備完了。鞍は後ろにちょっとだけ背もたれがあるような形のものだった。

 歩かせたい時は軽く腹を蹴ること、止まる時は手綱を引くこと、行きたい方向に手綱を引くと方向をそちらに向けること。この3点だけ教わって、ポニーがきてから出発までほんの5分くらいで出発だ。


 宿のある場所が目の前の盆地より高い位置にあるので、門を出た途端に眼下に畑、その向こうに山々の広がる風景が見える。

 門を出て左手方向に向かい、最初は村の畑の中を通る道を歩くことになった。

 やがて左手前方は大きく落ち込んで峡谷を作っている部分が見えてきて、やがてこの峡谷は左手に近く迫ってよく見えるようになってきた。

 峡谷の向こうの山を見ると、固そうな岩肌の断面図が緩やかにひだを作っている。ここの地層は非常に固そうに見える。この固い地層の上に積もったわずかな柔らかい土を掘り起こして、人々は作物を育てているのがここの暮らしだと見受けられた。広い砂漠や緑の少ないこうした風景に出会うと、いつも自分が蟻んこのように小さな存在で、広い地球のほんの上っ面にへばりついて生きていることを実感させられるのだが、ここでも又、その思いが起こってきた。

 やがて私たちも峡谷につながる斜面までやってきた。

 向かいの山に比べればなだらかに見える斜面だが、これからここをジグザグの道をたどって峡谷の下まで降りるのだという。おお、大丈夫なのか?

 最初はなだらかな下り坂だった。それでもヘアピンカーブになっているので、そのカーブの時の手綱裁きさえきちんとすれば、ポニーは方向を転換して上手に下っていくことができた。

 ここで、「ポニーってお利口さんねぇ」と感心して手綱を緩めてしまったのがまずかった。

 やがて、両側を岩ではさんだような細い通路になり、がくっと曲がった先が石段で下っていく場面で、私のポニーちゃんは右折して石段を降りずにそのまま真っ直ぐに進んでしまったのだった。

 おいおい、違う違う。手綱を引くと素直に止まる。しかし、そこから180度回転しなくちゃいけない。何とか方向を間逆に展開して、今度は左手に見えてきた石段へと導こうとするのだが、通り過ぎて元の方向に戻ってしまった。

 ガイドと夫は既に下に降りて、止まってこちらを心配そうに見上げていた。しかし、ついにガイドがポニーを降りて救出に来てくれた。

 やれやれ、助かった。通路は細くて自分だけじゃ方向転換できない状態だったし、ポニーちゃんも怖くて固まってしまっている状態だったからだ。

 ガイドが手綱を引いて方向転換して石段を降りる所まで誘導してくれて、やっと本来の道に戻ることができた。そうかぁ、お利口さんだからと思って気を許してはいけないのだ。必ず手綱の緊張を緩めずに、こちらのコントロールの下に歩いていることを忘れさせてはいけなかった。

 こうしてどんどんと坂を下って、ついに一番低い部分で小川のほとりまで下ってきた。

 ここからは小川に沿ってしばらく歩く。平らな道は歩きやすく、周囲には全く人気がない自然のまっただなか。とても気分のいいトレッキングだった。

 川を横切って川の左側をしばらく歩いてから、道は急に山側へとそれて、今度はぐんぐんと上り坂を登っていく道となった。

 下るのに比べると登るのにはあまり抵抗がないのか、ポニーは問題なく登ってくれる。手綱もだんだん慣れてきて迷うこともなくなってきていた。

 いやー、それにしても楽だ。これを自分の足で登ろうと思ったら、それは大変な思いをすることになるだろう。

 ヨルダンのぺトラ遺跡やエジプトでも観光地にはロバやラクダが待機していて乗らないか、乗らないかと客引きがたくさん寄ってきていた。一度も乗っていなかったが、ロバでぺトラ遺跡の一番奥まで行ったら、楽だったろうなぁ。でもあの「ラクダは楽だ!奥さん乗らないかね?」という、誰が教えたのか面白くもない日本語の冗談にむかついて、乗る気にならなかったんだよね、あの時は。

 小川が眼下に小さく見えるまで高い場所にやってきた。あの小川の横の道を歩いていたのは、ほんの5分前のことだったのに。ポニーの力はすごい!


 ここから先も、道は緩やかに上っては下りしながら、だんだんと高度を上げていった。

 午前10時45分。とうとう、目的地のBOTSOELA滝の上に到着。ポニーとガイドはここでしばし休憩し、私たちは地元の少年にガイドされて、ここから滝の落ち口まで降りて、滝見物をしてから戻ってくることになった。

 滝口までの下り道はかなり急な坂で、ここをポニーで下る技術は私たちにはないだろう。そういう意味でも、ここは徒歩になっているのだと思われた。

 しばらくポニーに乗っていたせいで、足ががに股の状態になっている。こわばった足をほぐすのにも、これは丁度よかった。

 坂の途中には、先週降ったと言われている雪がまだ少しだけ残っていた。

 滝まで降りるのに5分くらいしかかからない。乾期の今、水量も少ないし正直どーってことない滝だった。

 水質もこんなに人里離れている場所なのに、「わー、きれい!」って感激できるほどきれいじゃないし。でも、とりあえず記念撮影。

 滝の落ち口で毛布をマントのようにひっかぶって(この辺りの男性は、みんなこうしている)、ヤギを追う木の棒を持った青年が、こちらに向かって手を振った。私たちのガイド少年のお兄さんだそうだ。

 こうして水のほとりでしばし休憩して、再び坂を上ってポニーのもとに戻ったのだった。

 秋の空のようにサーッと刷毛目になった雲が山から放射線のように放たれて美しい。今日初めて自分で動いて暑くなった体に、谷を渡る風が心地よく吹いていた。

 さぁ、ポニーに乗ってお家に帰ろう。11時に帰途につく。


 帰りは来る時とは違う道を通ることになっているようだ。

 ゴツゴツとした岩と潅木が生える道。この辺りから私のポニーちゃんは、まさに「道草」食いだした。青々とした草の中でも、特定の種類に近づくと歩みを止めて道草を食う。

 「ふぉー、これが本当の道草だ」と妙に感心してしまった。頻繁に使う表現だけれど、こうしてオリジナルの状況を目にしたのは生まれて初めて。ああ、これが道草食うってやつかぁ。「これ、道草食うんじゃない」といいたくなる気持ちがよぉーくわかった。ほれ、歩け!

 再び山から下りて川へと下る坂道になったが、今回は前回の轍を踏まないようにしっかりと手綱をにぎって緩やかにポニーの首筋に緊張を与えていたので、私の意のままに急カーブを曲がって降りてくれた。

 それでも、ともするともっと楽な道、平坦な道に行こうとする。やはり下りが嫌いなようだ。

 羊が放牧されて、のどかに草を食んでいる横を過ぎたら、川まではすぐだった。

 川を渡る時、私のポニーは道草を食って喉が渇いていたのか、ものすごい勢いで水を飲み始めた。皆、どんどん先に行っちゃうじゃない、早く、早くぅ。

 そんな私の気持ちを感じたのか、ポニーは水を飲み終わると他の集団に追いつくべく、軽くギャロップ。げげ、ギャロップの時はどうすべきかなんて教わっていない。あっという間に皆に追いついたが、ドキドキのギャロップだった。

 小川沿いに出てからは来た時と同じ道になった。ここからしばらく平坦な道を進んで、最後に急な坂を上ったら村に入る。





 来る時に立ち往生した坂道も、今回は自力で最後まで登ることができた。

 坂を上りきるとポニーの体温が高くなっているのが足を通じて感じられる。胴体を手で触って見ると、体がとても熱くなっていた。

 これだけの坂を人間一人乗せて上がるのは、たとえ馬力のあるポニーとはいえ重労働なのだ。

 坂を上がりきって村の畑の中を歩く道まで来たらもうすぐお終いだ。

 それがわかっているのか、今度は夫のポニーが猛烈に道草を食い始めた。どんなに夫が叱咤しても食べやめない。そこでガイドが自分のポニーに乗ったまま「シッ!」と叱ると、すぐに食べやめて歩き始めた。ポニーは確実に人を見ている。

 こうして宿には12時35分に戻ってきた。出発してから3時間15分。

 本当はもっと滝の所でゆっくりしていてもよかったようだ。リーフレットには「水着を持ってきて滝の前で泳いだら」とも書かれていた。今は真冬なので、さすがに泳ぐことはできないにしても、もうちょっと休憩してもよかったなぁ。

 それにしてもお尻はもう限界。下り坂などでポニーがどうしても駆け足気味になる時はお尻を浮かせなければならなかったのだが、最初のうちはよくわからなくて、ガツンガツンと鞍にお尻をぶつけてしまっていたし、ずっと座りっぱなしだったので尾てい骨の皮が擦りむけてしまった。あいたた。

 トレッキングが終了すると、帳面に日付と無事に戻ってきたというサインとガイドに対するコメントを記入する。同時に今日のガイドへのチップをR20(=US$2.88)、滝で案内してくれたお兄ちゃんへのチップをR10(=US$1.44)、エジプトで購入したけれど全く履いていない夫の綿パンをガイドさんに進呈した。滝で案内してくれたお兄ちゃんに対しては、トレッキングに一切現金を持ってきていなかったので、後でガイドから受け取るように言ってあったのだ。このチップの金額はまずまず妥当だったようで、ガイドは不満もなくニッコリと満足して去っていった。

 今回のポニートレッキングに、もう2時間くらいかけてブッシュマンの壁画を見に行くコースを追加することも可能だが、私たちはこれで十分満足だった。人間の手の入っていない自然の中をポニーの体温や筋肉の動きを感じながら、レソトの自然たっぷりの中を進んでいくのは、思った以上に気持ちのいい体験だった。

 今回の4時間コースは2人でガイド1人を雇う場合は、一人R165(=US$23.87)。ここまで来た甲斐があるって値段だ。


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