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2007.08.02
ソススフレイツアー〜第一日目
ナミビア:ウィントフック |
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さぁ、今日から3日間のソススフレイツアーの開始だ。魅力的な砂丘に行くというツアーの行き先そのものにも興味があるが、見知らぬ人々と一緒にテントを組み立て、野外で食事の用意をする。そうしたアウトドア合宿的経験も初めてだったので、不安と期待が入り混じるツアーだった。
朝8時半に宿のThe Cardboard boxにWile Dog &Crazy Kuduの車がお迎えに来た。
荷物は3日分の着替え、シャンプーと石鹸、寝袋、飲み水、トイレットペーパー、ちょっとしたお菓子。砂漠の夜がとても冷え込むので、中綿のジャケット、中綿のパンツ、ウィンドブレーカー、テントの中で使うろうそく、ヘッドライト、一応虫除け、サンブロッククリーム、サングラス、そしてお金と万が一のためのクレジットカード。各自デイバック一つと貴重品を入れたショルダーバック、食料はスーパーの袋1つでおさまった。
でかける時の格好は、半そでのポロシャツに長袖に綿のウェット、下は夏用のアウトドアパンツ、靴はスニーカー、帽子。ウィントフックも朝晩は少し冷え込むので、朝8時半の段階では長袖で丁度いい。
迎えの車は、一旦Eros通りにあるCray Kuduのオフィスに行った。
ここは昨日来た場所なので、知っている。
中庭に面した屋根のあるカウンターにはお茶やコーヒーが用意されていて、それを飲みながら他の人が来るのを待つようになっていた。リラックスしながら、これから3日間過ごすメンバーと挨拶したりできる時間。なかなか優雅なスタートでいい気分だった。
8時50分。全員が集まった所で、ドライバー兼ガイドから地図を使って今後3日間の予定の説明があった。
詳しいコースの説明は、申し込んだ時にA4用紙3枚にびっちりと文字が書かれた案内書を受け取っている。コース内容を日別に説明し、ツアーに含まれることと含まれないこと、携行品についても3-4シーズンをカバーした寝袋のことから食事のこと、マラリア対策、使える電源のソケットの種類など、細かく書かれていて、事前にこれを熟読しておけば特に質問も発生しないくらいになっている。
今回のソススフレイはウィントフックから南西の方向にある。一番近いキャンプ地はソススフレイから60km離れたセスリエム。
ウィントフックから450km離れたセスリエムまで行くのが、初日の旅程だ。
詳しい地図で見ると、途中のソリティアSolitaireの手前で、行きと帰りで違う道を通ることになっていた。
こうした説明が終わって、午前9時に車に乗り込んで出発することになった。
ツアーの車。今回はテントの中に敷くマットレスは屋根の上に
乗せている。ガラス窓が足元まで大きく取られているのが良かった。 |
出発して30分後、郊外にあるショッピングセンターに立ち寄り、スタッフが飲み物などを購入。ここには酒屋もあるので、私たちもビールを購入することにした。私たちがビールを持って車に買えると、じゃぁ、私も、私もと、みんなゾロゾロと車を降りてアルコール調達。セスリエムまで行ってしまうと、もちろんアルコール類他、何もかも町で買うよりも高額なので、できるだけ持って行く方がいい。
ツアーの車には大きな氷の塊を入れたクーラーボックスが用意されていて、ここに冷やしたい飲み物を入れていいことになっている。このショッピングセンターを出る頃には、クーラーボックスはみんなのアルコールで一杯になった。
ここから車は町を抜けてひたすら潅木の生い茂るサバンナを走る。10時を過ぎた頃からは、すでに舗装道路ではなくなっているが、大量に雨が降らないせいか、凹凸が激しくなく、多少の揺れはあるものの不愉快になるほどではない。この分なら、コンピュータを持ってきても大丈夫だったかもしれないと思った。(クッション付きのコンピュータ専用バッグに入れて、コンピュータを使用時と同じ状態で置くことが可能で、膝の上か開いている席に置いて床に置かなければ大丈夫だろうと思われる。あれ?やっぱり無理かなぁ。)
午前11時15分にサバンナの途中の何もない所で15分ほど休憩。各々茂みの中に入って用を足したり、荒涼とした中に続く道路を撮影したり、体を伸ばしたり。休憩時間があるのは嬉しい。
ここからは、ナミビア中央平原の中を走るRemhoogte Passという名の道になるらしく、だんだんと潅木さえも少なくなり、岩山がぼっこりぼっこりと見える間の道を走っていくようになる。いよいよ砂漠に近づいているのだという気分が高まる行程だった。
午後1時、こうした山の間の道を抜けてちょっと開けた場所に出た所で、休憩と撮影の希望が出たので再び停車。この旅では参加者の合意が得られれば、途中で車を止めることも可能だ。こうしたことを円滑にするためにも、休憩時間になるべく皆とおしゃべりしておくのも大切だ。
車を降りると、砂漠に特有の強い日差しを直接感じて、全てが白っ茶けてカラカラとして見える。電線も走っていない、木も生えていない茶色の山に取り囲まれて、今走ってきた道だけが私たちの生命線であるかのように白く細く続いている。自分達だけで来たとしたら心細い気分になるくらいに、圧倒的に自然に囲まれている場所だった。
更に30分先、午後1時40分にSolitaireに到着。案内所には小さな町と書かれているが、町どころかこの場所には、この建物以外には見当たらないという場所だった。
ガソリンスタンド、レストラン、売店、宿泊施設(売店からキャンプ場に行く間にSolitaire Country Lodgeというロゴの書かれた建物、その他、近くにSolitaire Guest Houseというのもあるようだ)、キャンプ場(これはSolitaire Country Lodgeに属すると思う)。とりあえず必要な施設は何でも揃っているので、この一角だけを町と呼ぶならば、それはそれは小さな町だ。ロンプラによると、この辺りでキャンプではない宿泊施設の中では一番安い宿も提供しているのが、Solitaire Country Lodgeだそうだ。
私たちは、このキャンプ場に車を停車して、昼食を摂る事にした。ソリティアのレストランにでも入るのかと思ったが、そうではなく、車から材料を取り出して、椅子やテーブルを並べ、どうやらここで自炊をするようだった。おお、いきなりアウトドアの始まりだ。
車の後部には冷蔵庫が備え付けてあり、そこに食料を備蓄できる。その下の薄い空間には折りたたみ式のテーブル。その横の戸棚には折りたたみの椅子が車の左右に10脚ずつも保管されている。
冷蔵庫の上の棚には、食器、その他の食材、ガスボンベ、鍋などが入った箱が積まれていて、この棚全体が私たちの収納式キッチンというわけだ。こうしたアウトドアの車を初めて見た私は、そのコンパクトな収納スタイルに魅せられた。素敵!他の誰もこんな所に感心していないところを見ると、やはり私も収納好きな日本人の一人なんだなぁと、変な所にアイデンティティーを発見したりしていた。
みんなで協力して、手早くサンドイッチの用意をすると、好き好きに材料を皿に取って昼食だ。
車を駐車されているキャンプ場は、車一台の停車する場所に電気、照明、水道、炭火で煮炊き出来る環境が1セットになっている。こういうのも初めて見たので、感心、感心。
近くにはトイレとシャワールームもあるし、これならテントを持ってきてここで宿泊しても、とても快適に過ごせるだろう。
キャンプ場の向こうにはセスナが見えて、どうやら駐機場になっているようだった。つまり、ここにはウィントフックからセスナで来ることもできるようだ。
アフリカの観光地というのは、日本の東南アジアの観光地に似ている。ヨーロッパから、あるいは世界中から来るお客様のために、お金を払っただけの贅沢ができるようになっているのだ。
駐機場の向こうにかすんで山々が見えるが、それらは今までと比べると随分と赤みを増しているように見え、いよいよ私たちは赤い砂漠に近づいていることがわかった。
ソリティアの売店のアップルパイが秀逸だという話で、たっぷりお昼ご飯を食べたにもかかわらず、さらにボリューム満点のアップルパイに挑む白人を横で見ながら、私たちは木陰で休憩。アップルパイは帰り道での楽しみにでもとっておこう。
1時間の昼食休憩後、午後3時15分に再出発。ここからセスリエムのキャンプ場までは80kmの距離なので、夕方には到着できるだろう。
と思っていたら、今日初めてのパンク。車が重いのでジャッキアップするのが大変なのかなぁと思っていたが、ガイドと助手はプロ。2人だけで、さっさとタイヤを交換して、再び出発となった。
キャンプ地に到着したのは、午後4時半頃だった。まずテントの設営から。これも初めての経験。今まで全くテントに触ったことさえない私たちも、隣の経験のある参加者を見ながら組み立てた。あら、案外簡単じゃないの。大きな木の周りにテントを並べて、私たちのキャンプサイトが完成。
ホッとする間もなく、再び車に乗って近くの砂丘に上るという。砂丘の上から夕日を眺めるイベントが残っているのだ。やれ、急げ。
車を降りた目の前に砂丘がそびえている。もう日没までは時間がないと思った私たちは、今日一日の運動不足を解消するかのように、われ先にこの砂山に挑んでいった。
しかし、砂丘ってのはどうにも足がズブズブと埋まってちっとも先に行かない。やがて、体力と筋力のある若者が先の方に行ってしまい、私たちはぜーぜーはーはーと後からついていくことになった。
ええい、靴なんか履いていられない。途中からは靴と靴下を脱ぎ捨てて上った。上っている側の斜面は既に陽が当たらなくなって久しいらしい。ヒヤッとする砂の感触が火照ってくる足に何とも心地よかった。
しかし、実は初日のこの砂丘上りでの裸足はやっちゃぁいけなかった。というもの、ここはまだソススフレイの外であり、本当の砂丘ではない。上に行くに従って樹木も生えており、それらは砂漠に特有の鋭い棘をもっているのだった。途中で足の裏に棘がささって裸足は断念する羽目になった。皆様、お気をつけ遊ばせ。
で、目の前に砂丘の頂上が見えてくるので、「あと、もう少しだ」とやっとの思いで頂上に立つと、次の展開で更に上が見えてくる。この夕日観察の砂丘のぼりは、3日間のツアーで一番辛かった。
時間にしてたった20分くらいなのだけれど、マラソンの始めの頃のように喉に鉄分と血の味を久々に感じるくらいヒーヒーと荒い息遣いになって、ようやく本当の頂上に到着した。今日は雲もあるせいか、一番最初に到着した人でも既に太陽は雲の下に隠れてしまっていて、私たちが到着した頃にはすっかり陽が落ちている状態だった。
「あー、間に合わなかったかー」
「もうダメー、疲れたー」
到着した人は、やっとの思いで到達したのに夕日が見えなくて、次々とその場に崩れこんだ。砂はとても細かくてサラサラと冷たく気持ちがいい。夕日が見えなくってもいいか。そんな事を皆でいいながら休んでいたら、10分後くらいに見事な夕焼け空に染まってきた。おお、いい、いい。これが見られればいいじゃないか。
ということで、何とか夕日見物は成功だ。白人の皆さんは、この光景にしばらく見入っていたいらしく腰をあげようとしないが、私たちと他2人の日本人参加者姉妹の4人は、このままでは日が落ちて暗くなって危険だと判断して、先に砂丘を下ることにしたのだった。
道があるようでない砂丘は、だんだんと暗くなるとどこに下りていいのか見当がつきにくくなる。こっちだったかしら?あっちだったかしら?と迷いながらも、砂丘下りは楽なので楽しみながら下ってこられた。
下りきった頃には既に真っ暗。お迎えの車が折りよく到着し、私たちは車の中で他の人を待つことになった。白人の参加者の中には準備良くヘッドライトを持ってきている人もいて、ヘッドライトの灯りがチラチラとくだってくるのが見える。最後の1人がなかなか戻って来なくて、皆ドキッとしたが、結局、全員無事に帰還。車でキャンプ場に戻ったのだった。
既にスタッフによって夕食の準備が着々と進められてて、午後7時過ぎに夕食を始められた。こういうのは助かる。自分で来ていたら、今から作らなくっちゃならないからね。
ということで、今日一日のイベントが終了。最後に、明日の予定確認、特に朝5時半に出発するから必ず起きるようにと言われて解散だ。明日はデューン45の頂上から朝日を見るイベントから始まる。
キャンプファイアーの周りでお酒を飲む人、シャワーを浴びる人、みんなそれぞれの時間を楽しんで就寝した。
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