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2007.08.14
オカヴァンゴデルタのモコロツアー 第三日目
ボツワナ:マウン |
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朝6時20分起床。
暗い中で昨日と同じくY字型の枝を使ってトーストを焼き朝食をとった。
日の出は6時58分とやや遅めで、ウォーキングサファリに出かけようとキャンプ地を出るころに真っ赤に染まった東の空から、これまた真っ赤な太陽がお出ましだ。今日の日の出は殊更に赤く印象的だった。
全体に朝日のヴェールをまとった赤い大地に入り込むと、まずキリンがご挨拶。
優しげな大きな目をしてこちらを真っ直ぐに見つめていた。
この後歩いていると、遠くの方からパーン、パーンと銃声が聞こえる。
この島内ではないのだが隣の島では猟が解禁になったということでハンターが入り込んで猟をしているのだという。政府から許可をもらえば外国人であろうとここでハンティングをすることができるのだそうだ。
そういえば、ハンツィの宿にいた南アから来た男性はハンティングをするためにボツワナを毎年訪れていると言っていた。
ハンティング・・・。
アフリカに来て野性の動物達を間近で観察して、その優しい瞳、しぐさを見てきた私たちにとっては、なぜ人が好き好んでハンティングをしたいのかその理由が理解できない。
象のフレッシュな落し物を発見し、直前に象がここを通ったことがわかった。
また、初めて象の寝床というのを見せてもらった。やや傾斜した場所に象が横たわっていた跡が残っていたのだ。
わかりやすいように赤い線でなぞってみた。上の部分が頭で下が尻尾。後ろ足の部分にフンがあるんだけど、象って寝ながらしてしまうのだろうか?
ま、それはともかく珍しい象の寝た跡も発見できたにもかかわらず全くその姿が見えない。ガイドのMBもおかしいなぁと首をかしげた。
今朝から見られた動物といえば、キリンとインパラのオス。インパラは今まで見かけてはいたのだが、逃げ足が速くて撮影することができなかったのだが、今日やっと1頭だけ撮影することができた。
それにしても動物がいないのはおかしいなぁとMBは私たちを水辺に連れて行ってくれた。
大抵の朝の時間帯ならここに動物がいるはずなのだそうだ。
ところが水辺にも動物は見当たらなかった。その代わりに対岸からパーン、パーンと猟銃の音が響いた。どうやらこの銃声が全ての動物をどこかに追いやってしまったようなのだ。
たとえ対岸で猟が行われてこちら側は無事だとしても、動物にはそんな理屈は通用しない。いつも来ている水飲み場に近寄れなくなった動物はどうしているのだろうか。何故遠くから見ているだけでは我慢できなくて、しとめたいと思ってしまうのか。
折角最後のウォーキングサファリだというのに!私たちは口々にハンターへの呪いの言葉を口にしながらキャンプ地に戻らざるを得なかった。
キャンプ地出発は午後1時半。
午前11時に早めの昼ご飯を食べているとパンくずを狙ってなのかイエローホンビルがとても近くに寄ってきた。こんな近くでこの鳥を見られるなんて珍しい。
午後1時。荷造りを終えてしまうと、キャンプ地を後にする最後の仕事はMBがやってくれた。
1つはキャンプ地の草陰に穴を掘って作ったトイレを埋めること。もう1つはずっと焚いていた火を消して、これも穴を掘って埋めること。この2点。これらは公園のレギュレーションで決まっているのだそうだ。穴を掘って灰を埋める作業については動物保護の意味があるのだそうだ。火がおこったままで森を去ると、猿が来て火傷を負う可能性が高いので埋めることになっているのだそうだ。
そんなレギュレーションがありながら、なぜハンティングは許しているのか、とまた沸々と思いがこみ上げてきたが、MBとしてはハンターがしとめた獲物の肉はリーズナブルな値段で村人に売られるのでそういうことも必要だと考えているようだった。また、ハンターに渡すパーミッションから得られる観光収入も我々のようなウォーキングサファリからの収入に比べるとずっとよいという点も見逃せないのだろう。
そうこうするうちに時間がやってきた。キャンプ地から荷物を舟に運び、出発の準備を整えると丁度時間の1時半となった。
来る時は日差しに向かって進んでいったのでまともに太陽の光を浴びて暑かったが、帰りは逆方向なのでより気持ちよくモコロの旅が楽しめそうだ。
途中で釣りを楽しんでいるドイツ人がいて、収穫を見せてもらった。
ここに来るならば水着、そして釣り好きならば釣り道具をもってくるのがいいみたいだ。
午後2時、MBがそっと舟を停めて辺りの様子をうかがっている。何かいるのだろうか。やがて、MBが「静かに。この先に象がいる」と囁いた。朝から象が見られなくて残念に思っていた私たちにとっての、最後のプレゼントだった。
舟をそーっと進めていくと、その先には3頭の象が水浴びしている姿が見える。今日もまたかなり近い距離だ。
鼻でズズズーッと水を吸い上げる音まで聞こえてきて臨場感たっぷりだ。
水を飲んだ後は泥水を体にたっぷりとかけて「朝の行事はこれでおしまい」と揃って森の中へ去っていくまでを、たっぷりと観察することができたのだった。
興奮冷めやらず思わず声高になる私たちをMBは制して、舟をスーッと勧めると、真横にお尻を向けて森に去っていく象の姿があった。オカヴァンゴデルタの別れの日にふさわしい象との出会いだった。
午後2時半、車を降りてモコロに乗り込んだ地点に戻ってきた。数分も経たないうちに他のモコロも次々と到着。私たちと一緒に出発した南ア人4人組は1泊だというから、もうここを去っているはず。集まった人は見知らぬ顔の人ばかりだった。
3日間お世話になったMBとはここでお別れだ。BP50(=US$7.84)のチップを渡すと嬉しそうに受け取っていった。これでパームワインでも飲んで楽しんでほしい。この金額は後で他の人に聞いたら妥当だったようだ。
来る時よりは小さな12人乗りくらいの車で同じ道をたどってアウディキャンプに到着したのが午後5時15分。ここの冷蔵庫に残していった材料を使ってすぐに夕食の自炊ができるし、我が家に戻ってきたかのように便利だった。
いやー、オカヴァンゴデルタ。来るまではどんな所が検討もつかなかったのだが、素朴なMBと自然たっぷりのデルタ地帯を満喫していいツアーだったと思う。
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