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2007.08.17 Vol.1
チョベ国立公園 ゲームドライブ
ボツワナ:カサネ |
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カサネで滞在することに決めたThebe River Lodgeはキャンプサイト経営の他にツアーも手配している。
昨日カサネに到着して、昼休み明けの午後2時半に事務所を訪ねてチョベ国立公園へのツアーについて説明を受けた。以前から2回ここに電話してツアーについて尋ねたのだが、ツアー料金や国立公園への入場料の情報は得られても、予約は常に「こちらにお越しになってツアーの前日に申し込んでください」と言われるばかりだった。
明確な理由はわからないのだが、ボツワナは公共の交通手段が発達していない。昨日も私達は途中からヒッチハイクをしてここにたどり着いた。こんな具合だから、確実にここまでたどり着いた人だけを相手にしたいという意向なのではないだろうか。
そんなやり方なので、昨日の午後2時半の時点では午前中のゲームドライブにはうまく参加ができたのだが、午後のクルージングは人が集まっていないので催行されるかどうかまだわからないという話だった。同じ日にゲームドライブとクルージングを行わないと公園の入場料BP70(=US$10.97)がその都度かかってきてしまう。事務所とは午後にクルージングが催行されるならば、午前と午後の2つのツアーを買うし、そうでなければ1日待つといって様子をみることにした。
午後5時頃に再度オフィスを訪ねると、オフィスにはガイドに連れられて数人の白人女性が来ていた。彼女達はオーバーランドツアーでアフリカを周っているのだそうだが、チョベ国立公園のクルージングはオプショナル、つまり追加料金で参加する項目なので申し込みに来たのだという。こうして彼女達の参加によって明日のツアー催行が確実になったので、私達もあらためて午前のゲームドライブと午後のクルージングを申し込むことにした。。
公園入場料金は、先に記したようにBP70(=US$10.97)。これにゲームドライブツアー料金BP140(=US$21.94)とクルージングツアー料金BP140(=US$21.94)がかかる。つまりチョベ国立公園のサファリ料金は丸一日で約US$55ということになる。ケニアのマサイマラ国立公園へのツアーが一日US$70〜90、タンザニアのセレンゲッティー国立公園へのツアーが一日US$120〜140ということを考えると、宿泊費や食費が高いボツワナにしてはまずまずのコストパフォーマンスだといえる。
野生動物は朝早い時間帯によく見られる、というのはどこのサファリでも一緒だ。未明の5時半にサファリカーで宿を出発して、6時10分に公園のゲートに到着。
そのまま車は走り続け、6時半頃に東の空がぼんやりと赤く染まってきた。
ボツワナ北端、チョベ川をはさんだ向こうはナミビアという位置にあるチョベ国立公園の姿が、夜の帳をとかれて徐々に明らかになってきた。
サファリカーが走っているすぐ脇は湿地帯になっていて、島と水が入り組んだ風景が広がっている。森と川と湿地帯が一緒になって、野生動物に快適な生活環境を与えているようだった。
島の上に何かが動いていた。ええ?あんな所に人が歩いている!
枯れ木のように痩せた年寄りの爺さんが後ろに手を組んで猫背で歩いている。そう見えたのは、大きな鳥だった。たぶんアフリカハゲコウだろう。
ブッシュの中では朝日でピンク色に染まる大地の中でメスのインパラの群れが草を食んでいた。
6時47分に日の出。
日の出とともに、辺りは今までとは比べ物にならないスピードで明るさを増していくのだった。
すると、その明るさの中にガイドがライオンを発見。「ライオンだ!」という一言に、みんなの目は湿地帯をさ迷い、見つけた者から興奮状態になっていった。ついにツアーメンバー全員がライオンの姿をとらえ、一同ライオンに釘付け。大人のメス数頭と子供ライオン数頭らしい。
「Come on, Come on, Come on, Come on」とガイドがみんなの気持ちを代表するようにライオンに向かってつぶやき続けた。その途端、右方向に向かおうとしていた先頭のメスライオンが、クルリと踵を返して私達に向かって真っ直ぐ歩いてくるではないか。「すごい!」とみんなガイドを振り向いて賞賛の言葉を口にした。「いやー、私の言葉がライオンに届いたようで」と言いながらも、ガイド自身が一番驚いているのが面白かった。
子供ライオン達は大人の前になったり後ろになったり、お互いにじゃれあったりしながらこちらに近づいてきた。
途中の水場で喉を潤して、ライオンは尚もこちらに近寄ってくる。 ライオンは全部で7頭いることが見てとられた。
この頃には私達のサファリカーの前後にズラーッとサファリカーが並んで停車。どの車の中でもみんな固唾を呑んで見守っているに違いない。
人間の乗っている車に近寄ってくると、子供のライオンは足を止めて物珍しそうにこちらを眺めた。彼らにとっても、このサファリカーの行列は物珍しい光景なのだろうか。
先頭のリーダー格のメスは首輪をしていて、研究対象としてマーキングされているようだ。そのメスが車の目の前を横切った時が、もっとも私達に接近した時だった。
彼女について他のライオンも次々と道を横切り、右手の丘に上がっていく。別の大人ライオンがみんなの来るのを最後に見届けると、全員背を向けて丘の向こうに消えていった。
最初にライオンの姿をとらえてから丘の向こうにライオンが消えるまで15分。朝日に照らされて金色に光る毛並みや子供達の無邪気な様子を見ることができて、今日のゲームドライブの中で一番のできごととなった。
ライオンが去った湿地帯には、もう別の草食動物がいて草をのんびりと食んでいる。ツアーメンバーの一人がガイドに向かって「今度はここにライオンを呼び寄せて、ハンティングの風景を見せてよ!また奇跡を起こしてよ!」と叫び、バスの中は笑いに包まれた。
車は水につかず離れずしている道を走っている。チョベ国立公園では、この水場近くに動物がよく現れるのかもしれない。
水辺に美しく姿を映しているサギや、島で草を食むインパラ、鋭い目つきの鷹、美しい色合いのムクドリのような鳥などが見られた。
8時に水辺で小休止。ここは野生動物から隔離されている場所なのか、ツアーの客が車から降りてもよい場所になっている。
他のサファリカーも集まって人間だらけだ。
ここから右手に中州があるのだが、ボツワナとナミビアはこの中州を互いに自分の領有権だと称して中州に旗を立てているんだそうだ。クルーズをすると、その旗が見られるかもしれないとガイドが語っていた。
それにしても、朝8時で太陽があがっているとはいえ気温が低い。Tシャツ、フリース、風を通さない厚手のウィンドブレーカーを着込み、下は夏用トレッキングパンツに中綿のパンツを重ね履きして丁度いいくらいだった。
休憩を経て湿地帯を少し見下ろすような位置の道を走っていると、今度は重量感のある鳥が何羽もとまっているのが見られた。
近づいてみるとハゲワシらしい。
こんな近くで野生のワシを見るなんて今までなかった。目つき、クチバシ、爪。全てが鋭く精悍な感じで全身から「私は肉食でございます」というオーラを出している鳥だった。
ややあって、一羽が飛び立つと他のワシも一斉に飛び立った。ゆっくりと大きく羽を動かして去っていく様子も他の鳥とはちょっと違う。
車は湿地帯に背を向けて、どうやらもう帰る方向に向かっているらしかった。
潅木の中からバッファローがヌッと顔を出してきたり、ブッシュのでキリンが朝ごはん中という風景に出くわしたが、今朝のライオン程インパクトの強い場面にはこれ以上出会うことはなかった。
最後にインパラのメスを近くに見られた。インパラはとても敏感な動物なので、いつも遠くから見るだけなのだが、この時はかなり近くで見ることができた。
インパラとよく似た草食動物がたくさんいて見分けがつきにくいのだが、インパラはお尻に黒い線でマクドナルドのMみたいなマークが付いているのが目印。これはナミビアのガイドさんに教わった。
9時40分に公園のゲートに到着。6時10分にゲートを通過したので、3時間半のゲームドライブ。
水辺ということもあり、他のサファリと比べると大型の鳥がたくさん見られたのが面白かったし、何よりもライオンの親子の朝の散歩が収穫だった。
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