夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2007.08.20
ヴィクトリアの滝見物

ザンビア:リビングストーン

 世界三大瀑布ヴィクトリアの滝のお膝元、ザンビアのリビングストーンにやってきた。ヴィクトリアの滝はザンビアのリビングストーンから行く方法と、ジンバブエのその名もヴィクトリア・フォールズという村から行く方法がある。

 私達が訪れた時期、ジンバブエの大統領の白人追い出し政策が失敗して超インフレになっていた。昨日換金したお金が今日は3分の2の価値に目減りしているような状態で、とてもまっとうに旅行できる国とは思えず(そういう異常状態を見物に行くという意味でわざわざ行く人も少なくなかったが)、ジンバブエではなくザンビアから滝を見物することにしたのだった。

 リビングストーンからヴィクトリアの滝の入り口までは車で15分とかからない。町との間にはミニバス、タクシーもあるが宿で毎朝10時に無料のシャトルバスを出してくれているので、それを利用して行くことになった。今日は日本人の世界一周新婚旅行を行っている夫妻も一緒で、せっかくだから一緒に周りましょうってことになった。

 宿のレストランで待っていると「ヴィクトリアフォールズ!」と声がかかったので真っ先に車に乗り込んだ。ナミビア、ボツワナとハイシーズンを迎えているこの時期、ヴィクトリアの滝を見ようとこの宿に宿泊する人も多く、ぼやぼやしていると無料のシャトルバスに乗れないこともあるからだ。

 10時15分に滝の入り口に到着すると、早速バブーンがお出迎えしてくれた。しかし、このバブーンは他にも人がいるのに私の後をやたらついてくる。

 はっ!

 ここであのイグアスの滝のブラジル側での忌まわしい事件を思い出した。あの時、私はホカホカ揚げたてのエンパナーダを買って公園に入ったのだが、可愛らしい顔をしたアナグマに一口も、そう、だたの一口も食べていないのに袋ごと全てかっさらわれてしまったのだった。

 今日もお弁当にサンドイッチを持ってきている。薄焼き卵入りが猿の嗅覚を刺激しているに違いなかった。ブラジルでの教訓を胸に、猿に取られないようにサンドイッチをしっかりと握り締めたのだった。

 入り口で入場料金ZMK40000(=US$9.52、2007年8月20日の換算レートUS$1=ZMK4202を使用)を支払って中に入った。入ってすぐの所に男性の銅像がある。ヴィクトリアの滝を始めて西洋社会に紹介したドクター・リビングストーンである。

 ロンプラによれば、1855年に地元の人はドクターを滝に連れて行き、地元では"Mosi-os-Tunya"(smoke that thunders)と呼ばれていると紹介したらしいが、ドクターは「ヴィクトリアの滝」という名前がふさわしいと考えて改名したようだ。そんなー、地元に名前があるんだからそれを採用したらいーじゃないか。例えば富士山にイギリス人が来て、イギリスに向かって「日本で一番美しくて高い山はマウント・スミスである」と紹介し、今じゃぁ世界中でマウント・スミスと呼ばれてしまったようなものである。そう考えると、この滝をヴィクトリアの滝と呼ぶことを余儀なくされているザンビアの人の心境が偲ばれる。

 さて、ここから先をどうやって周ったらいいのだろうか。イグアスの滝では、アルゼンチン側にしろブラジル側にしろ入場する時に詳細な地図と散策コースを色分けして書いたパンフレットをくれた。しかし、ここでは何一つくれない。世界三大瀑布のくせに、ここのサービスはよろしくない。

 私達は同行した夫妻が詳細な地図付きのガイドブックを持っていたので、それを見せてもらって状況を把握した。

 銅像(図赤丸)の左手、まっすぐ、右手と3方向に行く道がある。

 滝は左手にもう見えているのだが、まっすぐ進むと2kmに渡るザンベジ川が100m落ち込んでいる滝に平行して歩く道になる(図@)。

 右手に行くと、滝に落ちる前のおだやかなザンベジ川に行けるし(図A)、左手に行くとやがて下にどんどんと下って、滝から落ちた水が1つにまとまって渓谷の間を流れてくるのを目の前で見ることのできるポイント、ボイリング・スポットにたどり着ける(図B)ことがわかった。縮尺はめちゃくちゃで申し訳ないが、こんな感じである。

 ザンビアとジンバブエの国境は図左上の紫の橋の左右にあるので、@のコースの向かい側の半島はジンバブエになる。

 まずはまっすぐの道を進もう。

 遊歩道には頻繁にビューポイントが設置されて、長い距離に渡る滝を様々な視点から楽しめるようになっていた。

 まず、滝の右端の部分が見えてくる。

 今は水量が少ないせいか、所々に岩がむき出していて流れを分断しているのだが、その様が日本庭園のしつらえのように見えて、アフリカなのに「和の風流」を感じさせてくれた。










 次の地点ではもっと滝が横に広がって見渡せるようになる。水量が少ないとはいえ、大量の水が落下する轟音は迫力満点。落差100mだったかなぁ、それがこんなに長い幅で一気に落ちているのだ。

 左手には国境となる橋が見えてきた。橋は国境の間にあるのでザンビアにもジンバブエにも属さない場所にかかっているのだが、この橋の上から下のザンベジ川に向かってバンジージャンプを行うのが人気だ。

 リビングストーンに来るシャトルサービスの運転手が、ここから飛び降りて大層恐ろしい気持ちを味わったという話を手振り身振り満載で披露しくれた姿を思い出して、フッフッフと笑いがこみ上げてきた。

 この先、遊歩道は川を渡る橋になっている。

 橋の上からはこんな風景が見えた。徐々に川の中心に向かっているせいか時々水量が豊富な流れがあり、そこから滝つぼに落ちているのは迫力のある眺めだった。





 橋を渡ったあたりから水しぶきが遊歩道にも飛んでくるようになった。びしょ濡れになるわけではないが、霧のように細かい水滴に包まれてくる。

 @のコースの一番最後からは、滝の奥がよく見通せるようになって、更に勢いを増した水から水煙が立ち上っているのが見えた。水量の多い時期には、この水煙が500mにもなって上空に立ち上るのだそうだ。


向かいの半島は既に水煙に取り囲まれて見えた。
足元は左手のザンベジ川に流れ込む川が
見え、そこに二重に虹がかかっていた。

 川を隔てて向こう側の半島の岩の上に小さく人が見える。ジンバブエ側からの見物客だ。ジンバブエ側の方が水量が豊富な部分を長い距離に渡って見ることができるようだ。しかし、ジンバブエに入るだけでビザUS$30と入場料金US$20がかかる。滝だけを見るためにUS$50はちょっともったいないなぁと二の足を踏んで行かなかった。実際に行った人の話では、確かに迫力はあるのだが水煙でもう何も見えない状態だということだったので、滝を体で味わいつくしたいという意味では行く価値ありなようだ。



 ここから元のリビングストーンの銅像まで戻るのだが、橋を渡った滝側の道ではなく、半島の反対側の道を通ってみた。

 滝からは離れてしまうのだが、ザンビアとジンバブエをつなぐ橋が近くに見える風景が楽しめる。

 また来る時に渡ってきた橋とその向こうに滝が見える景色も見られた。

 滝を見るという点ではちょっと劣るコースだが、こちらも通ってみると面白い。

 銅像まで戻ってきて、今度はBのコース、ボイリング・スポットに行ってみることにした。道は途中からどんどんと坂を下って、ジャングルの中を歩くようになる。川傍に出るために当たり前なのだが、この道、帰りに上がってこなきゃならないんだろうなぁと思うとちょっと足が重い。

 とはいえ、強いひざしが遮れられている道だし、時々左側に小川が走っていて涼しげな音をたてていて気持ちのいい道だった。

 下り始めて5分くらいで、一旦目の前が開けて、橋と川、その向こうの崖っぷちに建つホテルが見える。ここで見えている川が、滝から集められた水がザンビアの半島とジンバブエの半島の間を通って流れ込んでいる場所だ。

 向こうに見えているホテルはVictoria Falls Hotelで老舗の高級ホテルらしく、ここのティールームだけでも行ってみると豪華気分が味わえると何かのパンフレットに書いてあった。

 ここから再び森の中の道をひたすら下ること10分。川が目の前に開けて見える場所にやってくる。ここから先は道がなくなり、川原に積もった大きな岩から岩へと足を運ばなくてはならい。

 特に平地になった部分はなくて、この川原の岩のどれかを選んで腰を下ろして見学するということになる。

 それにしても、この轟音、川の逆巻き。物凄い迫力の場所だった。川がUの字に急カーブして、そこに滝に落ちた水が終結して流れ出しているので、カーブしている部分に水がぶちあたって渦を巻いている。名前の通り、まるでお湯が煮えたぎっているような状態で橋の方向へと流れを作っているのだった。


 ここの川原には大きな岩もあり、木陰もあるからピクニックにはうってつけだ。時間も丁度お昼時。私達は適当な石を見つけて腰を下ろし、お弁当を広げた。

 ここでお弁当を食べていると、ローカルの観光客たちがやって来て、私達の座っている場所から更に先に進んでいくのが見えた。


 川に突き出した大きな岩の先まで行って写真を撮っている。

 おお、あそこまで行けば滝を落ちて流れてくる川を真正面から見ることができる。私達も行ってみようではないか。

 危なげに見えるが、足場の岩は案外しっかりしてぐらついている場所もなく、何とか行き着くことができた。

 何という迫力!

 お弁当を食べていた場所から100mと離れていないのに、耳に届く音、飛び跳ねる水の景色の迫力が全く違った。

 正面には峡谷に挟まれた向こうに白く光る滝が見えていた。そこから真っ直ぐ轟々と音を立てて暴力的に水が流れ込んで、自分の足元の岩壁に当たって巨大な渦を作っていた。川面の緑色はほとんど見えずに、逆巻く波で白く泡立った風景は、恐怖心を煽り立てて水に引きこまれそうな気分になってくるのだった。




 いやぁ、すごい、すごいと無邪気に景色を楽しんでお弁当を食べた地点に戻ってきた。先ほど見た滝よりも、私はここの景色の方がインパクトを強く感じた。3日後のラフティングで、この渦の中に放り出されて死ぬ思いをするなんてこたぁ、この時は微塵も考えていなかった。

 木陰でゆったりとお昼休憩を過ごした後は、岩を乗り越え、坂道をフーフーと上ってきた。この高い位置からもっと橋に近づくコースもあった。ええい、ついでだから行ってしまおう。

 このコースは先ほどのボイリング・スポットの丁度上から見ていることになるので、渓谷の間の滝がもっとよく見えるようになった。左側は金網のフェンスが続いていて、外側が公園の外だ。公園の外にはやがてザンビア川のイミグレオフィスが見えて、多くの人が手続きをして車も多く行き交っているのだが、丁度オフィスの目の前にあるフェンスに人が通れるほど大きな穴が開いていた。

 どうしてこんな大きな穴を放置してあるのかわからないが、夜間の人目がない時間帯ならば、この穴を通って公園内に入れてしまうかもしれない?いや、イミグレオフィスの目の前だから無理かなぁ。

 このコースはフェンスで仕切られて、それ以上は行けないので引き返すことになった。それにしても日差しが強くて暑い。帽子は持っていくべきだし、肌を守りたい人は日焼け止めクリームが必要だろう。

 再びリビングストーンの銅像前。最後にAの川上に行くコースをたどってみよう。

 すぐに滝を真横から見られる展望ポイントに到着。ザンビア側で滝を見るアングルとしては私が一番気に入った場所だ。地面がガクッと落ち込んで長く切れ込んでいるヴィクトリアの滝の特徴がよく見えて「よっ、お見事!」という景色だ。


 滝の落ちる手前20mくらいは、地面の切れ込みがウネウネと見えて、さすがにちょっと恐ろしくて水に入る気分にはなれないが、40mくらい離れると川の岸辺はちょっとした砂浜のように柔らかい砂がたまっていて、膝下くらいの水の中を渡って中州の岩にたどり着くことができる。

 ちょっと奥に目をやると水煙があがっているので、それと知れるのだが、目の前の景色だけ見ているとほんのすぐ先に100mも落ち込んだ滝になっていることを全くかんじさせない穏やかな雰囲気だった。

 水の流れはそれなりにあるので抵抗は感じるが、足をとられて流されそうなほど強くはない。岸から一番近い中州くらいまでなら簡単に行けた。もう少し上流に目を向けると、もっと穏やかになって水着を持ってきている白人カップルが水に浸かっているのが見えた。それもいいかもしれない。

 ここもお弁当を食べるのにふさわしいポイントと言える。

 ということで、ザンビア側で見られるコースを行きつくして大満足で見学を終えることにした。

 帰りは公園から500mくらい離れた空き地がミニバスパークになっている。満席になったら出発するトヨタハイエースで、これ以上人を詰め込めないというほどギュウギュウになってから出発した。ほんの10分ほどのドライブなのでそんなに苦にならないし、料金も一人US$0.5くらいなので利用価値が大きい。リビングストーンのショップライトから程近いバスパークに到着するので、スーパーに寄って帰るには都合が良かった。

 ヴィクトリア・フォールズ。世界三大瀑布の名に恥じない立派な滝だった。迫力や規模はイグアスの滝の方が勝るが、地面がぱっくり割れているってのが如実に観察できる面白さはこちらが上だと思う。ジンバブエ側からもっと近くで見ることや、上空から見ることもできて、そういう角度から見るとまた面白いだろう。その楽しみはまた次回にとっておきたい。


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