|
|
|
|
2007.10.03
シピ滝見学
ウガンダ:ムバレ |
|
ガイドブックに「ウガンダで最も美しい滝」と紹介されているシピ滝は、ムバレから乗り合いタクシーで1時間から1時間半で行ける。
ムバレという町自体がケニアとの国境にかかるエルゴン山への登山の拠点となる町という以外に観光するべきものが何もない場所なので、シピ滝でも見ておくかってな気持ちででかけたのだった。
シピ滝のある村はカプチョルワというらしいが、メインロードを歩いてクロックタワーを過ぎて坂を下りきった辺りの左手でカプチョルワに行くというタクシーが見つかった。タクシーといっても乗り合いなので、車内が満席、いやそれ以上になるまでの人数を待たなければならないが、一応一人Us5000(=US$2.84、2007年10月1日の換算レートUS$1=Us1761を使用)で連れて行ってもらうことで交渉成立。15分ほど待っていると、いやいやそんなに乗れないでしょうという人数(後部座席4人、運転手の隣に2人)を詰め込んでタクシーが出発した。
私が座りにくそうにしていると、もっとこっちに寄ったら楽かもしれないとか気を使ってくれる。大体、ウガンダに入ってきてから人が温かいというか、ふんわりとした柔らかい人が多い気がして、この町も例外じゃないなぁと嬉しくなった。
出発して40分くらい経過した辺りから、道はどんどんと上り坂になっていき、山をぐんぐんと登っていく。
10時を過ぎるころには、目の下に緑色の平原がどこまでも続く景色が見渡せる場所を走っていた。これがチャーター車だったら、「あ、ここで止めて!」と気軽に写真撮影なぞできるのだが、乗り合いタクシーとあって止めてもらうわけにもいかない。素晴らしい景色が、どんどんと目の前を通り過ぎていき、私たちは必死にシャッターを押し続けたのだが、あまりいい写真は撮れないなぁ。
同乗しているウガンダ人は「そんなにこの景色が感動ですか?」とでもいうように私たちを珍しそうに見ていた。
10時9分にタクシーの運転手が「どの宿に行く?」と聞いてきた。この質問が実は重要だったんだなぁ。
私たちは全く勝手がわからなかったので、シピ滝が見える所へ連れて行ってと言ったために、適当な場所で降ろされた。
すぐにガイドと名乗る青年に取り囲まれたのだった。
私たちがガイドを選んだわけではないが、とにかく近くにある宿に事情を聞いてみようと歩き出すと、青年は1人だけになった。宿に入ると、青年が先に立って滝が良く見える場所に行こうと誘うのでついていくと、確かに遠目に滝が見える。
ガイドブックではもう少し近寄った地点からの写真だった。
ここで青年の営業開始。シピ滝は3つにわかれていて、今見えている滝は一番下の滝なのだそうだ。
・見えている滝のすぐそばまで散策して滝つぼを見てから、もう少し上流にさかのぼって中段の滝を見て帰ってくる3〜4時間のコースでガイド料は一人Us8000(=US$4.54)。
・更に上流までさかのぼって一番上の滝まで見て帰ってくるコースが6〜7時間でガイド料は一人Us15000(=US$8.52)。
どっちがいい?と聞いてくる。
どっちも何も、私たちはガイドブック程度の距離から滝を見てさっさと帰ってくる予定で、何時間も歩くとは思ってもいなかった。サンダル履きだから無理無理と断ると、じゃぁ、このガイドブックを撮影した地点まで連れて行ってあげるから一人Us3000(=US$1.7)でどう?とオファーしてきた。ただし、この村の貧しい人々への寄付として二人でUs2000(=US$1.14)が必要で、合計でUs8000(=US$4.54)になるとのことだった。
ガイドブックに掲載してあるガイド付きショートトレッキングの料金が一人Us3000〜5000とあったので、値上がり分も考慮してまずまず妥当な金額だと思われたので、そこで手を打つことにした。私たちがこの滝を見ていた宿はCrows
Nestというキャンプサイトだった。宿泊客の白人に話しかけてみると、彼らはここに2泊して一番長いコースのトレッキングを昨日行ったのだそうだ。ところが、昨日は大雨。今日は晴れているので、私たちがそんなに遠出をしないというと、しきりに残念がっていた。
この宿を出て幹線道路を左手に300mも歩くと、Moses Camp Siteが左手にある。ガイドはこのキャンプサイトに入っていった。ここからだとシピ滝が更に近くに見える。
ウガンダで一番美しい滝ねぇ。確かに美しいが、微妙だった。この滝は、こうして遠目で見ているのではなくて、やはり滝つぼまで歩いて、火照った体に滝のしぶきを浴びて、じっくりと味わってこそ堪能できるものらしく、こうして遠くから見ているだけでは、あまり感動するには値しないと思われた。
それよりは、このMoses Camp Siteから見る左手に広がる平原の景色の方が圧巻。地球の溝と呼ばれている大地溝帯にここも入るのかと思わせる雄大な風景だった。
キャンプサイトの男性が登場して、モーゼだと名乗る。キャンプ場に自分の名前を冠しているようだ。モーゼはよければ昼食を用意しようかと提案してくれたのだが、お決まりのビーフシチューにご飯で一人Us8000というのは親切ではない値段だった。町中なら同じメニューがUs2500で食べられるというのに、なぜ田舎に来て高くなるのか。日本の「観光地値段」という言葉が頭に浮かび、即刻お断りした。
散策が始まって20分くらいしか経過していないのだが、このままガイド青年をそばにおいて置くとうるさそうだったので、ここでガイド料を支払ってお引取り願うことにした。
モーゼのいる前でUs8000を渡すと、モーゼはガイドを引っ張ってどこかに去っていってしまった。貧しい村人への薬代金として支払われるというUs2000は本当はモーゼに渡すつもりだったのだろうが、モーゼとしては「どーしてお前がUs6000でおれがUs2000なんだ」という不満が爆発したのだろう。ま、そういう意味も含めてモーゼの前で渡したんだけどね。
しばらくして戻ってきた二人の顔を見ると、取り分はイーブンにされたことがわかった。何てわかりやすい人たちだろう。それでもガイド青年にとっては今日は楽な仕事だったに違いない。「帰る時は、タクシーを降りたCrows
Nestまで来てくれ。同じ値段でタクシーをつかまえてあげるから!」と上機嫌で戻っていった。
30分くらい木陰で滝をながめていた。日が当たると滝の白い筋が光って緑によく映える。
しかし、どうにもお腹が空いてきたので帰ることにした。
Crows Nestまでの道すがら、幹線道路だというのに道沿いには米やコーヒー豆が干してあり、非常にのどかな風景。ここエルゴン山でとれた豆を使ったコーヒーをジンジャで買って飲んだが、これがおいしいこと。ムバレの町中では炒ったコーヒー豆をバナナの皮で小さな包みにしてタバコの露天で販売している。夜間に及ぶ長いバス旅の前に、眠くならないように買って齧るんだそうだ。
タクシーを降りた場所の近くではコーヒー豆を量っている場所があったので、もしかして小売しているかと思ったのだが、やはり問屋さんでキロ単位でしかも炒っていない生豆しか販売していないと聞いて買わなかった。でも、コーヒー通だったら、ここで生豆を買って自分で焙煎したりするのも楽しいだろうなぁ。
約束の場所に到着するとガイド青年が近寄ってきて、人の家の軒先に人の家のベンチを据えて、ここで待っていてくれと用意してくれた。程なくタクシーが来てみれば、行きに乗って来たのと同じ運転手さん。だから値段交渉というほどのこともなく、来るときと同じ値段で帰れるということはすんなり決まった。
下の平原に向かってするすると天から降りていくように車は下って走り始めた。下りていく時の景色もなかなか面白い。
途中の小さな村で人を拾っては降ろし、拾っては降ろししながらタクシーは進む。
鶏を抱えた20歳そこそこの女性は運転手と壮絶なバトルで値段交渉した末、あまりうまく行かなかったようで口をへの字にして乗り込んできたりして、人々の生活がよく見えるのもこうした旅の醍醐味だ。
町中に入ってくると、お昼休みで家に帰るのか制服姿の小学生にぶつかった。ピンク色の制服っていうのも斬新だが、褐色の肌と強いひざしとウガンダの緑の風景によく似合っていて可愛らしい。因みに男の子もピンクのシャツなのにはびっくり。
1時間15分かけてムバレに到着。
まぁ、滝自体はもっと堪能しないと楽しめないのだけれど、滝に向かう道すがらの景色や村の人々の生活などが見られて、ほのぼのとした楽しい遠足だった。
|
|
|
|