夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2007.10.23
ABCへのトレッキング第三日目

ネパール:ポカラ

 朝5時半過ぎにトイレに行こうと部屋を出ると、昨日曇って何も見えなかった山間の向こうにアンナプルナサウスがニョキーッと見えているではないか。まったく雲もない。出たー!

 そこから夜明けに照らされるアンナプルナ山塊をずーっと眺め続けた。やっとここまで歩いてきて報われた気分だった。


 宿のテラスに立つと左手にアンナプルナサウス、右手にキュンと尖ったマチャプチャレが見える。朝の時間帯にこの全景を写真に収めたいなら朝日が昇る前ということになる。その後だとマチャプチャレが山の後ろから照らす太陽の光でかすんで見えなくなってしまうからだ。昨日の夕方は曇っていた私たちにとっては、この時間帯が唯一のチャンスだった。

 朝日に照らされていくに従って、手前のただ黒い塊に見えていた山が幾重にも折り重なる山の集合からできているのが明らかになっていき、優雅な山際の重なる先に白い山が見える。折り重なった山は1つとして同じ色ではなく、すこしずつグラデーションしていて、その微妙な加減も見ていて楽しい。惜しむらくは目で見たように美しく写真が撮れないこと。実際はもっと感動的だ。



 出発は7時14分だった。今日は出発地点のチョムロン(1951m)から目的地のヒマラヤホテル(2873m)まで結果として900mくらい上昇するんだけど、チョムロンを出てまずはひたすら下る。下に流れるチョムロン・コーラ(コーラは川の意味)まで、村の中に続く石段を「やーめーてー!」というくらい下る。もちろん、宿から眺めていた美しい景色を見ながら、その方向に向かってどんどんと進んでいくので、ふと目をあげると素晴らしい景色が見えるというプレゼントはある。下りきるまでは15分くらいだ。

 1951mから15分下ったので1600mくらいになっちゃってるのかなぁ。ここから今度は一気にシヌワSinuwa(2340m)まで上昇。これが結構厳しかった。

 30分上った8時頃に振り返ると、向かいの山の斜面に張り付くようにチョムロンの村が見える。自分達が宿泊した宿は山の上から3分の1くらいだったので、まだその高さにも至っていないという目測。やれやれ。やはり上りは下りの倍以上時間がかかる。

 ここから更に進むと、自分の今いる山に隠れてだんだんとチョムロンが見えなくなってきた。

 向こうの山のチョムロンからずずずーっと下りて川を横切る橋を渡り、再び同じような高さまでたどり着いたのがよくわかる地点だ。ここで休憩しながら自分を褒めて次に進む勇気をつけてあげた。ここから15分でシヌワには9時に到着。

 パッサンが景色の良いカフェまで案内してくれた。ここからは正面にアンナプルナV(7555m)と左手に雲に隠れていなければマチャプチャレ(6993m)がくっきりと見える。日に日にマチャプチャレが大きく近づいてくるのがわかる。


 休憩して9時20分頃出発。ここからはシヌワのカフェから見た景色に向かって山を回りこむように上ったり下ったりを繰り返しながら進む。多少の上り下りはあるものの、昨日のジヌーからチョムロン、そして今日のチョムロンから下ってシヌワに昇るような激しい上下ではない。

 この辺りになるとABCへ向かう一本道になるということもあり、上りと下りの行き交いが激しくなってきたように思う。特に大手旅行会社に雇われているグループツアー付きのポーターさんたちは多い時には6〜7人で40kgもあろうかという荷物を背負って走るように道を降りてくるので、私たちは道端に寄って待機することもままあった。

 10時36分にバンブーに到着。シヌワからバンブーまでは1時間15分ということろか。シヌワより50m高い2390mに位置するが、ここからの景色は、近くの高い山にふさがれて視界が狭まってしまってあまりよくない。バンブーで少し休憩して先に進むと、名前の通り竹林があった。

 バンブーでの休憩をはさんでドヴァン(2286m)に到着したのは11時56分だった。アンナプルナ・ベース・キャンプに向かう道のりで最後の電気のある村だ。

 私たちはここで昼食を摂る間にカメラのバッテリーの充電を行うことにした。同じメーカーのデジカメ2台に対してバッテリーは3つだ。これでここから先のハイライトの撮影分を持たせなければならない。高度が高くなるほどバッテリーの減りも早いそうだ。結局、加減して使ったので持ったが一つのカメラに2つのバッテリーくらいあれば気にせずにどんどん撮影できただろう。

 ドヴァンに到着した時点でだんだん雲が出始めてきて、午後1時にトレッキングを再開して午後2時14分に本日の宿泊地であるヒマラヤホテルに到着した時には当たり一面がガスって真っ白と言う状態になった。ヒマラヤホテルは標高2873mなので、雲の中に入っているということになろう。

 ここに到着する前の最後の上りでは、私はとうとう全ての荷物をパッサンに持ってもらって手ぶらトレッキング。どうやらとても上るのが辛そうだと判断されたらしい。ああ、手ぶらは楽だ。

 ヒマラヤホテルからは電気がない。ケロシンという灯油で湯を作ったり料理をしているそうだ。当然シャワーも水しか出ないので、有料でバケツにお湯を買うことになった。しかし、ドヴァンからヒマラヤホテルも600m近く上がったので体が熱く火照っている。この火照りを活かせば水シャワーでもいけるのではないかと夫が提案。ふーむ、どうだろうか。やってみることにした。

 えー、武者修行?侍スピリッツ?

 「冷水で毛細血管が刺激されて逆にポカポカする」と夫は言うが、私の毛細血管はポカポカしなかった。死ぬかと思うくらい冷たくて寒かった。 ガイドのパッサンも「何をやってるんですか?」と呆れるこの行為は決してお勧めしない。

 果敢に洗濯も試みてみた。これも手がちぎれるかと思うほど冷たい水だった。こんなに冷たい水で洗い物するなんて久しぶりだなぁ。

 衣類でいうと、半袖の上に中綿のジャケットを着て、下はトレッキングパンツの上に中綿のパンツをはくと絶えられるくらいの寒さ。

 この分だと夜も冷え込むだろうなぁ。そうそう、トレッキングの初日から夜の冷え込みに対して、宿からブランケットを多めにもらうようにしていたのだが、このブランケットというのがなかなか微妙な問題をはらんでいる。宿側は客に対して自前の寝袋を持ってくることを期待して、有り余るほどブランケットを用意しているわけではない。ブランケットはポーターやガイドも使う。どの客からも文句がいわれないように、必要最低限のブランケットを客に渡したいので、ブランケットを要求すると必ず「夜になったら渡すから」と渋るのだった。

 そんな悠長に待っていたら、こちらにブランケットが周ってこないかもしれないと、初日などは夫が実力行使して宿から昼間のうちにブランケットを取得していたのだが、上に行くに従ってこの「渋り」は激しくなるようだった。

 今まではブランケットをもらえばそれだけで眠れたが、今日のヒマラヤホテルでは、私たちの摂氏5度までしか対応しない寝袋だけでは寒い。今日こそ本気でブランケットを手に入れなくてはならない。いつも通り夫が宿と直接かけあったのだが、どうもうまくいかないので、パッサンを通してブランケットを手に入れることができた。

 ヒマラヤホテル村には2軒の宿があるが、もう一軒の宿に日本人で海外青年協力隊のネパール隊員が休暇を使って10人くらいでトレッキングに来ていて、その中の2人と話をすることができた。その中で、ブランケットを入手することができなくて、寒くてよく眠れないまま一夜を過ごして、その後にアンナプルナ・ベース・キャンプに向かった所、1人の隊員が高山病になってしまって、すぐに降りてきたという話があった。その一人はいまだに具合が悪いというのだ。彼らはネパール語ができるのでポーターもガイドもつけずに来ているのだが、やはり外国人だけだからブランケットがもらえなかったのではないだろうか。ハイシーズンのガイドはこういう面でも役立ってくれるようだ。

 宿の作りは今までとあまり変わらないが、室内には照明がない。電気がないからね。だから、この日からは日が落ちると部屋にろうそくを灯して、トイレに行くときや食堂に行くときはヘッドライトを付けていくという生活になる。食堂には照明が灯っている。

 また、食堂は巨大なコタツのようになっている。大きなテーブルの端からは毛布が下がっていて、椅子に座って毛布を膝にかけてテーブルの下に足を入れるようになっているのだ。毛布で保温したテーブルの下には、ケロシンで火をつけたガスバーナーのようにボーボーと燃えるコンロをそのまま突っ込む。あまり近くに寄ると衣類が燃えてしまう危険性もあるので要注意だ。

 ここでは有無を言わさずヒーターチャージがかかる。ヒーターがいらないと思う人は一人もいない寒さのレベルだからだ。宿代はツイン共同シャワー・トイレで一部屋NRS200(=US$3.03)プラスヒーターチャージが一人NRS50(=US$0.76)。シャワー用のお湯は5リットル単位だが利用しなかったので値段が不明。

 午後7時頃に夕食を注文して食べてしまうと、後はやることもない。隣の宿に日本人を見かけたのでたずねてみると、前述の協力隊員が数人いてその中の2人が話し相手になってくれたで、なかなか楽しい夜を過ごすことができた。

 明日はマチャプチャレ・ベース・キャンプ。ここからは標高が高くなるので高度順化も考えて1日に歩く距離を短くした。

 この日の食事については「本日の献立2007年10月23日」をご覧ください。


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