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2008.01.12
メインビーチとバイロンケープ
オーストラリア:バイロンベイ |
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「バイロンビーチはとにかく人気が高い」と聞いたのは、バイロンビーチの一つ手前で滞在していたニューキャッスルでのことだった。
クリスマスも年末年始も終わっているし、そんなことはないだろうと思っていたのだが3人くらいからそう言われてにわかに不安になってバイロンビーチの安宿に片っ端から電話をかけてみると、どこも満室、満室。とうとう、ロンリープラネットに記載されているドミトリーのある宿7軒全て満室だということが判明。うわっ、まずい。
その中で一軒、もう自分の所は宿をやめてしまったのだが知り合いを紹介してあげようと2軒紹介してもらい、そのうちの1軒で空き部屋が見つかった。といっても、一泊一部屋A$120(=US$107.14、2008年1月14日現在の換算レートUS$1=A$1.12を使用)。私たちのこの3年間の旅の中でも5本の指に入る高額の宿泊費となった。長くはいられないので一泊して次の土地に向かうことを決めたわけだが、バイロンベイはどうしてそんなに人気なのか、ガイドブックを読んでもなかなか見えてこない。これを1日で解明するのは難しそうだが、とにかく夜行バスで朝到着してチェックインするなり、魅力解明に乗り出すべく、まず近くのメインビーチに足を運んだのだった。
メインストリートからホテルの多い通りを越えた向こうがメインビーチなのだが、ホテルの多い通りは広々とした道路が碁盤の目になっていて各ホテルも緑が多く、いわゆる猥雑なリゾート地という感じではなく、よく言えば別荘地のような感じ、あるいはみょーに広いなぁというゆったりした場所だ。
ホテルはもちろん海辺に近いほど高級になっているようで、最後にどうみても高級そうなホテルが終わるとビーチに続く緑地帯があった。ビーチは広々して多くの人が海水浴。しかし、朝のこの時間は雲が多くて今にも雨が降りそうで、水着を着てきたものの入りたい気分にはなれなかった。
広くて長いビーチを東に向かって散歩していくとバイロンケープという岬になってくる。宿の人にバイロンケープの端にある灯台を目指す散策がいいだろうと教えてもらって、岬を目指して歩くことにしたのだった。
岬を巡る散策路を一周すると4kmくらいになるだろうか。ビーチから岬に向かう道は途中まで車の走る道とは別のボードウォークが用意されているのだが、途中から車道になる。
やがて車道は二手に分かれるのだが、「Lighthouse(灯台)」という表示が左手の道に出ていたので左に進んだ。後からわかったのだが右手に進んでも灯台に行き着く。この二手の道路はやがて灯台でぶつかるループになっているのだった。
私たちが選んだ左手の道はどんどんと坂を上って、岬の向こう側の海辺を見渡せる場所まで続いた。
岬の向こう側はビーチの間際まで森が迫る野生的な風景で、人影もなく上空にはパラグライダーが舞っていた。
ここから道は左折気味に灯台を目指す。
灯台は大きくない。
それにもかかわらず、ここには大型バスが何台も停車して結構な観光スポットになっているのに驚いた。
と、日本語が聞こえてきたので更にびっくり。どうやら日本からの団体観光客の立ち寄り場所にもなっているのだ。
「魅惑のオーストラリア大陸10日間の旅」とかいうツアー参加者に違いない。この手の人たちには一つの特徴がある。それは、ツアーに参加している人とガイドさんと運転手さんしかこの世に存在しないかのような表情をしている人がいることだ。そういう人は思いっきり目が合っても何も見えなかったかのようにソソクサト立ち去ってしまうのだ。長期旅行者にとって食われるとでも思っているのだろうか。同じ日本人として残念だなぁといつも思う瞬間だ。この団体にもそういう人がいるので、「ああ、短期のツアーなんだろうなぁ」と思われた。
しかし、日本人の団体が訪れるような特徴がこの岬のどこにあるのだろうか?と考えていると、ガイドさんの「えー、それでは皆さん、オーストラリア大陸の最東端は岬の先の階段を降りた場所にございます。集合時間は・・・」というのが聞こえてきた。そうか、そういう特徴があったのか。日本人というのは「最南端」「最北端」などにより強く魅力を感じる国民なのかもしれない。この後出会ったバックパッカーに、「バイロンベイにある岬ってオーストラリア大陸で最東端なんだって!」と言っても誰にも感心されなかったもんね。
でもま、折角来たから行ってみるか。
小さな灯台の先は岬の先に向かって階段が下っている。思ったよりも道のりは遠いようだ。
やがて見えてきた「オーストラリア最東端」はそこだけグイッと突き出した岩場になっていて、「最東端」という理由がなくともとても魅力的な岬だった。
岬の先は海流が渦巻く迫力ある風景、そこに黒く突き出す岩場、しかし足元には青々とした緑という不思議。今まで聞いてきたオーストラリアという国のダイナミックな自然の魅力ってのはこういう所なんだろうと、オーストラリアに来た事を実感する風景だった。
岬から灯台に戻る遊歩道は途中で右手に行く道と分岐する。右手に進むと私たちがやってきたビーチに戻れるようなので、そちらに進むことにした。
この遊歩道を歩いていると雨がぱらついてきたのだが、この雨にも関わらず眼下の波間にはサーファーの姿がたくさん見える。そしてサーファーの向こうにピョンピョンと波間を飛び越える生き物の姿。
あ、イルカだ!
イルカっていうのはお金を払ってツアーに参加して見るものだと思っていたのだが、バイロンベイでは肉眼で散歩の途中にイルカを観察することができるのだ。これはポイント高い。通りかかった親子と私たちは夢中になってイルカを目で追った。
遊歩道には雨を喜ぶように大きなトカゲ。体調50cmはあるだろうか。
通りがかった近所の人が「あいにくの雨で観光するの大変ねぇ」と声をかけながら過ぎ去る。今すれ違ったばかりなのに、昔から近所の付き合いをしているような気軽さ。こういう雰囲気も、バイロンベイの良さなのかもしれない。
思った通りにメインビーチに戻ってきたが、雨が降り始めてビーチは人が少なくなっていた。
そんな中、海に背を向けるお揃いの赤いシャツの人あり。何だ?
オーストラリアのビーチ町のバックパッカー宿で必ず見かける「サーフィン教室。興味ある人はここに連絡!」という張り紙でおなじみのサーフィン教室だった。まずは陸で練習するようで、砂の上にサーフボードを置いてボードの上にどうやって手を置くのか、フォームの指導を受けている。こんな初歩的な指導を受けているサーファーを見ることができるのもオーストラリアっぽい。
結局、午前11時に出かけて岬でお弁当を食べて、戻ってきたのは午後2時。3時間の散策。
メインストリートに出てみると、雨上がりでビーチに行けないためか通りは人が多い。
洒落たインテリアの店、しみじみした土産物屋、大型スーパーなど全てがあまり長くないメインストリートに密集している場所だ。
街の中心に大型スーパーがあるのは、私たちのように車で移動していない旅行者にとってはありがたい。スーパーで食料と隣の酒屋でワインを調達して宿に戻った。
夜行バスで到着して散策。私はグロッキーで眠り込んでしまったが、その間に天気が良くなってきて夫はビーチに撮影にでかけてくれた。
午後5時40分というのにビーチはまだ夕方の気配もなく、雨にたたられてうずうずしていた人は我先にとビーチに繰り出していたそうだ。
雨上がりのビーチは空の雲を映し出してご機嫌な鏡面を作り出し、そろそろ暮れてくる海辺で夕食前の食前酒を洒落こもうというのか、ワイン持参で芝生に座り込む人の姿も見られたということだ。
バイロンベイは駆け足での観光だったが、この1日で見えてきた魅力とは、荒々しい最東端の岬の風景、散歩の途中で見えるイルカ、住民も旅行者も気軽に挨拶を交わせる環境、ゆったりと過ごせるビーチ。
「世界遺産」とか「世界的に有名」っていうものがある観光地ではないが、肩の力の抜けた日常の延長のような普段着のビーチライフが楽しめる、そんな所が魅力なんだろうなぁ。
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