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2008.01.18
ヌーサメインビーチとヌーサ国立公園
オーストラリア:ヌーサ |
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ブリスベンから車で2時間北上したところはサンシャインコースと呼ばれる海岸線がある。この海岸線沿いにあるヌーサという町はシドニーに車では全く訪れる予定がなかった町だった。
しかし、シドニーで得られる無料の日本語情報誌を見ていたら、今ヌーサがホットスポットになっているらしい記事が出ていて、よーし行ってみようってことになったのだった。
途中で出会った白人旅行者からは、ヌーサは15年前のゴールドコーストのようで、まだ観光化しつくされていなくて、静かな洒落たリゾート地だという話も聞いて、私たちの期待は高まった。
長距離バスが停車する場所の近く、Hastings StとNoosa Drがぶつかった所にあるインフォメーションを訪ねると、近隣の地図をくれてメインビーチ沿いにずっと右手に向かって歩いて行くと、ヌーサ国立公園になっていて、景色を楽しみながら2時間から4時間散策できるコースがあると教えてくれた。
同じ宿に宿泊している日本人女性が、昨日この国立公園で野生のコアラを目撃したというのも楽しみな情報の1つ。一応水着は着てきたが、まぁ海というよりは散策重視で朝9時過ぎに歩き始めたのだった。
メインビーチまではインフォメーションから3分とかからない。浜に出てみると右側がこんもりした緑で行き止まり、左側には長く続くビーチになっていて、なによりも朝9時を過ぎたばかりだというのに、何じゃこりゃー!という人の数。正月休みでもないし、イースターまではまだ日があるはずだし、一体何休み?とにかく朝っぱらから元気にビーチライフを楽しむ人々がたくさんいるのに、まず驚いたのだった。
海の色は残念ながらコーヒーというかコカコーラ色。すぐそばに川があり、今はまだ雨季ともいえる時期なのでこれは仕方ない。乾季だったら美しい海だったのかもしれない。
ということで海に入る気持ちはさっぱりとなくなり、国立公園にさっさと向かうことにした。
メインビーチからボードウォークなどをぶらぶらと歩くこと15分。国立公園の入り口に到着する。入場は無料のようだ。公園の管理事務所とインフォメーションを兼ねた建物の入り口には、「今日のコアラ目撃情報」という掲示板があって目撃した人がここに書き込むようになっている。さぁ、見られるかな?
事務所の中で公園内の散策マップをもらって、いざ出発。
私たちは公園内を時計回りに回って、途中から山の中をつっきって帰るという一番長いコースを歩いてみることにした。
メインビーチでは川の泥で茶色く濁った水も、遠ざかるほどにクリアーになって美しい色をとりもどしていた。
荒々しい岩床がむき出しになった所にエメラルドグリーンの海水がぶつかって白い波頭を立てている。ウネルように湾が曲線を描くのと相まって迫力のある風景を作り出していた。
ああ、これがオーストラリア。
カラッとして日差しが強くさしてくる中で、迫力のあるコーストラインぎりぎりまで緑が迫った風景。私の中で一つのオーストラリアのイメージが刻まれていくのを感じた。
そこからティートゥリーベイまでの道のりも非常に歩きやすい、車椅子も通れるような道で、バリアフリーに気を使っているオーストラリアの姿も見えてくる。
道の脇の木立に集まっている人がいるのでコアラがいるのかと思ったのだがいなかった。先ほどの掲示板で目撃情報があったのがこの辺りらしいのだが、どこかに散歩にでかけてしまったようだ。
ティートゥリーベイは道からはずれてビーチまでおりていける所。小さな湾になっていて少し波が穏やかだ。
ここではちびっ子サーファーが今日の波乗りを終えたのか引き上げていく。みんな小さいのにいっぱしの風格で朝の波の話でもしているのだろうか、大人びたしかめっつらをしていた。
ティートゥリーベイが終わるところがドルフィンポイントと呼ばれている展望ポイントなのだが、残念ながらドルフィンにも出会えなかった。しかし、ここから海の色は一段と青さを増し、うねりは激しさを増してくる。
足元からドーン、ドーンと低い音が聞こえてくるので見ると、大きな岩に波が当たって砕けている。いやー、ものすごい迫力だ。
日本人としては、こういう低い音でドーンドーンといわれると日本海をイメージするのだが、ここはエメラルドグリーンの海で暑い。耳から入るイメージが作り出す視覚イメージが実際に見えているイメージと違うというのが面白い感覚だった。
この湾を進んで振り返ると、浜辺に打ち寄せる波がヴェールのように海岸を縁取っている。こんなに細かく幾重にもヴェールが重なるというのも珍しいのではないだろうか。あまりに荒々しいのでサーファーさえもいない場所だ。
やがて道は地獄の門Hell's Gatesと命名された場所にたどり着く。
その名の示す場所は、海から急に立ち上がった岩壁がぱっくりと口を開けていて、岬の突端で外海にさらされている故に激しい海流がそこに流れ込んで岩壁にぶちあたり、白波の牙を剥き、ぐるぐると渦を作っているのだった。
写真が撮影したのは口を開けている2つの壁の1つ。幅5mに満たない岩の壁の上である。足元は上に尖った岩が生えているように地面から突き出した場所で、目の下には渦巻く海がある。いやー、かなり怖い場所だった。
覗きこんでいると、思わず吸い込まれそうな不気味な魅力のある場所で、まさに地獄の門にふさわしい。
この岬を越えると長いビーチ、アレクサンドリアベイAlexsandria Bayになる。こんなに長いストレッチを持ちながらも外海に面しているので非常に波が荒い。海に入ったら引きずりこまれそうなので、じっと見つめるだけで満足。
地図によればこの海岸線のどこかから山中に戻れるはず。ビーチ沿いをブラブラと歩いて行くと、中ほどは川が流れ込んで水が茶色くなっていて更にプランクトンの一種が繁殖する時期なのだろうか、白い泡がブクブクとたってとても入りたくない状況だったが、この辺りは川から流れ出す成分に蹉跌のような黒い粒子があり、それが地のベージュの砂に混じってとても美しい模様を作り出していた。
左側に入っていける場所がないか探しながら歩いていると、とうとうアレクサンドリアベイの3分の2ほどまで来てしまった。ずっと目の先は再び海水が美しくなって波も荒くない場所があり、数人が海水浴を楽しんでいるようだ。随分隠れ家的な場所まで人が来ているんだなぁと思っていたら、そちらの方向から子供1人を連れた親子3人が歩いてくる。
んでもって、よく見るとお父さんは全裸だった。
え?全裸・・・。
あー、見ちゃいけないと思いながらも「本当に何にも着ていない」ことを確かめたくなってチラチラと見てしまう。ほー、本当に全裸だ。
この親子とすれ違ってしばらく歩くと、左側の砂の上にビーチマットを敷いて腹ばいになって本を読んでいる男性がいる。しかし、お尻丸見え。つまり、この人も全裸。
もしかして・・・?
そうなのだ。この隠れ家的ビーチは何とヌーディストビーチなのだった。そう思ってビーチの先を見てみると、海の中に入っている人もみーんな素っ裸。ひょえーーーー。こんなに大勢の全裸隊を見るのは初めてなのでびっくりした。「あー、しかし気持ちは分かる。こんな大自然の大海原を前に素っ裸になったら気持ちいいよねぇ、きっと」と私が言うと、シビライズドされた夫は「ぜんっぜん、その気持ちはわかりません。」と答えた。
山中への入り口は残念ながらヌーディストビーチの手前にあったので、そこから右に折れて、再び丘を上がり今後は林の中を散策したのだった。
正直、山中の道は退屈で海沿いの方がうんと魅力的だった。でも、同じ道を戻るよりは早く帰れるという点ではいい。
もとのメインビーチまで戻ってきて散策は終了だ。この辺りには無料のシャワーがあったりするので、下に水着を着ていた私たちはシャワーを浴びてさっぱり。海には入らなかったが水着を着てきてよかった。
今度はメインビーチ沿いを歩いてみよう。砂の上にボードが敷いてあるので歩きやすい。
洒落たホテルやコンドミニアムの間に1ヶ所レストランやテイクアウトのサンドイッチを販売している小さなモールがあり、周辺の人々はみんなここでお昼ご飯を調達しているようだ。バゲットのサンドイッチが700円くらい、レストランだと一人予算1500円くらいしてまるで東京並にお高い。
すっかり値段チェックして私たちは持参のヘーゼルナッツペーストを塗った食パンを木陰で食べた。
このホテルとコンドミニアムの並ぶ裏手がヌーサヘッドのメインストリートになっている。
この通りの建物には派手な色は一切使われておらず、品の悪い看板も見当たらない。広々とした歩道には街路樹が涼しげな木陰を作り、ガラスがメインの洒落た建物やアースカラーの壁のショップが並んでいる様子は、まるでロサンゼルスのロデオドライブを歩いているような感覚になる。
所々にはオープンカフェになったイタリアンレストランにビールやワインを傾ける観光客も一つの風景を作り出し、なるほどヌーサが今熱いといわれる所以はこの辺りにあるんだろうなぁと思われた。
この通りには不動産屋さんも多く、ショーウィンドーに張り出された家屋の価格は1億円やら書いてある。もちろん家自体5LDKとかあって前庭もバックヤードも広くて車庫が3台分ありますなんて家なのだが、それにしても1億円ってのは、オーバープライスだろう。オーストラリアもアメリカのように不動産バブルになってるのかもしれない。これからヌーサに家を買おうってのは危ない。今ヌーサが熱いといわれているなら、今売り時だよね、きっと。
ヌーサはシティー派ビーチだ。ゴールドコーストよりももっと洗練されていて、新しい感覚の都会が演出されている。乾季に来て、美しい海の見える瀟洒なコンドミニアムに宿泊し、夜はドレスアップしてイタリアンレストランで生牡蠣と白ワインで乾杯というのが似合う場所だ。
まー、かつてはそういうのも好きだったんだけど、今はそうでもない。
今はもっと土着的というか食い気に走っているというか、素朴な漁村で海がきれいで、獲りたての魚を漁師さんが格安で炭火で焼いてくれるとかいうのに魅力を感じてしまうので、私たちにヌーサは似合わないなぁ。
宿に戻って日本人女性の旅行者に、コアラとドルフィンは見られなかったがヌーディストは見たというと、「私もそっちが見たかったー」とうらやましがられた。わ、私はコアラの方が見たかったけど。
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