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2008.01.27
ホィットサンデーWhitsundayへの1日ツアー
オーストラリア:アーリービーチ |
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アーリービーチに皆が滞在する理由は、ホィットサンデー諸島界隈を訪れるツアーに参加するために他ならない。アーリービーチ自体はメインストリートが200mくらいで終わってしまう小さな町だし、山を1つ越えて向こうにヨットハーバーがあるくらいで、浜辺のあるビーチというものがない。メインストリートの目の前には芝生と樹木があって目の前には美しい海水が満々としているのだが、護岸工事がなされていて石がゴツゴツと置いてあり、浜辺で寝そべって海水浴という場所にはなっていないのだ。
さて、ホィットサンデー諸島とは?
日本からのツアーだとハミルトン島へのツアーを目にするので、ここがが一番知名度が高いと思われるが、ハミルトン島、ホィットサンデイ島、フック島などの島々が集まった地域だ。バックパッカー的な動きとしては、アーリービーチからフェリー、ヨット、ボートなど様々な乗り物でこの界隈で遊ぶということになる。
いつもは安宿で自炊して我慢しているイギリス女子たちも、アメリカスカップで使われた豪華ヨットに乗ってホィットサンデーを2泊3日でクルーズするというのは後から吹聴することを考えるとコストパフォーマンスに見合うと判断するのか、多くの人がこれに参加している。そして、私はあの船に乗った、俺はこのヨットだったとか言って、まるでヨットを所有しているが如くの勢いでドミトリーで話しているのが、なかなか面白い。
一生に一度くらい豪華ヨットでクルージングもいいかもしれないが、でもねぇ、今の時期は雨季。天候が悪いかもしれないし、海も濁っているかもしれない。ヨットでの豪華クルージングは雨季の今でもなかなか高価なツアーだったので、なーんだか乗り気がしない。私たちはさっさと頭を切り替えて1日ツアーに目を向けた。
2泊3日ツアーなどだと周辺の島々を回って、島にある洞窟探検したり美しいビーチを見たり、シュノーケリングや海水浴を楽しんだり、アウターリーフと呼ばれる離れた場所にあるグレートバリアリーフにシュノーケリングに行くというアクティビティーが入っているが、1日ツアーだとアウターリーフにはいかずに、周辺の見所を回るということになる。
1日ツアーでもヨットを使うものと、スピードボートを使うものと、オーシャン・ラフティングといってラフティングで使っているようなゴムボートにエンジンの付いたものを使うツアー(oceanrafting.com)があった。ヨットは雰囲気は良いのだが遅い。ラフティングボートは波をパンパンと乗り越えるアドベンチャラスな要素があり、ゆっくりとクルーズを楽しむという風ではない。ということで、私たちはスピードボートでシュノーケリングして、ゆっくりとビーチを楽しむというツアーに参加することにしたのだった。
一人の参加費用はA$120(=US$105.26、2008年1月21日現在の換算レートUS$1=A$1.14を使用)。宿とボート乗り場までの送迎とボート代金、昼食、シュノーケリングギアが料金に含まれる。今までシュノーケリングしてきた場所の値段はエジプトのハルガダから紅海へのシュノーケリングが破格のUS$15というのがあるが、その他も大抵はUS$40〜50くらいなものだった。オーストラリアのツアーは高い。
さて、出発当日は朝9時30分に宿から徒歩5分くらいの場所でピックアップされることになっていた。やがてお迎えの車がやってきて、フェリー乗り場に移動。フェリー乗り場でボートに乗る前に、スティンガースーツを借りるかどうかを聞かれた。この時期は海にくらげが大量に発生しているので、全身を覆うスーツを着てくらげに刺されないようにするのだそうだ。これは別途レンタル料金が必要で、ええっとぉ、詳しい金額が記憶から抜けてしまって、確かA$5とかA$7とかそんな金額だったと思う。
くらげを侮ってはいけない。1年前に海洋動物などの生態に詳しく、娘と共にテレビに多く出演していた人気のオーストラリア人男性がスティンガーに刺されて亡くなるという事故があったという話を聞いたばかりだった。私たちも日本やその他の国のテレビ番組でこのお父さんの活躍は目にしていただけに、この訃報はかなりショックだったのだ。
ということで全員がスティンガースーツのレンタル料金を支払った所でヨットハーバーに係留してあるボートに向かうことになった。
天気はまずまずで、白いヨットが並ぶ中を進むのは、ヨットのオーナーにでもなった気分がして気持ちがいい。ああ、だから皆、豪華ヨットクルーズに行きたいのねぇと理解する。
スピードボートは本当にスピードを誇るだけあって、後ろに通常のエンジンが何と4つもついた代物だった。「アーリービーチの船の中で最速さ!」と酔っ払いのように赤く日焼けしてでっぷりとした船長は請合った。まぁ、そうだろう。
ボート内は4人掛け1列になっていて、船が走行を始めたら絶対に立ち上がらないことという注意を受けた。皆大人しく、ふんふんとうなずいて聞いている。
ところが、スピードボートが猛烈にエンジンを回転させて走り出し、いよいよホィットサンデー諸島の緑の山々が見える辺りにさしかかり、周囲の海の色が光の加減で得も言われぬコバルトブルーに光りだすと、スペイン人のグループは立ち上がる、ポーズを取る、写真を撮るってな具合に好き勝手にやり始め、船長にマイクで「危険ですので立ち上がらないように」と何度も注意される羽目に。
どうやらスペイン人、神妙な顔で忠告にうなずいていたが、ちーっともわかっちゃいなかったに違いない。確かに、船長と助手の英語はいわゆる世界標準の英語と比べると訛りが強くて非常に聞き取りにくかったが状況からわかるだろーが!
こうして走り出して1時間20分後、最初のシュノーケリングポイントに到着。
真っ白な砂の浜辺近くで、上から見る海の色はとても美しいのだが中まで透けて見えるという透明さがない。ここ最近、洪水が発生した影響で海の中が荒れているのだそうだ。
みんな借りたスティンガースーツを身に着ける。これは首から上と手首と足首から先以外をすっぽりと覆うスーツで日焼けも防げるのでなかなかいい。
海の中に入ってみると、予想通り透明度が低いし魚も少なかった。40分くらい辺りをうろうろとシュノーケリングしてみたのだが、岸の近くに行こうとも隣の船の近くに以降とも一向に状況が変わらないので諦めて船に上がってきてしまった。
「みんなー!シュノーケリングは楽しかったかーい?イェーイ!」と船長が言ってもシーンと沈黙が広がる。グレートバリアリーフの近くでシュノーケリングという事で、みんなパンフレットにあるような夢のような海中を期待してきていたことに間違いない。まぁ、雨季に来ている客を相手にするのは大変だけど慣れてもいるのだろう。船長はさして気にする風もなく、「じゃぁ、次はホワイトヘブンビーチに移動、そしてお昼ご飯だ!」と快調に船を飛ばした。
ホワイトヘブンビーチはホィットサンデー島にあり、真っ白な浜辺がシューッと続いて夢のような場所だ。シュノーケリングポイントからは15分ほどで到着。浜にあるテーブルにチーズやソーセージなどの前菜とサンドイッチが並べられて昼食となった。
私たちのツアーはシュノーケリングポイント1ヶ所とホワイトヘブンビーチだけを訪ねて、このビーチで長い時間を過ごすことが「売り」のツアーだった。
ところが、お昼ご飯をたっぷり召し上がって、様々なポーズで写真を撮りつくしたスペイン人の白いビキニのお嬢さんは、船長助手に「で?ホワイトヘブンビーチってのにはいつ行くの?」とのたまった。
助手が「ここがそのビーチなんだけど」と言うと、「はー?ここが?こんな所が?」と友人達と「嘘でしょ?」みたいに顔を見合わせて言った。先ほどのシュノーケリングについては彼女達と同意見だった私も、この対応には反対だ。この世界の中でもこれだけ美しいビーチっていうのはハイレベルだということを知るべきだ。「ヘブン」という名が付いているからって、一体どんな場所だと思っているのだろう。
更にスペイン人の男性が「で、この後はどこに行くの?」と聞くと助手は、この後は帰るだけだと答える。するとスペイン男性は「え?たった2ヵ所しか行かないの?」と明らかに不満足な表情になった。
これもあらかじめスケジュールで決められていることで、それ故に1日ツアーとしては割りに安い価格になっているってことを事前に知っておくべきだ。私はつくづく船長助手に同情した。
ホワイトヘブンビーチのずーーーっと先にはHill Inletという入り江があり、この入り江を上から見ると真っ白な砂浜とコバルトブルーの海が扇形に入り混じって大変美しいという場所があるのだが、私たちのツアーでは行かないし、おそらく丘に登ったくらいでは良く見えなくて、上空から見ると美しく見られると思うのでツアーに入っていなくとも気にならなかった。モーリシャスにもイル・オ・セルフという同じような場所があり、実際にその地に行ってみるとあまり美しく見えなくて、ポストカードやパンフレットは常に上空からの写真だったからだ。
ということで、午後3時20分までのたっぷり2時間をホワイトヘブンビーチで過ごした。
ここの砂は極々細かい粒子でできていて、歩くと片栗粉のようにキュッキュッという音がする。
浜辺近くの浅い所には人がいなくなると透明な魚がスーッと群れでやってくる。岸近くの水中に静かに座っていると、人がいなくなったと思って魚がスーッと横切ったりするのを眺めれらるのだ。
とにかく目の前の透明色から徐々にグラデーションでコバルトブルーになっていく水は何といっても魅力的だ。緩やかに波打つ水の中に座りこんでゆっくりと時間を過ごせるのは、バタバタと観光しまわるツアーよりも好みである。
今日の予定地がここで終了だと聞いたスペイン人達は、それではここでの滞在を思いっきり楽しもうと、仲間の1人の女性を砂に埋めて遊び始めた。この楽しみ方もスペイン人らしい。面白い人たちだ。
午後3時20分にビーチを離れた。ビーチにいた他の船はとっくに帰途に向かって浜を去っていた。
しかし、スピードのある我がボートはどんどんと他の船を追い越していく。何て頼もしい。この高速のボートの中では大きなマフィンも1人2個ずつ振舞われた。
こうして午後4時43分にヨットハーバーに到着。やめればいいのに船長は「またこのツアーに戻ってくるかい?」と皆に聞く。なんとなく終盤でホッとした空気が漂っていたのに、またもや硬直してしまった。船長としても皆から満足だったという声をどうしても聞きたかったのかもしれない。
ホィットサンデーはどうなんだろうか。
ホワイトヘブンビーチはとても良かったので、これに行くことが主目的のツアーだったと思えばいいが、そうすると料金が高すぎる。同じような料金をかけるならケアンズからバリアリーフへのシュノーケリングに出かけたほうが驚きが大きいだろう。ホィットサンデーというのは英国の王室もいらっしゃるような世界のVIPに愛される場所ということも聞いた。つまりねぇ。そういう場所っていうのは、必ずコストパフォーマンスが悪いことになっている。世界中から「あたしって、お金には糸目をつけないの性格なのよ」という人々と肩を並べて楽しもうという気はないので、残念ながら再訪するとは思えないというのが正直な感想。でも、もう一度言うとホワイトヘブンビーチは美しかったので1度は行ってみるといいと思う。
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