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2008.01.28
アーリービーチの町、集まっているイギリス人
オーストラリア:アーリービーチ |
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アーリービーチはビーチとなの付く町の名前のくせにビーチがない。
この事はアーリービーチに向かう直前に旅行者から聞いて愕然とした事実だった。私たちはそれ以前にアーリービーチ発の豪華ヨットクルージングが思いのほか高価だとしってアーリービーチでのホィットサンデーツアーは日帰りに切り替えた。そもそも2泊3日くらいでツアーに行ってもいいなぁと思っていたのでアーリービーチには割と長く滞在費を考えていたのだが、日帰りツアーにしてしまうと滞在が余る。じゃぁ、アーリービーチってんだからビーチでゆっくりしようと思っていたのだ。
それなのにビーチがないとは!
本当にビーチがないのか、ツアーを行った翌日アーリービーチの周辺を散策してみることにした。
観光客が多く集まるメインストリートには土産物屋、レストラン、そこそこのスーパー、宿、旅行代理店などが集まっていて、昼夜問わずにぎわっていた。
ここに集まる人々の感心はホィットサンデーに出かけることであり、ここはその出発点であり終着点。人々はここでやることはないわけだから、滞在している人は狭い町なのにウロウロと歩き回るしかない。これがにぎわいの要因である。
メインストリートの向こう側には緑地帯があり、緑地帯の向こうが海だ。
ちょっとした浜辺になっていて、ガイドブックによるとこれはビーチではないようだ。緑地帯には人がたくさんいるのに、ここには誰もいない。水は美しい色をしているのに人がいないということはくらげが発生しているからなのかもしれない。くらげのいない時期なら人がいるのだろうか。
メインストリートを東側に湾にそって進むとヨットハーバーがあり、ここから見る海の色がとても美しかった。
えー、はっきりいってメインストリートとその前に広がる海、メインストリートの裏側を走るもう一本の通りを眺めてしまったらアーリービーチはおしまいっていう所だ。
後はメインストリートを西に向かって歩いて山を一つ越えた所に、昨日のツアーの発着所でもあるヨットハーバーがあり、山の上からの眺めも大層美しい。
このヨットハーバーを右手に見ながら更に更に歩くとメインロードから50分くらい歩くことになるのだが、そこに大型スーパーマーケットがある。メインロード界隈からバスでA$2.5くらいだと思うが二人で往復すると約1000円もかかることになる。そんなに交通費をかけてたった数日間の食料をはるばる買いに行くのがお得とは思えなかったので、歩いていってみることにしたのだが、メインロードで道を聞いたガススタンドの兄さんは正気とは思えないという表情をしていた。確かに、照りつける太陽の下を50分も歩くのはかなり辛くて、帰りはバスを使ったのだった。なんてぇ暮らしにくい場所だ。
それでも、私たちの宿泊している宿にはツアーにでかけるでもなくアーリービーチに滞在している若者がいる。この人々の楽しみは何か?
それはずばり「ナイトライフ」である。
到着した日がオーストラリアンデーという祝日で、誰もが朝から、いやもしかすると昨晩から飲み続けているような風だった。
宿で指定された8人部屋のコテージは敷地内の一番奥にあったので、このオーストラリアンデーの日はどこかに行こうと他のコテージを通る度に、酔っ払いの若者が「ハッピー、オーストラリアンデー、ヒュー!」と声をかけてきて馬鹿笑いする。最初は対応していたが、いい加減疲れてきた。
この祝日はある意味特別だが、この日以降の彼らの生態は、午後から始まるといってもいい。宵っ張りなので起き出すのが昼過ぎ。ゆっくりとご飯を食べて午後4時くらいに確実に覚醒すると、シャワーに続いて最近のイギリス人の流行らしく脇の下などにシューシューと盛大にスプレーを振りかけている。3分の2は部屋の中に拡散するものだから、その時間帯に部屋にいると息が詰まりそうになるのだった。そして、早い人はハッピーアワー狙いで飲みにでかけるが、金のない人はアルコール類を買ってきてコテージの前で勝手にハッピーアワーを始める。そして、どこのバーなら無料の酒が飲めるかの情報交換をして、ようやく午後10時に出動し、帰ってくるのは午前2、3、4時になる。
私たちと全く生活時間帯が違うし、人種も違うので絶対に会話が成立しないと彼らは思い込んでいて、話しかけてきもしないしこちらも話しかけない。こうして、私たちは絶好の条件のなかで、パーティー野郎の生態を観察することができたのだった。
そしてツクヅク辟易して、最後に出した結論としてはアーリービーチには英国の下層階級の若者が集まっているのだろうということだった。今まで他の国で出会った英国人は私たちのイメージの範疇におさまる、ちょっと変わっているが魅力的な人が多かった。様々な国を旅して、地球上には英語以外の言語を話す人間もいることを知っている人だった。
しかし、この町に集まっている英国人ときたら今まで見たことがないような人種だった。働いて次の旅の予算を作ることができるし、英語圏だし、英国よりは物価が安いし、オーストラリアは英国の下層階級の人が集まりやすい場所に違いない。下層階級、下層階級と、じゃぁ一体お前は上流階級のつもりなのかとお叱りを受けそうな気もするが、いやそうではなく、例えばマイフェアレディーに下町の人が出てくるが、そういう人々を生で見ているという実感がヒシヒシと沸いてくるのだ。イギリスっていうのは本当に今でも階級社会なんだなぁと、別階級同士は絶対に交じり合わないんだろうなぁというのを実感として感じたというのが、アーリービーチでの貴重な経験だった。
これは私たちだけの意見というわけでもなく、同じ部屋にはもちろんドイツ人、スェーデン人なども入ってくる。彼女、あるいは彼らはヨーロピアンとして流暢な英語を操れるので一応挨拶は交わすのだが、途中からはビシッと態度を変えていた。ヨーロッパの階級の壁ってのは人種を超えて厚いに違いない。こういう実態を目にすることができる、アーリービーチは私たちにとっては「人間サファリ」と呼ぶにもふさわしい町だった。
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