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2005.02.20 初体験! ラテン系が集まるクラブ |
アメリカ合衆国:ロサンゼルス |
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滞在先のホテルの1Fは、高級そうなフレンチレストランである。通常は夜になると、大人の白人たちが集まって来て、くらーい空間で歓談、会食する姿が窓越しに見える。「隠れ家的レストラン」そんな言葉が似合うところらしい。
ところが、毎週金曜日の夜だけ、ラテン系の若者が集まると聞いた。というのも、金曜日の夜だけオープンのクラブが、このレストランの地下にあるというのだ。「というわけで、金曜日の夜は多少騒がしくなると思いますが、ご容赦ください」とチェックイン時にマネージャーから言われていた私たちは、そんなクラブに潜入してみたいと密かに思っていた。
金曜日になると、ホテル内の廊下の各所に張り紙がされて、「今夜も騒がしいとは思いますが・・・云々」と書かれてある。これは行かなくては。マネージャーに予約の有無やカバーチャージを尋ねると、ホテル宿泊者はカバーチャージ無料で入れるというではないか。それには多少、コツがあって、バーカウンターマネージャーのジムを探して、彼にこのホテルのレジデントであることを告げれば入れるというのだ。これは良いことを聞いた。
さて、夜も10時半を過ぎると、だんだん人が集まってきた。上の階から見てみると確かにラテン系の若者だが、スキンヘッドで体躯の良い男性ばかり、しかも寒いせいか黒革のジャケット姿が多い。「こ、こわー」と思った。しかも、ここのところの雨続きで気温が下がっているのに薄着だった私は、頭痛もおきてきた。「残念ながら、今回は断念しよう」ということで、金曜日はおとなしく就寝した。
翌日も翌々日も雨。いいかげんにしてくれ、という天気が続き、どこにもでかけられず、折角の金曜の夜も楽しめなかった私たちは、ちょっとフラストレーションを溜め気味に、明日の出発の予定などを確認していた。そんな日曜日の夕方、外の空気をすいにホテルを出ると、何となく人が集まっている。ラテン系だ。その中に、マネージャーから聞いた風貌の男性が一人みつかった。彼がジムに違いないとピンと来た私たちは、話しかけてみた。あったりー。ジムだった。彼によれば、今夜はレストランがクラブになるとのこと。「10時半頃に来てくれれば、入れてあげるよ、ドリンク付きでね」彼はそういって、ウィンクしてきた。おほほほほ、ここに来て逆転のチャンスだ。
いつも来ているTシャツとフリースとジーンズを、スーツケースの奥に眠っていた夜服に着替え、ヒールのサンダルも引っ張り出してきて、準備は万端。レストランに向かった。入口には仮設バーができあがっていて、先ほど知り合ったジムが迎えてくれた。「何でも好きなものを注文してくれ!今日は楽しい夜になるよぉ。君たちもウンと楽しんでいってくれよ」とめちゃくちゃ愛想がいい。ホテルの宿泊客からクレームが出たら、このクラブは存続できない。「俺の態度と1杯のフリードリンクで楽しんでもらえたら、お安いもんだ」ということだろうか。めいっぱいのサービスから、彼なりのビジネスに対する真面目な姿を垣間見た。
さて、ドリンクを手に、相変わらず薄暗い廊下を進むと、フレンチレストランの時においてある、キャンドルの乗ったテーブルや椅子は全て片付けられ、部屋の壁際にソファとテーブルがあるのみで、フロアー中央は大きなスペースになっている。日本でだって別にクラバーだったわけでもなく、音楽に明るいわけでもなく、ただ好奇心で来てしまった中年日本人カップルは、ソファに陣取って観察することにした。
程なく、隣に座ったラテン系カップルと写真を取り合ったりして、場の空気に馴染んできた。男性の名前はベン。金曜日のクラブでセキュリティーをやっているそうだ。「来週、金曜日に俺を訪ねてくれば、入れてあげるよ。金曜日の方がずっと楽しいよ」とベンは言った。そんな親切な言葉のお返しに「彼女、かわいいね」と耳元で言うと、しきりに照れていた。スキンヘッドでちょっと強面だけど、案外かわいいところがある。夫は、この写真を暗闇で確認して、「俺って何て顔がでかいんだ」としきりに言っていた。しょーがないじゃん、日本人なんだから。それにしても、ベン、顔ちっちゃい。
で、だんだんノッてきた私たちは、次なるターゲット、女子3人組にも声をかけた。とにかく周りが大音響なので、自分が日本人であること、旅行者であること、ここはよく来るのか?くらいが精一杯の会話だった。ま、記念撮影でもと言うと、「喜んで」と応じてくれた。ここら辺のノリの良さは気持がいい。あ、私も顔大きい。顔デカ夫婦だ。
日本でクラブなんて数えるほどしか行ったことがないが、その経験と比べて言うと、ここは何だかゆったりしているというか、地元っぽいクラブだった。私が経験したところは、おしゃれな人やクラブ慣れした人が、他の人を睥睨しながらしとやかに踊っている所とか、最先端の音楽がかかっていて、やや宗教じみた感じで無言で一方向を見て踊っていることろだった。ここは、仲の良い友達が集まって、体を動かしながらおしゃべりしてお酒を飲んで、何だか傍から見てもリラックスムード。つっぱった感じはない。スキンヘッドを恐れていた金曜日の夜が嘘のような、楽しい夜となった。
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