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2005.04.21 サンタ・マリアビーチ〜コルテスとは違うのよ。 |
メキシコ:カボ・サンルーカス |
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カボ・サンルーカスからサン・ホセ・デルカポに向かう国道1号線は、海岸沿いをずっと走り、通称The
Corridor(廊下)と言われている。この周辺には、ビーチや高級リゾートホテルやゴルフ場が点在していて、私たちのいるカボ・サンルーカスからは、バスで行けるということがわかった。どのビーチがいいのか、よくわからないので、ガイドブックにも掲載されていて、名前の感じが良い「サンタ・マリアビーチ」に行くことにした。
お昼ごはんを済ませてバス停に向かう。12時前のバスは地元の人と観光客でかなり混み合っていた。更に途中からギターを持ったおっさんが近くに座って、いきなり大きな声で歌い始める。う、上手いか?微妙なレベルの歌声で、隣の夫の話し声さえも聞こえない。参った。ひとしきり歌ったおっさんは、バスの客に帽子を差し出し、チップを求めたがあまり効果はなかったようだ。
あらかじめ、運転手に「サンタ・モニカビーチに行きたい」と告げてあり、自分たちでも地図を確認しながら乗っていたので、そろそろ降りるころだなぁというのはわかっていたが、運転手がバスを止めて「さぁ、ここがビーチですよ。降りなはれ」と言われたときは、一瞬降りるのをためらってしまう程、何もない砂漠の中だった。もう一人、アメリカ人らしい青年も、いぶかしげな顔をしながらも降りた。3人で「サンタ・モニカビーチ、だよね?」と顔を見合わせ、とにかく傍らに碧く見える海の方向へ降りていこう、ということになった。
青年だと思った彼は、19歳の時からUPSに勤務する34歳の男性だった。「UPSって、あの荷物を運ぶUPS?」「そうそう、だから仕事をしながら体を鍛えて、休みの日は国立公園にトレッキングに行ったり、こうして美しい海でシュノーケリングするのが趣味なんだ」「ふーん」なんて話しながら、とにかく1本道なので、どんどんと歩いていく。やがて、簡単な駐車場があって、その中を通り過ぎると浜辺が見えてきた。
サンタ・マリアビーチも、ラパスのビーチと同じく、両脇を岩山に抱かれた湾になっているところなのだが、全然趣が違う。バハ・カリフォルニアの半島とメキシコ本土の間に横たわるコルテス海に面するラパスの大人しいビーチは、限りなく遠浅で波などないに等しい。従って、海底もあまりえぐられることがない為、うすーい水色に見える。ところが、ここは思いっきり外海の太平洋に面しているので、まず浜辺全体がかなり傾斜している。海岸には、恐ろしい勢いで波が打ち寄せて、何もかも引きずり込むようにして引いていく、そして、その引いていく力と、新たに打ち寄せようとする力が拮抗して、浜辺には波で作ったデコレーションケーキの壁みたいなのができあがる。
こうして強い力でえぐられる為に、水深はすぐに深くなっているようで、水の色は手前からすぐに深い碧になっている。「きれい、でも恐ろしい」。別に海育ちでもない私たち2人は、いったいこの海でどうやって遊んだらいいのか、しばし呆然と見つめるだけだった。この先2週間の海は、全部こんな感じなんだろうなぁ。あぁ、ラパスの穏やかな海が恋しい。しかし、焼付くような日差しの中、パラソルもなく座っていたら、たまらなくなって海に入ってみた。
思ったとおり、足の付くのは手前から2mくらいで、その先はもう足がつかないようだ。足の付くぎりぎりのラインで躊躇していると、目の前を年配の夫婦がスイーと泳いでいく。「こっちの方が波がなくていいわよ、魚もちらほら見えるよ」と誘ってくれる。でもねぇ、どうしようかしら?と思っていたら、やられた。例のデコレーションがやってきて、私を巻き込んでもみくちゃにしながら浜に運んだ。足が立つぎりぎり、この位置が一番のデコレーションラインなのだ、ということを体で学んだ。
デコレーションとの対決にやられたので、心を癒すために今度は浜の右手の岩場に行ってみた。岩と岩の裂け目には、ムラサキウニが大量にいる。おいしいのか?試してみたかったが、ザブンザブンと波も打ちつけてくるので断念。
このあたりはシュノーケリングポイントでもあるらしく、ひっきりなしに観光客を乗せたボートがやってきて、シュノーケリングさせては帰っていく。私たちと同じカボ・サンルーカスを船で出発し、海沿いにここまで来て、シュノーケリング道具を貸してくれて、ランチ付きでUS$35とかUS$40というツアーらしい。先ほど会ったUPSのお兄ちゃんは、そのツアーに申し込んでいたのだけれど、寝坊してしまって仕方なくバスで来たのだそうだ。でも、バスならば往復N$20(US$1.81)で来られるのを知って、寝坊して良かったと言っていた。わいわいと楽しみたいのならツアーも良いが、のんびりと自分ペースで楽しむなら絶対バスをお勧めする。
さて、太平洋初回の今日は、この辺でお開きにしよう。国道1号線に戻ってバスを待つ。行きはバス停があるが、帰りはバス停なんてない。バスが止まれそうな道端に立って、バスがきたら両腕を上に上げて、「停まってぇー」と叫びながら、腕を左右に大きく振る、ただそれだけだ。気持の良いドライブロードなので、ビュンビュンと飛ばしている車の傍らで、神妙にバスを待ち、無事に街に戻ることができた。しかし、この荒くれの海とどう付き合うのか?楽しいのか?そんな不安が2人の胸をよぎった1日であった。
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