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2005.04.25 絶景のランズエンド界隈で、またもや波にのまれる |
メキシコ:カボ・サンルーカス |
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土産物屋のポストカードを見ていると、必ずあるのがこの地域の風景。切り立った岬が海に突き刺さるように立っているランズエンド、その手前のアーチ型の岩のエルアルコEl
Arco、エルアルコの裏側にあるビーチで、片方が太平洋、もう片方がコルテス海に面しているアモール・ビーチPlaya
Amor。行かなくっちゃ、ここには。そう思っていた。
街の各所にはインフォメーションブースがある。これは、いわゆる観光案内所ではなく、トラベルエージェンシーの派出所でツアーなどの申し込みを受け付けるのが目的だが、カボ・サンルーカスには正式な観光案内所がないために、このブースが各種の案内もしてくれる、という状況になっている。ブースに立ち寄って、ランズエンドへの行き方を聞くと、陸路では行けず水上タクシーで行くとのことだった。
ホテルに戻って水上タクシーのことを聞くと、ホテルでも手配してくれると言う。一人US$10で、マリーナから船を出し、見所をまわってからアモール・ビーチで降ろしてくれて、好きな時間に迎えに来てくれるという内容だった。ホテルで頼むよりも、街のブースで頼んだほうが、色々な人に知り合えるかもしれないという期待から、街のブースで同じ質問をすると、やはりUS$10で同じような内容である。そこで、早速、手配してもらうことにした。
マリーナには、それはもうたくさんの水上タクシーがいるので、ブースで予約したタクシーに必ず乗るように、とタクシー運転手の外見や名前を教わってマリーナに向かう。どうやら期待通りに、他の観光客と乗り合わせるようだ。同じ船に乗ると知った4人組のアメリカ人が、自己紹介してきて、矢継ぎ早に質問をしてきた。私たちも、負けじと質問を返したりして、お陰で数分の内に前から知り合いだったような気分がしてきた。英語が母国語だから、という理由だけでなく、面識のない人とスマートに知り合いになる方法について、アメリカ人は長けているなぁと感心した。
さて、このアメリカ人たちが予約した時間から30分遅れで船は出発した。グラスボトムボートと言われる船で、中央がガラス底になっていて下が見られるようになっている。全員で6名の乗客を乗せて、船は先に見えているランズエンドに向けて出発した。マリーナを後にして8分もすると、第一のポイント、あしかの見られる場所に来た。約束したように2〜3頭のあしかが顔を見せ、我々はその可愛い姿に大喜びした。更に船は進む。まだ湾の中だというのに割と大きな波が来て、船は波を乗り越え乗り越え、かなり揺れながら進んだ。
12分後には、足元のガラス底に魚たちの群れが見え初めてきた。そんなに透明度が高いわけではないが、黒っぽい魚や尾の黄色い魚など数種類の魚を見ることができた。
そして、船に乗って約20分後、マリーナのあるコルテス海と太平洋を隔てる岬、ランズエンドそしてその手前の岩のアーチのエルアルコにいよいよさしかかった。間近でみるエルアルコの異形に一同は感激し、口々にその驚きを言い合った。碧い海と青い空に挟まれて、荒々しい白茶けた剥き出しの岩がそそり立つランズエンド。1968年に封切られた「猿の惑星」のあの感動的なラストシーンがここで撮影されたという話を、事前にインターネットで見ていた私たちは、まさに地の果てにいるような不思議な感覚に興奮した。
ランズエンドを回って向こう側に行くと、アモール・ビーチの太平洋側の浜辺が見えた。海側から見ても、その波の荒々しさが見てとれた。どうやってあの荒々しいところに上陸するのか?と、心臓がバクバクし始めたが、船はそこでUターンし、元来た経路に戻っていく。どうやら、アモール・ビーチへはコルテス海側から上陸するらしい。だよね、あんな所、近づけやしない。アモール・ビーチへ戻る途中には、アシカが群生する大きな岩があり、ここも見所の一つだった。ひしめき合うようにアシカが岩の上で日光浴をしている。回りは荒波なので、安心できる場所なのだろうか?
このアシカの岩を過ぎてから、アモール・ビーチへの上陸となった。岩と岩に挟まれた狭い浜辺に、強い波が押し寄せる。その波にのってグーッ浜辺に近づいた瞬間に一人ずつ飛び降りる、という方法で上陸。転倒する人もいて、私たちもすぐにびしょ濡れになった。こんな時なぜか笑いたくなるというのは万国共通のようで、全員びしょ濡れでアハアハと笑いながら、ビーチに到着。
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思わず岩と同じ傾きになる。この写真から、ここがビーチであるなどとは想像しがたい、砂漠のような風景。 |
浜に下りると、左右に巨大な溶岩の塊のような岩がニョキニョキ立ち、白い砂浜がずっと緩やかに上がっている。向こう側の太平洋は上りきらないと見えないので、まるで砂漠に来たような錯覚に陥る。ガウディの建築物のような岩に興味を引かれて、対岸の太平洋にたどり着くまでに、かなり時間がかかた。やがて、荒々しい波頭が見えるとともに、腹の底に響くようなドドォーンという低い音が聞こえてくる。
見る者を圧倒する、太平洋の姿だった。千葉県の九十九里でもこんな荒い波ではない。左と右から波が押し寄せて、それが一つになって、ドーンと音をたてながら、こちらに向かってくる。キャー、ごめんなさい、自然には絶対に勝てません、と心から思ってしまえる物凄いパワーを感じる所だった。ここでの遊泳はもちろん禁止。上陸した浜の方に戻って、海と戯れることにした。
といっても、先日のサンタ・マリアビーチで波に飲まれた経験から、足の立つギリギリの高さは用心深く避けて、それよりも少し浅めの所に立って、波に巻かれてみる。周りの女性も、そんな感じで、恐る恐る同じような所に立って楽しんでいた。「今日は、大丈夫かもしれない」と思った瞬間だった。予想を超える波がやって来て、うわぁーっと、一瞬のうちにまたもや波に巻き込まれた。やられた。今回はキャップも流されてしまった。何てことだ。塩っぱい喉を感じながら、夫のもとに戻ろうとすると、キャップを拾ってくれた人が私に渡してくれた。やれやれ、助かりました。それにしても、まだどうやってこの海で遊んだらいいのかがつかめない。こんなに美しいところなのに、見ているだけなのか?
気がつくと一緒に来たアメリカ人の4人は、持参したシュノーケリング道具で、先の方まで泳いでいっている。そうそう、波の逆巻くところを過ぎれば、そんなに危なくないんだけど、どうしてもそこが超えられない私たちであった。まぁ、念のため言っておくが、私たちが特別にビビリだというわけではない。ここの波は本当に強烈で、中にはここまでカヤックでやってくるツワモノもいるが、多くの人は浜に寝そべって遠巻きでビールを飲んだりしてくつろいで過ごしている。本当なんだから。
というわけで、1時ごろに上陸して約2時間滞在し、3時のお迎えの船で戻ってきた。行きの出発が30分遅れたことに業を煮やしたアメリカ人の同乗客が「帰りも遅れて来たら、チップ払わないからね」と言ったのが効を奏し、3時きっかりに船はやってきた。相変わらず陽気な4人とは、メールアドレスを交換し、今後の再会誓ってわかれた。
このツアー、US$10にしてたっぷり楽しめて大満足だった。シュノーケリングのフィンとマウスピースがあったら、もっと楽しめたかも?って、波に飲まれておいて、何を言う。失礼しました。
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