夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2005.05.03 グアダラハラの明和電気に遭遇
メキシコ:グアダラハラ
 グアダラハラのホステル・セントロ・グアダラハラは夜のエンターテーメントに力を入れている。お知らせのホワイトボードには、「今晩のイベントは、○○でジャズセッションを見に行きます」とか書いてある。
 
 そんなホワイトボードは横目で見ていたが、今日はぐるぐる街を歩き回ってクタクタだった。夜8時半近くには、シャワーも浴びずに2人ともベッドにヒックリ返って、ウトウトしていた。

 すると、コンコンとドアをノックする音が聞こえ、開け放したドアからホステルのエンタテーメントスタッフが声をかけてきた。今夜はミニシアターバーで、面白い催しがあるから一緒に行かないかという誘いだった。その時の彼の説明では、サイレントムービーと音楽のミックスみたいなパフォーマンスが見られるとのことだった。

 何だかよくわからないが、面白そうなので行ってみることにした。エンタテーメントが得意な男性スタッフと、そのお友達という2人と、我々以外の宿泊客3人の計8人は、スタッフが用意してくれた2台の車に乗り込んだ。我々が乗った車は、スタッフのお友達2人の車。ハンドルを握るのは、メキシコ人の建築やっている若い男性で、スペイン語しか話せない。助手席のスキンヘッドのアメリカ人の男性が、通訳として会話を取り持ってくれた。5分ほど走って、車はとあるバーの前に停まった。ドイツ語で芸術家の家という意味のHaus Kunstというこのバーは、オーストリア人が経営していて、毎日、何かしらパフォーマンスが催されているそうだ。9時前の店内は、既にかなり込んでいて8人が座れる席はなく、私たちは好き好きに店内にばらけて、立ち見することにした。

 メインのパフォーマンスは9時半から始まるということだが、それまでギター奏者の伴奏で、女性がボサノバを歌ってくれた。店内は、中庭に布の屋根をかけたバーの部分と、その横にタイポグラフィーなどのアートを展示してある明るい部屋の部分があり、薄暗いバーでは、たばこをくゆらしながら、熱心に会話するアーティストっぽい若いグループなどもいて、ヨーロッパの退廃的なバーにいるような気分だった。
 
 9時半からパフォーマンスが始まるという事実は、クタクタの私たちには衝撃だったが、もうこうなったら今夜はとことん見ていこうと腹をくくった。やが時間になると、バーの席で熱く語っていたグループから数人が立ち上がり準備を始めた。やはり少し変わった恰好だと思っていたのはパフォーマーだったのだ。スタッフの説明通り、サックス、ドラム、トランペット、アコーディオンが奏でる音楽に合わせて、一人が素描の紙芝居の紙を繰るというパフォーマンスが始まった。

 物語というよりは、抽象的な情景描写で、主人公らしき人物が雨の中を歩いていくと、見知らぬ人が電車に揺られていたり、バーで酒を飲んでいたりという場面が出てきた。人々の日常生活をのぞきこんでいるような、みんな抑圧やストレスの中で、粛々と生きているんだみたいなメッセージが感じられた。面白いのか?面白くないのか?狭間にいる気分で見ていた。10時15分。紙芝居に「インターミッション」という文字が表示され、一旦、店内に明かりが灯された。ええええ?ってことは、後半があるってことだ。正直、帰って寝たいという気持が強かったが、私の気持とは異なり、店内の客たちは、ブラボーなんて叫んじゃって、今見たパフォーマンスをやや興奮気味に語り、後半を期待する空気が漂っていた。何ていうんですか、この周りと相容れない気分。自分だけがここの文化を理解できない宇宙人のような気持だった。面白いかぁ?唯一、共に理解できないでいる夫と、もう少し様子をみようということになった。

 で、後半。紙芝居の中の主人公は、今度は鉄道に乗って旅を始める。工場で働く人の苛立ちのような場面が力強く表現され、鉄道はついには海の中に入っていく。音楽隊は水中眼鏡をつけ、水中にいるようなパフォーマンスで演奏を続けていく。音楽隊の中には効果音係が一人いて、自転車の空気入れで、汽車のあえぐような蒸気の音を表現している。

 紙芝居場面の展開と音楽の展開とパフォーマンスが一体化してきて、気が付いたら、いつの間にかパフォーマンスを見入っている自分に気が付いた。これ、明和電気だ。明和電気からテクノロジーをマイナスして、もっと人間がパフォーマンスしているという感じ。音楽隊と紙芝居係はついには、席を立って、演奏を続けながら店内をグルグルと周り始めた。そしてフィナーレ。一人一人の紹介があって、パフォーマンスは終了。時刻は11時を回っていた。宿のスタッフとその友達は、これからまた盛り上がるのか、もう宿には戻らないという。「グアダラハラはとっても安全な街。宿はここから20分くらい歩いたことろにあるから、大丈夫だよ」と言われた。何ぃ?連れてきておいて、帰りは歩いて帰れっていうの?ビックリしすぎて、何だかおかしくなってきた。あり得ない、日本だったら絶対にあり得ない展開だと、口に出して言ってみたが、事態は変わらない。一緒に来た、イギリス人の女の子2人とアメリカ人の女の子1人は、地元の若者たちと盛り上がっていて、もっと遊んでいくらしい。私たちは、もうエネルギー切れ。さっさと歩いて帰ることにした。

 グアダラハラの夜のメインストリートは本当に安全だった。浮浪者も一人だけしか見なかったし、街灯が煌々と照らされる道路は、まだまだ車も走っている。タクシーも昼間のごとく「乗っていかない?」と擦り寄ってくる。パフォーマンス、意外に面白かったねぇなんて言いながら、20分ほどで宿に到着。シャワーを浴びてベッドに倒れこんだら、すぐに意識不明になった。
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