夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2005.05.06 アートと民芸品の街、トラケパケ・トナラ
メキシコ:グアダラハラ
 グアダラハラに到着して5日目にして、やっと第一発目の観光。まずは、グアダラハラの南東に位置する街、トラケパケに行こうということになった。

 ガイドブックによるとTURというエアコン付きのバスと、エアコンなしのバスの2種類で行けるらしい。宿のフロントにバス停を聞いて行ってみた。2つの教会が道を挟んで並ぶ界隈は、多くのバスの発着所になっていて、いったいどこの角から出ているバスにのるのか、迷った。TURは目の前を通り過ぎるのだが、手を上げても停まってくれない。どうやら違うバス停らしい。何台かTURを観察して、ようやくバス停をつきとめて乗ることができた。確かにエアコン付きなのだが、温度設定が高い。窓を開けた方が、涼しいんじゃないかなぁというバスだった。運賃はN$6(約60円)なので、文句も言えませんが。

 あらかじめ運転手さんに「トラケパケに行きたい」と告げて、運転手さんの見える範囲に席を確保するのが、最近のお決まりとなってきた。乗車して20 分もしないうちに、運転手さんに「ここだよ」と言って降ろされた所は、工事中のところもあり、あまり観光地とも思えない普通の道だった。

 しかし、言われた通りに入ると、両脇に店が立ち並び、通りの角には「カテドラルはあちら」などと観光標識が立っている。ここがどうやらトラケパケらしい。10時半ごろの街は、まだ目が覚めきっていないようで、開いていない店もあるが、時代を感じる石造りの建物の前に、鋳造の人形などが立っていて、なるほど雑貨の街という雰囲気を漂わせていた。そうした店では、鋳造の家具やシャンデリアを置いていたり、また別の店では変わったろうそくを扱っていることろもある。

 そんな中で、ひと際目立つ建物があった。壁の色も去ることながら、入口の石段を2、3段上がったところに置いてあるオブジェが、奇妙なのだ。「ちょっと、ちょっと」と夫に呼ばれて、私も見に行った。うわっ、何じゃこりゃ。巻貝の中から「いらっしゃーい」という感じで、顔色の悪そーなスキンヘッドの人がニュッと出てきている。その後ろには、何かベロベロっとしたものが浮遊している。

 あまりに気になったので、中に入ってみることにした。中には、これを上回るびっくりオブジェがたくさん飾ってあった。実は、ここはセルヒオ・ブスタメンテ氏という芸術家のギャラリーだったのだ。上の写真と同じように、ビビッドな色使いで、一抱えもありそうな石のような球形の物に、妙にリアルな人間の顔がついているオブジェ、玉の上に片手だけでバランスを取って逆立ちしている、ちょっと情けない表情のピエロなど、「いやぁー、気持悪いぃぃぃ」と衝撃を受ける。もっと奥に入ると、重そうな鋳造でできたオブジェ。こちらは濃い茶色一色なのだが、先ほど見た配色の衝撃に勝るとも劣らないインパクト。人間とも思えない創造物が、顔の表情だけ人間のように何かを叫んでいるものなどは、重い鋳造で作られているせいか、その表情が物凄い迫力でこちらに迫ってくるのだ。面白い、非常に面白い。部屋に置いて飾りたいとは思わないのだが、忘れがたくて、もっと見てみたいと思った。

 奥の方は、ブスタメンテ氏による作品で作られたモデルルームのようで、リビング、ベッドルーム、中庭など、ブスタメンテ氏色一色。トイレなどは、こちらが薄暗くて、ガラス張りの向こうに、まっ水色の壁の部屋があり、ショッキングピンクの木のつるが下がっている。潜水艦から光の落ちる海を見ているようなイメージなのだが、色使いが激しい。しかも手間に、しかめっつらの太陽があって、こちらを見ている。そんなもん、トイレに置かれたら、出るものも引っ込むっちゅう感じだった。

 芸術って何でしょうねぇ。という話なんですが、岡本太郎氏的に「芸術は爆発だ!」ということなら、ブスタメンテ氏の作品は、私にとってまさに芸術。人の心に忘れがたい衝撃を与える作品。ギャラリーを出て、街を歩いていても、しばらくは頭の中がブスタメンテ氏の作品でいっぱいだった。

 さて、そんなホットなギャラリーを出て、メインストリートを中心部に向かうと、今度は右手に陶器の博物館があった。中庭を囲むように、回廊式の古めかしい建物がある。入場無料ということで入ってみると、12世紀に作られた個人用のバスタブやら、壷、花瓶、皿など、時代物から現代の作家によるものまで、回廊沿いの部屋に色々と並んでいる。そのうちに図柄のついたものや、オブジェがでてきた。

あー、また思い出しちゃった。セルヒオ・ブスタメンテ氏。彼だけがメキシコで突出した作品を作っているというわけではなくて、メキシコの中に、こうしたドッキリオブジェや人間チックな顔の動物を造る土壌があるんだなぁ、だから彼のような芸術家が出てきたんだなぁと、納得してしまった。何で、こんなおっさんみたいな顔の猫を作るんだろう。特に猫において、擬人化した顔の表情で描かれている物が多いように思った。街でこの顔が歩いていても、何の違和感も感じないだろう。

 更に通りには、装飾品の店が並んでいた。ホテルに飾ってある照明や各部屋の入り口脇の壁にかかっているタイルの装飾品は、みんなこの辺りで調達したものなんだろう、見覚えのあるものがいくつもあった。


 さて、そろそろお腹もすいてきたなぁと思ったら、市場がみつかった。地下に入ると小さな食堂が並んでいる。人々が食べているものをのぞきこんで回ると、ポソレPozoleを食べている人がいておいしそうだったので、同じものを注文した。お母さんとお父さんと娘さんがやっているカウンターだけのお店なのだが、私たちが座ったらほぼ満席状態。ちょっと横のお店にお邪魔する恰好になった。

 と、隣に座っていたおばちゃんが、つんつんと私の腕をつつき「もう、私は行くから、ね、ここに座んなよ」と言っているらしい。お店のお母さんは、常連らしいこの客に「あら、すみませんねぇ」といい、常連のおばちゃんも「いいのよぉ」という仕草をしながらも、私の袖を引っ張って「ほらほら、こっちに移動して」と言ってくる。何だか、皆親切だし、下町の心意気みたいな世界で、スープもおいしいし、嬉しくなってきた。

 トラケパケの街は、この市場の先にあるレストラン街が観光のメインだと思ってきた。レストランが円状に並び、囲まれた空間の真ん中にあるステージで、民族舞踊やマリアッチが見られるという前情報だったからだ。しかし、レストランにほとんど客はおらず、聞いてみると、金・土・日の午後3時から1時間だけ行われるということだった。今は、金曜日の12時過ぎ。あと3時間かぁ。それならと、本当は別の日に行こうと思っていた、この先にあるトナラという小さな街に行って来てしまおうと、予定を変更した。

 トラケパケだよ、と言われてバスを降りたところで、次々と来るバスの運転手に「トナラに行くか?」と聞き続けていたら、いい加減、まわりにいる人が「あのバスなら行くよ」と教えてくれた。まぁ、正確には「ワタシハ、トナラニ、イキタイデス」とスペイン語で連呼していたので、可哀相になったのかもしれない。あはは。

 バスは、TURではない。地元の人満載の中、口髭を蓄えた男性と色黒の女性の東洋人カップルは目立っていたらしい。皆、興味津々で見ているのに、こちらが振り向くとサッと視線をそらす。グアダラハラから少し離れただけなのに、田舎になってきたなぁという感じがした。

 トナラは、トラケパケと比べると、アーティスティックな商品というよりは、もっと身近な生活用品を扱っている店が多くなった。店の構えも、年代物のコロニアル調で格式ばった建物から、もっと気楽でオープンな建物に変わっている。日本でいったら、益子とか有田みたいな所だろう。安くて良質な焼き物装飾品を求めて、メキシコ人がたくさん来ている。もはや英語は全く通じない。ここでは、街をそぞろ歩いて、一軒のレストランでスープを食べて帰ることにした。


 時刻は午後2時半。TURに乗ってトラケパケに戻れば、丁度マリアッチの時間だ。レストランの人にバス乗り場を教わって、TURに乗ることができた。例によって運転手さんに「トラケパケに行きたい」と告げると、「はいはい」と答えてくれた。しかし、席は近くになかったので奥に座った。

 トラケパケからトナラへ向かったバスはTURではなかったので、どうやら違う路線を走っているようだった。バスターミナルなどにも寄って、確実にトラケパケに近づいていることはわかったが、あっと気がついたら、トラケパケを過ぎてしまっていた。道路の表示はすでに「グアダラハラ セントラル」に変わってしまっている。あーあ、やってしまった。

 今まで、運よく親切な運転手ばかりに会っていたので、つい油断してしまった。こうなったら、もう帰ろうということで、グアダラハラの中心部でバスを降りて、リベルタ市場に行くことにした。運転手は、私たちが本当はトラケパケで降りたかったことなど、全く覚えていないどころか、「リベルタ市場に近いバス停は?」という質問に対しても、「ここはグアダラハラのセントラルだから、ここで降りればいいんだ」というだけで、機械と話をしているようだった。すぐに降ろしてもらって、この日のイベントは終わった。

 トラケパケには、マリアッチを聞きに行かなくては。ブスタメンテ氏のギャラリーという大きな収穫はあったものの、やはり目的を達成していないのは残念だ。ということで、再びトラケパケには行くことにした。
 
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