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2005.05.08 vol.1 ヒストリック・エリアを独自に散策 |
メキシコ:グアダラハラ |
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グアダラハラ市内の観光名所は、西側のヒストリック・エリアと呼ばれる地域に集まっている。有名所は徒歩で歩いて回れるなので、今日はこの辺りを散策することにした。なぜならば、今日は日曜日。オスピシオ・カバーニャの入場料と博物館の入場料が無料になるのだ。
まず、ユネスコの世界遺産に認定された、オスピシオ・カバーニャスから行くことにした。宿からは歩いても行けるが、まだ乗ったことのない地下鉄で行ってみる。
1駅だけだが、全線共通料金で、一人N$4(約40円)。改札前にある自動販売機に小銭を入れると、改札用のコインが出てくる。N$5入れるとコイン1枚とお釣り、N$10入れるとコイン2枚とお釣り、というように購入できるだけコインが出てくる。枚数をいちいち入力しないので、慣れれば便利かもしれないが、1枚だけ欲しい時にN$10しかないと、ちょっと困るシステムである。
コインの買い方から、改札の入り方まで、巷のカップルやらお母さんやらが丁寧に教えてくれる。行きたい方向が反対方向だったので、コインだけ買って、改札を入らずに反対側に行こうとしたら、コインの買い方を教えてくれたカップルが、改札の中から、こちらを心配そうに見守っているのに気づいた。で、まず、その人たちに、私たちが逆方向の路線に乗ろうとしているので、この改札を入らずに反対側の路線に行こうとしているのだ、と説明するのが、コインを買うよりも大変だった。
さて、1駅乗って降りると、そこはリベルタ市場。午後2時ちょい過ぎの2階食堂は、とても混んでいた。今まで、夕方の5時頃と午前11時頃に来た事はあったが、常に閑散としていて、椅子を上げている食堂も多かったので、いったいいつ食事をしているのだろうか、と疑問に思っていたのだ。グアダラハラの人は、どうやら午後2時頃に昼食を摂るようだ。
さて、リベルタ市場の中を突っ切って外に出ると、左手に、目的のオスピシオ・カバーニャスが見えてくる。デコレーションケーキみたいにシンメトリックな建物の中央から中に入ると、中央の塔の部分をドームとして、左右の広間まで全体が、グアダラハラ出身の画家、オロスコによる天井壁画になっている。タイトルは「スペインのメキシコ侵略」と総称されることからわかるように、かなりおどろおどろしい、様々な場面が、オロスコ特有の、くすんだ色使いと、荒々しい筆使いで、広い天井いっぱい描かれている。
メキシコ人だったら、なおさらのこと、この歴史的な絵画については、小さな頃から見聞きしていて、実物を見た感動は大きいのだろう。あるグループにいた年配の女性などは、ドームの真下に寝転んで、ドームの写真を撮っていた。
この広間を過ぎると、左上の写真にあるような広大な中庭に出る。回廊式に部屋があるのだが、そこは展示部分ではないらしくどこも閉まっていた。オスピシオ・カバーニャスの見所は、この広間と建物そのものなのだ。毎週水曜日に、舞踏などの催しが開かれるとガイドブックに掲載されていたので、係員に聞いて確かめたところ、今は改装中で中止になっているとのこと。あと2ヶ月したら、再開しますって、7月になっちゃうじゃない。残念だなぁと思いながら、建物を後にした。
建物の前には、何気なく彫刻がおいてある。先日、トラケパケでメキシコ土着の絵画や彫刻に触れて来た私たちは、ここでも奇妙な物に遭遇した。椅子の足が、両手両足になっていて背もたれの両側に大きな耳がついたものや、寛いで座っているかのような人の上に座る椅子である。世界遺産指定の建物と現代風のアートの取り合わせは、素材の材質や色のせいか、全く違和感なく共存しているのが面白い。
さて、オスピシオ・カバーニャを背にして西方向にあるいていくと、人々が憩うタパティア広場に到着。噴水の周りには、ポラロイドカメラを持った人が待ち構えていて、記念写真はいかがですかと、売り込んでくる。そんなに記念になる場所ならば、と自分たちのカメラで記念撮影しておいた。ここから、更に西にあるソカロと呼ばれえる広場に向かっては、車の通らない繁華街が続いている。強い日差しをさけて、店の軒先の影を踏みながら、アイスクリームやジュースを片手に、皆のんびりと散策している。ソカロというのは、教会とセットで町の中心辺りに存在するようだ。ラパスの町でも、ソカロと教会はセットになっていて、涼しい木陰は常連の老人でいつも一杯だった。
グアダラハラのソカロは、ラパスとは違って広い。東西南北に、有名な建物を控えて、さすがメキシコ第二の都市、という趣である。まず、ソカロ東側にあるデゴジャード劇場前で記念撮影。夫の口ひげも大分伸びてきて、立派なメキシコ的風貌となってきた。デゴジャード劇場では、クラシックコンサートが終わったばかりらしく、フォーマルな服装の人たちが出てきていた。毎週日曜日の夜にメキシコ伝統舞踏の定期演奏会が開かれるとガイドブックに書いてあったので、チケットブースで聞くと、「大変残念ながら・・・」と本当に残念そうな表情で、定期公演はなくなったと言われた。日本でもそうだが、伝統舞踏などはなかなか一般人の興味を引きにくい。おそらく観客があまり集まらなくなってしまったのか、観光ハイシーズンの7月8月にならないと行わないのか、事情はわからないが、オスピシオ・カバーニャスに続いて、残念な結果となった。
次に、ソカロの北側にあるグアダラハラ地方博物館に向かった。入口の左側では、手荷物チェックがあり、飲み物を預けるように言われた。その先には、空港の金属探知機のようなくぐる門があって、どんな凄いものが置いてあるのだろう、いったい何をそんなに警戒しているのだろう、と興味が沸いてきたら、係員いわく"Today
is free. But it is closed"「今日は入場料無料ですが、博物館は閉まっています」と言う。理由を聞くと"I
don't know very well, but it is smelling..."「詳しくはわからないのですが、臭うのです、臭いので・・・」と答えた。中々興味深い理由だったが、彼はそれ以上知らないらしいので、突っ込むのはあきらめて、中に入った。相変わらず、回廊式の部屋が回りにある中庭である。しかし、彼のいうように建物への入口は閉まっていた。引き続き、ここもちょっと残念な結果となった。3負けである。
さて、ソカロの西側はカテドラル。中に入ると、高い天井でとっても涼しい。椅子に座って天井を見上げ、周りの彫刻などを眺めているうちに、2人ともあまりの安らかな雰囲気に20分ほど頭をたれてしまった。
さて、気分爽快、ソカロの南側に行く。ここはハリスコ州庁舎。入口には、拳銃を構えた警官が3人も立っていて、ものものしい警備ぶりに見えるが、中に入りたいというと何事もなく中に入れてくれた。
東京都庁の見所は展望台と安くておいしい職員食堂らしいが、ここの見所はオロスコの絵画だ。どこにあるんだろうなぁと、キョロキョロしながら歩いていると、部屋が続く回廊の途中に、2階に向かう階段があった。近づくにつれて、踊り場の壁面に何か絵画らしきものが見えてきた。ああ、これかもしれないと、階段を少し上っていく。と、出たーーー。と腰を抜かしそうになる迫力で、絵画の全貌が明らかになる。この絵は、奴隷解放に立ち上がったイダルゴ僧侶をテーマに描いた絵画だが、イダルゴ僧侶をはじめ民衆のメラメラする怒りが、赤い色彩で強く描かれている。2階まで上ってみると、メラメラ加減を強調するために、赤いライトで照らしている。メラメラ効果は抜群だ。
人物の大きさと比べると、その迫力を理解してもらえるだろうか。ここに至って、グアダラハラの観光はクライマックスに達したと思った。ここまで3負けしてきたが、一気に取り返した気分になった。
午後2時から始めた市内独自ツアーは、午後5時頃の市庁舎で終了。ユネスコ世界遺産の建物やら、オロスコの迫力の絵画やら、なかなか見ごたえのある街だった。しかし、お楽しみはこれからだったのだ。デゴジャード劇場の裏手に設置された会場で、毎週末の夕方に行われるという催し物が、午後5時半から始まる。何の催しかは相変わらず把握していなかったが、とにかく野外に用意されたパイプ椅子に座って待つことにした。
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