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2005.06.07 vol.1 建築家ルイス・バラガン自邸訪問 |
メキシコ:メキシコ・シティ |
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ルイス・バラガンはメキシコにおけるモダニズムを代表する建築家である。その自邸と、その隣の家の庭と、彼が設計した住宅の3つを見学した。以前テレビで放映していたのを見たことがあるので、実際に見てどんな感じか興味があった。遺跡や植民地時代のヨーロッパ的な建物ばかり見ていたので、予想以上に面白かった。
まず、何といってもその色使いが大胆かつ奇抜であり、モダニズムの雰囲気を出している。建物の一部の壁に色を付けるのは、コルビュジェもやっていたが、ルイス・バラガンの色使いは、藤色或いはピンクと日干し煉瓦のオレンジ色と黄色である。藤色はこちらの木(名前は忘れた)の花びらの色からとってきているそうである。オレンジ色は日干し煉瓦の色で、黄色は別の花の色なのか、空のブルーに対する補色なのかは分からないが、3色を使って、おおかたの作品に配色している。従ってこの3色をバラガンカラーといってもいいのではないだろうか。写真上はピンクっぽい藤色と日干し煉瓦のオレンジ色が屋上の壁の内側に塗られているところである。写真下は待合室で黄色の壁が光の反射で写り込んでいる所である。実はバラガン邸の写真撮影はこの場所だけOKで建物内部は撮影禁止となっている。色合いはこの写真で十分伝わると思うが、ここしかお見せできないのが残念である。その他の箇所は別途撮影費用を払ってある雑誌を参考にしていただきたい。
建物内部の様子は、モダニズムといっても柱ー梁構造の開放感はなく、壁構造的な作りで内部にいても圧迫感を感じた。リビングなどは天井が高いにもかかわらず外に抜けるような窓があまりなく、薄暗いのがこの当時のモダニズム建築なのかもしれないが、我々世代にはチト重い感じがした。自分だったらこうはしないと建築家気取りで案内係りの青年に言ってみるのも面白かった。
また、バラガンの寝室は床から天井までガラスだったが、途中改修して腰壁をつけたところを解説してくれたが、この立ち上がり壁を腰壁というのを知らなかったらしく、手に書いてその場で覚えようとしているのには感心した。というのは彼には日本人の彼女がいて、日本語をチョットずつ使っては我々のような日本人観光客を感心させていたのだが、建築用語にも反応してくるとは、なかなかアカデミックなハシッコサである。
バラガン邸の後は隣の家の庭も見学させてもらい、その次にヒラルディー邸に向かった。ここも案内係の人と訪問することになっている。この家は現在人が住んでいるので1階部分だけ見せてもらえることになっている。上記の3件で200ペソであった。
写真はヒラルディ邸のファサードである。ここにもピンクが大胆に使われている。このヒラルディ邸の1階には屋内プールがあるが、その周辺3方がコバルトブルーの壁で取り囲まれ、プールの中に壁式の真っ赤な柱が立っているという、変わった室内プールである。午後には壁上部にとられた明り取りから一筋の直射日光が差し込み、水面に反射してなんとも言えない雰囲気を醸し出すらしい。我々は午前中だったので、一筋の光は見れなかったが、なんとも言えず少し気持ち悪い感じがした。というのも、プール自体が3方壁に取り囲まれており、閉塞感を出しているので、プールというよりは、地下の貯水槽にでも入っていくかのような感じがしたからである。
変わっているなーとしかいいようがなく、この何とも言えない気持ちを催させるところは評価できるが、快適さはないと思われる。これがいわゆるゲージツなのかもしれない。アー気持ち悪ル。
ということで3つ見て回ったが、その強烈さ故に、メキシコのモダニズム建築を堪能した、あるいは食傷気味になった、といった感じでバラガン作品を後にした。バラガンさんご苦労サンでした。それにしても、君、作品が重いよ。
以上。
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