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2005.06.07 vol.2 レストランで伝統舞踏ショーを堪能 |
メキシコ:メキシコ・シティ |
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我々はショーが好きである。黙って座っているだけで、目の前で様々な伝統舞踊や華やかなステージを繰り広げてくれるショーは、どの国にいってもできるだけ見たいと常々狙っている。
ここメキシコ・シティではこうした我々の目的にかなったショーを見せてくれる場所が2つ見つかった。食事をしながら伝統舞踊を見せてくれるレストラン「フォコラレ(Focolare)」と、外観も立派なベジャス・アルテス劇場での伝統舞踊定期公演だ。さぁ、どちらに行くか?
ベジャス・アルテス劇場は地下鉄イダルゴ駅のすぐそばにあるので、宿からは徒歩10分ほどである。毎週水曜日の夜8時30分からと日曜日の朝9時半と夜8時半の公演があり、約2時間のステージで一人N$250(約2500円)である。一方のレストラン「フォコラレ」は、バスで15分ほど離れたソナ・ロッサという繁華街にあり、毎晩ステージがあり、カバーチャージが平日N$70(約700円)で、土日がN$90(約900円)プラス飲食した分の料金である。お酒を飲んでショーを見ても、尚、レストランの方がお得!と、フォコラレに軍配を上げた。
夕食を6時ごろ自炊で済ませて、ソナ・ロッサに7時過ぎに到着。ちょっと気になっていた和食レストラン「東京」まで行って、値段の確認とショーケースの天ぷらなどを見学して、よく意味がわからないが記念写真を撮ってから、お目当てのレストランに向かった。フォコラレは、赤みがかったオレンジの外観の建物でわかりやすい。メニューを見ていると、店の店員が来て「どうぞ、どうぞ」と中へ誘おう。ショーだけが見たいので、カバーチャージと飲み物1杯くらい頼めばいいのかと確認すると、2人で最低おつまみ1品くらいは注文してほしいと言われた。食事主体のレストランなので、それもそうだと納得した。ショーの内容は、平日はマリアッチをのぞく、メキシコ各地の伝統舞踊ショーだということで、様々な民族衣装の舞台写真が並んでいた。期待が高まる。ショーが8時45分からなので、8時半に席の予約だけいれて、ソナ・ロッサをブラブラすることにした。
ソナ・ロッサは繁華街だと聞いてきた。他では見られないような高級紳士靴の店や、日本にも入ってきているスペインの世界展開のアパレルメーカー、ZARAなどしゃれたブティックがある。しかし、日本の銀座5番街でしたっけ?ブランド店の並ぶ通りやミラノのモンテナポレオーネ通りのような、ビシーっとしたお洒落通りではなく、ファーストフード店も多い、どちらかというと、新宿東口をもっと地方っぽくしたような感じのところである。それでも、この地域の北側には、アメリカや日本の大使館があり、高級ホテルもあるので、和食や韓国料理屋などが並び、インターナショナルな雰囲気もある。仕事帰りのサラリーマン風の人や、これからクラブで踊りまくるぞーという雰囲気のキメキメの若い女性などもいて面白い。そうこうしているうちに、時間になってきたので、再びレストランに戻った。
レストランは、どのウェイターも非常に感じがよく、ホスピタリティーにも嫌味がない。いいレストランに来たなぁと嬉しくなった。2人でそれぞれビールと、2人分と書かれたシーザーサラダを1つ注文した。お客さんの入りは6割くらいだったが、8時45分きっかりに、ショーが始まった。最初は男性4人組みの音楽と歌。一番左の男性は小さめのハープのような楽器を持っており、ベラクルス生まれの音楽、ソン・ハローチョで使われるアルパという楽器ではないかと思われる。日本の「ラテン名曲集」に入っていそうなメジャーどころが次々にいい声で歌われていく。やがて1人の中年女性が出てきて、男性4人の楽器とコーラスをバックに歌う。これもいい声。
そして一番目の民族舞踊が始まった。最初は、アステカかなぁ?狩人と鹿が出てきて、鹿が狩人に射られて、悶絶して死ぬという寸劇調の踊りだった。我々の席は、舞台のすぐそばなので、悶絶していく鹿役の男性のすね毛まではっきり見えて、大層迫力を感じた。今まで、ロサンゼルスの公演やメキシコの公園で、こうした足首に鈴をいっぱいつけた装束で踊るパフォーマーを何度か目にしたが、頭にながーい羽をつけて集団でぐるぐる回っているだけで(まぁ、暑いところで、それはそれでご苦労なことなのだが)、ちゃんとした踊りというのはなかった。だから、アステカって今一というイメージだったが、今日のは太古の人々の生活の息吹が感じられて、とても良かった。
狩人が力強く弓を引く。 |
ああ、痛い、矢がささってもた。
悶絶する鹿が蹄で土をかく。ううう。 |
迫力の踊りの後は、歌。このショーは歌・踊りという順番でいくらしい。次の踊りは、メキシコ湾に面したタバスコ州だと思われる。男性が上下白にパナマ帽子、女性が花柄の衣装と華やかな頭飾り。衣装と同じく、ダンスも男女一組でくるくると回りながらステップを踏む、軽快で華やかなダンスだった。
再度アステカ。これも迫力。力強い音楽と踊り。 |
「こいびとぉよぉ〜」と日本語で歌う。」 |
こうして、歌・踊りと繰り返された後、最初の女性が出てきてまた歌い始めた。と、この女性が客席の1グループずつ、どこから来たかを尋ねはじめた。最初の組はイタリアから。すると、サンタルチアを一節歌う。次はチリ。私はわからないが、チリ人たちが合唱する。次はスペイン。これもスペイン人には大受け。次は、よくわからない東欧の国らしい。彼女のレパートリーにはこの国の歌謡はないらしい。で、国の名前に節をつけて歌ってみる。なるほど、こうやってかわすのか。そして、我々ハポン。さて、何を歌ったと思いますか?何と五輪真弓の「恋人よ」。しかも、今までのどの国の歌よりも長く歌ってくれた。難しい日本語の、難しい歌を、よくここまで歌いきれるなぁ。この歌に対しては、我々のみならず、他の国の皆も大拍手を捧げた。この辺りも、ここのエンターテーメントのグレードの高さを感じさせてくれた。
さぁ、時刻は10時をまわってきた。このペースで行くと、お店の閉店の午前2時までかけて、延々と各地の踊りをやっていくようだ。残念だ。宿には夜外出用の鍵というのがあって、これを持たずに出た場合は11時が門限なのだ。もう一つだけ見て、帰ることにした。最後に見た踊りは、ベラクルス州だろう。白鳥が羽を広げたようにスカートの両端を高く上げて女性陣が登場。男性はパナマ帽に首もとのバンダナが特徴だ。後ろ髪を引かれる思いの中、会計を済ませてレストランを出た。チワワ州もハリスコ州もまだ見ていない。今度来る時は、全部見たいものだ。
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