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2005.06.28 島内市バスに乗ってガラフォンのヒントを得る |
メキシコ:イスラ・ムヘーレス |
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夫の肩に、小学生以来の巨大なできものができていた。先週のことである。できものは異常に膨らみ、今週に入ってからついに噴火が始まった。あまりにえぐい図なので、ここには掲載できないが、興味深いので毎日写真に撮って観察している。
というわけで、折角のビーチだが、今日は海に入らない方がいいだろうと判断し、昼食後、島内を探索することにした。
まずは観光案内所で地図を入手し、ツーリストブースでどんなツアーがあるのかを調べようってことになった。島の南端にあるガラフォン国立公園に自力で行った方がいいのか、ツアーでいくべきかを見定めるのが主な目的だった。
一つ目のツーリストブースのお兄ちゃんがにこやかに出てきた。この辺りの人は英語が話せるので楽だ。イスラ・ムヘーレスのフェリー乗り場からは、島の周りの数ヵ所を巡るシュノーケリングツアー(浜辺でのBBQ昼食付US$20、所要時間4時間)と、イスラ・ムヘーレスから更に北上したところにあるコントイ島に行ってシュノーケリングするツアー(昼食付US$40)があるということだった。島の周りのシュノーケリングツアーは、ガラフォン国立公園のリーフにも行くという。ガラフォン国立公園までのタクシー代金往復US$20と国立公園入場料金一人US$15と国立公園でシュノーケリングギアのレンタル代金などを考えると、ツアーの方が絶対にお得だとお兄ちゃんはいう。ふむ、一理ある。しかも、ツアーでは、ガラフォン国立公園だけでなく、その手前のプラヤ・ランチェロやもう1ヵ所のポイントも行き、3ヵ所も楽しめる。自分で行ったらガラフォンのみのシュノーケリングになるから、絶対ツアーがいいよ、とお兄ちゃんはいう。なるほど、なるほど。私たちが話をしていると、同じツアー会社のメキシコ人も通りかかり、「さぁ、今すぐ予約しよう」と勧める。
私たちが、「いや、他のツアーも内容と値段を聞いて検討してから決めたい」と言うと、後から来たメキシコ人は、自分の写真入りIDを見せ、「俺は信用できる奴だから、大丈夫だ」と言った。更に、最初のお兄ちゃんも、「今だからこの値段でオファーできるのだ。明日来ても自分はいないかもしれないし、自分がいなかったらこの値段でないかもしれない、自分はこの商品に大変自信を持っているから、是非今すぐ予約をしよう」と言ってくる。「そんなに自信があるのだったら、私たちが他のツアー会社を見ても、君のところに戻ってくることになるだろう。今日中に検討して、予約をしに戻ってくる・・・」っておい、人が話している途中だというのに、彼はすねた様に背を向けて、とっととどこかに行ってしまった。
そうそう、以前にも、この島で似たような経験をした。宿を探しに来た時だった。「ようこそ、わが島へ」と近寄ってきたツーリストガイドに「キッチン付の宿を探している」というと、「ああ、あるよあるよ」と自信満々にある宿を紹介したきた。確かに安いが、薄暗くて老朽化した建物は、我々の好みではなかった。なので、「他を紹介してほしい」というと、急に寂しげな表情になって、「この先にホテルがいっぱいあるから、自分で探して」と言い放って、背を向けて行ってしまった。だから、最初から自分で探すからって言っていたのに。
ある意味、こうした人は、純朴かつ誇り高い人たちなのである。提供する情報に嘘はないし、誠意を持って紹介してくれている。しかし、それが受け入れられないと、怒ってしまう傾向にある。後で、別のフェリー乗り場近くのツーリスト会社に聞いたら、島の数ヶ所を巡るシュノーケリングツアーは昼食付きでUS$25だと言っていた。最初のお兄ちゃんのオファーは本当に安かったのだ。だったら、もっと自信を持って「さぁ、どこなりと調査しておいでよ」と言えばいいのに。因みに、US$25のお兄さんは「他も聞いてくるから」というと、会社の名刺に自分の名前とツアーの金額を書いて渡ながら「その気になったら、連絡くれよ」と言った。こっちは、かなりインターナショナルな対応の人だった。この島は、フェリー乗り場から順々に国際化されているのかもしれない。
さて、島発のツアーの調査の次は、魚の買える場所探しだ。いつも行っているスーパーには魚売り場がない。島なのに?そう思うと、どこで魚が買えるのかを知りたくなった。島をぶらぶらと南下しながら人に聞いていくと、みーんなまちまちの答え。なるべく自分から遠いところを紹介して、この厄介な東洋人を遠ざけたいと思っているようにも思える。我々は、ビリヤード台の玉のように、あっちへこっちへ歩いて魚屋を探した。
魚屋もみつからず、これ以上南下しても意味がないと思い、フェリー乗り場付近に戻ってきた。その近くで土産物屋を開いているお母さんに聞くと、通りの名前を教えてくれて、その市場で魚を扱っているからと教えてくれた。やはり、フェリー乗り場から人々の国際化が始まっているようだ。
市場はちゃんと見つかった。以前、ガイドブックに掲載されていた食堂の裏手だった。食堂の名前に「メルカド」という言葉が含まれているのに、今更ながら気づいた。そうか、市場脇の食堂だから、そういう名前だったのか。市場は小規模で、午後である今は、ほとんどの店が営業終了していた。ここに、魚があるかもしれない、という結論で満足することにした。
島は、北側の膨らんだ部分がいわゆるダウンタウン(左図赤い四角)で、ホテルやレストランなど観光客向けの施設が集約されているところである。昼食後、ぐるぐるとこの部分を巡っていたが、もう、いっていない通りはないくらいに行きつくした。
どうしようかな?とフェリー乗り場近で休憩していたら、通りに待機する市バスを発見。行き先を見ると、プラヤ・パライソと書いてある。地図で確認すると、かなり先にプラヤ・パライソがある。ダウンタウンから移動しようと思ったら、タクシーしか移動手段がないのかと思っていたので、これ幸いと、バスに乗ってみることにした。
出発まで、かなり待つのかなぁと思っていたら、案外すぐに出発。運賃は、一人N$3.5(約35円)と安い。バスは、フェリー乗り場を北上し、プラヤ・ノルテに沿って東側へ行き、そのまま東側の海沿いの道を南下していく。ダウンタウンを過ぎると、信じられないくらい短い滑走路が見えてきた。飛行場だ。牧歌的すぎる飛行場を過ぎると、島内の真ん中あたりにいくつかある、貯水湖だろうか、湖のようなところが見えてきた。
島の水はどこから供給しているんだろうか?と思っていたが、恐らく、ここからなのだろう。昨日の大雨を受けてか、満々と真水をたたえた湖は、安心感がある。
誰も人影が見えないが、植木は鳥の形などにきれいに刈り込んである。誰のために?実は、ここは、ダウンタウンから島の南端にあるガラフォン国立公園への途上にある。スクーターやゴルフカートやタクシーで、多くの観光客が目にする風景なのだ。イスラ・ムヘーレスの水道局も気をつかっているなぁ、と勝手に感心して通り過ぎた。
湖の南側は、島民の住宅地域だ。ハンモックに寝そべってアイスクリームをなめながらテレビを見ている子供の姿も、開け放したドアから丸見えだ。この住宅地域の終わりまで行くと、バスは海にお尻を向けて、対岸のプラヤ・パライソを目指した。
バスを降りると、左手にプラヤ・ランチェロスの看板が見えた。別に目的があるわけでもなし、確実にビーチに行けそうな方に行くことにした。看板には、怖そうなサメの絵が描いてある。そういえば、最初にツアーの内容を紹介してくれた兄さんは、プラヤ・ランチェロスでサメを見るとか何とか言っていたような気がする。ここか?
看板を右に入っていくと、レストランの手前で、豪快に魚のBBQを準備している人たちがいる。間違いない。ツアーについている昼食はこれなんだ、きっと。おいしそうな炭火焼の香りが辺りに漂っていた。その先のレストランを通り抜けると、桟橋があり、フェリーから人々が降りてきて、桟橋の途中で人だかりを作っていた。
近づいてみると、海中のサクの中で、嬉しそうにサメを抱えて記念撮影をしている人の姿が見えた。昨日の雨のせいか、水も濁っていて、サメはぐったりして、されるがままになっていた。そうか、ランチェロとは牧場という意味。ここは、サメの牧場なのだ。さっき聞いたツアーで行く1つのビーチがここなの?
お昼ごはんは魅力的だったが、3つのシュノーケリング場の一つがここだとすると、あとの1つも推して知るべし。魅力的なのはガラフォン国立公園だけなのだろう。ぐったりしたサメは、オーストラリアでぐったりしたコアラを抱えて記念撮影した時を思いださせた。あんまり面白くない経験だ。「サメがぐったりして、面白くなさそうだねぇ」と夫に告げると、「元気があるサメの方が嫌かもしれない」と言われた。仰るとおりです。いずれにしろ、サメと戯れるという趣向には、ちょっと無理があるのかもしれない。
浜伝いに右手に行くと、プラヤ・パライソの看板とサクが見えてきた。サクの向こうでは、音楽がバンバン鳴ってノリノリのMCで何かが行われている。しかし、プラヤ・パライソは、ツアー客のみ立ち入れるようで、入れなかった。
プラヤ・ランチェロスでお茶でもして帰ろうとレストランの席に腰掛けたが、ツアー客の対応で忙しいのか、ちっとも相手にしてもらえなかったので、そのまま席を立ち、バス停でバスを待って帰ることにした。
暇つぶしで乗った市バスが、意外に面白かったし、何よりもツアーの実態を下見できてしまったのが、よかった。
ガラフォン国立公園へはツアーでなく単独で行くことにした。バスでプラヤ・パライソまで行って、そこからタクシーを拾えば、かなり安く済むだろう。しょーもないサメを抱えるよりは、魅力的な場所でより長い時間シュノーケリングした方が楽しそうだ。夫の肩が治るだろう来週、ガラフォンに行こうということになった。
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