夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
目次Today's imagesTravel sketch食の楽しみPeopleAccommo旅行費用
Excursion移動の記録旅先で住むとしたら更新履歴日誌問合せAbout usENGLISH
北米
アメリカ合衆国
メキシコ
中米
ベリーズ
グアテマラ
コスタリカ
南米
ペルー
ボリビア
アルゼンチン
チリ
ブラジル
ヨーロッパ
スペイン
フランス
イギリス
オーストリア
ハンガリー
ブルガリア
中近東
トルコ
シリア
ヨルダン
北・東アフリカ
エジプト
ケニア
インド洋
モーリシャス
北・東アフリカ
マダガスカル
タンザニア
ウガンダ
南アフリカ
マラウィ
モザンビーク
スワジランド
南アフリカ
レソト
ナミビア
ボツワナ
ザンビア
アジア
インド
ネパール
タイ
オセアニア
オーストラリア
 
2005.07.14 シカレの肝は夜のショー!
メキシコ:シカレ
 さて、昨日の検討の結果、シカレには自力で行くことにしていた。夜の舞踊ショーが午後6時からという情報だったので、早めのお昼ご飯を食べて12時に宿を出た。

 旧バスターミナル近くのAv.15とCalle 2 Norteの角付近からコレクティーボ が出ているということなので、行ってみると、10人乗りくらいのバンが並んでいる。一番先頭の車まで近づくと運転手が「トゥルムか?」と聞いてきたので、「シカレ」だというと料金N$15を告げられて、二人分支払ってバンに乗り込む。5分ほどで、3列の客席は3人ずつ腰掛けて満杯になった。コレクティーボでは、シカレの海洋公園の入口まではいかない。海洋公園から大分内陸に入った国道沿いで降ろされる。降りたのは我々だけで、それ以外はトゥルムに向かうらしい。

 降りたところに、ヤシの葉の屋根が大きくかかったバス停風の場所があり、左手からシカレ行きの無料送迎バス停への矢印の看板が出ているので、それに従って歩いていくと、道は一旦地下にもぐり、国道の下を抜けて、バスを降りたのとは反対車線に出た。やがて、ヤシの葉の屋根が南国風なバスが迎えにきてくれた。

 バスに揺られて10分ほどして、チケットブースでは、ベーシックチケット、ベーシックプラスチケット、マルチチケットの3種類が販売されていた。ベーシックプラスチケットは、シュノーケリングギアレンタルやダイビングなどのアクティビティーが全て10%オフになるというチケットで、マルチチケットは、夜のショーを見ながらのディナーを含め全てが含まれるそうだ。ベーシックチケットで夜のショーは見られること、夜のショーを見るのに最低飲み物の注文などはしなくてもよいことを確認し、予定通りベーシックチケット(US$59)を購入した。

 今日の目的は、地下水道をシュノーケリングしながらの川下りと、シュノーケリングポイントで熱帯魚を見るのと、夜のショーの3つだ。

 地下水道は、シカレ全体を海方向を見て立った場合、左斜め下から始まって、園内の地下を縫うように進み、右斜め上あたりに出てくる。出発地点に行くと、地下水道下りの希望者で長蛇の列ができていた。この分だと、地下水道は人間の数珠繋ぎになっていることだろう。しかし、通常17度という低い水温が、多少は温まっているかもしれないと思うと、寒がりの私にとっては好都合だ。ということで、列に並んで、シュノーケリングギア(追加料金US$10)とライフジャケット(無料)を受け取った。サンダルや帽子など割れ物以外は袋に入れて預ける。この袋は、トラックで出口に運んでくれて、出口で受け取ることができるというシステムになっている。袋には大きな南京錠も付くので、私たちはロッカーを借りる代わりに、何もかもその袋に入れて預けてしまった。

 水中カメラを持っていないので、地下水道を下っている最中の写真がないのは残念だが、両側を岩壁で挟まれた幅3mほどの水道の水は冷たく、見上げると樹木の間から木漏れ日がちらちらと降り注ぎ、今までに体験したことのない世界だった。両脇は壁の時もあれば、マングローブになっている時もある。かと思うと、岩のトンネルに入ったり、その途中が広い洞窟になっていたりして、揺ら揺らとゆっくり進んで行くと、たっぷり40分はかかる長い道である。途中で数ヶ所出口があるので、体が冷えてしまったら、一旦あがることもできるようになっている。一つ、期待通りでなかったのは水だ。最近のハリケーンのせいか、又はあまりに人が多いせいか、細かい砂が舞っていてあまり透明感はなく、魚も見えなかった。

 人は予想通り非常に多かった。コースの終わりの開けたところでは、同じライフジャケットを身に着けた大群は、まるで孵化したばかりのウミガメの子供が大海に出て行く時のように見えて面白い。この光景を写真に撮っている人も多かった。

 この海洋公園は海に面していて、入り江になっているところでシュノーケリングが楽しめる。行ってみると、確かに肉眼で見えるところに熱帯魚がたくさん泳いでいる。水に入ってみると、海水は冷たいのだが、ところどころの岩から温水がでている。公園側がパイプで温水を出して、餌をまいて、熱帯魚を集めているらしいのだ。
 先ほどの地下水道とは違って、こちらの水は透明度も高く、シュノーケリングが楽しめた。自分も体が冷えると温水で温まりながら、かなり長い時間を水の中で過ごした。 

 体も冷えてきたので、水からあがって水族館を見たり、ウミガメの水槽を見たり、園内を散策しているうちに、夕方の5時頃になってきた。今日の夜のショーは午後7時からなので、どこかで夕食を済ませたい。と、マフィンを売っている屋台があるではないか。メキシコ人も考えることは同じと見えて、マフィンの屋台には大勢の人が群がっていた。店員の女性たちは、てんてこ舞いで、お客さんは自分勝手に袋に詰めては、いくらかと聞く。15分ほどでマフィンは売り切れ、ドーナツを一つ残すだけとなった。メキシコ人との生存競争の中、2つのマフィンをゲットして、馬乗りのショーなどを見物しながら、夕食を済ませた。

 園内では、場所ごとに時間をきめて、馬乗りのショーや民族舞踊のショーなど8つ〜9つものショーが行われている。園内入口付近に、スケジュールが書かれた大きな看板があり、そこでチェックできる。私たちは、あまり気にせずにいたので、たまたま通りかかった馬乗りのショーしかみられなかったが、多くの人が集まっていて、他の人たちはちゃんとショーの予定で動いているようだった。

 馬のショーが終わると、人々はいっせいに同じ方向に向かって動き出した。そう、次は1時間後にお待ちかねの舞踊ショーが始まるのだ。私たちも群集についていくと、大きな屋根のスタジアムが見えてきた。中は、マヤ文明の遺跡、チチェン・イツァーにある球戯場を模しているということで、長方形の球戯場の周りには、当時と同じように見物席がしつらえられている。短い方の辺は、当時はロイヤルファミリーの席だったそうだが、ここではディナー席となっていて、長い辺には一般客が座るようになっている。6時を過ぎたばかりだというのに、一般席の一階席はほぼ満席になった。早くきて、よかったぁ。それにしても、周りのメキシコ人たちは、よく食べるし、よくしゃべるし、存分に休暇を楽しんでいるようだ。アイスクリーム売りが来たら、我々以外のほぼ全員といってもいいほど、周りの人々はぺろぺろとアイスキャンディーを舐め始め、今日のステージで使われる音楽CD売りがくると、「どれ聞かせてみろ」とあちこちから声がかかる。まだステージが始まってもいないのに、活気に満ちた客席だった。

 やがて7時3分くらい前に、待ちきれなくなった人々から手拍子が起こった。手拍子は大きなうねりになって、会場中に響き、何と2分前だというのに、ショーが始まった。おそるべし、メキシコ民衆の力。

 最初は、マヤの球技の実演だった。で、これが何と足ではなく、腰だけ使う。えええええ?腰?もう、笑いのスイッチが入ってしまった。腰でボールを蹴る度に笑える。腰ですかぁ、腰。冗談のような競技だ。ダウンタウンのガキ使いで「第1回チキチキ腰サッカー大会〜!」と言っても不思議ではない光景なのに、みんな真面目にやっている。チチェン・イツァーに行った時のガイドの話では、これで勝ったチームのキャプテンは、栄誉をたたえて神にその体を捧げる、つまり殺されるわけ。腰サッカーで、勝ったら殺されるって理不尽だったろうなぁとショーを見ながら思った。

 そんな外国人の思惑も関係なく、メキシコ人は、かなり「やらせ」のこの球技に大熱狂して、拍手を送っていた。お次は、火のついた鉄の玉をつかったホッケー。こんな競技もマヤ文明にはあったのだろうか?トルテカという血に飢えた文明と混ざって、残虐な風習が入ったと聞いたが、これもかなり残虐なゲームだ。

 ショーは、こうしてマヤ文明の文化紹介、スペインの侵攻によりマヤ文明が駆逐される物語、そして、キリスト教の到来までを語った後、メキシコ各地の舞踊ショーという流れだった。それまで、神妙にメキシコの大河ドラマを見ていた民衆は、にわかに沸き立った。

 最初はミチョアカン州。隣のおじさんは「みちょあか〜ん!」と声援を送った。ミチョアカンは「老人の踊り」が有名。若者が老人の恰好をして、若ぶって踊る老人の姿をコミカルに演じるという伝統舞踊だ。老人の仮面をつけたダンサーが、くるくると踊っていく。かなり踊った後、老人の仮面をぱっとはずすと、このダンサーたちは本当に白髪や剥げ頭の老人たちだったのだ。この演出に、会場中はおおうけ。また汗だくになって踊る老人たちに対して、割れんばかりの拍手が起こった。メキシコ人って優しい人たちだなぁとちょっと胸が熱くなった。


ベラクルース州

マリアッチの発祥地、ハリスコ州
 この演出で民衆の心をつかんだステージは、更にヒートアップ。ベラクルース州が出てくると「べらくる〜す!」と声がかかり、ハリスコ州が出てくると「はりすこ〜!」と声がかかる。いい声で歌う歌手が、「さぁ、皆さんもご一緒にぃ〜」とマイクを向けると、みんな大きな声で歌っている。となりのおっさんなんか、着ていたTシャツを脱ぎ捨てて、ぐるぐる振り回しながら歌っている。参った。会場中で「私たちは、自分の文化大好きですぅ〜、今日は本当に幸せですぅ〜」というオーラが満ち溢れている。あり得ない。日本ではこんなことはあり得ない。世代を超えて、全国民から愛されている民族舞踊や芸能が各地にあって、みんなでこんなに盛り上がれるなんて、あり得ない。メキシコ人がうらやましくなってきた。

 そして、グランドフィナーレ。これまた会場中が大合唱になる、人気の曲に合わせて、今まで出演してきた人たちが出てきて、なぜか日本も含めて様々な国旗も出てきて、スタンディングオベーションの中、ショーは終わった。

 いやぁ、今日は本当に楽しいショーだった。何と言っても観客が熱いのがよかった。メキシコ各地で、何度かショーを見てきたが、メキシコ人が見に来るショーは常に満足する。ステージの内容が良くて、民衆の熱気と一体化するのがいいのだ。観光客相手では、ここまでは盛り上がらない。面白かったなぁ。

 さて、時刻は9時をまわっている。一体どうやって帰るのか?やや不安ながら、国道に向かう送迎バスを見ると、人が乗っている。ということは、何かしら帰る手段があるのだろうと、国道に向かった。12〜13人は、しばらくバスを待っていたが、10分たっても来ない。中の3人は、流しのタクシーをつかまえて乗っていってしまった。しかし、この中で何にも動ぜずに待っている子連れのメキシコ人一家がいたので、聞いてみると、何時にくるかはわからないが、とにかく絶対にバスはくる、という。この人たちがそういうのだから、大丈夫だろうと思った。確かインフォメーションの人も最終のバスで9時45分があると言っていたし。と、9時45分にMAYABという大型バスがやってきた。来た時よりも安い一人N$10(US$1)で無事に帰ってくることができた。

 シカレは午後から行ったのだが、朝から行って、お昼ごろまでに地下水道やシュノーケリングを楽しみ、午後からは園内のショーを楽しみ、ちょっと昼寝して、夜の舞踊ショーという1日コースでもよかった。なんにせよ、夜のショーははずしてはいけないと思う。