夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2005.07.17 トロピカル・ハリケーン"EMILY"が直撃!
メキシコ:プラヤ・デル・カルメン
 7月の第2週から、この地方はハイシーズンに入る。メキシコ人が夏休みに入るからだ。ホテルの宿泊費は軒並み2〜3割高になり、我々が宿泊している宿も、ローシーズンよりも割高になっている。

 それなのに、それなのに、ここのところ、ひっきりなしにハリケーンに襲われている。最初のハリケーンは、あまり影響がなかった。2つ目のDENNISは、キューバで多くの死傷者を出したが、こちらでは多少の風と雨をもたらし、薄曇りの日が何日かあった程度だった。ところが、3番目のEMILYはユカタン半島をめざしてまっしぐら。前回のようにコースを変えてくれないかなぁと思っていたが、今回に限ってはCNNの予報はびしゃりと的中して、刻一刻とこちらに近づいてきている。

 予報では今日17日の日曜日に、ここプラヤ・デル・カルメンにハリケーンのど真ん中が通過するようだった。金曜日になると、宿のクリーニングレディーが、大きな蝋燭を4つ持ってきた。「停電もあり得るもんねぇ、気がきいたサービスだよね」などと言って受け取り、とりあえず火曜日までしのげるように、スーパーマーケットで水や食料品を買い込んでおいた。

 土曜日は、トゥルム・シェルハのツアーを入れていた。途中雨がパラついたものの、現地についてからは、薄曇りの天気で、雨も降らず気温も下がらず、まずまずの観光ができた。

 そして、17日、日曜日の今日。テレビでは、今夜の夜中にハリケーンが直撃するという予報を出していた。街では朝から、トンテン、カンテンと金槌の音が鳴り響き、ハリケーンに備えての養生が始まっていた。そして、家の部屋にも、養生部隊がやってきて、道路側のテラスの窓は全面板で覆い隠されてしまった。他のガラス窓も、全てガムテープが×印と+印状にはられた。まだ、天気も晴れているし、風もそんなに強くないのに、ハリケーンムード一色である。

 テレビのCNNをつけっ放しにしていると、数十分おきにハリケーンの話題を流していて、カンクンの映像では、全く同じ養生風景が映し出されていた。今回のハリケーンはカテゴリー4〜5というレベルで、物凄い勢力らしい。日本の台風と比べてどんなに凄いのか、よくわからないが、CNNの天気予報では、火の玉のように赤く塗られた丸いハリケーンマークが、ぐるんぐるん周りながら自分たちの住んでいるところに近づく映像が何度も流され、我々の恐怖心をあおった。「もう少し、水くらい買い足しておこうか?」と昼食後の12時半に、スーパーマーケットに赴いた。

 スーパーへの道中にある市役所も養生中で、高架作業車が来て窓に板をはっている最中だった。スーパーは、表のシャッターが閉じられているが、脇の出入り口から買い物袋を持った客が出てきている。まだ、間に合うか!と脇の出入り口に行って、係員に入れるかどうか聞くと、もう閉店だと言われた。そこから中をのぞくと、日清カップヌードルやコカ・コーラを山ほど買おうとしているメキシコ人の行列が見えた。ところで、メキシコ西海岸からメキシコ・シティまでは、マルちゃんの方をよく目にしたが、東海岸のカンクンとここでは、日清カップヌードルの方が人気らしい。「Cup Noodle」と言っても通じない。「にっしぃ〜ん、そぱぁ」か「マルちゃぁ〜ん、そぱぁ」と言う。と、そんな話はともかく、水を獲得できなかったので、街の様子を見物しがてら、別の店に行ってみることにした。

目抜き通りのAV. 5 の様子。養生を終えて、店の前の樹木も切り落として静まりかえっているところから、まだまだこれから養生しようとしているところなど様々であった。公衆電話も、ビニールでぐるぐる巻きにされてしまっていた。

 街は養生されているといっても、人がいないわけではなく、どうなる?どうする?とワクワクと不安の入り混じった我々と同じような居残り組みの観光客が、あてもなく大勢うろうろしている。特にビーチには、今までとは全く違うカリブ海の風景を呆然と見つめる人で、いつもの暑い午後よりも人が多いくらいだった。風が強くなり、普段よりも波が高くなったのをこれ幸いと、ボディーボードを抱えて海に飛び込んでいくメキシコ人の子供たちの姿もあった。しかし、やがて「ピピピピー」っと笛が鳴らされて、海から全員あがるように指示が出された。波は段々高くなってきている。

 店はほとんど閉店していたが、一軒だけ営業しているところがあった。最後の備品を求めて、パンや水を買う人が多かった。いつも売っているが、まだ食べたことのないカスタードプリンがショーケースに1つだけ残っていたので、「これ、買ってみようか?」とさりげなく夫に提案したが、耳に入っていないようだったので、水だけ買って店を出た。

 午後4時半過ぎ、ホテルの従業員が訪ねて来た。「もう外に用事はありませんか?なければ、この針金で外の門を閉じてしまいますが」と言われた。見物もしたし、水も買ったのでもう用事はない。昼間なのに部屋はうす暗く、外にも出られない状態になった。

 夕食を終えた午後7時半、外で風がヒュゥ〜ヒュゥ〜と音をたて始めた。何度か、電球の電圧が下がってフッとうす暗くなる瞬間があったと思ったら、ついに停電。えぇ?停電するには早すぎるではないか。万が一と思っていたロウソクは、必需品だったのか。同時に水も止まった。どうやら、電気モーターで水をくみ上げているので、停電になると水の供給も止まるようだ。電気もない、水もない、外にも出られない、酒もそんなに飲むのは好きではない、というハリケーンの夜は、一体何をしたらいいのでしょうか?寝るしかないでしょう。とうことで、早々にベッドにもぐりこんだ。エアコンも止まっているので、暑い。ちょっとだけ窓を開けて、風が通るようにしてみた。うとうととし始めた夜中、ハリケーンの直撃タイムになった。開けていた窓から、ビュービューと風とちぎれた木の葉が入ってきている。テラスにはった木の板が、風に震えてガタガタと音を立て、板ごともっていかれそうな勢いだった。凄い、今ハリケーンのカテゴリー4の真っ只中にいるんだ、と思うと、何故か興奮した。

 さすがに窓を閉めて、ゴーゴー、バタバタという音に耳をすませているうちに、2人ともいつの間にか眠ってしまった。

 翌朝、窓から明るい日差しが降り注いでいる。風の音もしない。どうやら我々は吹き飛ばされずにハリケーンをやりすごしたらしい。さて、街はどうなっているのだろうか?