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2005.07.24 コスメル島でシュノーケリング |
メキシコ:コスメル |
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プラヤ・デル・カルメンのイベントも残すところコスメル島のみとなった。ハリケーンEMILYが通過した後の20日の水曜日、コスメルでのシュノーケリングツアーを金曜日に予約して前金も払った。コスメルに到着してから、グラスボトムボートでシュノーケリングポイントの3ヵ所を周ってくれて、船内ではビールやジュースが飲み放題というツアー内容だった。
ツアーはコスメル島に行ってから予約しようと思っていたのだが、フェリーチケット売り場の女性に「コスメルツアーについて、何か情報を知らない?」と聞くと、彼女は「マ〜イク!」と、フェリーチケット売り場の近くにいた、日焼けした中年男性を呼んだ。マイクは、名調子で「ツアーかい?いいのがあるよ、まぁオフィスで話そう」と、フェリーチケット売り場の目の前にある、オフィスと言っても机一つがある開放的な空間に誘った。
実はマイクは、MAYA PALECEというコスメルで不動産販売をしている会社の人間で、アメリカとカナダの市民だったら、プラヤ・デル・カルメンにあるMAYA
PALECEのオフィスに立ち寄って、物件の話を聞いてくれれば、プロモーション価格のUS$35にできるのだが、と語った。我々が残念ながら、日本から来た日本人でアメリカにもカナダにも住んでいないと告げると、残念そうにしながらも、本来ならUS$40のところ、君達は特別にUS$35にしてあげるよ。前金はUS$20(N$220)だけどペソで支払うならN$200(US$18.18)にしてあげよう。と、話をどんどん進める。まぁ、値段も悪くないので、マイクのところで予約しようということになったのだ。
しかし、木曜日頃から、ハリケーンよりも小規模のトロピカル・ストームがやってきて、金曜日は朝から雨。
ツアーを延期してもらおうと、集合時間9時半より30分前の9時に、集合場所のフェリー乗り場近くに行った。集合場所にいたのは、ツアーを催行している会社の人。マイクとこんな話になっているというと、「マイクの奴・・・」とぶつぶつ言っている。我々が金曜日にツアーに参加することは、この人には伝わっていなかった上に、ツアー内容にフリードリンクは含まれていないようだった。「ドリンクはつかないので了承ください」と言われた。それでも、次の予定は未定。天気が回復して、「今日は行けそうだな」と思った朝にこの集合場所にくればいい、という条件に変更してもらえた。万が一、滞在中にツアーに参加できない場合の返金は、マイクに直接交渉してくれ、ということだった。
まぁ、これで用事は済んだのだが、マイクがちょっと曖昧な立場であることに興味を覚え、MAYA
PALECEのオフィスにも赴いて「今日、マイクに予約したツアーだけれど、雨が降ったので、延期することにした」と言ってみた。マヤ系の血が濃い顔立ちをした小柄な男性は、MAYA
PALECEのプロモーションの用紙の裏にマイクが手書きでぐちゃぐちゃと書いた紙を見て、血相を変えて噛み付いてきた。「え?この紙のどこに、あんたたちが前金を払ったって書いてあるんだ、ええ?」。どうやら、前金を返せと言ってきたと早合点したらしい。まず、返金を要求するのではなく、日にちを変更してもらったことを告げ、前金はここに払ったと書いてありますが、と説明すると、その男性はだんだん理解してきて、「わかりました。もし返金する際は、私でなくマイクに直接交渉してください。もし、マイクが見つからない場合は、私のところに来てください。私からスーパーバイザーに連絡して、マイクに連絡を取るようにしましょう。」と語った。結局、マイクはMAYA
PALECEのフリーランス営業スタッフみたいなもんだということがわかった。それにしても、この男性、マイクが見つからなかったら、上司に責任を振ってしまおうとするあたり、チョーせこいサラリーマン根性が見え見えだった。どこでもこういう人っているんだなぁ。
プラヤ・デル・カルメンに限らず、このユカタンでツアーを予約する際には、何らかのデポジットを払わされた。必ず「もし、天候不順などで行けなかったら、返金するから大丈夫です」と言われる。しかし、今回の件から、こうしたツアーの予約はツアーを催行しているツアー会社直接か、あるいは代理店を名乗っているところと契約しないとまずいな、という印象を持った。マイクのようにフリーランスで動いている人も混じってきていて、そういう人と契約した場合で、もし返金になったら、本人のみとしか交渉ができない。セルフォンの番号も教えてくれたのだが、我々としては、誰かが常駐しているオフィスで対応してくれる方がありがたい。実際、マイクのように名調子でペラペラ言われる中で、この人がどんな立場なのかを確認するのは、ちょっと難しいのだけどね。とりあえず、オフィスに行って、その人1人しかいないようなら、用心した方がいいってことだろう。
さて、それから待つこと2日。この分だと、月曜日の朝にプラヤ・デル・カルメンを出られないかもしれないと、ホテルの部屋も火曜日まで仮延長をしていたら、日曜日にやっと晴れてくれた。今日こそ、コスメルに行こう!9時半の集合時間なのに、9時前に行ってみた。
先日対応してくれたツアー催行会社の男性がいて「今日は行くね?」と声をかけてきた。行く、行く。このツアーは、コスメル島のツアーのブースを11時に出発というもので、何だったら、今9時発のフェリーでコスメルに渡っていてもいいよ、というので、急いでフェリーチケットを購入して、フェリーに乗り込んだ。因みにコスメル島への往復フェリー代金は含まれておらず、片道1人N$110(US$10)だった。
フェリーは1階席も2階席も満席。久しぶりの晴れた天気に勇んでコスメルに向かう観光客も多いが、仕事人も多いのだ。それぞれ小さなリュックを持った男性の集団は、工事現場で肉体労働をする人たちだろう。慣れた風に景色を見ることもなく友達とのおしゃべりにふけるおばちゃんたちはホテルの清掃係に見える。朝9時のフェリーは、賑やかだった。
プラヤ・デル・カルメンを出るところでは、やや緑がかった色だった海が、10分もしないうちに深い藍色になってきた。下の写真は左が出発5分後、右が7分後である。深さもあるかもしれないが、コスメルに近づくと海が美しくなっていっているのではないか?ふふふ、嬉しくなってきた。同じ美しい海でも、イスラ・ムヘーレスとカンクンの間は、深さがないせいかコバルトブルーだった。海は実に様々な色を見せてくれる。
約30分でコスメル島に到着。まだ朝が早いせいか、桟橋に並ぶツアー会社のブースにも人がいたり、いなかったり。私達のツアーの会社は、船から2番目に遠いところにあった。聞くところによると、船から遠のくほどに、ツアー料金が安くなるらしい。マイクのことはあったが、悪くない価格のツアーだったんじゃない?と2人で喜んだ。
11時までは暇があるので、街を散策。大きな島と聞いていたので、勝手に洒落た街並みを想像していたが、イスラ・ムヘーレスよりちょっとは洒落ているが、プラヤ・デル・カルメンには遠く及ばない、ひなびた感じのところだった。海岸から数ブロック離れると、店は地元向けの靴店や洋品店がまばらに並ぶ程度で、日曜日のせいか、賑わっているのは教会だけという感じである。小1時間散策して、フェリー発着所に戻ると、ツアー会社の人が来ていて、予定通り11時に出航するので、この辺りに待っていてくれと言われた。やがて、本来我々が乗るはずだった、プラヤ・デル・カルメン10時発のフェリーが到着し、次々と観光客が降りてきた。
我々のツアー会社のグラスボトムボートは3隻あって、1つは20人くらい乗れるもの。2つは8
人くらい。大勢乗る方には、ビールやらコーラが積まれていった。小さい方には積み込みがない。ってことは、ドリンクなしだから8人乗りのほうだな、と思っていた。しかし、人数の調整の関係か、我々は大きい方のボートに詰め込まれた。お!これはいい兆し。
この船のスタッフは3人。真ん中の男性が船を操作し、右の男性がシュノーケリングの案内役だ。案内役の男性は、英語も話せるので、まず私達が、シュノーケリング初心者でないことを確認した後、さんご礁を持って帰らないこと、安全を確認しているゼスチャーと大丈夫というゼスチャーは握りこぶしと作って頭頂をトントンとたたくこと、助けを呼ぶ場合は両手を大きく左右に振ることなどを説明してくれた。日に焼けた顔に、大きくくりくりした目の中年男性は、優しい表情で話してくれて、とても良い感じだった。
我々以外の乗客は全てメキシコ人のようだった。ライフジャケットが配られ、スペイン語で説明が始まった。「シュノーケリング初めての人、はい手を上げて!」と案内係が言うと多くの人が挙手した。メキシコは素敵なビーチがたくさんあるのに、シュノーケリング未経験者が多いのは偶然だろうか?ビーチはたくさんあっても、シュノーケリングというエンタテーメントがメキシコに入ってきたのは、ここ数十年のことだろう。カンクンの観光歴が35年だと聞いたことがある。更にこうしたエンタテーメントに外国人に混じって参加できる経済力を持つ人が増えてきたのは、ここ数年のことかもしれない。それによって、ツアー料金もこなれた価格になって、今日のように今まで未経験だった人でも、参加できるようになってきているのかもしれないなぁ、と考えながらスペイン語の説明を聞いていた。相変わらず、ほとんどわからない、あはは。それにしても、メキシコ人のはしゃぎっぷりったら凄い。この国の人たちは、楽しむことにかけては、本当に上手だと今日も思った。まだ出航してまもないのに、誰かが船底にはられたガラスを覗き込むと、我も我もとのぞいてみる。こっちまで影響されて覗いてしまった。写真もとりまくり、お母さんは大笑いして、バシバシとお父さんの裸の肩をたたく。見ているだけで幸せになってくる微笑ましい光景が、あちこちで繰り広げられて、それを見ているだけで楽しかった。
さぁ、コスメル島の南西にある最初のポイントに到着。案内役の男性は、シュノーケリングのノズルをフッと吹いて、素もぐりで6メートル程下の海底に行き、さんご礁に潜んでいる魚を呼び出しては、私たちに見せてくれる。黄色と白の縞が入った魚や銀色の体に水色の線が入った魚、紺色のひらひらした魚など、本当に美しかった。ここでは、水中カメラで記念写真をとってくれるサービスがある。カメラマンは、水中で餌を撒き、魚を呼び寄せ、魚の向こうにいるお客の姿を、海中で撮影する。これは、大変なお仕事だと思った。海の上で、口早に撮影手順を説明し、餌をまいて、もう少し下に潜って、撮影。これの繰り返しで、彼は息がはぁはぁしていた。お陰さまで、こんな貴重な記念写真を撮ってもらうことができた。このサービスはUS$10だが、自分で水中カメラを持ってきているメキシコ人は、案内役の男性にカメラを託して、同じようなことをしてもらっていた。その代わり、案内役の男性へのチップをはずんでいたようだったが。
めだかの学校みたいに、案内役の男性について、あちこちを見て回り第一のポイントは終了。すでに出航して1時間が経過していた。第二のポイントは、もう少し深いところで、下に見えるさんご礁も魚も多い。素もぐりができる人であれば、かなり楽しめるところのようだ。久しぶりの晴天なので、あたりにはシュノーケリングツアー客がたくさんいて、迷子になりそうになる。ゴーグルをはずして、あたりを見回していると、案内役の男性は常に目ざとくみつけてくれて、こっちこっちと案内してくれた。
私たちの船では、3分の1くらいの人は海に入らない。そうした人は、船から魚に餌をやって、楽しんでいたが、この様子を海中でみているのも迫力だった。様々な種類の魚がいっせいに海上の餌をめざして、下から上がってくる。これも凄かったね。
船に上がると、コカコーラが振舞われた。メキシコ人はコカコーラ好きだ。3リットル入りのペットボトルが、見る見る減っていく。第二ポイントから帰ってきたら、今後はビールが出された。あんなにビールっ腹のお父さんたちの大半が、「いや、私はコーラで」とビールを断っている姿が面白かった。この船は、今日は何かいいことがあったのか、このツアーは儲かっているのか、やたらに景気よくビールを出してくる。もう皆飲めないといっているのに、「まぁまぁ、そう言わずに」と案内役の男性はポンポンとビールの栓を開けて、みんなに押し付けるように渡していく。夫も「そんなに仰るのなら、いただきましょう」と2本目を受け取って楽しそうだった。
第三のポイントでは、海底に飛行機の残骸が沈んでいるのが見えた。案内役の男性に尋ねると「あれは、タリバン政権がコスメル島の石油塔を狙って自爆した残骸です」と、ジョークを飛ばした。本当は、コスメル島で映画の撮影が行われた際に使われたということらしいが。体が冷えてしまったので、第三のポイントには入らなかった夫が、船上から撮った海の色は、朝フェリーから見た色と同系色。ここの海の色も美しい。
こうして第三のポイントを終わるころには、アルコールも入り、みんなご機嫌で絶好調だった。最初にお母さんに肩をたたかれていたお父さんは、今度はお母さんと娘に冷たいビール瓶をお腹に押し付けられ、その度に「ひえーっ、冷たいって、もう」と飛び上がる。すごく単純で、すごく楽しい。誰かが持ってきた辛くてすっぱいメキシコのスナックも、私たちに振舞ってくれて、言葉はあまり交わせないのだが、皆の対応を非常に温かく感じる。
晴れた天気、細やかなスタッフの対応、温かい同船者に恵まれて、コスメルのシュノーケリングはプラヤ・デル・カルメンの最終日を飾るのに絶好のイベントとなった。船を下りたら2時過ぎ。魚やさんご礁がもっと美しいところは、他にあるかもしれないけれど、ツアーの楽しさはいろんなことが要因になるのねぇと、満足しながらゆっくりとお昼を食べて、4時のフェリーで帰ってきた。
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