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2006.02.10
イグアスの滝〜アルゼンチン側 |
アルゼンチン:プエルト・イグアス |
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2月7日にプエルト・イグアスに到着し、翌日の8日、早速イグアスの滝のアルゼンチン側に見学に行った。メンバーは、同じ宿に宿泊していた澤村さん夫妻、ヨシさん、森君と我々というメンバー。考えてみたら、こうやって観光名所に我々夫婦以外の日本人と行くというのは、この旅始まって初めてのことだった。
皆でバスターミナルで昼食用のサンドイッチを買って、バスに乗って滝見学。こういうのも楽しいんだなぁ。ところが、入園料を支払って園内電車に乗ろうという時に、私たちのカメラが全然写真を撮れていないことに気付いた。写しているようで写っていない。ということは、メモリーカードの問題だと思われた。今日はこの1台しか持ってきていない。しかも今日のためにブエノス・アイレスでわざわざ大枚はたいて購入したウォーター・プルーフのPentaxなのに。もしかしてカメラが壊れているのかという最悪の事態を考えまいとしても、ブエノス・アイレスまで戻って修理に出さなきゃならないことにどうしても頭がいってしまい呆然となった。思考が停止して皆についていけなくなった私たちを、心配して戻ってきてくれたメンバーが事情を聞いて慰めてくれた。「ま、それでブエノスに戻んなきゃならないのも、旅の思い出ってことで」。
動かないものは仕方ない。その日はカメラなしで、滝の素晴らしさを堪能して帰った。宿に戻ってから、他のメモリーカードに入れ替えて動かしてみると、これがちゃんと撮影できるではないか。よかった。とりあえずブエノスに戻らなくてもいい。翌日、パラグアイの秋葉原ともいえるシウダー・デル・エステで新しいメモリーカードを購入し、今度はウォータープルーフと予備として普通のカメラの2台を持って、翌々日の10日、2度目のイグアスの滝見物にでかけた。というわけで、写真は10日のものであるが、感じたことなどは8日と混じっていることを御了承いただきたい。
プエルト・イグアスからイグアスの滝に行くには、バスターミナルから「Cataratas」という行き先が表示されたバスに乗ればいい。朝7時10分から30分おきに出ていて、運賃はバスの中で支払うことができるので、ひょいと乗ればいいだけである。
そうそう、イグアスの滝に行く前の準備。ますは食料と飲料。園内では昼食用のサンドイッチやハンバーガーも販売されているが、割高の上おいしくなさそうだった。バスターミナルの道路をはさんだ向かいのパン屋では、熱々のエンパナーダやサンドイッチを売っているので、これを買っていったのが良かった。また飲み物は、その日の天気にもよるが、快晴だったら非常に喉が渇く。2人で1.5リットルのペットボトルを前の日から凍らして、凍ったペットボトルを持っていって丁度いいくらいだった。日差しは強いので帽子や日焼け防止クリームはあったほうがいいと思う。また滝の照り返しもきついので、目の弱い人はサングラスも必要。公園では滝壷に行くスピードボートツアーがあるし、サン・マルティン島では滝を見ながら水に浸かれるちょっとしたビーチもある。こうした所で遊びたい人は水着着用をおすすめ。特にボートツアーはびっしょびしょになるので、絶対サンダル履きがいい。サン・マルティン島の見所は島の中央に向って急な坂道を登るのだが、我々はずっとサンダル履きで大丈夫だった。
とまぁ、こんな感じで準備して、出かけていった。
バスで約30分後、公園入り口に到着。ここで入場券を購入して(A$30=US$9.35)中に入る。イグアスの滝のアルゼンチン側では、2日続けて入場すると2日目の入場料が半額になるというサービスを行っている。カメラが壊れていたので、翌日来るかもしれないと思い、帰る時に公園入り口で手続きをしておいた。翌日も来たいということを告げると、入場券にもう1枚の紙をホッチキスで留めてくれて、パスポート番号と名前を書かされる。翌日はパスポートとこの入場券を提示すると半額になるようだ。
ところが、我々の場合は9日が曇りだったので天気を待ち、1日目の翌々日の10日に再度訪れた。一応半額券とパスポートのコピーを提示したが、やはり間に1日入ってしまうと認められないということだった。そもそも2日目が半額になるというサービスは、イグアスの天気と関係があると思う。ここに数日滞在していたが、何日か晴れが続くと、曇りの日になるというサイクルがあるようなのだ。だから、初日に天気が悪かった人にチャンスをあげようという配慮がこのサービスなのではないかと思う。だから、天気を待って1日間をあけるのならサービスは無効になるのも納得が行く。
それにしても、通常は2日も続けて行かないだろうと思われる人もいるかもしれない。確かに我々もカメラが壊れていなければ日中に続けて2日も行かないだろう。しかし、同じ宿に宿泊している人からちょっと魅力的な情報を聞いた。それは夜のツアーだ。イグアスの滝は満月の夜だけは夜も開園するそうなのだ。満月の夜の前の日に日中の滝を見学し、次の日の夜に満月のツアーに参加する場合、2日目半額のサービスが使えるのではないかと思ったのだ。未確認なのでわからないが、通常2日続けて行きたいのはこういう場合ではないかと思う。
朝9時を回った園内は個人客や観光客で早くも込み始めてきていた。
チケットを購入するときにもらった園内の地図を広げて、どうやって周るかを確認した。
プエルト・イグアスの観光案内所やバスチケット販売ブースに行くと、地図を指しながら、「まず電車に乗って、2つ目の駅のEstacion
Garganta del Diabloまで行き、有名な悪魔の喉笛を見学します。そして一つ手前の駅に戻ってきて、他の滝を見学します」と説明される。しかし、午前中に悪魔の喉笛に行って写真を写すと逆光になって、良い写真が撮れない。事前にこのことを教えてくれた人がいたため、我々は1つめの駅Estacion
Cataratasで降りてそちらのコースを先に見学してから悪魔の喉笛に行くことにした。
1回目に行って、このコースが正解であることは実証済みだった。大抵の人は悪魔の喉笛に先に行くために、その順で周るとどこに行っても込み合っていて、またされるのだ。逆行の問題だけでなく、効率よく動けるという意味でも、また見学のドラマチックな盛り上がりとハイライトを考えても、悪魔の喉笛を後に持ってくる方がいい。
今日見て周ったコースをざっくりと説明する。
公園入り口から入って、人の波に従って歩くと中央駅にたどり着く。園内の電車は入場料金に含まれているので無料で乗れる。
ここから1つ目の駅、Estacion Cataratasで降り、サン・マルティン滝周辺を滝の上側からと下側から見学する。途中で滝壷ツアーへの申し込みができるカウンターがあるので、我々はスピードボートを申し込んで、滝壷見学を行った。その後、無料のボートに乗ってサン・マルティン島に渡り、島内のトレッキングコースを見学して駅に戻ってくる。
再び電車に乗り、2つ目の駅、Estacion Garganta del Diabloで降り、悪魔の喉笛を見学し、電車で中央駅まで戻ってくるというコースで周った。宿を出てから宿に戻るまで、全部で8時間かかった。
1つ目の駅では一度全員が降ろされる。その先に行く人は、また行列に並びなおして2つ目の駅に行く電車を待つことになる。ここが時間ロスの一つ目だ。
我々はこの行列には並ばずに、さっさと見学コースへと向った。
1回目は、まず滝を上から見おろすコース(サーキット・スーペリオールCircuito
Superior)に行ってから下から見上げるコース(サーキット・インフェリオールCircuito
Inferior)へと進んだが、2回目の今日はまず下のコースを先に見ることにした。
サーキット・インフェリオールに行くには森の中の階段をどんどんと下りていくようになる。途中にはハンバーガーやサンドイッチや飲み物を販売している売店があり、この売店の右手からサーキット・インフェリオールのコースが始まり、徐々に滝が見えてくる。
まずは、遠目に悪魔の喉笛が見えてくる。かなり遠くに見える滝からは、高く高く水しぶきが煙のように上空にあがっている様子が見えて、その迫力をここからでも想像できるのだった。
そこから手前の滝が見える所までは、悪魔の喉笛を木々の間から見たり、そこから流れてくる激流の川を見たり、小さな滝が足元の橋から落ちて下の川に合流したりするのを見られるようになっていて、徐々に滝の世界に誘われているような感じがしてきた。
やがてサン・マルティン滝とその右に連なる滝が見渡せる所にやってきた。昨日の雨の影響を受けてか、サン・マルティン滝から落ちる水の量は一昨日よりも更に増して、ものすごい迫力となってドードーと滝壷におちていった。滝壷に落ちる水が高く跳ね上がって噴水のように見え、滝壷自体は水としぶきと水煙で隠されていて見えない状態で何とも壮観な眺めである。
ここから更に右手の滝に近づく遊歩道がある。最後まで進むと、滝が目の前に落ちてくる展望台に出る。ここでは見ている人にも細かく霧状になった水がまとわりつき、火照った体を冷やしてくれる。
滝に近づくに従って、水しぶきとその壮観な眺めと水音が一体になって、迫力ある滝が楽しめるので人気の写真スポットである。今日、朝一番でサーキット・インフェリオールに来たのは、サーキット・スーペリオールを見てからだとこちらが混み合ってしまうのを前回経験したからだ。今朝はさすがにまだ人が少なく、十分に楽しむことができた。
この遊歩道から戻ってくると、道は売店のある方へ続く道と、サン・マルティン島へのボートが出る道に分かれる。この分岐点にある小屋で、滝壷へのスピードボートツアーを申し込むことができるのだ。ツアーは3種類あって、A$20(=US$6.23)は悪魔の喉笛から流れ出してきた川を下る遊覧ボート、A$45(=US$12.46)は滝壷に突っ込んでいくスピードボート、A$90(=US$28.04)は遊覧ボートとスピードボートに加えて4WDのオープントラックでジャングルを走るアトラクションがついたツアーだった。我々は滝壷に興味があったので、A$45のツアーを申し込み、小屋から右に折れて降りていく道を下っていった。下りきってからの道は左に折れて川沿いに進むことになる。目の前にはこれから我々が乗るスピードボートが滝壷に突っ込んでいく様子が良く見えた。良く見ると2種類のボートが走っていて、1つはやや大型のボート。こちらは滝の大分手前で停まって写真撮影などを行い、船の先には船内の様子や周囲の滝の様子を撮影する専属カメラマンが乗っていた。もう1つは小型のボート。こちらはカメラマンが乗っていないが、ガツーンと滝壷に突っ込んでいった。大型ボートには年配者が多いことから、こちらはきっと豪華ツアー用で庶民は小型ボートなのだろう。というか折角の滝壷ツアーなのでガツーンと突っ込むほうであってほしいと思いながら見ていた。
川沿いの遊歩道の最終地点がボート乗り場だ。丁度あと2人の乗客で出発できる状態の船が待機していて、はい、これが、手荷物を入れるようの厚手のビニールバッグ、はい、このベストを着て、とガサガサと色々なモノを渡されて、とにかく「バモス、バモス(行くよ)」とせかされて船に乗った。期待通り、小型のボートは中央の通路を挟んで2人掛けの席になっている6列くらいの船だった。我々の席は後から2番目。前の方がアルゼンチン人らしき若者とイスラエル人の若者で、早くも奇声をあげたり、チャッチャッチャッチャと手拍子を取ったりして、興奮状態に陥っていた。
ボートは出発するといきなりサン・マルティン滝の方に向かい始めた。おお、しょっぱなから滝壷に突っ込むのか?と思いきや、まずはサン・マルティン滝の前に来て、記念撮影の時間。
誰もが船の舳先の特等席に移動して写真を撮り、船の中は人がいったりきたりして忙しかった。で、このまま突っ込むか?と思いきや、船はサン・マルティン滝に背を向けて、もと来た方に戻り始めた。乗り込んだ所を通り過ぎ、今度は悪魔の喉笛に向けて走り始めた。
悪魔の喉笛は大分先に見えているが、そこからダクダクと流れてくる川の強い流れに逆流して進んでいく。
もう小さな船は、「ハイーッ、ハイッ、ハイッ、ハイッ、ハイッ、」みたいな奇妙な掛け声と手拍子で満ちて、大騒ぎであった。我々が向っているのは、手前右手のSalto
Dos Mosqeterosという滝だった。ここで滝壷突進の練習というわけではないが、サン・マルティン滝に突っ込む前の腕試し。小さな滝に見えるけれど近づいていくと、まず水しぶき、そしてかなり強い風が巻き起こって、どしゃぶりの雨の中に投げ出されたような感じになった。
ウォータープルーフのカメラなんだけど、レンズに
水滴がついてしまうのでこんな写真になっちゃう。
これが限界だけど、臨場感、伝わっていますか? |
皆最初は滝を見ようと前方を見つめているのだが、この風にのって来る大粒の水を前にしては、前なんか向いていられない。何故かみんな大笑いしながら、「ギャー」っと叫びながら横を向くことになった。
「このままでは息ができないー」と思った瞬間、ふっと水しぶきがやみ、船が滝を少し離れたことがわかった。ホッとしたのも束の間、船は旋回してまた滝に突っ込む。「ギャーッ」。いやー、楽しい。これはかなり楽しい。こんな小さな滝でもこの楽しさ。これから向うサン・マルティンへの期待がますます高まる一向だった。
船はここでまたUターンしてサン・マルティン滝に向う。もう船は最高潮に興奮状態で、「オォォォォーーーー、ハイッ!チャッチャッチャッチャ」と叫び声も高らかに手拍子が鳴り響いた。このツアーの前にも後にも数台のボートを見学したが、こんなに盛り上がっているアホばかりの船はお目にかかっていない。サン・マルティン島の浜辺にいる人も、対岸の船着場で船を待つ人も、何事かとこちらを見ている、その視線が又皆を盛り上がらせているようだった。ギャラリー好き体質だ(後で日本人に出会ったのだが、「ああ、船に乗っているの見えましたよ」と言われて、やはり皆に注目されていたのだと知った)。
今度も滝の前で一旦停まるくらいにスピードを落とした。さっきの滝への突っ込むタイミングといい、今度の滝を前にして、「今からここに突っ込むからねー。よーく見て覚悟しといてよー」という溜めの停車など、なかなか心憎い演出だった。それから、行くよー!というように急にスピードをあげて、とうとう滝に突入していった。さっき予行演習していたので、何が起こるかということはわかっていたが、それでも今度のサン・マルティン滝は迫力が違う。ドォドォドォドォドォォォォーーーーと激音で落ちてくる水の塊を目の前に、「ウギャーーーーー」と声を限りに叫んだ。
上:滝壷に突っ込んでいく瞬間
右上:滝に対して直角の状態で右にちょっと
流されてみる。い、息ができない。
右下:一旦抜けてUターンしてからもう一回。 |
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先ほどと同じように、Uターンして更にもう一回滝壷にアターック!
「ウギャーッ、※▲☆○◇!!!」
すみません。書いていてあの興奮を思い出したら、ちょっと取り乱してしまいました。
これで滝壷ツアーは終了。12分間の大興奮だった。いやー、面白かったなぁ。ものっすごいですよ、自然は。これが人工的でなく自然だって所に意味がある。観光案内所でもらったツアーパンフレットの解説で、最後の方に、「・・・そして、12分間の最後のクライマックスはサン・マルティンの滝だ。ここにスピードボートで入って行き、イグアスの滝でバプタイズするのだ。」と書かれており、まさに全身ビッショリで洗礼を受けた気分になれる。この季節なら水着を着用していれば、歩いているうちに乾いてくるので何も問題なかった。
ツアーボートを降りたら、ベストやビニールバッグを返却。ビニールバッグのお陰で手荷物は全く濡れずにすんだ。
隣の船着場から対岸のサン・マルティン島行きの渡し舟で島に渡る。
サン・マルティン島は浜辺が少しあるものの、すぐにぐーっと坂を登っていく山になっている。といっても5分も登ると、展望台に到着する。ここはサン・マルティン滝が目の前に見え、滝つぼを見下ろすことができる迫力の展望台だ。
この展望台に立つと、右手からはサン・マルティン滝がドドドーッと落ちてきて、正面から右手に向っては、黒っぽい岩と岩に生えている緑の木と白い滝が美しいコントラストをなす滝の壁がずーっと続いている。1回目にここに来た時にシェフのヨシさんが「何か日本庭園のような趣を感じますねぇ」と言っていたが、まさにそのような感じで、ダイナミックなのにどこか和風に見えるのが不思議だ。
サン・マルティン島には他の展望台もあるのだが、こちらを見てしまうと何だか迫力にかけて、みんな「あっそう」というようにあっさりと立ち去ってしまう。しかし、この展望台から浜辺に戻る島の左半径を周るコースからは、再び悪魔の喉笛なのが楽しめるので、ここもはずせない。
こうして、サン・マルティン島の船着場へと戻ってきた。ここには、綱を張った中で水遊びができる小さなビーチがある。足元は岩でゴロゴロしており、水も澄んでいるわけではないが、とにかく歩き回って熱くなった体を滝を見ながら冷やせるというのが贅沢だ。ボートが往来する度に起こる波に体をまかせておおはしゃぎしているのは子供ばかりではない。
今日はボートツアーでずぶ濡れになって満足したので、ここでは水に浸からなかったが、前回皆と来た時は今日よりも大分気温が高かったこともあり、ここでザブンと水に入れて本当によかった。
再び渡し舟に乗って戻り、サーキット・インフェリオールの終わりにある売店の外に設置されたパラソルの下のテーブルで持ってきたサンドイッチをパクついた。ここには野生のアナグマが生息していて、このカフェテラスではパンくずなどが落ちていることもあって、ひょこひょこと目の前を通り過ぎたりする。またリスも素早い動きで走り回っていて、楽しい所だった。
これでインフェリオールとサン・マルティン島の見学が終了。残すはスーペリオールのコースだ。
スーペリオールコースは滝の落ち口の高さから展望する遊歩道だが、最初はサン・マルティン滝より手前の滝の全貌が横から見渡せる。
ここから滝の落ち口に沿って遊歩道が作られていて、足元から水が落ちていくのが見える。滝の落ち口の川が思ったよりもとても静かに見えるのが不思議だった。あんなに大量の水が落ちるようには見えないのだ。
上から見る滝の景色は全体像が良く見えるが、やはり下で見る迫力には劣る。今日は、インフェリオールのポイントに早く行きたかったので、スーペリオールを後回しにしたのだが、徐々にクライマックスに近づいていく、という意味ではスーペリオールを先に見る方が私の好みだ。
スーペリオールの遊歩道のどん詰まりからは、サン・マルティン滝が良く見えた。ここもなかなか迫力のある光景だ。特にインフェリオールコースに行く前だと、これからもっと下に行くのかという期待で興奮が高まる。
こうして最初の駅での見所を堪能した後、いよいよ「悪魔の喉笛Garganta del
Diablo」と呼ばれるSalto Unionを見に行くことにした。チリ、アルゼンチンと旅行してきて、「悪魔Diablo」という言葉には2回出会った。チリのコンチャ・イ・トロというワインメーカーの人気商品「カッシェーロ・デ・ディアブロ」悪魔の蔵、北アルゼンチンのサルタからワインの名産地カファジャテを訪ねた途中で立ち寄った、カファジャテ渓谷には「悪魔ののど仏」と呼ばれる巨大な岩の洞窟があった。「悪魔の蔵」はあまりにおいしいワインを、従業員が盗み飲みしないためにオーナーが蔵に悪魔が住むという噂を流したという逸話からきているし、カファジャテの岩は見るものを圧倒する大きさの岩だった。この辺りの人々は悪魔に対して恐怖とともに、ちょっとばかり愛着も感じているに違いないと感じてしまう。
さて、午後2時、ディアブロへ向う人は大勢いるものの、乗り切れなくて待たされるということもなく電車は走り出した。
15分ほどで到着した駅で降り、ここからは川の上にかけられた長い橋を15分くらい歩いて「悪魔の喉笛」に向う。
この長い橋は、時々川の勢いで流されてしまうことがある。実は今年に入っても1部の橋が流されて、「悪魔の喉笛」駅までも来ることが許されていなかったことがあった。そのニュースを聞いたのは、遠く南アルゼンチンのパタゴニア地方でだったかと思う。修復されていなかったらどうしようかと思ったが、もう問題はとっくに解決されたようだった。
そいういう話を聞くと、静かに漂っているように見えるこの水の流れも、実はそうではないことが知れる。上から見ているだけでは全くわからないのだが。
やがて、橋の右手に川が下へと落ち込んでいる部分が見えてきた。左手には水煙があがっている。いよいよやってきのだった。
近づくごとに迫力を増す滝が目の前に迫って見えてきた。想像以上の水量、落差、川幅だった。なかなか写真に表現するのは難しいが左右に広がった展望台の右手から水が落ちていて、そこが一番迫力のある所た。そこから左にずーっと滝が連なっている。
大量の水が落ちている所をじーっと見ていると、川のやや茶色がかった水が下方向に落ちていくのと同時に、水がぶつかってできる真っ白なしぶきが龍のように滝を登っていくように見える。下向きと上向きの水がぶつかり、右からの流れと左からの流れがぶつかり、様々なところで衝突があって、新しいしぶきをあげて、ただ流れているように見える滝も同じ眺めは一つとしてない。惹き込まれる様にじっと見ていたら、目の奥が熱くなって頭がガンガンと痛み出した。
午後3時、滝の展望台には大盛況である。午後2時半から3時半の1時間ここにいたが、時々サーッと人がいなくなることがある。恐らく電車の時間に合わせて帰っていくのではないかと思うので、頑張って粘っていれば人が少ない所で滝を存分に楽しめる。
ここの迫力は、1枚の写真にはおさまりきらない。色々な写真をお見せしたいのだが、どれも今一つな風景になってしまうので諦めた。もうここには行ってもらうしかない。行けばわかるから。そんな気持ちである。
いやー、凄かったねぇ。大迫力だったねぇ。と使いすぎて痛くなった目をマッサージしながら駅に戻った。
知らない間に興奮していたのか、やたらに喉が渇いて、ビタミン不足な気もしたので、駅の隣の売店でフルーツサラダとコーラを購入。ふーっと一息ついてから家路に向った。
くしくも1日間を置いて2回も見てしまったが、2回見ても大満足だった。アルゼンチン側は遊歩道も充実していてとても楽しかった。次回来るとしたら満月の夜の滝を是非見てみたいものだ。
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