夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2005.12.14 
ペトロウェ滝とトドス・ロス・サントス湖
チリ:プエルト・モン
 プエルト・モンの1つめのツアー、ペトロウェ滝とトドス・ロス・サントス湖を訪れるツアーは10時45分に宿にピックアップということだった。

 随分遅い時間からツアーが始まるのだなぁと思っていたが、この時期のプエルト・モンは午前中は曇っていて、午後になると晴れるというパターンを繰り返している。しかも、夜は9時半頃に日没だし、昼食時間は午後2時、夕食は午後8時頃に取るので、太陽の動きとご飯の時間、天候のことを考えると、こうした時間からツアーが始まるのもうなずける。

 今日のコースは、
・11時過ぎ、プエルト・モンから北上してラ・モン展望台からプエルト・モンを見学。
・プエルト・バラスPuerto Varasを見学し、
・ジャンキウエ湖Lago Llanquihue沿いの道を走り、
・ラ・ポーサ川La Pozaを小型ボートでラ・ポーサ沼まで行き、沼を一周して戻る(ボートはオプショナルで1人A$1500)。
・湖畔のエンセナーダのレストランで昼食(1人A$4000のコースあるいは持参の弁当)後、
・トドス・ロス・サントス湖手前で美しい川を見て、
・トドス・ロス・サントス湖で小型ボート遊覧(遊覧はオプショナルで)1人A$1500)。
・来た道をプエルト・モンに戻る途中で、国立公園(別途入場料金A$1200)に入って、ペトロウェの滝を見学して、
・少し車で行って緑の湖を見学し、
プエルト・モンに21時着。各宿まで送り届けてくれる。

○ラ・モン展望台 Mirador de La Montt
 8人の客をピックアップして、車が最初に向かったのは、プエルト・モンが見下ろせる丘だった。

 曇り空の下、鉛色の海が広がるプエルト・モンの景色を見せられても、感動も起こらず、しかも風が冷たいので、9人はガイドに言われるまでもなく、早々に車の中に引き上げた。

○プエルト・バラスPuerto Varas
 12時15分に到着し30分間のプエルト・バラス見学となった。この町にはカジノがあるので、まずはカジノ見学。カジノというと、窓のない部屋が一般的で、外の風景が見えないためにギャンブルにのめり込んでいく心理的効果を狙っているという話を聞いたことがある。しかし、プエルト・バラスのカジノは、ガラス張りで外が見える所だった。カジノといえども、晴れ待ちの暇つぶしでしかなく、外が晴れたらギャンブルは止めて景色をお楽しみくださいと言っている様な、のんびりとしたカジノだった。

 外に出ると、陰鬱だった空は、少しずつ青空となってきていたが、ジャンキウエ湖の向こうに見えるはずのオソルノ山の姿は雲に隠れてまだ見えない。気温は上がってきたが、まだうす寒いプエルト・バラスの町で、もう一人の客を拾って、車は再び出発した。

○ラ・ポーサ川の小型ボートクルーズ
 午後1時を過ぎると、ぐんぐんと晴れ間が広がり、進行方向左手にチラッとオソルノ山の姿も見えてきた。まだ遠いが、その美しい円錐形はまさにチリ富士と呼ばれるにふさわしい、優美な姿だった。

 午後1時半、ジャンキウエ湖に流れ込むラ・ポーサ川に到着。ラ・ポーサ川を遡ると、ラ・ポーサ沼があり、沼の真ん中ローレライ島Isla Loreleyと呼ばれる小さな島があるらしい。ローレライといえば、ドイツのライン川沿いにある岩の名前と同じだ。その岩が美しい女性に見えることから、ライン川を走行している船が岩に見とれて操縦を誤って、船の事故が絶えない場所として有名な岩だったかと思う。先ほど立ち寄ったプエルト・バラス、そしてその北にあるフルティジャール辺りは、ドイツ人移住者がたくさんいる街だ。この島をローレライと名づけたのも、きっとドイツから来た移住者の一人だと思われる。

 さて、ラ・ポーサ川のクルーズはオプションだが、全員が参加することになった。9人がのったらいっぱいになる小型ボートは、まず樹木でできたトンネルをくぐりぬけた。トンネルを抜けると、そこはジャングルだった。コスタリカのジャングルクルーズを思い出させるような、辺り一面が樹木に囲われた沼が、目の前にパーッと広がった。

 目の前に見えているローレライ島の横を通って沼の向こう側に回りこむと、皆が「あっ」と声をあげた。目の前に山頂に雪を被った標高2015mのカルブコ山Volcane Calbucoが見えてきたのだ。「お父さん、危ないって」という声が飛び交う中、男性は小型ボートの上で立ち上がって、一斉に撮影大会。ローレライ島をくるっと一周して、樹木のトンネルをくぐって元の位置に帰るまで30分くらいだったが、結構楽しめた。

○ジャンキウエ湖湖畔で昼食
 この辺りから、オソルノ山は道の左に、右に、ある時は真正面にと、どんどんその姿を大きくしながら近づいてきた。車道沿いの木が邪魔になって、なかなかいいシャッターチャンスが切れない。車の中のあちこちから、「ああ、今がチャンスだったのに失敗した」とか「チッ」という舌打ちが聞こえる。ガイドが「もうすぐ、もっといい場所にお連れしますから」と再三言っているにもかかわらず、悔しげな文句と舌打ちはとまらなかった。やがて、沿道に木のパラソルがいくつかあって、ガイドが約束したように落ち着いて写真を撮れる場所で停車した。

 ここからのオソルノ山は、ジャンキウエ湖を手前に控え、裾野まで広く見えた。この角度から見ると、左右の傾斜がやや違う。右側から見た方が、もっと姿はよいが、裾野まで見えるのはこのポイントだけだった。

 この展望台から、少し道をあがったところに車で行って、レストランでの昼食となった。右手にオソルノ山、左手にカルブッコ山が見えるロケーションにあり、Hospedaje ESCALASUとあることから、宿もやっているようだった。

 ここでは1人で参加していた若いチリ人青年は、外で持参の弁当を食べ、他の大人たちはレストランで昼食を摂った。前菜、メイン、サラダ、デザート、ワインやジュースの飲み放題がついて1人A$4000(=US$7.78)。ツアー代金と同じくらいかかってしまうとはいえ、フルコース飲み放題でこの値段なら、高くはないだろう(この昼食の詳細は「本日の献立2005年12月14日昼」を参照)。(コーヒー代金は別途A$500でした。)これを節約したい場合は、何か持参したほうがよい。周りにはお店らしきものはなかったように記憶している。
左:お店の看板の下には、木でできた変な彫刻が置いてある。妙に気になった。

下左:で、その看板の後ろには、どーんとオソルノ山が見えた。

下右:店の裏手には、カルブッコ山が見える。

どこを見ても気持ちのいい景色ばかり。これで食欲がわかないわけがない。

 ここで2時間ほどの昼食を済ませたら、既に4時になっていた。

○エメラルドグリーンの川を見る
 昼食を摂ったエンセナーダを過ぎても、しばらくはオソルノ山の姿を車中から楽しめるが、それが終わると、今度は目の前に、ミニ富士とでも言うべきか、オソルノよりも傾斜のきつい山が見えてくる。これは、プンティアグード山Volcan Puntiagudだ。この山が見え初めて10分後、ペトロウェの滝の入り口も通り過ぎてから、車は道の脇を走る川の川原に停車。

 トドス・ロス・サントス湖から流れ出しているこの川は、水に含まれる鉱物によってエメラルドグリーンに見える。春の雪解け水が、轟々と音を立てて岩にぶつかり、エメラルドグリーンの川に白波を立てる。

 
 岩のない所は波が立たないので、エメラルドグリーンがより美しく見える。どこに目を移しても、すがすがしい光景と空気が広がっていた。

 この美しい光景を撮るだけでは飽き足らなくなっていたグループメンバーは、「皆で集合写真を撮りましょうよ」という話になり、ガイドさんにお願いして、各々のカメラで集合写真を撮影。いくつものカメラをポケットに詰め込んで、ガイドさんは要領よくパチパチと写真を撮っていった。

 「じゃぁ、今度はガイドさんも入れて撮りましょうよ」ということになり、皆遠慮して、「私が写しますから、あなた入ってくださいよ」と譲り合いが始まった。そんな様子を見ていたガイドさんは、「私は美女としか写真を撮らない主義なので。はい、男性の皆さんはどいてどいて」と、男性を排斥して、女性とガイドさんのみで写真を撮ることになった。

 「時間がありませんので、私との写真は、ちょっと遠慮ください」などと無粋な断り方をせずに、1枚ですませる洒落た言い訳が心憎い。

○トドス・ロス・サントス湖
 エメラルドグリーンの川を堪能した後、車で15分ほど更に東に進んでトドス・ロス・サントス湖に到着。川と同じエメラルドグリーンの湖水が広がっていた。ここから小型ボートに乗って湖に出ると、オソルノ山がよく見えるということなので、このオプショナルツアー(1人A$1500=US$2.92)にも参加することにした。

 湖の上からは、本当にオソルノ山が良く見えた。午後5時のこの時間、逆光になってしまうのが少し残念だが、ここから見るオソルノ山は、昼食時に左手から見ていたのよりも、左右の斜面の傾きが等しく、まさにチリ富士の異名を取るにふさわしい、美しい姿だった。


 トドス・ロス・サントス湖の向こう岸には、また別の村があって、そちらで乗馬やトレッキングを楽しむツアーもあるようだ。宿泊施設もある。そして、その更に向こうにはチリとアルゼンチンの国境にまたがるトルナドール山が控えていて、トルナドールの向こうはアルゼンチンになっている。

 プエルト・モンから今日のコースを通って、トドス・ロス・サントス湖を船で渡り、場合によっては向こう岸の村に一泊して、アルゼンチンに入り、いくつかの湖水をボートで渡りながらアルゼンチンのバリローチェに行くという国境の越え方もある。しかし、プエルト・モンからここまで日帰りのツアーがA$5000(=US$9.28)、プエルト・モンからバリローチェへの通常のバスの代金US$21程度、逆にバリローチェからトロナドール山に行くツアーがUS$13.3なので、合計US$43.58であるのに対し、バリローチェまで1日で行ってしまう観光兼国境越えのツアーはUS$140もしている。トドス・ロス・サントス他2回船に乗るとしても、また荷物はスタッフが運んでくれると言っても、あまりに金額に差がありすぎるので、利用する気には到底ならない。メリットと言えば時間の短縮だろうか。プエルト・モンから日帰りツアーで1日、バリローチェへの移動で1日、バリローチェからトロナドール山へのツアーで1日の計3日を1日で済ませることができるからだ。それにしても、時間に余裕があるのなら、安いツアーでじっくり見た方がお得だと思った。

 湖の水はまだ冷たく、手を浸すとひんやりとしていたが、もっと暑くなってきたら、トドス・ロス・サントス湖畔に宿泊して、湖水浴を楽しむ人も出てくるだろう。それも気持ち良さそうだ。

 こうしてトドス・ロス・サントス湖の遊覧を20分ほど楽しんで、元の場所に戻ってきた。

 こうして17時半、トドス・ロス・サントス湖を出発。そういえば、今日のツアーのタイトルになっているペトロウェの滝ってやつにまだ行っていないなぁ。もしかし、行かないのでは?と夫と2人で少し心配になってきた。

○ペトロウェの滝
 しかし、私たちの心配は危惧に終わった。トドス・ロス・サントスから車で来た道を戻り、さっき通り過ぎた国立公園の入り口で停車。ここで入場料A$1200(=US$2.33)を支払って国立公園に入った。いよいよペトロウェの滝見学である。国立公園内部は、様々なトレッキングコースに分かれているが、我々は滝に直行してくれと言われた。入り口から歩いて、分岐点に来たら、常に左のコースを選ぶと滝に行けると言われ、左へ、左へと進んでいった。

 10分も歩かないうちに、橋の下に美しい渓谷の風景が広がる頃になると、ザーッという迫力ある水音が聞こえてきて、滝が近いことを知らせた。そしてすぐに、滝が見えてきた。ペトロウェの滝は、滝自体は大きな規模ではない。落差もそんなにあるわけではない。しかし、春の雪解け水が、豊富な水量となって、エメラルドグリーンの川に白いしぶきをあげ、その向こうにオソルノ山がくっきりと眺められる、その全体の風景が何とも素晴らしかった。



 滝は、幾筋にもわかれていて、最初の滝が見えてからは、滝沿いの遊歩道を伝って、川の左側へと歩きながら色々な角度から異なる滝を見られるようになっていた。
 滝見学コースの先端は、特に人気の場所で、大勢の人がこの圧巻に興奮して、写真大会となっていた。

 チリ人が多かったように思う。コース先端で、滝の水が轟々とうなりをあげている所で、チリ人の10代後半の男の子に「シャッター押してもらえませんか?」と言ったら、男の子は夫の隣に立ってポーズを取っている。「いやいや、そうじゃなくって、写るのは私ですから」と言うと、最初から事情がわかっていた男の子の友人は、近くで腹を抱えて大笑いしていた。自意識過剰ですねぇ。

 チリではまだデジタルカメラは普及していない。だからファインダーをのぞくのでなく、液晶画面を見て写すのに慣れていない。それでも、チリの人は「撮りましょうか?」と言ってくれる人が多いので、何枚も取ってもらった。3人くらいに撮ってもらったが、頭が切れて写ったり、どうしても斜めに写ってしまったりして、一つもうまく写っていなかった。で、結局満足のいく写真は自分で撮るしかなかった。


写真左上:一番人気のコース先端の欄干
から撮った風景。滝に落ちる前の
川の様子が凄い。

写真上:左上の写真の右手の風景。
左奥には、ミニオソルノ山みたいな
プンティアグード山が見える。

写真左下:滝から振り返ると、エメラルドグリーンの川となって流れていく川が見える。
 こうして、滝見物にたっぷり1時間費やして、最後の目的地、緑の湖に向かった。

○緑の湖Laguna Verde
 車でプエルト・モン方向に戻り、右手の道に入ると滝から15分ほどで緑の湖に到着する。

 こうしてあらためて写真で見ると、風のない湖面に周りの木々が映りこんでいる風景は、この日初めてだったので、それなりに面白いとも言える。しかしペトロウェの滝を見た後では、少し濁ったこの緑の湖は、湖というより沼に見えて、あまり美しくは感じられなかった。

 最初にツアーで聞いていた内容では、ペトロウェの滝を見てからトドス・ロス・サントスに行くというコースだったが、こうして全ての見所を見てみると、ペトロウェの滝が一番良かった。コースの最後にハイライトを持ってきてくれたのは、通常のツアー内容だったのかガイドの計らいだったのかわからないが、この方がよりドラマチックなツアーとなる。

 こうして、晴天に恵まれた中、オソルノ山を色々な場所から見ることのできるツアーが終了。プエルト・モンの宿に戻ったのは、午後9時を過ぎてからのことだった。それでも、やっと日が落ちる時間だった。


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