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2006.03.10
コルコバードの丘〜失敗の巻〜
ブラジル:リオ・デ・ジャネイロ |
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リオ・デ・ジャネイロの代表的な観光名所の一つであるコルコバードの丘は、イパネマビーチの北側にあり、天気が良い日は肉眼でも丘の上に経つキリスト像が見える。
ガイドブックによるとコルコバードの丘は夕刻がいいとあった。夕暮れ時にリオ・デ・ジャネイロの街並みがオレンジ色に染まっていき、町の明かりが一つ、また一つと灯り始める。ライトアップされたキリスト像が闇の中に浮かび上がるってなことが書いてあり、なかなか魅力的だった。
イパネマからは市バスの583番で行けると宿の人に教わり、午後3時頃宿近くのバス停からフラッとバスで出かけてみることにした。イパネマからまっすぐ北に向うのかと思いきや、バスは左手から北上してダウンタウンに近づいている。地図で確認して、コルコバードの丘に行く登山電車が出ているのが丘の東斜面を下った所にあることがわかった。20分もあれば行けるだろうと思っていたが、この遠回りの道のりのせいで1時間近くもかかって丘のふもとに到着した。
バスを降りると首から顔写真付きのIDをさげた男性が近寄ってきて何やら熱心に話している。リオ・デ・ジャネイロではないが、やはりブラジルの他の都市でもある「公式ガイド」の勧誘だと直感。この手のガイドは何をもって公式と言っているのかわからないが、頼むと法外な値段をとられるらしい。もっともポルトガル語もわからないため頼んでもそもそも意味がない。「何をおっしゃっているのか、さっぱりわかりまへんわ」と肩をすくめながら言ってやり過ごした。バスを降りた道を渡って進行方向に少しだけ進むと、左手に登山電車の模型が見えてくる。ここから丘に登るようだった。
今まで全く普通の町中を通ってやってきたのだが、ここだけ物凄く観光名所のようになっている。
コルコバードの丘グッズを売る土産物屋があり、その奥に登山電車の模型と歴史などの説明が書いてあるカルチャー・センターという建物があったりした。
ケーブルカーの運賃は往復でR$36(=US$17.01)。2004〜2005年度版のガイドブックではR$25だったから相当の値上げ率である。まぁ、ここだけでなくブラジルに入ってから、様々な入園料や交通費はのきなみ上がっている。ブラジル経済がここ数年でかなり成長しているということなのかもしれないが、旅行者にとっては予算が思惑通りに行かない。
登山電車は進行方向の右手の景色がいいということだったが、右手の2列は逆向きの椅子で誰も座っていなかった。走り出してすぐに電車は急な斜面を登り始め、逆向きの椅子に座り続けるのが大変な労力が必要だとわかって、私も左手の椅子に移ることになった。電車は途中いくつかの駅に停車し、地元の人を降ろしていく。この辺りに住んでいる人の交通手段にもなっているのだ。
電車は鬱蒼とした森の中を走り、なかなか景色は見えなかったが、乗車して26分後に右手に視界が開けてイパネマの北部にある湖が見渡せた。景色がよかったのはここだけだった。
30分後に終点に到着し、ここからは階段かエスカレーターで丘の頂上までいけるようになっていた。電車を降りた時から、いや電車に乗っている時からだんだんと霞のような雲が周囲を覆い始め、丘の頂上に到着してキリスト像を仰ぎ見るころには、真っ白けの雲の中になってしまった。
こんなに標高が低いにもかかわらず、近くに海があり、周りに高い山がないことで、コルコバードの丘は非常に雲に覆われやすいということを、以前サン・パウロの宿のご主人に聞いていた。コルコバードの丘に行ってきた宿泊客の意見は真っ二つに割れる。天気が良かった人は素晴らしいと賞賛し、そうでなかった人は行った意味がなかったとがっかり。まぁ、私たちの場合は完全に後者のパターン。
到着した時には真っ白で足元しか見えなかったキリスト像は、移り変わりの早い天候で、サーッと霧が晴れて姿を現したり、またサーッと曇ってしまったりという状況が続いた。眼下の景色なんてぜーんぜん見えなかった。あーあ、失敗。ちょっと面白かったのは、みんなでキリスト像の足元に待機しているのだが、霧が晴れるとドッとみんなが駆け寄って、思い思いのポーズで記念撮影しては、また天気待ちするうちに一体感が出てきたことだった。しまいには霧が晴れると「うおー」っと歓声があがり、拍手さえ起こった。晴れてまるまる見えていたら、こんなにありがたい気持ちにはならなかっただろう。それだけが、今回の面白い所だった。
この時期のイパネマ海岸は朝のうちは晴れているが、夕方から曇りがちだった。それをもっと考えるべきだったのに・・・。登山電車の代金が高いので、4人くらい集まればタクシーをチャーターした方が安いんじゃないのかなぁ。土産物屋の絵葉書にはコルコバードから見たリオの写真がいやというほどある。あの景色を見たいとは思うが、もう1回行こうという気力もなく、今回のコルコバードの丘は失敗のまま、リオを離れることになった。ま、しょーがないよね。
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