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2006.03.25
ナタル名物の砂丘を満喫!
ブラジル:ナタル |
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雨季のナタルは到着して3日目の24日になってようやく晴れてきた。10分くらいの雨が2回降ったものの、1日中ポンタ・ネグラ海岸でゆっくりしてビーチを楽しんだ。ナタル名物の砂丘は見られなかったけど、天気が悪くちゃ行っても楽しめないしねぇと、今回は行かずに明日はレシフェに戻ろうと思っていた。
ところがその夜、何度か顔を合わせているブラジル人青年に宿内の廊下で出会うと、彼はすっかり日焼けした顔で「いやぁ、砂丘のツアーは最高でしたよ。景色はきれいだし、バギーカーは面白かったし」と目をキラキラと輝かせて語るではないか。何?砂丘ってそんなに面白いの?
「ナタルに来て砂丘を見ないで帰るなんて意味ないよなぁ」と薄々思っていた私たちは、彼の話で俄然砂丘を見に行きたくなってしまった。早速宿のフロントで聞いてみると、ナタルから一番近い砂丘はジェニパブ海岸付近にあるということだった。自力で行くのならナタルの長距離バスターミナルからバスで行くのだそうだが、片道3時間はかかるだろうと言われた。距離から考えても3時間はオーバーだろうと思ったが、この辺りのバスはかなり多くの停留所を周っていくし、ジェニパブ海岸に行くには川を越えなければならない。川をボートで越えずに陸路で橋を渡るには、もしかしたらとんでもなく大回りして行かなければならない。宿のあるポンタ・ネグラからタクシーで15分くらいしかかからない長距離バスターミナルに、バスで行くと40分もかかる地域だ。フロントの情報はあながち嘘でもないと思われた。
「それで、ツアーに参加すると」とフロントは言葉を続けた。朝9時に出て夕方6時くらいに帰ってくる日帰りツアーがあって、砂丘と砂丘の周りのラグーンとジェニパブ海岸を周るのだそうだ。値段はR$60(=US$28.3)。行きたい日の当日朝7時までに申し込みができるということだった。
25日の朝は6時半くらいから気になって自然に目が覚めてしまった。窓からは朝日がさしている。6時45分に海岸に行って見ると、天気が流れてくる南の空に雲はあるものの、何とかなりそうに思えたので、きっかり7時に申し込みを行った。
出発は8時半から9時。申し込んだ時、リストに私たちの名前しかなかったように思えたが、9時ちょっと過ぎに「さぁ、出発です」と言われるとザザッと8人が立ち上がった。昨日の夜に詳しく聞いていなかったが、今日のツアーは終始バギーカーで移動するようだ。宿の前に2台のバギーカーが並んでいて、私たちはイギリス人カップルと車に乗り込むことになった。
バギーは時速80キロくらいで海岸沿いの道を北上していった。乗用車と違ってオープンカーのバギーだと体感120キロくらいに感じられる。物凄い風を受けながら、20分も疾走するとナタル北部にあるポテンギ川に到着した。ここでは車ごと乗り込めるはしけがあり、10分もすると対岸に到着した。
そこから15分、レディーニャRedinha海岸の浜辺と小さな村の中を走り抜けて15分、砂山の急斜面をバギーで登りきった所が最初の見所のラゴ・ジェニパブLago
Genipabuだった。初めての乗るバギーの振動から開放されて車を降りると、砂丘に囲まれた湖が見えてきた。湖面から自分たちが立っている所はビルの10階くらいに相当する高さになる。
ややベージュがかっているが白く輝く砂とグリーンの植物に囲まれた湖はかなり下の方に見えた。自分の立っている所から数歩進むと、そこから先は急斜面になっていて、ある所以上に進むと、ザーッと簡単に滑って湖に落ちていきそうな恐ろしさがあって、皆ちょっと引きがちに遠目から見つめていた。
しかし、茶目っ気と勇気を持ったイギリス人のアッシュが、一歩また一歩と坂を降り始めた。
見ていると1足ごとにかなり深く沈んでいくので、そのまま滑り落ちる危険はないようだ。それで、私もちょっと下まで降りてみた。これでもかなりの急傾斜を降りているように感じられて、恐ろしくて後を振り返ることはできないくらいだった。
再びバギーに乗り、今度は砂丘の上から反対側にある海が見られるポイントに移動。
ここからバギーのジェットコースターライドが始まる。急な斜面をグーッと上がって弧を描いて降りるという運転。バギーの後部座席の端っこ、斜面の下側が一番臨場感のある席だ。こうして写真で見ると20度くらいの傾斜なのだが、このまま坂を横転しそうな気がして、ギョエーッと叫んでしまう。初めてのジェットコースターライドはこんな坂を2つほどこなした所で終了。
2番目の見所は、左手にジェニパブ海岸Genipabu、右手に新レディーニャ海岸Redinha
Novaが見える所でだった。
新レディーニャ海岸はもっと右手にあるレディーニャ海岸とジェニパブ海岸の間に新しくできたビーチらしく、短い距離の浜辺。海草が多くて泳ぐのにもあまり適していないけれど、砂丘の上から岬にかけての海岸線が美しかった。眼下の浜辺をバギーカーや自転車に乗った人が通っているのが小さく見える。
一方のジェニパブ海岸は、ずっと先まで弧を描いた長い海岸だった。浜辺から引いた所にレンガ色の屋根が並び、宿泊して楽しめるような海岸だった。雲が厚いのであまり海の色が美しくないが、晴れればもっときれいなエメラルドグリーンになることだろう。
ここで、板切れをもった地元のおじさんが私たちに砂の斜面を滑ってみようよと勧誘をかけてきた。一回R$5(=US$2.36)だという。子供の頃、こんなに大胆な斜面ではなかったけど、土の斜面をダンボールの切れ端に乗っかって滑って遊んだことあったなぁ。イギリス人のアッシュがやるというので、私もやってみることにした。アッシュは単独で、私はおじさんとタンデムだ。
おじさんを足で蟹バサミみたいにして、おじさんの肩につかまって降りた。斜面が急に落ち込む所が一番恐怖だったけど、一度滑り始めると、砂は柔らかくてちょっともぐり気味に進むし、おじさんは用心深く手でブレーキをかけながらゆっくり降りてくれたので、思ったほどのスリルではなかった。しかし、世の中には色々な仕事があるものだ。子供の頃の私がこのおじさんの仕事を見たら、大層羨ましく思ったに違いない。
坂を下りたら自力で砂山を登る。これが結構きつかった。何しろ裸足で降りさせられたものだから、砂が熱くてたまらない。加えて急斜面。降りるときは簡単だったのに、登るとなるとそそり立つように見えるのだった。
こうして砂山で遊ばせてもらって、またバギーに乗った。今度はもっと右手のレディーニャ海岸Redinhaが目の前に見える地点。ここには様々な土産物屋や飲み物を売る露店、果ては「サハラ砂漠をイメージして写真をどうぞ」という趣向でアラビアンな格好のブラジル人とラクダまで用意して待ち構えている。
こういう商業的な出迎えは好まない人も多いかと思う。確かに売り込みはうるさくやってくるのだけれど、賑やかしだと思えばこれも面白い。だって、ラクダとアラブの格好してるなんて、全く自分の砂丘に対するプライドがなくって面白いじゃない。
ここから見るレディーニャの街並みとココナッツの木、その先の海は、天気が良くなったこともあっていい感じに南国の雰囲気。いい景色だった。
ここから、さっきおじさんと滑り降りた斜面の所までバギーで戻ると、何と今度はバギーごとこの斜面を下り始めた。
おじさんと板切れに座っていた時よりも、バギーに乗っている方が目線が高いこともあって、真っ逆さまに落ちていくような感覚にとらわれる。
バギーのジェットコースターライドは、こうして少しずつエスカレートしていくようになっていて、いつまでたっても慣れて退屈することがないようになっていた。
ジェニパブ海岸の浜辺をしばらく走ってから、バギーは左手に折れて村の中を少し走り抜けると、再び川が見えてきた。朝渡った川よりももっと川幅が狭い。ここは車1台分のいかだに乗って渡ることになっていた。
長い竿を操って手漕ぎで進むいかだは5分もしないうちに向こう岸に到着。この何とものんびりした川渡しも楽しかった。
ここからまた浜辺に出ると色々と名前のついた海岸が並んでいるのだが、その3つ目のピタンギPitangi海岸で休憩を取ることになった。11時16分、昼食にはまだ早い時間だ。テントを張った簡易レストランが並んでいるが、飲み物だけで食べ物は置いていないようだった。ここでは泳ぎたい人はどうぞ、ということだったのだが、海草の多い浜辺であまり入りたくない気分だったので、私たちとイギリス人カップルは日陰でおしゃべりを楽しんで時間を過ごした。
この浜辺の裏手にあたる所に、また砂丘に囲まれた湖がある。この湖のほとりにレストランバーがあって、そこで40分〜50分の休憩となった。時刻は11時50分。いよいよ昼食か?とドライバーに尋ねるも、昼食は別の所で取るので、まだだと言われた。
駐車場からレストラン敷地内に入っていくと、楽園のような風景が広がっていた。湖の岸辺は白い砂浜。水際には椰子の葉のパラソルの下に椅子とテーブルがあり、湖に足をつけたまま休憩できるようになっていた。湖では多くの人が泳ぎ、その向こうにまた砂丘が見える。
湖には小さな魚も泳いでいて、じっとしていると目の前を群れをなして通っていく。日に照らされた魚は、実に美しい黄色の熱帯魚だった。ここで熱くなった体の火照りが一気に覚めていく。
この頃までにすっかり打ち解けた8人で記念撮影しようということになり、皆自分のカメラを取り出して、そばにいた女性にお願いして撮ってもらった。これが今日のメンバー。一番色白の男女がイギリス人カップル。中央の我々は前列のブラジル人に迫る勢いで日に焼けつつある。他3人はブラジル人の女性たち。
午後1時から、再びバギーに乗って途中で1回の休憩も入れながら30分もジェットコースターライドを楽しみ、また砂丘の中の土産物屋が並ぶ所で停車した。もう1つアトラクションがあるらしい。
今度は滑車につるした椅子で砂丘を眼下の湖までシャーッと滑り降りるというアトラクションR$4(約US$2)。この手のものは、コスタリカのモンテベルデでさんざん楽しんだから、もうやらなくてもいいやと思っていた。しかし、湖にお尻から着地していくのは大変気持ちが良さそうだったし、同行のめちゃくちゃ明るいブラジル人女性たちが次々と降りていくのを見ていたら、思わず出発台に近づいていた。ブラジル人のフェリックス(男性)は「えー?やるの?勇気あるねぇ。僕は怖くってだめだ」としり込みする中、勇敢な女性の4番目として、私も滑っていくことになった。サンダル脱いで、メガネはずして。コスタリカのに比べると、自分でブレーキをかけなくてもいいし、椅子になっているので、とても楽。うわーい!と叫びながらあっという間に下に到着。ああ、楽しい。これはもう一回やりたいと思った。
今回はさっきの砂山すべりよりも、更に傾斜のきつい高い砂山。これを自分で上がるのは大変だが、ここでは小さな電車みたいなのがあり、これに乗ってザーッと上まで運んでくれるから楽チンだった。
これを見て、フェリックスとイギリス人の新妻のナオミも、とうとうやると言い始めた。結局、カメラマンに徹した家の夫以外の全員が楽しんだ。
更にバギーの旅は続く。
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前に車があると、自分がどんな所を
走るのかがわかって面白い。
あんな程度の斜面かと思っていても
実際は物凄く傾いて感じる。 |
午後2時20分、もういい加減に昼飯を食べさせてくれー!と皆が思いかけていたにもかかわらず、またまたアトラクション。
今後も砂丘の斜面を板で下るのだが、1番目との違いは、最後に湖につっこんでいく所。イギリス人新夫のアッシュは「あーあ、これ最初のより、ずっと面白いよねぇ、面白いよねぇ。先に言ってくれれば、こっちをやったのに」と悔しそうに見つめていた。しばらくして「大人になってよかったと思うのはさぁ」と急に何を言うかと思ったら、「子供の頃はあれをやっちゃだめ、これもだめって言われたけど、大人になったら自分の好きなことを好きなだけできるようになった。それが僕は嬉しいんだ」。「???で?」と問うと、「だから、もう一回やってくるね」と砂丘に向って歩き出した。おもろいやっちゃ。
ブラジル人女性たちはそんな逡巡もなく、既に砂山の上から次々に降り始めていた。この人達は本当に旅を満喫している。
この砂山は最初のよりも急斜面で、バランスを取るのが難しい分、面白そうだった。
フェリックスが「いい加減、お腹が空いちゃったんだけど、お昼ご飯はまだなの?」とドライバーに尋ねた。私も同じ気持ち。で、このアトラクションの後は、近くの海辺のレストランで昼食となった。みんな食欲が旺盛だ。よく食べて、たくさん楽しむ。ブラジル人っていいなぁ。本当にブラジルという国が気に入ってきた(本日の献立「2006年3月25日」の昼の写真をクリックして詳細)。
この昼食でツアーの全てが終了。午後4時にバギーに乗り込んで帰途についた。帰りはずっと浜辺を走っていく。フェリックスとブラジル人女性3人を乗せたバギーは、もう音楽に合わせて踊りまくり、歌いまくりでノリノリ。そんな時、フェリックス達の乗った車が急にストップ。何かと思ったらガス欠だって。えええ、そんなぁ。ツアーなのに、プロなのにあり得ないでしょう。と私たちは眉をしかめかけた。ふと皆を見ると、だったら木登り大会だぁって、椰子の木に登り始めているではないか。そうか、こういう時は椰子の木に登ればいいのかぁ。って、ブラジル人は発想が柔軟だ。
結局、我々のバギーが近くのガススタンドまでガソリンを買いに行くことになった。木登りの次は、フェリックスのダンスショー。そして、ミニサンバステップ教室と浜辺のダンスパーティーとなった。
最後には皆で輪になって、腕を組み、グルグルと回りながら踊っていたら、いつの間にかバギーが戻ってきて、ガソリンが補給された。
さぁ、帰ろう。時折村を通りかかり、村人達が浜でビーチバレーしたり、夕涼みしている。バギーで立ち上がって王様のように村人に手を振るフェリックスにならって、皆も何故か手を振りながら走り去った。
波打ち際を競争するようにバギーが抜きつ抜かれつして走っていく。
バギーの上で「抜かせー、ああ抜かされたー」と大騒ぎしながら、誰もが今日のツアーに大満足しながら宿まで戻った。
ナタルの砂丘のツアーに、こんなにアトラクションが用意されているとは驚きだった。砂丘を走って、見て、滑り降りてと様々な体験で砂丘を満喫できるようになっている。これが人工的に作られたテーマパークではなく、自然現象でできた砂丘の上でできるのが満足感が高い。ブラジルの魅力的な所をブラジル人と楽しめたというのも非常にいい経験だった。
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