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2006.04.08
日帰りでトレドToledoへ
スペイン:マドリッド |
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マドリッドから日帰りで観光できる近郊の都市として、我々は今回トレドとアランフェスに行くことにしていた。
インターネットで天気をにらんで、今日8日の晴天にトレド行きを決定。マドリッドのアトーチャ駅まで地下鉄で行き、南バスターミナルからバスでトレド行きに乗る。トレドとマドリッドの往復バスは30分ごとに出ているので、とても気軽に行けるし、チケットも片道EUR4.25と手頃だ。土曜日の朝10時発のトレド行きのバスは、観光客をのせて満席に近い状態でご機嫌に出発した。
1時間後、トレドのバスターミナルに到着。ガイドブックによると、トレドの魅力は迷路のような街中を散策することと、丘の上からトレドの町を見下ろすこととなっている。バスターミナルにあるインフォメーションに聞いた所、丘に行くにはバスターミナルからタクシーを利用するか、ここから徒歩でトレドの町の中心広場に行ってそこからバスに乗るしかないということだった。「ここから丘まで歩いて行けないの?」と聞くと、「とぉーんでもない、遠すぎるよ」と言われてしまった。
せっかく晴れて気持ちのいい午前中。この時間帯に丘から街を見下ろしたいなぁ。街の中心まで行くと時間のロスでもある。タクシー運転手に丘までの料金の概要を聞くと、4〜5ユーロくらいだというので、まぁ、それならいいだろうと早速タクシーに乗り込んだ。
トレドは、蛇行する川に囲まれた小高い丘になっている。この街を見下ろす別の丘は、川の対岸のもう少し上の方。タクシーは、まずトレドの丘のふもとをグルッと周り、そこから橋を渡って川を超え、更に上り坂を走っていった。到着したのは中世風の建物を利用したホテルだった。
昨年(2005年)、アメリカ合衆国の西海岸にいる時にケーブルテレビでHGTVというチャンネルが面白くてよく見ていた。家のリフォーム専門チャンネルで、番組内予算やリフォームしたい場所に特化して様々な番組が組まれているのだが、見続けていると番組に関係なく「ああ、今のアメリカはスペイン風の内装がトレンドなんだなぁ」ということがわかった。テラコッタを使ったエコロジカルな概観と、内装にはどっしりとした木の家具や鉄製の置物をおいたりするのをよく見たものだった。それで、トレドのこのホテル。ここには、あの番組で目指していた世界がそっくりある。本物だー!とにわかアメリカ人の気分でおおはしゃぎ。中世貴族の気持ちでロビーで写真を撮ったりしてみた。
さて、このロビーを抜けると、トレドに向かって視界が開けた、大きくて気持ちの良いテラスがあり、宿泊していない人でもここを訪れる観光スポットになっている。
青い空の下に広がるトレドは、3方を川に囲まれた丘の上にあり、同じ色調の屋根と壁の建物がみっちりと建てられて、精巧に造られたおもちゃのようにも見える。
丘の斜面にそってこちゃこちゃと建てられた家というのは、メキシコのグアナファトで見たのが最初だった。それからボリビアの首都ラ・パスもあった。いずれも中央に向かってすり鉢上にへこんだ形の街だった。また、チリのビーニャ・デル・マルの隣の町バルパライソは海に向かって下る斜面にぎっしりと家が建っていた。斜面に家を建てるというのはスペインのお家芸なのだろうか。
南米が華やかな色使いの屋根や壁なのに対し、こちらは統一感のある色になっているのが違い。あとは、南米は近づいてみるとボロボロの家ばかりで屋根もトタン板だったりするんだけど、こちらはビシーっときれいにメンテナンスされて瓦屋根を使っている。やはりこちらの方が見た目がずっときれいだ。
こうして外側から丘を堪能した後、バスでトレドの町の中心部に戻ることにした。このホテルの私道をから公道まで出たところがバス路線になっているとホテルのフロントで教えてもらって歩き出した。
バス路線になっている道は川沿いにヘアピンカーブを描きながら川に向かって下る道。途中には展望ポイントがあるらしく、車道沿いに駐車スペースがとってある。ここからバスで一直線に戻ってしまうのは、ちょっともったいないなぁ。ということで、マチュピチュのグッバイボーイよろしく、ヘアピンカーブの道路を直線に徒歩で下って下の道路にどんどん降りていった。南米に行かなかったら、こんなワイルドな方法を思いつかなかっただろうなぁ。でもこの下り坂には獣道のように細く道がついていて、この方法で下るのが私たちだけではないことを物語っていた。(犬かも?)
思った通り、視点を下げて見たトレドも面白い景色だった。
さて、この景色も堪能したし、あれ?バスはどこから拾えるんだろうか。川沿いの道を左方向にぼちぼち歩いて行くと、バス停発見。しばらく待っていると、スペイン北部から旅行でやってきたというスペイン人のご夫婦もバス停にやってきたので、バスを待ちながらしばしおしゃべりした。バスを待つこと20分、午後1時のバスに乗り、15分で中央の広場に到着した。
中央の広場には観光案内所がある。そこで地図をもらうと同時に、見所を聞くと、地図上にぐるぐると丸をつけて、こういうコースでここを見なさいということを教えてくれた。すごく手際がいい。
手軽にケバブで昼食を済ませて、まずはドン・キホーテの銅像と記念撮影。
ここトレドは、ラ・マンチャ州であり、ラ・マンチャと言えば「ラ・マンチャの男」で知られるドン・キホーテを生んだ土地でもある。ドン・キホーテといえば、インターネットの世界では「安売りの殿堂」が先に検索されてくる時代ではあるが、往年の名作に敬意を表してパチリ。そういえば、南米でも本家のドン・キホーテは人気キャラで、ドン・キホーテ博物館を作って町の観光スポットにしている所もあるくらいだった。
トレドの観光スポットとしては、アルカーサル(城)、トレド大寺院などあるが、肝心のアルカーサルが改修工事中だということで、観光はもっぱらトレドの街中をぶらつくことになった。外から見ていた時に想像がついていたように、トレドの中は迷路のように細い道が続き、石の建物と石畳の細い道で切り取られた目の先の青い空に教会の小塔が見えてくるなど、歩いているのが楽しいところだった。
街のお菓子屋さんには、その昔修道女が焼いていたというマジパンのお菓子が土産物として売られていた。最初見た時は、「こ、こんな所で焼き餃子か?」と思ってしまったが、そんなはずはなかった。
大聖堂の前は芝生や花が植わった気持ちのよい場所があって、みんなベンチや、大聖堂前の建物の階段に腰掛けて休憩している。
なんだかとても気持ちがよさそうだったので、私たちもここで休憩することにした。迷路のような道を行きつ戻りつしていると、知らないうちに結構歩いてしまうことになる。中央のインフォメーションから渡された地図に従って、この大聖堂あたりにたどり着くころに、ちょうどみんな疲れちゃうってことになっているようだ。
トレドは中世の雰囲気を満喫できる町だった。最後に土産物屋の店頭に飾られたちょっと腰の低い鎧を通り過ぎ、どんどんと坂を下りてトレドの町のふもとまで降りた。町を出る所は、大きな門になっていて、かつては外敵を監視していたと思われる
この大きな門に見送られながら、バスターミナルに戻った。マドリッドからの日帰りにぴったりのコースだ。
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