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2006.04.12
日帰りでセゴビアSegoviaへ
スペイン:マドリッド |
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あさっての夜行でボルドーに向かう。もうボルドー行きの列車のチケットも買ってしまったので、今日、明日はゆっくりとしておこうと思っていた。
しかし、昨日同じ部屋にいたドイツ人女性と、別の国の(出身国は不明)男性2人組みから、セゴビアに行ってきたという話を別々に聞かされた。「ガイドブックじゃトレドが有名かもしれないが、セゴビアの方がもっと中世の雰囲気が楽しめて、よかったと」2組とも口を揃えていうではないか。何?トレドに行った私たちだが、そいつは聞き捨てならないねぇと、にわかにセゴビア行きへの意欲がむくむくと沸いてきた。日本語のガイドブックを再度読み直してみると、「(トレドよりも)こちらのほうが典型的なよさをもっている」などと書いてある。むむむ。行かねば・・・。
ということで、移動も間近ではあるが、急遽セゴビアに行ってみることになった。
今回はマドリッドの地下鉄Principe Pio駅近くのバスターミナルからバスが出ているということで、地下鉄を降りてから昔の駅舎を使ったショッピングモールを通り抜けて屋外に出てみたのだが、このバスターミナルがなかなか見つからない。様々な人に聞いて、20分くらいかかってやっとバスターミナルを見つけ出した。正確にはバスターミナルではなくラ・セプルタヴェーナLa
Sepulvedanaというバス会社のオフィス兼チケット販売所兼バス発着所だった。ショッピングモールの地上階から外に出て、右手方向に走っている道路沿いに大きな看板を出したホテルがある。その付近なのだ。うう、わかりにくい。
チケットを買ってみたら、出発まであと2分くらいしかない。1階に停車しているバスの運転手に聞いたら、ここじゃなくて地下駐車場からの出発だぁと叫ぶ。地下に走って行き、何とか出発前のバスに乗り込むことができた。
バスで40分、セゴビアのバスターミナルに到着。ターミナルを出て左手に続く大通りを進んでいく。
店が続く通りの途中には、古びた教会もあって、この通りから中世の雰囲気が少しずつ始まっているようである。
やがて目の前に大きなアーチ型の物が見えてきた。これが、旧市街と共に世界遺産に指定されている水道橋の一部である。
この水道橋から左側にセゴビアの旧市街が広がり、水道橋の真下にくると右手にずっと水道橋が伸びているのが見える。
近くで見ると、石と石の重みで崩れないようになっているアーチの様子がよくわかる。ここからずーっと続くアーチの連続はとても美しかった。
水道橋のふもとに観光案内所があるので、そこで地図をもらう。例によって(トレドでも経験したのだが)、地図を渡してくれる時に手早く見所に丸をして、観光散策コースをボールペンでグリーっと道に書いてくれた。スペインの国をあげてこういうことをやろうってことになっているようだ。
そのコースにそって街中に入ると、古い石造りの建物にはさまれた石畳の道は、途中でいくつか分岐して迷路のように町中に張り巡らされている。途中、途中で見所といわれる建物があり、どれも他の建物と比べると改築されずにそのまま残っているかなり古い建物だった。残っている建物にしても、昔のものを再現しているようだし、ショップが入っていても看板などはとても控えめになっているので、歩いていると、タイムスリップして鎧を身に着けた騎士が馬に乗ってやってくるような気分になってくる。ガイドブックで読んでも、写真を見ても、人から話を聞いても、「中世を感じられる」というのがピンとこなかったのだが、ここを歩いたらすぐにわかる。旅をしていると、そういうことが多い。
やがて道は、広場に出た。左手に壮麗な教会がある。両脇を重厚な建物にはさまれるように細い道を歩いてくると、この広場は普通以上に開放感があるように感じられる。この教会の出現は、なかなかドラマチックなアプローチを踏むようにできている。
乳白色の石作りの教会は、小塔に繊細な飾りをたくさんつけて、青空を背景に貴婦人と呼ばれるにふさわしい姿を堂々とあらわし「ようこそ、私の町、セゴビアへ」とでも言っているように聞こえた。
この教会の場所が、旧市街のへその部分にあたる。広場の周りには気持ちの良いカフェが並び、昼前からワイングラスを傾けながら教会をうっとり眺めている観光客などが見受けられた。
ここに至るまでに、各レストランも物色しながら歩いてきた我々だが、セゴビアの旧市街の内部にあるレストランはどれも観光客値段で、昼食のセットメニューがEUR18以上。マドリッド市内よりも高い感がある。一番のハイライトともいえるこの広場のカフェは、その中でも最高値なんだろうなぁと想像して、カフェのメニューをチェックさえしなかった我々である。まだ南米価格ショックから立ち直れない。というか、マドリッドの物価はどうしてもこの国の経済イメージからして高すぎる感がぬぐえないので、スペインにいる限り、購買意欲はわかないだろうなぁ。
とまぁ、そんなしょぼい話はおいといて、貴婦人の教会の右手から続く石畳の道を更に奥へと歩いていく。先ほどの両脇がショップという華やかな道と比べると、店の数が減り、ますます現代とは感じられない雰囲気が深まる。この道のずーっと突き当たりが旧市街の一番奥。そしてお城になっている。ディズニーランドの白雪姫城のモデルとなったということだったが、はて記憶にないなぁ。帰ってから調べたら日本のディズニーランドにはないらしい。
それにしても、私たちが子供の頃から思い描いていたヨーロッパのお城のイメージっていうのは、ディズニーランドの力によるものが大きかったことを実感。だって、このお城を見たとたん、「ああ、こういうのがお城よね」と腑に落ちちゃいましたからね。
中世のたたずまいの町だけど、設備は近代的。場内の見学チケットと塔に登るチケットを買って、地下鉄の改札のような所にチケットをスリットしてバーを押してから場内に入るようになっていた。
内部はヒンヤリとしていている。以前、天気の悪い春先にドイツのライン川沿いの古城めぐりをしていて、石の城の寒さを初体験して驚いたが、ここもかなりヒンヤリ。鎧を飾った1室や、古めかしい宗教画がかけられた部屋など、ここにも中世の香りが高かった。ま、一番気になったのは、鎧の足先が異常に尖って出ていること。ヨーロッパに来てから、ここまで先が出ていないが、かなり先が細長く出た紳士靴を履いた男性を何人か見て、流行っているのか?と気になっていたのだった。も、もしかしてここにそのデザインの原型があるのだろうか?「今年の足元は中世の騎士を意識した先長シューズで決めてみては?」・・・まさか。
城の塔へは、一旦城内に入る入り口から出てから、すぐ隣の別の入り口から入りなおす。狭い円筒状にしつらえられた螺旋階段をぐるぐると上って城の屋上に出ると、周りの風景が気持ちよくみわたせた。城の入り口側は、今日通ってきた旧市街の町並みが一望できる。反対側は平原が続いている。
セゴビアの旧市街は小高い丘の上に作られていて、城の上から見ると、この部分を船の舳先とした大きな軍艦の中に街が作られているように感じる。平原を渡ってくる敵をここから常に監視して、城下町内の平穏を守っていたのだろう。屋上には監視小屋だったと思われる小塔もあった。
他の見所としては、ユダヤ人が多かったのでシナゴーク(ユダヤ教の礼拝堂)もいくつかあり、それも観光見学の1つとなっていた。
ツーリストに向けては、子豚の丸焼きと付近の川で取れるトゥルーチャ(鱒)のソテーが地元の名物料理だということだった。確かに、この2つのメニューを含んだ昼食のフルコースを出しているレストランが多い。しかし、先ほども書いたように、どこもそれなりの価格である。コストパフォーマンスを考えると、そこまで値したいだろうと我々はここでの名物料理は食べないことにしたが、旅の予算を上げられる日がきたら、この辺りで一発名物料理を食べてもいい。それは次回のお楽しみだ。
トレドとセゴビア、どっちがよかっただろうか。どちらも石畳の道が張り巡らされた中世の雰囲気がたっぷりある町であり、セゴビアの方が落ち着いていると聞いてきたが、それなりにレストランの呼び込みもあり、馬鹿馬鹿しい土産物もあった。しかし、トレドの大聖堂とセゴビアの教会と城というハイライトの建物を考えると、セゴビアの方が美しくメンテナンスされている。トレドの大聖堂はかなり黒っぽくなってしまっているのだ。好みにもよるが、私はきれいな物が好きだ。したがって、今回の中世の町の比較では、セゴビアの方が印象が良かったということになるだろう。
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