夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.04.29
イル・ド・フランス(1)サヴォワ邸とサン・ジェルマン・アン・レー

フランス:パリ

 パリに訪れるのは、今回で5回目になる。というのに、毎回短期滞在でパリ郊外のイル・ド・フランスのどこにも行ったことがなかった。イル・ド・フランスは「フランスの島」という意味のこの場所は、パリを中心に半径100kmに広がる地域を指すそうだ。

 王様の狩猟場だったフォンテーヌブローの森、ヴェルサイユ宮殿、画家のミレーやルソーなどの「バルビゾン派」の画家達が住んでいたバルビゾンなど、緑豊かな郊外に見所の多い地域でもある。

 よーし、今回はパリ郊外から行ってみようということで、まずは、パリ北西方面にあるサヴォワ邸とサンジェルマン・アン・レーに行くことにした。

 サヴォワ邸は、建築に興味がある夫から何度も聞かされていた世界的に有名なル・コルビジェという建築家の代表作である。結婚した当初、サヴォワ邸の写真を見せられて、「将来、こんな家はどうかなぁ」と言われたことがあった。家というと大小はあるにしても、地面から壁が立っているという概念しかなかった私にとって、それはびっくりくりくりな家で、「どうかなって言われてもねぇ」と冗談としか思えなかったのだが、彼はなかなか本気だった。

 それからサヴォワ邸の素晴らしさについて、事あるごとに語って頂いていたので、今回イル・ド・フランスを訪れるにあたって、記念すべき(って程大げさでもないが)第1弾はここにしようってことになった。

 地図を見ると、その近くに城と庭園のあるサンジェルマン・アン・レーという見所もあるらしい。ついでに行ってみようということで、今日のスケジュールが決まった。

 サヴォワ邸はパリ郊外を走るRERのA5線の終点ポワシーPoissy駅で下車して徒歩15分。

 駅の改札を出た右手に、サヴォワ邸への道順を説明した地図がはってあったので、何となくこっち方向ってのを理解しつつ、デジカメにもおさめて出発。

 すると、歩き始めて数分でマンション前の道路を使ったマルシェに遭遇。おいしそうな香りが鼻をくすぐる。土曜日は市が立つらしい。

 「ちょっと寄ってみようか」と言うと、すぐに了解を得た。こういう時、食いしん坊の相棒を持って幸せだと感じる。

 家の近所のマルシェは、生鮮食品や衣料品など生活密着型なのだが、ここのは手作り工芸品やワインやチーズなど、売られているアイテムといいそのディスプレーといい、お祭り的な要素が多いマルシェだった。

フォアグラなどの瓶詰め。

スパイスの売り方が可愛い。

手作りチーズのお店は、隣にやぎ小屋まで作って

このやぎの乳で作ってますーというアピールも。

 大きなフライパンからいい匂い。色んな種類のソーセージの入ったフライパンと、ベーコンとじゃがいものクリーム煮のフライパン。椅子とテーブルも用意されていて、ここで買って食べられるようになっている。

 「うわー、おいしそうだねぇ、どうしようか」って、まだ目的地に到着してないじゃない、私達。今日はサヴォワ邸を見に来たのだということを思い出して、この誘惑の場所を立ち去ったのだった。

 途中でちょっと迷ったが、近くにいる地元っぽい人に「サヴォワ邸に行きたいのですが」というと、皆一生懸命に教えてくれて、問題なくサヴォワ邸に到着した。寄り道しなければ、確かに15分くらいで着くだろう。サヴォワ邸は森林の中にあると思っていたが、そこまでの道のりは普通の住宅街だった。写真で見たイメージと違うなぁ。

 ところが、邸宅の敷地内に一歩入ると、木々が生い茂り、ここだけで森林を形成していたのだ。

 外塀に沿った緑の小道を数十メートル進むと、右手に写真で見たサヴォワ邸の後ろ側からの姿が見えてきた。

 なるほど、こうなっていたのか。敷地の真ん中に真っ白な家が建てられ、周りは豊かな緑に囲まれている。ここで写真を撮ったから、森林の中に建っているように見えたのだ。後ろ側からぐるっと回り込んで、正面に立って、写真で見ていたサヴォワ邸の実物に対面した。


 さっきのマルシェで食欲を刺激されていた我々は、まずサヴォワ邸を見ながら芝生の上で手持ちのお弁当を広げた。日本人にも有名なサヴォワ邸で多くの日本人も訪れただろうが、ここでおにぎりをパクついたのは我々が初めてに違いない、と夫は妙なポイントを得意げに語った(昼食の内容は「本日の献立2006年4月29日昼」の写真をクリックしてご覧ください)。

 それでは早速中に入ってみよう。最初にたどり着いた裏側に玄関がある。ここで入館料を支払うと、各国語のパンフレットの中から日本語のパンフレットを取り、そこに書かれている説明と順路に従って見ていった。
日本語の解説があって、とてもいい。わかりやすいし、楽しさも倍増だ。

 この家は、保険会社の重役だったサヴォア氏がコルビジェに依頼した週末の家だそうだ。週末の家!

 1階の玄関ホールからゆるやかな坂を上がると、左手に空中庭園、奥に広いサロンがある2階になる。
 



 サロンには当たり前だが、至る所にコルビジェの椅子が置いてある。サロンから空中庭園に出るガラス張りのスライディングドアはとても大きくて開放的で、反対側の壁は横一文字に窓が貫いていて、外の樹木が借景になってシンプルな内装に色を与えている。サロンから空中庭園にかけての部分は、この家の中で私が一番気に入った所だった。

 空中庭園からは屋外のスロープで屋上まで通じている。この屋上をパンフレットでは「ソラリウム」と表現していたので、日光浴する場所なのだろうか。

 2階の空中庭園は、四角いコンクリートの板が置かれているのだが、この板の下には土が敷いてあって草が生えている。

 夫の解説によると、コンクリートは直射日光を浴びると乾燥収縮してひび割れたりするのだが、こうして土や草で覆っていると保湿効果があるために、コンクリートがひび割れしにくいのだそうだ。この家が建てられたのが1928年から1931年。そんな昔に、デザインの一部としてこうした機能が盛り込まれているという所が、素晴らしいのだそうだ。ほほー。

 サヴォワ邸には、この他にも客室や息子さんの個室や浴室、キッチンなど、家族が週末を快適に過ごせる部屋が揃っており、斬新ではあるが家の機能は備えている。ただし(素人の私が言うのもおこがましいが)、扉なしでベッドルームとつながっているバスルーム(湿気が入ってきてしょうがないじゃないか!)、流し台とガス代が長いテーブルで分断されているキッチン(野菜洗って、切って、炒めてっていう動線が途切れるじゃないか!)など、実際に生活するとなると不都合を感じる点もいくつかあった。

 従って、もしこれと同じような家を建てたいとしても、「バスルームとキッチンの相談はワタクシにして頂きたい」と夫に丁寧にお願いしておいた。

 私は建築の門外漢ではあるが、それでもこの家の気持ちよさ、斬新さは堪能することができた。やはり実物を見てみると、よさがよくわかるのである。

 こうしてサヴォワ邸を楽しんだ後、一度駅まで戻り、今度は市バスでサンジェルマン・アン・レーに向かった。列車の1日券はバスにも使えたのでお得。

 バスを降りた所には大きな教会と城と庭園。ガイドブックに紹介されている物が全部見渡せた。

 サン・ジェルマン教会は大きく立派。中にどんどん人が入っていっているので、我々も入ってみた。あれ?何だかみんなとってもお洒落している。ミサだろうか。と、よく見たら祭壇の中央に新郎・新婦がいて、どうやら結婚式が執り行われているようだった。だから皆着飾っていたのね。

 それにしても、こんな広い教会が満席になるほど参列者がいるということは、町の有力者の結婚式なのだろうか。成り行きを見ていたかったが、城と庭園も待っているので、この辺で切り上げた。

 教会と道をはさんで向かいあっている城は、現在、国立考古学博物館になっているそうだ。

 このような重厚な城も家なら、今日見てきたばかりのサヴォワ邸も家。同じ家でもあまりの様相の違いに、「いやーサヴォワ邸は斬新だったねぇ」という感想は出てくるものの、こちらの城を見たいという気分になれない。なので、概観だけ見て庭園に移動した。

 庭園はこの城の左手に広がっている。広い。地図を見ただけで足がつってきそうに広い。城の左手に行って、城を背にして立つとずーっと奥まで庭園と森が広がっている。左手は手すりのあるテラスになっていて、そこからはセーヌ川が見え、ずーっと遠方にパリの新凱旋門などデファンス地区が見える。

 「セーヌ川に沿って2400mのテラスはルイ14世が・・・」というガイドブックの解説を読んだ瞬間に挫折。

 そんなに先まで、もう歩きたくない。

 城の近くは、整然とした庭園になっているが、奥のサンジェルマンの森は野趣あふれた自然のままらしい。それは魅力的なのだが、今日はそこまでいく気力がなかった。1日にサヴォワ邸とこちらは、ちょっと無理があったな。

 ということで、今日はここまで。メインはサヴォワ邸。将来、あんな家に住みたくなった?



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