夫婦2人で世界一周の旅に出発!現地から海外長期滞在の旅の様子をお伝えします。
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2006.05.03
イル・ド・フランス(2)シャンティイChantilly

フランス:パリ

 池の向こうにお城があって、水面にその影を落としている写真を見て、シャンティイに行こうと思った。このところぐずついていた天気も、今日は快晴の予報。

 今日もお弁当をばっちり作って出発。前回のピクニックで、「ワインがあったら良かったのにねぇ」ということで、今日は行きがけに近所のカルフールに立ち寄って、ハーフボトルも忘れず購入した。

 パリ北駅からRERのD線でCreil 行きに乗って、一路北方向に45分走ると、シャンティイChantillyに到着。我々はRERを利用したので

 我々の住んでいるのもRERの別の路線だが、このD線のシャンティイに行く列車は、長距離になるせいか、1両が長く、中もちょっと洒落ていた。

 11時10分過ぎにシャンティイに到着。

 ガイドブックにある様に、駅から森を抜けて競馬場が広がり、その向こうにお城がある。お城までは約2kmの距離だ。天気もいいし、もちろん歩いていくことにした。

 気持ちのいい森の中の小道を歩いて行くと、突然緑の芝生が果てしなく広がっている所に出る。

 どうやらこれが競馬場のようだ。競馬場を見たことがないので、こんなに広い所だという感覚がなかった。ここでは、毎年6月の第二日曜日にエルメスが主催する「エルメス杯」が行われるそうだ。

 エルメス杯では、大きな帽子を被ってお洒落をした婦人や紳士が集い、競馬だけでなくフランスのその年のテーマに沿ったアトラクションが行われるそうだ。

 どんな衣装の人が集まるのか気になるなぁ。インターネットで探していたら、こんなサイトがあったので参考にしていただきたい。コスプレに関するサイトなんだけど、確かにこうして見ると、エルメス杯に集まる人々の衣装はコスプレと言っても過言ではない。いつか見てみたいものですねぇ。
パリ発マンガ情報サイト
http://eurojapancomic.com/co/hermes2005/hermes.shtml


 とまぁ、エルメス杯の時はにぎわうという競馬場も、今日は人っ子一人いない。競馬場は封鎖されて入れない雰囲気だったので、競馬場沿いに時計回りにぐるーっと周って歩いていった。

 右手の競馬場も終わりに近づいた頃、目の前に馬の博物館が見えてくる。機能としては馬小屋なのだが、「これがお城なんじゃないか」と思うくらい立派な建物だ。


 ここから馬の博物館の右側を博物館沿いに歩く。建物は中庭のある構造で、中庭部分が馬場になっているようだった。長い側面を歩いて、博物館の正面に出ると、またもやその大仰な構えに「馬小屋なんだよねぇ」と誰かに確認を取りたくなった。


 確認のため、左側にある大きな扉から中に入ると、プーンと紛れもない馬小屋の香り。ここに至って「うん、やっぱり馬小屋だった」と納得した。馬小屋、いや正確には「馬の博物館」の入り口ブースには、馬の調教ショーのスケジュールが書かれていた。11時半〜、15時半〜、17時15分〜の3回に加えて、今日はポニーのショーもあるらしい。これらのチケットとお城の入場チケットと両方をあわせたチケットをここで販売しているので、両方あわせたチケットを購入した。(お城の入り口でも同じチケットを販売していた)。

 更に先進むと、ようやく池とその先にお城が見えてきた。2kmというのはちょっとした散歩の距離になる。

 丁度昼時になったし、運動もしたし、お城に入ってしまうとお弁当を広げてもいいかどうか不明だったので、お城に入る手前の芝生でお弁当を広げることにした(詳細は「本日の献立2006年5月3日昼」の写真をクリックしてご覧ください)。

 昼食を終えてお城の敷地に入った。左手にお城があり、右手には広大な庭園が広がっている。まずは庭園から見ていこうと先に進むと、いきなりだだっ広い空間に池と整然とした花壇がポンポンと配置された庭園が見えてきた。

 ここから見ても広すぎて間抜けして見えるし、池の近くに立つと荒唐無稽で、自分がどんな所に立っているのかよくわからないし、気持ちよくもない。しかし、フランスにはえてしてこのような庭園が多い。何でなんだろう。思うに、これは視点が間違っているのだ。きっとお城の中の城主の部屋から丁度良いサイズに見えるのに違いない。その丁度良いサイズを年頭に置いて、ここに立って庭園を見て、馬に乗って庭園内を駆け巡るとき、その大きさを感じて、自分の権力の力を再認識する。そんな為の庭なんじゃないのかなぁ。そういう解釈であれば理解できる。

 この広大な場所の右側に続く庭園に進んでいく。

 広い木立の道を進むとつきあたりに池がある。池は今歩いてきた道と並行しているもっと細い道沿いに川を流している。折り返し、今度は川沿いの道を歩いてみた。川面に緑が映って、その上を白鳥がツーっと泳いでいく。印象派の絵画の中にいるようだ。


 この先には、貴族が田舎暮らしの真似事をするために建てた田舎風の家が何軒か建っていた。

 そのうちの1つが庭園内にあるレストランになっていて、気持ちの良い庭に屋根がかかっていて、屋外で食事ができるようになっていた。

 お弁当を食べた私達はここで昼食をする気はなかったのだが、レストランの入り口においてあるホイップクリームには心が揺れた。

 フランス語の辞書でChantillyと引くとシャンティイ城という項目の他に、女性名詞として「ホイップクリーム」という意味が出てくる。

 シャンティイ城の城主コンデ公が召抱えていた宮廷料理人ヴァテールがホイップクリームを考案したから、フランスでCreme Chantillyというとホイップクリームが出てくるということになっているらしい。ルイ14世を招いての3日間の大饗宴を舞台に「宮廷料理人ヴァテール」(フランス・イギリス合作、ジェラール・ドパルデュー主演)という映画があったので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれない。私はこの映画を見ていなくて、今こうして書きながら、だんだん見たくなってきた。
参考:Amazonの「宮廷料理人ヴァテール」DVDのコーナー

 シャンティイでホイップクリームが発明されたかもしれない、という話はここに来る前に調べていたので、「うーむ、これがそのホイップクリームか」としみじみと眺めた。食べてみる?


 しかし、ここでしか味わえない料理人の腕前とか、ここでしか味わえない素材が入っているとか、「今食べないと」という物がこのクレメ・シャンティイにはない。「発祥の地記念」っていう価値に対して、アイスクリーム2つにホイップクリームが付いて1000円近いっていうのは、なんだかレストランにやられている気がして、食べる気を失った。

 こうしてお城の左側を一巡して中央の池まで戻ったら、今度はお城の右側の庭園。こちらはイギリス庭園だそうだ。

 ここから見たお城が一番印象に残った。鬱蒼とした林を所々に配して、残りはグリーンの芝生が覆っている庭園。その向こうに見えるお城と、お城を写す水面。童話の中に出てきそうな景色で、背景が曇り空なのが本当に惜しい。


 こうして庭園をたっぷり楽しんだ後、ようやくお城の中を見学。
 館内には見学ツアーしか入れない所と自由に見学できる所があった。

 見学ツアーといっても、時間になると係りの人が付いて説明してくれる無料のツアーで、丁度時間が合ったので、まずツアーに参加した。

 生き生きした学芸員の若い女性は、まるで演劇のように表情たっぷりに説明してくれるのだが、フランス語なのでさっぱりわからない。表情だけ楽しむことにして、解説は、各部屋に用意されているラミネート加工された説明書(日本語もあり)を読むことにした。このラミネート加工の解説プレートは、フランス政府観光局かパリ観光局など公の団体が行っていると思われる。このお城だけでなく、他の観光スポットでもしばしば同じ形態のものを見かけた。言語の種類も豊富に用意されていて、様々な国からの観光客が楽しめるようになっている。

 見学コースが地下1階で終了したので、入り口のある階まで螺旋階段を上って戻る。この螺旋階段の手すりがまた凝っていて見事。「手すりには手を触れないように」という注意書きも納得の手すりだった。


 自由に見学できる部分で魅力的なのはコンデ美術館。城内の絵画ギャラリーだ。

 解説プレートには、「ここの城主の絵画の配置の趣味の良さをお楽しみください」と書いているが、何を持って趣味が良いというのかの基準がよくわからない。それよりも、「有名な画家の絵をコレクションして、時代別やテーマ別にどうやって配置するかで頭を悩ませてた」ということ自体に、くらくらするほど貴族を感じる。だって、ラファエロとかコジモとかアングルを使って遊んでいるんだから!

 で、この部屋の奥に、ちょっと突き出した小部屋があり、ここにラファエロの「オルレアンの聖母子」とコジモの「美しきシモネッタ・ヴェスプッチ」があった。

ラファエロの「オルレアンの聖母子」

コジモの「美しきシモネッタ・ヴェスプッチ」

 他にも絵画の部屋はいくつも連なりっているが、圧巻なのは天井近くまでびっしりと絵画で埋め尽くされた、真っ赤な壁紙のドーム。

 天井から入る柔らかな光を受けている絵画は、ボッチチェリ、アングルなど、ここもまた有名画家が目白押し。絵の配置も特徴があって面白い。

 このコースが終わって外に出ると、左手に城内レストランがあった。のぞいてみると、又もやヴァテールが。ここには映画の1シーンの写真がはってあり、このレストランがかつてはヴァテールの調理場だったという説明がされていた。今日は貸切の予約でも入っているのか、テーブルセッティングがきちんとされていて、奥の厨房から音も聞こえてくるのだが、誰もいなかった。

 時刻はそろそろ16時半。馬の調教ショーが17時15分だから、そろそろ馬の博物館に戻りましょう。

 ずっと歩いていたので、喉が渇いてきたなぁと思ったら、お城を出た緑地で、アイスクリームを販売している車を発見。気が利いているねぇ。

 2つ注文したら、アイスクリームスクープを手にしたお姉ちゃんが、「クレメ・シャンティイは付けますか?」と目をくるっとさせて聞いてきた。

 じゃ、つけてもらいましょうか。ということで、ホイップクリームいやクレメ・シャンティイ山盛りのアイスクリームをシャンティイ城をバックに食べることができた。

 一休みして馬の博物館へ。
 馬の博物館は、中庭の馬場をはさんで右側が、馬具や馬に関する絵画などを扱った展示コーナーで、

実物大の馬の絵の上に、頭蓋骨や肺などが
配置されている。こうして見ると肺がとても大きい。

エルメスのスカーフの部屋。馬や馬具をモチーフに
したスカーフを集めてあった。

左側が生きた馬が草をはんでいる馬小屋と屋内馬場と有名馬の模型コーナーになっていた。

馬のショーに出演している馬たちなのだろうか。

天井の高さに圧倒される建物。両脇は往年の名馬。

 17時に館内アナウンスが入り、皆どやどやと中庭の観客席に座り出した。時間になると、若い女性2人が馬に乗って登場し、調教の仕方を披露してくれた。大きな馬が、彼女達の軽いてさばき一つで、歩いたり、走ったり、斜めに進んだり、何と後ずさりしたりする。


 特に斜めに足を進めたり、後ずさりするというのは、本来の馬の動きではないため非常に難しいというのをテレビで見たことがある。それをいとも簡単にやってのけているので、とても感心した。

 最後に貴婦人のように膝を折ってご挨拶する姿まで優雅な馬だった。

 庭園、お城、絵画などを見て、この調教ショーを見ると、今日1日で貴族にでもなったかのような錯覚に陥ることができる。1日たっぷり見るものがあり、広々として気持ちよい。期待以上に楽しかったシャンティイは、天気の良い日を選んで行くべし。


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